ハンカクサイ親父の独り言

新聞大好き親父のぐだぐた日記、 ネットで各新聞をかなり読んでいます。 特に看板コラム(主コラム)新聞の性格があらわれます。

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1.「卓上四季」【北海道新聞】 学校の帰りにじゃんけんで負けた子どもが仲間のランドセルも背負って、次の電柱まで運ぶ。昔はやった遊びを最近、見かけた。電柱を目標にした理由は知らないが、どこにでもあるからか▼日本人にとって電柱や電線は当たり前の光景でも、欧米人には珍しいらしい。訪日客がスマホで撮影している姿をよく目にする。統計を見れば、なるほどと思う▼道路の無電柱化率はロンドンやパリは100%なのに日本は1%。道内も同じで、札幌も2%にすぎない。欧州は街づくりの時点で電線地中化を義務づける国が多いが、日本は国や自治体、事業者の判断に委ねられる。多額の費用が普及の足かせになっているようだ▼作家の丸谷才一さんは熱心な無電柱派だった。エッセー集「袖のボタン」で<江戸の都市は架空電線がなく、秩序と調和を保ってゐた。電柱を1本づつ木に替へるのは名案だ>と書いている▼その無電柱化が、何かと話題の小池百合子東京都知事が公約に掲げたことで注目されている。電柱は繁華街では気にならないときもあるが、山や湖のそばに林立していたらどうか。もちろん、人によっても受け止め方は違うだろう▼東日本大震災では5万6千の電柱が倒れ、救助の妨げになったと聞く。電柱がなくなれば冒頭の遊びができなくなるし、ひょっとして散歩中の犬も戸惑うかもしれぬ。それでも防災のためには進めるしかない。2016・9・302.「河北春秋」【河北新報】 『北上山地に生きる』という本紙の古い連載がある。1971年、89回にわたり岩手県内版に掲載された。地域開発の理想と山の暮らしの現実。その落差を問う骨太の企画だった▼ルポは岩泉町を軸に進む。<安家川に沿ってさかのぼれば1000メートルを超す険しい山々が道の両側にせまり、その間から眺める空は、ただ一筋の帯のような流れにすぎない>。台風10号は、その帯のような空から猛烈な雨を降らせた▼大量の水が山を下り、倒木もろとも細い川に流入。道路が寸断され、安家地区の集落は孤立した。自宅が泥だらけになっても「大切な牛を見捨てて行けない」とヘリでの避難を拒んだ農家がいた▼<山の中の一人暮らしはさびしくねえかと、よく聞かれるどもベゴッコのことで頭はいっぱい>。45年前の農家の言葉が重なる。牛舎で育てた牛を夏の間、山で放牧し秋には競りに。そうやって安家の人々は生計を立ててきた▼10号豪雨からきょうで1カ月。行政も住民も教訓を得て前に進んでいる。ただ厳しい地形と風土だけはあらがえない。最奥の山中にあえて入り、通年放牧で革新的な酪農を手がける牧場も町内にある。若いスタッフの踏ん張りや消費者の激励を支えに難局を越えたという。山と共に生きていく新しい知恵を見つけたい。(2016.9.30)3.「天地人」【東奥日報】 「一箭双雕(いっせんそうちょう)」の四字熟語は中国の故事に由来する。「箭」は矢、「雕」は鷲(わし)のこと。2羽の鷲を仕留めるよう、王様から矢を2本渡された男が、たった1本の矢で2羽を射落としたという。「一挙両得」の離れ業だ。矢の代わりに石を投げれば「一石二鳥」となるが、現実はそう甘くはない。思惑通りにたやすく事は運ばない。「虻蜂(あぶはち)とらず」。はたまた「二兎(にと)を追う者は一兎をも得ず」と、したり顔で説教されるのが落ちである。球界の「二刀流」は、この常識をあっさりと覆した。パ・リーグ覇者となった北海道日本ハムの大谷翔平選手だ。投げては優に160キロを超す。打席に立てば打率3割2分台、本塁打22本という並外れた打棒である。投げて、打っての一人二役。「超人」以外にふさわしい枕詞(まくらことば)は、なかなか見当たらない。あのイチロー選手をも凌駕(りょうが)する可能性を秘める。投手としても、打者としても年々成長しているのだから、絶頂期には才能がどこまで花開くことか。「二刀流」の背中を押し続けた、栗山英樹監督の芯の強さにも頭が下がる。二兎を追う者は二兎をも得る−。外野の声に惑わされず、一心不乱に夢を追い求めれば不可能も可能になる。非常識が常識に変わる。過去の常識にとらわれていては、社会や組織の成長を見いだせない時代である。「二刀流」に学ぶものは多い。4.「天鐘」【デーリー東北】 天鐘(9月30日)広辞苑で「夢」を引く。まず〈睡眠中に持つ幻覚〉。そして〈はかない、頼みがたいもののたとえ〉〈空想的な願望。心の迷い〉〈将来実現したい願い。理想〉と続く▼今となっては、その「夢」はさて、どの意味だったのかと考えてしまう。燃やせば燃やすほど燃料を生み出すことから「夢の原子炉」と言われた高速増殖炉。ついに政府は「もんじゅ」を廃炉にする方向で計画を見直す▼試運転開始から25年。トラブル続きで、稼働したのは250日だけである。それでも1日5千万円の維持費がかかる。進むも戻るも地獄だが、ほぼ運転実績のない現実を見ればご破算も仕方なかろう▼1兆円余を投じて夢に終わる国策である。無駄遣いもさることながら、こうした国のプロジェクトの挫折にいつも思うのは立地自治体に振りまかれる夢の罪深さだ。声高な「地方振興」のうたい文句に地元は躍らされる▼「国の裏切り」とは事業に協力してきた福井県。サイクル関連施設のある青森県でも先行きを懸念する声が漏れる。核燃事業の根っこは、あのバラ色とされた幻の開発計画。国の方針転換には敏感だ▼無責任な原子力政策の歩みは地元を置き去りにしてきた歴史でもある。もんじゅの後も国は新たな高速炉の方向性を探るらしい。果たして全ての国民が納得できる道となるものか。少なくとも、もう原子力に過大な夢を託す時代ではあるまい。5.「北斗星」【秋田魁新報】 画家で秋田大学名誉教授の佐々木良三さん(80)は若き日、秋田高校の編入試験を受けたものの一問も解けなかったという。だが校長は「まあ、何でも1等もあればビリもある」と言って入学を許可した▼この話、佐々木さんから聞き書きした「絵をつくる人生を描く」(小社刊)に載っている。佐々木さんは「人間は多様でいい、ということだったのでしょう」と回想する。教育現場の余裕が伝わってくる話だ▼文科省は今春実施した全国学力テストの結果について、下位層と上位層の差が縮小したと分析している。テストは全国の学力水準を把握し、課題を明らかにすることを目的として2007年に始まった。10年目にして1等もビリもなくなりつつあるとしたら喜ばしい▼現在の学力テストの前身とも言える全国学力調査(略称・学テ)の開始から数えて、ことしは60年。最初は小中高校の抽出調査、後に中学2、3年生の全てが対象となったが、全国一斉の全員調査は思わぬ順位競争に陥る▼テスト向けの補習授業や予備テストが各学校で行われ、本番中に先生がそれとなく正答をほのめかすこともあったという。