まだ肌寒い春の夜。
ベランダへ出て、真ん丸に輝く月を見上げる。
『たまには、月見酒なんてのも悪くないですなぁ』
長い独り暮らしのせいか、独り言を呟くのが当たり前になっていた。
手にした缶チューハイを月に掲げ、乾杯をする。
一口、二口、喉に流し込むと深く息を吐いた。
『今日はねぇ、溜まってた仕事がようやく片付いたんだよー。私、頑張ったよね? なのに、また大量の仕事押し付けられてさー……。私は残飯処理係じゃないっつーの』
少し酔いが回り始めたのか、愚痴がこぼれ始める。
役に立たない上司や、険悪な同僚、むかつく取引先の営業……。
愚痴は止まらなかった。
『誰でも良いから、慰めてくれないかなぁ……』
思わず吐き出したその時、不意に背後に気配を感じた。
『女、その願い聞き入れたぞ』
振り返ると、そこには全裸にマントを羽織り、舞踏会で使うような仮面をした男が立っていた。
屈強な身体をした男は、しなやかな手付きで自らの象徴を撫でながら、ゆっくりと私に近付いてくる。
変態、と叫ぼうとした刹那。
謎の男は私の唇をあっという間に奪い、そしてギュッと抱きしめてきた。
『女、まだ叶えてほしい願いはあるか?』
停止した思考は、私から判断力を欠落させた。
『抱いて。めちゃくちゃにして。明日、立てないくらいガクガクにして!』
『承知した』
謎の男は、私の服を簡単に剥ぎ取ると、背後から堅く勃起したそれを突き入れた。