2014年03月

ことば考──インクとインキ──心境の変化でインキ派に

 インクはInkという英語だ。インキは日本語。
 口許が不器用な日本人は、母音で終らない単語の発音ができない。語末がS、K、Pで終る単語=入声(にっしょう)を苦手とする。それらにはみな母音をつけて発音しやすい日本語にしてしまう。苦手をごまかす民族の智慧だ。


 そういや朝鮮民族は語頭の濁音が苦手で「カヤロー」が「カヤロー」のように破裂音になってしまうのは有名だ(BaもPaも両方とも破裂音だが)。そういうコトバがないのだろう。何十年も前、極真空手の大山倍達を初めてテレビで見たとき、「クはね、そんなカな話はないと言ったんだ」という典型的なそれなのでおどろいた。あれじゃ「じつはね」と言われなくても誰でもわかる。
 
 もっとも「むかしの日本」にも濁音で始まる単語はなかったそうだ。濁音で始まるコトバというのは、インパクトはあるけど雅ではない。きたない発音と否定されていたのだろう。当時は日本人も発音出来ず、その種のコトバが生まれてくるに従い、次第に出来るようになった。朝鮮人でも、半島で生まれ育ったひとは日本に何十年住もうとそれが苦手だけど、日本生まれはふつうにこなす。
 
 日本人の発音ではRとLの混同が有名だ。それだって英語圏で育てばなんてことない話。私の関わった語学ではヴェトナム語の声調が複雑でむずかしいが、それは「この単語はこの声調だから」と外国人のこちらがリクツで学ぶからむずかしいのであって、あちらに住んでるひとは文盲でも幼児でもみなふつうにそれをこなす。コトバなんてそんなものである。


 閑話休題、書帰正伝。
 インクが輸入され使われるようになったとき、Ink、イン(ク)という入声の発音が苦手な日本人は語末のkに母音のiをくっつけてInki、インキという日本語を作った。
 Cake─ケー(ク)─の発音がむずかしいのでiをくっつけて作った日本語「ケーキ」もそれになる。ここで「Cakeの語末は母音のeではないか!?」というのは愚問。発音の問題。綴りにeがあろうともkで終る入声である。

 インキの話だとペンキも気になる。こちらはオランダ語のPekの日本語訛りだ。ペッ(ク)の発音がし辛いので、母音のiをくっつけてペッキ、ペンキになったのだろう。
 旧い語だと、支那語の銭(Dzen)にiをくっつけて出来た日本語の「ゼニ」がある。この「語末のnにiをくっつけて」も日本語には多い。


 私が子供の頃、周囲のおとなはみなインキと言っていた。そりゃ「インクという英語は発音し辛いのでインキという日本語を作った」のだから、日本人がインキというのは当然である。
 いまはもうほとんどのひとはインクであろう。それだけ日本人も入声音をこなせるようになってきたのだ。時代と共に民族の発音能力も変化する。もしかしてお年寄りには今もインクの発音が苦手でインキと言っているかたもいるかもしれない。

 中学生の時に初めて萬年筆を手にした。当初は「インキ」と言っていたが高校生ぐらいからインク派になった。そのころは上記の「日本語インキの成立理由」を知らない。でも色気づく時期だから、本能でインキよりインクのほうがかっこいいと感じていた。あのころ、ここに書いたように「なぜ英語のインクを日本人はインキと言うか。それは入声であり、それが苦手な日本人はウンヌン」と教えてくれる恩師に出会っていたら、私の人生ももうすこし智的になっていた。無学な歩みが悔しい。タイムマシンでもあったなら、不遇な田舎少年のもとに駆けつけて、智識という燈明に火を灯してやりたい。


 インキは日本語なのだから、ドイツのモンブランやペリカン、アメリカのシェファー、パーカー等の外国の萬年筆メーカーの日本語サイトではカタカナ表記はインクである。
 日本のプラチナ、セーラーのホームページ表記もインクだった。でも昭和40年代ぐらいまでは「インキ」だったのではないか。もっとかな。いつ商品名の「インキ」を「インク」に替えたのだろう。こういうのは社史でも読まないとわからない。ああ、広報室に電話して訊くという手があるが、そんなことはしたことがない。する気もない。
 
 ところが頑固にいまも「インキ」という日本語を正規に使っているところがあると知る。パイロットだ。

※ 

 下の写真はAmazonのパイロットのインク通販。Amazonは商品紹介に自分達の用語である「インク」を使っている。
inki2
 

 
 しかしパイロットのホームページでは、正規の商品名はいまも頑なに「インキ」なのである。パイロットの商品名が「インキ」なのだから、厳密には上のAmazonの商品紹介はまちがいということになる。下はパイロットのホームページから。「インキ」である。あくまでも(笑)。
inki

※ 

 時が流れると感覚も変る。長年「インキ」をかっこわるいと思って避けて来た私は、この頑固なパイロットを見て、なんだかかっこいいように思えてきた。どこかの女性博士が研究室で割烹着を着た感覚に通じる。あれはヤラセだったようだけど。
 ここのところ友人と文房具話をするとき、意識的に「パイロットインの松露がね」と言ったりしている。
shouro
 