過度な点取り競争が批判を浴び、学テは11年続いた末に中止となった▼現在の学力テストでも授業時間を割いて対策を行うなどの弊害が指摘されている。順位にこだわり過ぎては多様な才能を見逃すことになりかねない。佐々木さんは編入した高校で抽象画と出会い、美術を志すことになる。6.「談話室」【山形新聞】 ▼▽「多くの人に支えられた45年。良い生徒にも恵まれて教えられることの方が多かった。今後は育ててもらった山形県に恩返しがしたい」。県高校野球のレベルアップに力を注いだ名将は勇退の記念祝賀会でこう語った。▼▽山形商業高を最後に今夏の山形大会で監督を退いた渋谷良弥さん。日大山形高や青森山田高を春夏通じ22回、甲子園に導くなど東北を代表する指揮官として名を馳(は)せた。退任は残念だったが、スポーツアドバイザーとして小中生らを指導中。本県の球界を盛り上げてほしい。▼▽昨年11月15日、渋谷さんに一人の教え子から電話が入った。相手はプロ野球の栗原健太選手。楽天に入団が決まった夕方のことだった。広島時代の活躍ぶりと怪我(けが)との闘いに「いい時もどん底も経験した」と思いやり、「東北、山形の方に打つ姿を見せて」と話したという。▼▽そんな栗原選手が今季限りで現役引退とは寂しい。お疲れさまと言うのはまだ早いが、野球で培ってきた経験は貴重な財産。県民に夢と希望を与えてくれたことに感謝したい。彼の座右の銘は「焦らず、休まず、一歩一歩」。恩師・渋谷さんからもらった色紙の言葉である。7.「風土計」【岩手日報】 2016.9.30岩泉町で先週末、妻と一緒に泥出しボランティアをした。水分を含んだ泥が、あまりに重いのには驚いた。さっぱり作業がはかどらない。台風10号被害からの復旧の道のりが、どれほど遠いかを実感した▼もう一つの驚きは、筋肉痛のピークが作業から2〜3日後だったこと。5年半前の東日本大震災津波後、砂や泥の撤去作業に励んだ頃は、翌日には筋肉痛がやってきたはずなのに▼心の痛みに比べれば、体の痛みなんて大したことない。陸前高田市や宮城県石巻市などの友人から「最近、被災地に来る人が減って寂しい」「イベント会場が閑散としていた」などと聞くたびに、心が痛む▼高知市で昨年末、東日本大震災の経験を生かして南海トラフ地震津波に備えるシンポジウムが開かれ、パネリストとして参加した。一番知ってほしかったのは、復興には長い長い時間がかかるということ▼津波で変わり果てた古里の写真を、時系列で見てもらった。震災から2年、3年、4年…。変わらぬ更地の光景。参加者から「驚いた」「関心を持ち続けたい」などと感想が寄せられ、少しほっとした▼台風10号豪雨から30日で1カ月。一部の集落では断水や停電が続いており、生活再建ははるかに遠い。その上、今後はボランティアの減少も懸念されている。県民一丸、長い目で被災地を支え続けたい。8.「あぶくま抄」【福島民報】 114号国道(9月30日)福島市から車で浪江町に向かうには、114号国道を通るのが最も近い。川俣町の街中を過ぎると、道路は阿武隈山地を縫うようにくねくね曲がる。冬は凍結して危ないが、浪江出身者にとっては故郷に続く道だ。川俣と浪江の境に牧場があって、家族連れには一休みにぴったりの場所だった。子どもたちには濃厚な味のソフトクリームが大好評だった。広々した牧草地には放し飼いの子牛やヤギがいて、甘い口の周りをなめてくれた。お土産は瓶入りの牛乳。次に立ち寄った時に空き瓶を返すのが約束事だった。国道は今、立ち入りが規制されたままだ。浪江の入り口はゲートで閉ざされ、警備員が立つ。この先は帰還困難区域。彼岸の墓参りに帰るのにも許可証がいる。車窓の光景に怒りがこみ上げる。田畑だった土地を雑草が覆い、家を緑がのみ込んでいく。覆い隠すことを隠蔽[いんぺい]という。帰還困難区域には人々の大切な暮らしがあった。それを歳月のせいにして、この国はなかったことにしようとしていないか。意図的でなくても、将来像を示せなければ隠蔽と同じだ。牧場の隅に空き瓶が残る。誰かが置いたのだろう。あの牛乳の味を忘れないように。9.「編集日記」【福島民友新聞】 郡山市出身の俳人深見謙二さん(俳名深見けん二)の代表句の一つに「人はみななにかにはげみ初桜」がある。毎年桜の咲き出す頃、自宅近くの寺に通って作り続け、たどり着いた句だ。以来、深見さんは一つの季題に集中して取り組むと、時に自分を超えた句を授かると思うようになったと述懐する▼深見さんは、高浜虚子の最後の弟子だ。四季の変化や人間界のさまざまな現象を客観的に詠む「花鳥諷詠(ふうえい)」と、作者が見たり感じたりしたままの光景を表現する「客観写生」の理念を受け継いだ。格調高く心地よい響きの作風から「清廉の俳人」と称される▼金の産出地として知られる同市熱海町の高玉鉱山で父親が働いており、小学2年生まで市内で育った。故郷への思い入れは強く、同鉱山や東日本大震災を題材にした作品もある。埼玉県在住で、94歳の現在も俳句の世界に身を置く▼深見さんにスポットを当てた企画展が10月8日から、こおりやま文学の森資料館で開かれる。自身が歩んだ人生を振り返る初めての展示会だ▼地元が生んだ偉大な俳人の作品は興味深い。会社勤めの傍ら俳句を詠み続け、70年以上にわたり情熱を注いできた生き方から学ぶべきことは多いだろう。10.「雷鳴抄」【下野新聞】 「なにがうまいといって、炊きたての新米ほどうまいものはない」。小説家でエッセイストの嵐山光三郎(あらしやまこうざぶろう)さんが『素人包丁記・ごはんの力』(講談社文庫)に書いている。これに異を唱える人はまずいないだろう▼筆者も知人から届いた新米のコシヒカリが食卓に上るようになり、栃木県人の喜びをかみしめている。県産米はうまい。食味ランキングで最高位の特A認定が毎年出ている。ただ、心配なこともある▼農作業事故が後を絶たないことである。25日にも栃木市の水田で稲刈りをしていた69歳の男性が、コンバインごと水田脇の段差に転落して亡くなった。本来なら収穫の喜びに浸る時季なのに言葉もない▼県によると2005年から14年の10年間に67人が命を落としている。トラクターやコンバインなど農業機械の導入が進み、作業負担は軽減されたが、死亡事故の多くはこれらの機械を運転中に起きている▼背景には農業の担い手の高齢化がある。亡くなっている人の8割は65歳以上である。全国の産業別の10万人当たりの死亡事故の発生率は、建設業の2倍にもなるという▼県や農業関係団体は9月から11月まで「秋の農作業安全確認運動」を展開している。ベテラン農業者のみなさんは、どうかトラクターやコンバインなどの運転に細心の注意を払って作業をしてほしい。11.「いばらき春秋」【茨城新聞】 「一杯のコーヒーから」「コーヒールンバ」「学生街の喫茶店」…。コーヒーや喫茶店を歌ったヒット曲は多い。歌詞やメロディーを懐かしく思い出す人もいるだろう。コーヒーは私たちの日常にすっかり溶け込んだ▼休日の朝、喫茶店に行った。数カ月前にオープンしたチェーン店だ。ゆったりと腰掛けられるソファ。席の間隔が広く仕切りもある▼店員が席まで注文を取りに来て運んでくれるフルサービス。午前10時すぎに入店したが、コーヒーを注文すると、トーストとゆで卵が追加料金なしで付いてくる「モーニングサービス」の“恩恵”も受けた。自由に読める新聞や雑誌も数多く置かれていた▼セルフサービスではなく、居心地の良さを売りにゆっくりと滞在できるこのようなコーヒー店が人気を集めているそうだ▼昔ながらの喫茶店をイメージした店舗が郊外を中心に展開され、シニア層に好評だという。駐車場も備わり、水戸市内にも複数のチェーンが出店している▼あすから10月。コーヒー豆の国際取引は新年度が始まるそうだ。気分も新たに喫茶店へ足を運び、味や香りを楽しんではいかがだろう。多忙な日々を送りながらも、せめて落ち着いてコーヒーを飲む時間ぐらいは持ちたい。(柴)12.「三山春秋」【上毛新聞】 ▼元素とは宇宙空間にある物質を構成し、それ以上化学的に分解できないものを言う。日本の理化学研究所のグループが10年近い歳月をかけて発見した元素がアジア圏で初めて新元素と認定されたことは記憶に新しい▼日本発の新元素が原子番号113番なら、1番は水素。ことしは英国の化学者ヘンリー・キャベンディッシュが水素を発見してから250年の節目の年に当たる▼水素は20世紀初めまで劇場の照明用や飛行船・気球用など用途が限られていたが、近年、化石燃料に代わるエネルギー源として脚光を浴びている。利用段階で地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出せず、出るのは水だけのためだ▼政府はこの水素を主要なエネルギー源とする「水素社会」の実現に向けて、水素で動く次世代型の燃料電池車(FCV)の普及に努めたり、東京電力福島第1原発事故後の福島県を「水素社会」の先駆けとするための計画を発表している▼FCVを動かすには水素を供給する施設、水素ステーションが欠かせないが、県内でもこれを導入する動きが出てきたようだ。前橋市が2020年度の完成を目指す市内北部の道の駅への設置を想定し、検討を進めているという(28日付本紙)▼究極のクリーンエネルギーといわれる水素。本県も「水素社会」のとば口に立ったところと言えそうだ。14.「忙人寸語」【千葉日報】 「勝浦漁協が破綻」との一報に驚がくしたのが5月。本県の勝浦市ではなく、和歌山県那智勝浦町の漁協だったが、漁業を巡る環境の悪化は人ごとではない▼マグロに始まり、イワシ、サンマ、サバ。中国、台湾などアジア各国の乱獲が進み、資源が激減。国内の漁業は年々水揚げが落ち、市場価格が上昇の一途をたどる。さらに地球温暖化による海水温上昇の影響も無視できない▼那智勝浦は全国有数のクロマグロの水揚げを誇っているが、最も脂が乗り、取引の多い中型が減り続けているという。小さいうちから捕ってしまうためと推測され、日本主導で緊急漁獲規制が提案されたが、合意は難しい状況▼サンマ、サバでも同様の問題が出ているが、強制力のある規制は決まらず、違法操業の取り締まりも進まない。元々、日本は漁獲量も消費量も世界トップクラス。資源保護を強調しても「身勝手なことを言うな」と返されれば、強気に出られないのが実情だろう▼那智勝浦では今月末をもって勝浦漁協が解散し、来月受け皿となる新漁協が発足する。しかし、経営立て直しは図れても、根本的な解決策にはならず、茨(いばら)の道が待つ▼世界が協調しない限り、漁業資源の減少に歯止めはかからない。水揚げが減れば、価格が上がるのは市場原理。庶民の味だったサンマやサバが、高級食材となる日が来るのも近い?18.「斜面」【信濃毎日新聞】 夜間の運転はライトを下向き(ロービーム)にして走る—。恥ずかしながら、つい最近までそれが「原則」だと信じ込んでいた。上向き(ハイビーム)で走るのが原則、と家族に言われて思い違いに気付いた◆道路運送車両法などによるとハイビームは100メートル先の路上の障害物を、ロービームは40メートル先を確認する性能が基準だ。通常の走行時はハイビームにすることが求められ、対向車とのすれ違いや他の車の直後を走る際はロービームに切り替える義務がある◆知ってはいても対向車が頻繁に来る市街地の走行に慣れ、ロービームのまま運転している方も多いだろう。ハイビームはまぶしいと他の運転手ばかりか歩行者に迷惑がられたりする。原則に戻るのは思いのほか難しい。けれど昨日の本紙に載った統計を知れば考え直さざるをえない◆県内で今年、夜間に横断中の歩行者が車にはねられた事故92件のうち、90件は車のライトがロービームだった。照射距離が短い分、歩行者の発見が遅れるからだ。JAFのテスト走行でも、障害物の手前で停止できないロービームの限界が明らかになった◆最近は対向車を感知し自動で切り替える新機能が開発された。とはいえ普及するにはまだ間がある。ライトは小まめに切り替え、歩行者に反射材をつけてもらう。自動車会社が始めた「マチホタル」作戦だ。原則を習慣にする工夫はある。(9月30日)19.「日報抄」【新潟日報】 9月30日作家の半藤一利さんは坂口安吾から歴史の話を山ほど聞いた。安吾直伝の歴史上のリーダーから一人挙げるなら、何と言っても織田信長だという▼他の人間には果たせなかった、歴史を回転させる役割をたった一人で成し遂げた。例外的な男だと見る。「ただ部下としては、あまりに独断的な信長に仕えるのは、大変だったでしょうな。結局のところ信長は、自分が楽しければ何でもいいと思っている節がある」▼これは東日本大震災後の針路がおぼつかない2012年、文芸春秋スペシャルでの対談だった。相手の歴史家、磯田道史(みちふみ)さんは源頼朝を推した。「中央というものがだんだん衰えてきた時、新しい国家のデザインを考えて、地方から発信して押し広げた」▼力ずくの世は勘弁いただきたいが、遠い過去には間違いなく地方の時代があった。近年はどうか。沖縄の米軍基地問題でも各地の原発をめぐる問題でも、地元の意向が国策にはねのけられる場面を繰り返し見せられてきた。中央にもの申す豪胆さが試されている▼頼朝は、理屈が通っているかそうでないかの判断が極めて速かったという。家臣の気持ちが離れそうになる瞬間に手綱をぎゅっと締めることも忘れなかった▼信長の突破力、頼朝の発信力と判断力。先の対談は上杉謙信にも触れ、人柄もリーダーの重要な資質として挙げている。謙信は、私利にとらわれない人のいい越後人そのもの、という意見で両氏は一致している。知事選が始まった。選ぶ側の目も試される。20.「中日春秋」【中日新聞】 夜の繁華街には、なかなか恐ろしい店があって、「安いよ。○千円でいいよ」と誘っておいて、法外な料金を請求する。