生活雑記──GMOとくとくポイントでラミーのサファリが無料に──なんだかうれしい朝(笑)

 数年ぶりに燃えあがった萬年筆熱で、ここのところ原稿用紙に書いている。満寿屋である(笑)。
 メインはプラチナ太字(#3776以前の品なので型版がわからない)とパイロットのカスタム74極太でいいのだが、安いのもあれこれ使ってみたい。
 LAMYの万年筆Safariが欲しくなった。もちろんペン先はBである。
lamy

 Amazonには太字がなかったので、いままで買ったことのないショップに行った。2700円。佐川でなく郵便で送ってくることもしっかり確認して註文へ。



 そのショップの会員新規登録を選ぶと不思議なことが起きた。「このメールアドレスはすでに登録されている」と出てしまうのだ。した憶えがない。初めての店だ。でもそう出る。パスワードを挿れてログインしようとすると今度はミスと出る。それで「パスワードを忘れた」をクリックして、パスワード変更を希望すると、「正しいメールアドレスを挿れてください」と出てしまう。これは私のメールアドレスが登録されていないということだ。そのはずである。この店で買った記憶がない。ならなぜ「すでに登録されている」と出てしまうのか。

 これを何度か繰り返し、うんざりしてしまった。この店がいちばん安い。他は千円以上高くなる。だからここで買いたいのだが、めんどくさがりの私はこういうのに当たると「千円ぐらい高くてもいいや」になってしまう。もう他所の店で買うか。とにかく買いたい。使いたい。極太で原稿用紙にまともな文を書いていて、その間にまたノートを手にして中字で「いやあ、さすがに書くのに疲れた。すこし休もうか」と愚痴ったりするのが──書くのに疲れたとぼやきつつまた書いているのだが(笑)──愉しい。そのためには気分転換用にカラフルな萬年筆、カラフルなインクは必需なのだ。



 この店が会員にならなくても買えるのならよかったのだが、会員登録をしないとレジに進めない形式だ。困った。しかたない、他の店で買うか。と、その隣にあるこんなのが目に入った。

gmotokutoku

 私はもう数年プロバイダはGMOだ。でもこの種のものには興味がないので関わらない。これにも入っていない。でもこちらからログイン可能ならやってみるかと新規登録をクリックする。するとまた「このメールアドレスはすでに登録されている」と出る。なら会員としてログイン出来るかとなると、パスワードを挿れると認められない。うんざり。もうだめだ。でももう一度だけ、と「パスワードを忘れた」をクリックしてみる。隣のショップの新規会員になるところでは、これが通じなかった。

 なぜかこちらはすんなりそれが通じ、すぐに「パスワードを変更する場合はこのURLに」というメールが送られてきた。パスワードを変更する。するとあたらしいパスワードですんなりログインできた。よかった、いちばん安いこの店で買える。

 ということは私はこの「GMOとくとくポイント」というのにプロバイダ契約をしたときに入っていたのだろう。このポイントはアンケートに答えたり、加入店でショッピングしたりして溜めるらしい。アンケートには答えないし加入店で買い物をした覚えもないからこのポイントは私とは無縁だ。



 ところが、なんと、知らないうちにポイントが溜っていたのである。ここ数年のプロバイダ使用によるものらしい。そしてそれがなんという偶然かピッタリ2700ポイント(=2700円分)だったのだ。

 この種のものと関わらない私はまだ半信半疑。いつものようVisaデビットカードで2700円を払おうとする。その下に「GMOとくとくポイントでお支払」というのがあったので、そこをクリックしたら、2700ポイントが0になったかわりに、私の払う金額も0と表示され、それで註文OKとなった。いま確認メールが来た。私は一円も払ってないが、写真の黄色いLAMYのSafariを明日にはもう無料で入手出来るらしい。夢みたい(笑)。

ink-tsukiyo
 いやはや世の中ってのはやってみるもんなんだなあ。うまくログイン出来ないときに腹立って他の店に行ったら、同じ商品を3700円で買っていた。それが憶えのないGMOとくとくポイントなるものに関わったら無料でLAMYのSafariを入手出来たのである。着くのが楽しみだ。インクは何を挿れよう。パイロットの「月夜」でも挿れてみるか。



 ニコ生で「電王戦第二局 佐藤紳哉六段対やねうら王」を観戦中。先手PCはオーソドックスな四間飛車と美濃囲い。後手佐藤は居飛車穴熊。がんばれ、サトシン!