そんな店を野放しにする訳にはいかぬから、自治体によっては条例で規制している▼たとえば、大阪府の場合は<料金について、不実のこと又は実際のものよりも著しく低廉であると誤認させるようなことを表示し、又は告げてはならない>とし、違反すれば五十万円以下の罰金が科せられる▼しかし、市井では禁じられている行為も政府がやれば、問題にはならぬらしい。「安いよ。原発はお得だよ」と国民に告げ続けても平気なのだ▼だが、福島第一原発の処理に十一兆円以上、他の原発の廃炉にも数兆円はかかる。「核のゴミ」の処理には目途が立たず、費用がどこまで膨らむか上限が見えぬのに、「原発は安い」と言い続ける▼そのツケを誰が払うか。政府が今考えているのは、国民に負担させることだ。電力自由化で好きな電力会社を選べるようにしたはずなのに、経済産業省は「どの電力会社を選ぼうが、原発のツケは全員で」と言いだした▼「過去に原発の恩恵を受けていたのだから、その分はこれからも払ってもらう」という理屈だが、これでは、ちゃんと支払いを済ませた店から「経営難で閉店費用も払えないので、追加料金を」と請求されるようなもの。消費生活センターにでも訴えようか。21.「大観小観」【伊勢新聞】 2016年9月30日(金)▼トヨタ自動車の再雇用制度で清掃業務を提示されたのは不当だと訴えた事務職の元社員が名古屋高裁で全く別の業務の提示は「通常解雇と新規採用に当たる」と、一部逆転勝訴した。継続雇用を保障しながら敗れたトヨタが「残念」とコメントしている。さもありなん▼判決は「高年齢者雇用安定法に反する」と判示している。雇用促進のための法律だが、平成二十五年四月施行の改正で再雇用対策を強化。希望者全員の六十五歳までの継続雇用を義務づけた。元社員は同年七月、六十歳で定年退職。どんぴしゃりのタイミングである▼会社は、元社員が希望した事務職では「基準に満たない」と退け、清掃業務を一年契約のパート労働として提示したという。改正法の適用にこれ以上の事例はないと判事も思ったのではないか▼大企業だから職場も多く、事務職として勤務していた社員が、翌日からそのフロアやトイレを清掃しているということはないのかもしれないが、現役社員ならむろん不当労働行為が疑われる人事ではある▼再就職に宮仕えの悲哀は特に付きもので、県庁でも外郭団体などへの一部幹部級はいいが、一般的には嫌われる。肩書の消滅は当然として、職種も経験が生かされるケースは少ない。臨時職員と同様の扱いで、本人はプライドが傷つけられ、職員からは元上司として煙たがられる▼取材で親交を深めた職員がある日を境に目をそむけ、表情のない顔になっているのをよく見た。部長からヒラへなど、激動わがサラリーマン人生に照らし、お役人だなあという気もしなくはないが、切なくはなる。22.「大自在」【静岡新聞】 2016年9月30日【大自在】(2016/9/3007:42)▼米大リーグで、今も不世出の選手とたたえられるベーブ・ルースはホームランを量産する前、左腕投手として活躍していた。「野球アメリカが愛したスポーツ」(ランダムハウス講談社)によれば、当時から強打の投手として珍しがられていた▼その後、登板間隔が空く間、ベンチを温めているのは宝の持ち腐れと思われるようになった。そこで外野や一塁を守らせたところ、打撃開眼し、2桁勝利、2桁本塁打を達成した。1918年のことだ▼以来、誰も達成できなかった「野球の神様」の記録に、入団わずか2年目の若武者が並んだ。その日本ハムの大谷翔平投手(22)が4年目の今季、投打の二刀流に磨きを掛け、現時点で10勝、22本塁打、打率3割をクリアしパ・リーグ優勝の立役者となった▼悩み抜いた末、大リーグ挑戦の夢を封印しての日ハム入りだった。「誰も歩いたことのない道を歩いてほしい」。長い球史の中で誰もやったことのない二刀流の実現を呼び掛けた栗山英樹監督の言葉が胸にぐっと響いたという▼二刀流の一段のレベルアップを目指した今季は地道な筋力強化でたくましさが加わり、底知れぬ力を感じさせる。最大11・5ゲーム差をひっくり返し、ソフトバンクとの競り合いを制したのも、二刀流のすごみだろう▼プロ野球最速男の称号はますます輝きを増しているようだ。最近164キロをマークしたが、更新は時間の問題かもしれない。劇画の世界の超人が現実の社会に現れたような、そんな期待感もある。野球の神様も草葉の陰で拍手を送っていよう。25.「時鐘」【北國新聞】 きょうのコラム『時鐘』2016/09/3000:58これは「お追従(ついしょう)」なのか。それとも単(たん)なる「パフォーマンス」か。首相(しゅしょう)の所信表明演説(しょしんひょうめいえんぜつ)に自民党議員(じみんとうぎいん)が立(た)ち上(あ)がって拍手(はくしゅ)した件(けん)が物議(ぶつぎ)をかもしている野党(やとう)は「北朝鮮(きたちょうせん)か中国(ちゅうごく)のようだ」と批難(ひなん)した。が、民主党政権時(みんしゅとうせいけんじ)にも鳩山(はとやま)首相の演説で似(に)た光景(こうけい)があった。当時(とうじ)は自民党が「ヒトラーの演説に賛成(さんせい)している印象(いんしょう)」と批判(ひはん)している。「目(め)くそ鼻(はな)くそを笑(わら)う」程度(ていど)の話だろうか。そうではない指示(しじ)はあってもなくても、何(なに)かイヤーな感(かん)じがするのである。次のような報道(ほうどう)もあった。指示を知(し)らなかったのに、つられて立ち上がり拍手した議員もいたという。違和感(いわかん)の正体(しょうたい)はこれだった。問(と)われるべきは政治家(せいじか)の付和雷同(ふわらいどう)なのであるその場(ば)の空気(くうき)にのまれて皆(みな)と同(おな)じ行動(こうどう)を取(と)る。背景(はいけい)にあるのは保身(ほしん)である。今(いま)も昔(むかし)も独裁国家(どくさいこっか)では「指導者(しどうしゃ)」の演説に延々(えんえん)と拍手が続(つづ)く。先(さき)に拍手を止(や)めた者(もの)は忠誠心(ちゅうせいしん)が疑(うたが)われる。止めるタイミングがつかめず拍手は鳴(な)り止まないのだ独裁とは「お追従」と「右(みぎ)へならえ」のささいな一歩(いっぽ)から生(う)まれると言(い)えば大げさか。議員も有権者(ゆうけんしゃ)も胸(むね)に手(て)をあてて考(かんが)える機会(きかい)にしたい。26.「越山若水」【福井新聞】 【越山若水】フランスに「ル・モンド」という新聞がある。発行部数は今では30万部前後ながら、世界の知識人に読まれ英国の「ガーディアン」と並ぶ強い影響力を持っている▼権威あるその新聞に大きく取り上げられた日本の政治家がいる。しかも最上級の賛辞付きの褒めっぷりだった。驚くなかれ、その人は鳩山由紀夫元首相である▼2009年9月、同紙は鳩山氏が国連本部の気候変動サミットで行った演説についてこう論評した。「極めて明快に、資金調達の問題を交渉のテーブルに載せた」▼鳩山氏は日本など経済力のある国が途上国の温室効果ガス削減を率先して支援するメカニズムの構築を提案。「日本の首相が描いてみせた構想は気候問題の交渉に一層弾みをつける」と高く評価した▼同紙が環境問題をかなり重視していたとはいえ、日本の首相の演説が「トレビアン」と絶賛されるとは予想外だ(加藤晴久著「『ル・モンド』から世界を読む」藤原書店)▼さて地球温暖化の新しい枠組み「パリ協定」の批准が主要国で進む中、日本の動きに鈍さが目立つ。国会の審議次第では発効に乗り遅れる恐れもある▼京都議定書に代わるルールだけに後れを取るのは避けたいところ。安倍晋三首相は国会で「迅速な締結に全力を尽くす」と答弁するが、熱意の程は伝わらない。「ル・モンド」はこの現状をどう見ているだろう。27.「凡語」【京都新聞】 人波から期せずして起こった拍手と「サヨナラ」の声を背に−。38年前のきょう廃止された京都市電の最終運行を報じた京都新聞の記事だ▼日本初の路面電車を琵琶湖疏水、水力発電と並ぶ近代京都の偉業ともたたえた。幕末の動乱で焼け、東京遷都で沈滞した京都を活気づけた3大事業だが、空前のインフラ整備も京都再興策の一部にすぎない▼ソフトの仕掛けの一つが、内外の物産と見物客を集める博覧会だ。維新3年後の国内初開催から西本願寺や御所などを借りて毎年行い、1895(明治28)年には国主催の内国勧業博覧会も誘致。これに合わせた電鉄開業で113万人が訪れた▼ただの人寄せではない。多彩な染織工芸品を競わせつつ西欧の最新機器を紹介した。一方で大学や工業研究所を設け、お雇い外国人も招いて科学技術を吸収する産業近代化の手段だった▼はてさて、現代の祭典は内容より「入れ物」の話ばかり。4年後に迫る東京五輪は、開催費が立候補時から4倍の3兆円を超す恐れから施設見直しが持ち上がった。「復興」「コンパクト」のうたい文句がむなしい▼大阪府も9年後の万博誘致に向け、1200億円超の会場整備費や鉄道延伸を想定する。ツチ音を響かせ「夢よもう一度」でなく、どんな中身で何を発信するかが大切だ。28.「正平調」【神戸新聞】 1974年、中国。果樹園で井戸を掘っていた農民が、不思議な陶片を見つけた。等身大の兵士や馬など推定8千体。秦(しん)の始皇帝の「兵馬俑(へいばよう)」である◆歴史書にも全く記されていなかったから、世界が目を丸くした。始皇帝の死後すぐに秦が滅んだのも、兵馬俑が忘れられた理由だろう。2200年の間、語り継がれることなく、分裂と統一という激動の中国史にうずもれた◆さて最近、東京で突如「地下空間」が見つかった。完成したのは、つい2年前のことらしい。ところがみな「知らなかった」と驚いたような顔をしている。おかしなことだ。築地市場の移転先となっている豊洲市場である◆土壌汚染対策として建物の下に盛り土を、と専門家が提言した。都庁は「すべて土を盛りました」と説明しながら、コンクリートで空洞を造っていた。それを「誰が、いつ、どこで、何を決めたのか」(小池百合子知事)分からない。不思議だ◆発覚からもう20日になるが、掘れども掘れども真実にはあたらない。いや、明るみに出るのを恐れている、とも思わせる調査の遅さだ。すると、きのう、敷地の地下水から環境基準を上回るベンゼンとヒ素が検出された◆空洞を埋めるにせよ、そのまま残すにせよ、みなを納得させる「誰が、いつ」の歴史書はきちんと残した方がいい。2016・9・3029.「国原譜」【奈良新聞】 県議会の基本理念を示すため平成22年に施行された同議会基本条例は、議員の役割の一つに県政の課題について調査研究することを挙げている。また地方自治法はこの調査研究に必要な経費の一部を県や市町村が議員、会派に交付できると規定。県も条例を定めて政務活動費を交付している。もちろん同法は、収入と支出を明確にするため報告書を議長に提出するよう義務付けているし、何が政務活動に当たる経費なのかについても、県条例は一覧表を掲げて具体項目を示している。ただ実態を見ると、家族連れの視察旅行や事実上の宴会が政務活動としてまかり通るなど、不適切な支出が問題化する例が、全国で後を絶たない。さらに今回、県議会では領収書偽造といった犯罪まで疑われ、市民団体から告発される事態に発展。にも関わらず指摘を受けた当事者が即座に会見、県民に説明しようとしないのが解せない。同議員は4年前、議長に選ばれ「議会基本条例の精神を忘れずまい進する」と語ったが、条例が県民への説明義務も議員の重要な役割に据えていることを思い出すべきだ。(松)30.「水鉄砲」【紀伊民報】 日本のエネルギー政策ほど、無理と無責任が幅を利かせている世界はないのではないか。▼福島第1原発の事故は発生から5年半が過ぎても収束されず、いまだに廃炉作業に手が付けられない。地下水の制御もままならず、時には汚染水が海に流出している。高速増殖原型炉「もんじゅ」は1兆円を超す国費を投じながらこの20年以上、ほとんど運転されていない。あげくの果ては廃炉を含めて抜本的に見直すという。▼けれども、福島の事故でも「もんじゅ」の挫折でも、電力会社や政府は責任を取っていない。広大な国土を人の住めない土地にし、想像を絶する税金をどぶに捨てても、それをすべて不問にしていること自体が無責任であり、モラルの崩壊である。▼にもかかわらず、今度は原発の廃炉費用を原発とは関係のない「新電力」の利用者にも負担させるべし、という議論が出ている。廃炉には、1基当たり800億円が必要といわれるが、炉心溶融が起きた福島第1は作業が難しく、その額は数兆円から十数兆円に上る可能性があるそうだ。それを広く国民に負担させようという議論である。▼政府や電力会社が原発を推進し、福島の事故後もそれに固執してきたのは、発電費が安いというのが一番の理由だった。しかし、過酷な事故が起きれば想定は一気に覆る。それは福島の事故が証明している。廃炉費用の国民負担をいう前に、原発政策そのものを考え直すことが先決だ。(石)31.「滴一滴」【山陽新聞】 登校中の小学生に「おはよう」とあいさつしたら、無視されて驚いたことがある。困ったように顔を背ける姿に合点がいった。知らない人と話してはいけないと教えられているのだ▼知人に話すと、子どもに話し掛けると不審者に間違われますよ、と諭された。むやみに他人と関わらない方がよい時代なのだと、無理に納得した気でいた。果たしてそれでよいのか。少女の話に衝撃を受け、考え込んだ▼2年間も監禁され、今年3月に保護された埼玉県の15歳の少女である。先日、被告の男の初公判で朗読された供述調書によると、誘拐から約1カ月後、男が不在の時、玄関が開いていて外に出られた▼近くの公園に子どもを連れた女性がいた。「少しいいですか」と声を掛けると「忙しいから無理」と言われた。高齢の女性にも話し掛けてみたが、「無理です」と相手にされなかった▼「誰も助けてくれない」。少女は絶望し、男の家に戻ったという。公園の大人を非難できない。見知らぬ人が近づいてくる。関わらない方が無難と判断し、話を聞く前に心の扉を閉める。自分ならそうしなかったと言い切る自信がない▼公園にいたのが「大阪のおばちゃん」だったら、と想像してみる。あめ玉をくれ、交番まで付き添ってくれたのではないか。おせっかいな大人がもっともっといてもいい。(2016年09月30日08時00分更新)32.「天風録」【中国新聞】 スタンプの魔力2016/9/30明治維新を成し遂げた雄藩の結び付きは、今も強いようだ。鹿児島、山口、高知、佐賀県の広域観光キャンペーン「平成の薩長土肥連合」。4県を回るスタンプラリーが好評で2万冊用意した帳面を同じ数だけ増刷したという▲手のひら大で20ページ。4県10カ所ずつの施設が対象で、県をまたいで一定の数に達すると抽選で特産品や本が当たる。それを目当てにあと二つ、あと一つと深みにはまる「魔力」もあろう▲今やスタンプラリーは観光客争奪戦の舞台となりつつあるのか。全国的に人気を集めている。高知には県内限定の「龍馬パスポート」もある。さらに中四国の4県を巡るラリーも同時展開中で、一つの施設に複数のスタンプが置かれるところも▲元祖は1970年の大阪万博らしい。パビリオン巡りのスタンプ集めが各地の駅に広がり、商店街の客寄せや広域観光にも活用されるようになった。地域の滞在時間が1・4倍に延びるとの調査もあって効果は大きい▲維新150年が2年後に迫ってきた。薩長土肥では、このラリーをきっかけに歴史に興味を持ち、ゆかりの地を巡り始めた人も多いらしい。スタンプの魔力を、賞品だけにとどめてはもったいない。35.「海潮音」【日本海新聞】 「菌活」がブームという。菌活とはキノコやヨーグルト、納豆、みそなど体に良い菌を積極的に食べる食生活のこと。女性の7割が“菌活中”との調査結果もある。今、はやりの「腸内フローラ」も同じ流れなのだろう◆先日、日本きのこセンター菌蕈(きんじん)研究所(鳥取市古郡家)の長谷部公三郎所長から「きのこ食のススメ」と題するミニ講座を聞いた。キノコは生物学上、植物でも動物でもなく、カビや乳酸菌と同じ菌類。植物や動物の死骸を分解し、土に戻す生命循環の役割も担っている◆「菌」は訓読みで「きのこ」。キノコそのものが菌だから、菌をまるごと食べられる。食物繊維が豊富で便秘や肌荒れの予防に効果があり、低カロリーなのでダイエットの食材としても人気が高い◆何よりスゴイのはその機能性。たとえばシイタケに含まれるレンチナンには抗がん機能、うま味成分のグアニル酸には血液サラサラの効果がある。骨粗しょう症予防に効果があるビタミンDも豊富。肝障害の抑制作用もあるというから、酒飲みにもうれしい◆「科学の知識を総動員してさらにおいしく、機能性の高いキノコを作っていきたい」と長谷部所長。菌蕈研究所ではあす1日、恒例の「とっとりきのこ祭り」が開かれる。実りの秋。食欲の秋。菌活、菌食で腸内環境を絶好「腸」に!(真)36.「明窓」【山陰中央新報】 食欲の秋。最近食べた物でうまかったのを思い出してみると、石見銀山(大田市大森町)の街歩き途中に予備知識も持たず立ち寄ったドイツパンの店、そこの細長いパンが最初に浮かんだ▼かじるとしっかり歯ごたえが。「これはゴボウ?」。パンにゴボウが合うとは意外。後日、別の取材のため若手農業者を探していたら、応じてくれたのは江津市桜江町のゴボウ農家反田孝之さん(46)。これが偶然のなせるワザだ▼そのパンの話をすると「あれはうちのゴボウです」という。Uターンし実家の土木会社に農業部門を設け、ゴボウ栽培に飛び込んだのは2004年。最初はいろいろ肥料を与え、有機農法も試してみたが、うまくいかずに苦労した▼考え方をコペルニクス的に変えてみた。「肥料をやらなかったらどうなるか」。ゴボウが育った。自然の力で根が張り、味も良くなった。今年で8年間肥料を入れないが、逆に評価が高まって、東京の高級スーパーでも人気商品に▼数年に1度は江の川があふれ、畑が水没。栽培に手間が掛かるし仲間が増えないのも悩みの種だが、夫婦二人で畑を守る。「反田さんのゴボウで健康になった」と感謝の声も寄せられ、ゴボウで農業の現状を突破する自信を深めた▼地元の中学生が地域イベントで、「地元食材」を使ったカレーを振る舞うことになったとき、「反田さんのゴボウは外せんね」と言ってくれたのはうれしかったという。パンにカレーに引っ張りだこの、「地域に根を張る」ゴボウである。(裕)33.「四季風」【山口新聞】 友達からの出産祝いを開けたら命名したばかりの名前を彫った印鑑と現金3615円。「このお金と印鑑で赤ちゃんに通帳を作ってあげて」とメッセージ。金額は出生時の体重と同じ数字だった▼友人の娘さんの話だ。3千円余のお金で子供名義の通帳を作る、最初の入金額の数字は出生時の体重。いい記念になるし、名前の印鑑はいつまでも使える。娘さんは感動したという▼角田光代著『presents』(双葉社)が重なった。12人の女性の12の贈り物を短編で紡いでいく。生まれて初めての親からの贈り物が名前。以後、少女時代、大人の恋、夫婦の生活と年代ごとの粋な構成で、人生最後の贈り物は…感動的な涙で閉じられる▼節目ごとの贈り物にはいつも悩まされるが、この小説は、贈り物は物だけではない、何げない日常の中にこそ、心温まるものがあるのだと語りかける▼オー・ヘンリーの名著『賢者の贈り物』は、貧しい若夫婦同士の、一見無駄な愚かなプレゼント話なのだが、それが賢者たるゆえんは、「自分の大切なものを犠牲にしてでも、相手の喜ぶことをする思いやりだ」と結ぶ。最高の贈りものは金額ではない、誠実に相手を思う心なのだと教えられる。(佐)37.「地軸」【愛媛新聞】 「愛の家のお母さん」が天に召された。高橋菊さん、104歳。その名にゆかりの、秋の菊の候に▲キリスト教の宗教者として子どもを愛し、守ることに生涯をささげた。戦後すぐの1947年、後の児童養護施設「松山信望愛の家」を開所。40年前の本紙記事によると「何よりも先にしなければならないのは戦災孤児を救うこと」と呼び掛け、焼け野原だった松山のバラックでミシンを踏み、資金集めに奔走したという▲身寄りのない子、家庭の事情で育てられない子の親代わりを半世紀以上。終戦直後は、施設の金を盗んで親を捜しに行き、見つけられず戻ってきた子を黙って受け入れた。将来を案じて進学を勧め、塾に通わせた卒園生は「先生の導きがなかったら人生の扉は開けなかった」と目を潤ませた▲苦労の報われる日々ばかりではなかっただろう。それでも温かく厳しく、背中を押し続けた。今また、子どもの6人に1人が貧困の時代。児童福祉の重要性はいや増している。真っすぐな志と熱意を、社会全体で引き継ぎたい▲64年の本紙連載「愛媛の子」に、菊さんはこうつづった。「みんな静かに眠っている。やがて子供たちの顔が水星や金星のようにキラキラと輝きはじめる。昼間光らない星、みんなが忘れてしまいそうな星が今夜は何と美しくまたたくこと。この子らの前途に幸あれ」▲「星見草(ほしみぐさ)」とは菊の別名。子らの心の星を見守り続けた人生に、感謝を。38.「鳴潮」【徳島新聞】 日本人研究者が今年も「イグ・ノーベル賞」を受賞した。10年連続になる。ノミネートされるのは「人々を笑わせ、考えさせる業績」というから、とかく日本人は苦手とされるユーモアのセンスも、かなり磨かれてきたようだというのは大いなる誤解で、研究者は受けを狙って日々データを取っているわけではない。東山篤規立命館大教授と足立浩平大阪大大学院教授の「股のぞき」の研究も、姿勢の違いによる視覚の変化を、真面目に論じている股の間から風景を見れば、距離感が正確につかみにくくなる。両教授はこれを証明したわけだが、こうした感覚は昔から知られている。股のぞきをすれば、この世ならない異界が見えるといった伝承は多い「日本の海の幽霊・妖怪」(中公文庫)によると、山口県の瀬戸内海、周防大島の船乗りはかつて、怪しい船に出合ったら、股のぞきをしたそうだ。幽霊船なら、船は海面から離れ、少し高い所を走っているらしい東京五輪・パラリンピック開催費用などを検証する都の調査チームが、競技会場となる3施設の建設中止を含めた抜本的見直しを知事に提案した。股の間から眺めてみなくても、3兆円超、相当に高い所を走っていたようである五輪、五輪と浮かれている間に、費用は大きく膨らんだ。さては、魔物でも取りついているか。39.「小社会」【高知新聞】 明治期に活躍した法学者穂積陳重(ほづみぶしげ)は、民法その他の法典の起草にも参画した先駆者の一人。法律の多くは西洋からの輸入で、先輩たちは用語の翻訳に苦労したと「法窓夜話」に書いている。例えば本県がその歴史を誇る「自由民権」。穂積は「自由」という新語を一般に広めたという意味で、「西洋事情」を著した福沢諭吉を「開祖」とする。それでは「民権」というフランス語の訳はどうやってできたのか。その主役は明治初期、民法編さんの会の会長となった佐賀出身の江藤新平だ。会員のある博士が「民権」を訳出したが、日本には人民に権利があるという発想もなかった時代。「何の事だ」と議論は沸騰した。その時、江藤いわく。「活(い)かさず殺さず、姑(しばら)くこれを置け、他日必ずこれを活用する時あらん」。民権がどういう意味か、いつか理解される日が来るまでそっとしておこう。「その日」はのちの民権論の台頭で実現したが、江藤は征韓論でつまずいて下野し、佐賀の乱で刑死した後だった。穂積は著書で江藤の含蓄深慮の言葉を評価し、その先見の明を惜しんでいる。「自由」が当たり前のように語られる現代。「民権」は憲法の「国民主権」に思想の水脈を流し込んだ。先人たちの労苦を思えば、用語一つにも重い意味がある。思想・良心の自由、表現の自由、学問の自由…。憲法にいう国民の「不断の努力」でいつまでも守り続けたい。9月30日のこよみ。旧暦の8月30日に当たります。きのとう六白先勝。日の出は5時59分、日の入りは17時52分。月の出は5時02分、月の入りは17時34分、月齢は28.7です。潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時24分、潮位189センチと、17時45分、潮位192センチです。干潮は11時33分、潮位48センチと、23時51分、潮位54センチです。10月1日のこよみ。旧暦の9月1日に当たります。ひのえたつ五黄先負。日の出は6時00分、日の入りは17時50分。月の出は5時57分、月の入りは18時06分、月齢は0.1です。潮は大潮で、満潮は高知港標準で5時59分、潮位192センチと、18時10分、潮位194センチです。干潮は12時04分、潮位51センチです。40.「春秋」【西日本新聞】 景気が悪くなると消費や投資が減り、売れないので物価が下がる。デフレの状態だ。企業の業績が悪化し、賃金低下や失業増につながれば、デフレはさらに進む▼この負の連鎖をデフレスパイラルという。日本では、繁栄を謳歌(おうか)したバブルがはじけて以来、デフレとの戦いが続く。異次元の金融緩和、マイナス金利…。手を尽くしてもデフレ退治は容易ではなく、構造改革の道も険しい▼大砲不在で攻撃力に不安。リーグ一の投手力で補ったが、後半戦は疲れが出たのか「勝利の方程式」に亀裂。主力の相次ぐ故障が追い打ちを掛け、戦力はさらに低下。追われる焦りで、好機を逸し、ミスも出る。付きにも見放されて…▼シーズン前半に断トツの首位を謳歌し、誰もが優勝を確信していたホークスが3連覇を逃した。選手が最後まで頑張ったことはファンも分かっている。だが、陥った負の連鎖から抜け出せなかった▼日本経済は2000年代に立ち直りかけたが、外からの大波にのまれた。リーマン・ショックだ。ホークスも日本ハムの異次元の快進撃にのまれ、11・5ゲーム差をひっくり返された。二刀流・大谷翔平選手の大活躍があったとはいえ、勝利への執念で負けていなかったか▼まだ下を向く必要はない。クライマックスシリーズを勝ち抜けば3年連続日本一の可能性が残っている。そして、この悔しさを糧にチームの構造改革に取り組んでほしい。=2016/09/30付西日本新聞朝刊=41.「くろしお」【宮崎日日新聞】 すっかり廃れてしまったがかつて角帽は大学生の象徴だった。上部(クラウン)が四角になった形状で、左右に張り出した角を持つ帽子が、最高学府に学ぶエリートを表した。角帽の成立には不明な点が多いが、東京帝大(現東大)で、学生側から提案された「学生堕落防止策」のひとつだったとされる。その当時、学生の遊里への出入りや飲酒による乱闘騒ぎなど風紀の乱れが問題視されていた(難波知子著「近代日本学校制服図録」)。角帽の全面的な復活を求めたくなるような事件の裁判がこのほどあった。サークル仲間と集団で大学生の女性を全裸にして、体を触ったとして強制わいせつ罪などに問われた東大生の2人に、東京地裁はいずれも有罪判決を言い渡した。判決によると、2人は5月に東京都豊島区のマンションの一室で裸にした女性にまたがってキスするなどした。また、胸元に熱いカップラーメンの麺を落とすなどの行為もあった。現場にいた東大生と東大大学院生計5人が逮捕され、このうち3人が起訴された。遊里への出入りや乱闘などかわいく見えてしまう犯罪だ。公判で被告の1人は「場の雰囲気で許されると思った」と語り、別な1人は「大学入学後、頭が悪いと女性たちをばかにし、いやらしい目で見るようになった」と話したという。鼻持ちならぬエリート意識が胸でかま首をもたげるようなら大学の二文字が入った帽章付き角帽は必需品。現物は持たなくても「心の角帽」を常にかぶってほしい現代の大学生たちだ。もちろん、東大生に限った話ではない。念のために。42.「水や空」【長崎新聞】 長嶋茂雄さんの言葉には、体からにじみ出るような味わいがある。この人が語るから残るのだろう。極めつけの一つ。「ワーストはネクストのマザー」▲失敗は成功の母だ、くじけるな−と説かれるより何十倍も響く。くすぐられるような感触とともに残る。かつて、巨人がマジック点灯しましたが−と聞かれ「野球は家に帰って風呂に入るまで分からない」。湯船に漬かる瞬間まで、名将の頭の中では勝負が続くのだ▲そのミスターを尊敬し、同じくファン目線を大切にする人らしい。栗山英樹監督の率いるプロ野球日本ハムが、4年ぶりのリーグ優勝を果たした▲「二刀流」で鳴らす大谷翔平投手が15奪三振の完封で決めた。今シーズン、投げて10勝、打って20本塁打は驚異的。プロの世界で投打ともに達成するのは、どれほど困難なことだろう▲チームの全選手を二刀流に−と栗山監督は語る。ミスターばりのとっぴな言葉のようで、絵空事とも言いがたい。誰もが投打に活躍する絵を監督が描く。その夢を選手が追う。憧れた次世代がその姿を追う...。ネバー・セイ・ネバー(絶対ないとは言うな)の夢だろう▲さらに長嶋語録から。「決してネバーギブアップしません」。くすぐられて脱力しそうな、でも元気が湧くような。夢描く監督も胸に刻んでいるだろうか。(徹)43.「有明抄」【佐賀新聞】 遠藤周作の思想2016年09月30日05時00分作家遠藤周作の代表作『沈黙』はキリスト教禁教時代の長崎での物語だ。奉行所に捕らえられた司祭ロドリゴが、銅板のイエスを踏むよう迫られる場面で佳境を迎える。「踏むがいい。お前の足の痛さをこの私が一番よく知っている」−。踏み絵に足をかけ「転ぶ」刹那、「銅板のあの人」がそう語りかける◆転んだ者たち、棄教者の苦しみに寄り添い、「許しの神」の存在を示したこの小説は大きな反響を呼んだ。きのう20回目の命日を迎えた遠藤のテーマは「弱き者に救いはあるか」という問いである。繰り返し裏切る人をも見捨てることのない慈母の愛を神に求めようとした◆初めはカトリックに導いた母親、後に夫人。遠藤を支えたのは母性である。彼の人生履歴が投影し、その核となる「許しの思想」は東洋的な慈悲をも包含する。最晩年の傑作『深い河』は、日本の風土の中でのキリスト教信仰を考え続けてきた遠藤の到達点だろう◆『沈黙』刊行から50年を記念する企画展が、長崎市外海(そとめ)地区の遠藤周作文学館で開かれている(2018年5月まで)。『沈黙』の草稿(複製)、創作ノートなどが並ぶ◆文学館の建つこの地は角力灘(すもうなだ)を望み、夕日の美しさで知られ『沈黙』の舞台となった。生きる苦しさを持ち合わせた遠藤も、神々しいまでの斜陽に包まれ、癒やされただろうか。(章)45.「南風録」【南日本新聞】 出水高校出身の外木場義郎さんは広島カープのエースとして活躍した。赤ヘル旋風を巻き起こし、初優勝したのは1975年だ。だが入団当時の広島は弱かった。地方の球団は資金力に乏しい。球団創設は原爆の惨禍からわずか5年後である。選手の給料の支払いや遠征費にも事欠いた。外木場さんの時代も「荷物は選手が運び、夜行列車で移動した」という。度重なる苦境を支えたのは市民の熱い思いだ。球場にファンが小銭を持ち寄る活動が「樽(たる)募金」で、最近も新球場建設のために再現された。市民球団といわれるゆえんだろう。サッカーJ3の鹿児島ユナイテッドが、来季のJ2参加資格を得られなかったという記事を読みながら、25年ぶりの優勝に沸く広島の街と、その歴史を思った。ユナイテッドは鴨池陸上競技場の収容人数が、基準を満たさなかった。チームは昇格を争っているだけに選手は悔しかろう。ただ、浅野哲也監督の「これまで通り目の前の試合に勝つことだけを考える」という言葉は心強い。結果が行政や市民を動かすと信じたい。広島の優勝を伝える地元紙の中国新聞は見出しから広告まで赤く染まり、球団オーナーは「地域にようやく恩返しができた」と話した。そんな地域とスポーツの関係が少しうらやましい。ユナイテッドの歴史はまだ始まったばかり。焦らず、一歩ずつ、地域と共に階段を上ろう。46.「金口木舌」【琉球新報】 上半身を倒して両脚の間から逆さに見たら、どう目に映るか。この「股のぞき」を真面目に考察した研究が今年の「イグ・ノーベル賞」を受賞した。“裏ノーベル賞”とも呼ばれ、「人を笑わせ、考えさせる」ユニークな研究に贈られる賞だ▼受賞したのは立命館大の東山篤規教授ら。股のぞきをすると、距離感がつかみにくくなり、遠くの物が実際よりも小さく、平面的に見えることを実験で確かめた▼安倍政権も沖縄を股のぞきで見ているのだろうか。辺野古、高江の新基地は要らないという沖縄の民意を小さく捉え、選挙で何度も示された強固な反対も平面的にしか見ない。永田町と沖縄の心の距離は遠い▼沖縄にいながら逆さにしか見ないご仁もいる。辺野古訴訟の高裁判決は「新基地反対の民意には沿わなくても、基地負担減を求める民意には反しない」と国に都合よく解釈した▼司法の公正、公平から離れ「在沖米海兵隊は県外に移転できない」「辺野古しかない」と決め付けた。防衛省幹部が「言わなくてもいいこと」と勇み足を認めるほどの「うゎーばーぐとぅ(余計なこと)」だった。司法の良心がかすんで見える▼各地に残る伝承では、股のぞきは幽霊や妖怪の正体を見破る方法でもある。この国の行政も司法も、沖縄にとってはマジムン(魔物)のようだ。股のぞきをするまでもなく判別できるのが悲しい。47.「大弦小弦」【沖縄タイムス】 googletag.cmd.push(function(){googletag.display('div-gpt-ad-1473409883200-0');});安倍晋三首相が所信表明演説中に自衛官らをたたえ、自民党議員らが一斉に立ち上がって拍手を続けた。問題は野党の抗議に発展し、識者からも批判が上がるなど波紋が広がった▼日本の国会の慣例にない行為である。ニュースで繰り返された光景に、異様さを感じた人も多かったに違いない。大島理森議長が議員らを注意した。事後、自民側も「適切でなかった」と認めている▼このパフォーマンス、「自然発生的」という説明だったが、首相周辺から依頼があり、党幹部から若手議員に指令があったという。5月に「立法府の長だ」と発言し物議を醸した首相が実質的に促したことになり、おごり、ゆるみの厳しい批判もむべなるかなである▼最終的にほぼ全員が起立している。「安倍1強」の党をそのまま物語っていよう。異論を主張せず、むしろ率先して取り入る。かつて保守からリベラルまで多様な考えがあったといわれるが、見る影もない▼夏の内閣改造時、「骨格の閣僚以外、パッとしない」といわれた。力量乏しい議員が多く、数はいるが人材不足とも。それでは議員本来の行政府をチェックする責務も果たせないだろう▼〈人は、無力だから群れるのではない。あべこべに、群れるから無力なのだ〉。今は亡き反骨のルポライター、竹中労さんの言葉を思い出す。(宮城栄作)

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