「笑っていいとも」の安倍首相を観る──<きっこさん>のツィートのおかげで(笑)

 春分の日。いつものよう午前3時起床。あれやこれや作業して、いつのまにか午前10時半。
 しばらく前に切れていたWii Uのカラオケプリペイドカード90日分2000円を購入しにファミマに出かける。3月末の今だけ、90日+6日のサーヴィスとか。
 それから早くも「午後酌」の肴買い。今日は大相撲13日目を観ながらのんびり愉しもう。



 Wii Uのプリペイドカードの入金で苦労する。私はこういうのは得意。あちらの不備のようだ。検索したらネットでも問題になっている。多くのひとが金を払ったのにカラオケが出来ないと怒っていた。

 まあ焦ることもないと、その間ViyellaのYouTubeで櫻井よしこさんがキムなんとか言う朝鮮おしゃべり女を論破した動画や、維新の党の杉田水脈(水脈はみおと読むそう)という女性議員の国会質問を観たりする。こういうしっかりした感覚の女性議員を見ると心強く思う。まだまだ日本も希望的だ。そしてまた、この杉田さんは自民党では公認されず議員になれなかったろうから、そういう意味で受け皿としての維新の党の存在価値を見直す。



 昼、12時前、ネット有名人<きっこさん>のTwitterを覗く。読むたびに不愉快になり流し読みしてすぐに去るが、二日に一度覗きに行くのは癖になっている(笑)。
 するとこんなコメントが。



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 えっ、《「いいとも」のテレホンショッキングに安倍首相が出たの!?》と思う。
 「3月中旬」とあるから過去の話なのだろう。もう下旬だ。いつもの私ならここで「しまった、見すごした」と思って諦め、後日また時間のあるときに「動画倉庫」を探すのだが、なぜか今日は「YouTubeにアップされてないかな」とすぐに検索した。すると「3月中旬に出演した」ではなく、「3月21日、春分の日に出演」と知る。今日だ。時計を見ると12時5分。急いで「笑っていいとも」を点ける。いやあ焦ったです、この瞬間は。



 「笑っていいとも」開始当時は、タモリが無名のころからのファンなので毎日のように見た。安定期になって遠ざかったが、金曜日のさんまとのフリートークだけは見ていた。オグリキャップのころだ。あのふたりの絡みはおもしろかった。その後も日曜のダイジェストは見ていた。それも見なくなって10年以上経つ。リアルタイムでこの番組を見るのは何年ぶりだろう。32年続いて今年3月一杯で終るそうだが、それを知っても何の感慨もなかった。安倍首相の出演がなければ10年以上見たことのないまま終了していた。



 テレビを点けた12時6分。「有名人そっくりさん大会」をやっていた。一瞬「もう終ったのか」と思う。首相登場は12時に始まって12時5分終了。さすがにそれはないだろうと、そのまま見る。すぐに「安倍首相到着までこのままそっくりさん大会を続ける」とスーパーが流れる。よかった、これからだ。



 見られてよかった。あらためて首相と真央ちゃんは顔の造作が似ていることを確認
 世間的にも好評だろう。



 これだけの話題だから後々YouTubeにアップされることはまちがいない。観ることは出来たろう。でも生で観られるに越したことはない。
 心からこの情報を教えてくれた<きっこさん>に感謝する次第。

 ところで<きっこさん>が「3月中旬」と「過去の話題」のようにしたのは、「笑っていいとも」を観るヤツがいないようにという意図的な仕掛けだったのだろうか。実際私はもう済んだことだと思ってしまった。過去の映像を探すつもりで検索したら、まさにいまこれからだったので、焦った。でも間に合った。いいものを観て、楽しい時間を過ごせた。ありがとう、<きっこさん>。

 <きっこさん>は安倍首相が大嫌いなので、批判の意味を込めてこんな動勢を書くわけだけれど、戦略?としては、<きっこさん>のような有名人が取りあげることにより、私のようななにも知らなかった庶民が、「そのことで知る」という事態も生まれる。観て感激し、ますます安倍支持になる。だから、<きっこさん>のようなアンチ安倍は、日々悪口を連発するより、むしろ「安倍首相の動向には触れない」ほうが、安倍支持者を減らすためには有効なのではないか。そんなことを思った(笑)。

佐川急便嫌い──萬年筆話──Amazonの配送業者はヤマトだけではない

 昨秋から外出時はどこに行くときもAsus MeMO PadとWifiルーターを肌身離さず、かつては白い目で見ていた「撫でるひと」の一員になってしまった。ここのところ撫でまくりである。ケータイはガラケー。昨今、「モバイル生活はガラケーとタブレットのタッグが最強」という論を屡々目にする。使用者のひとりとして、私もそう思う。スマートフォンひとつとは機動力がちがう。

asusmemopad


 ガラケーの入力と比したら抜群に便利になったとはいえタブレットからフリック入力で文章を書く気にはなれず──それでもそこそこ早くなったが(笑)──そっちは[POMERA]にしている。このギアもまたカバーを開ければ即座に起動し、eneloop2本で25時間も保つものだから手放せなくなった。ネット接続は出来ない。文章は書きまくっているがブログもツイッターもご無沙汰気味。外出時のネット閲覧や調べ物はAsus MeMO Pad、文章書きは[POMERA]。投稿はしない、という生活だ。
pomera2
 Asus MeMO PadとThinkPad Bluetoothキイボードという組合せなら文章書きもネット接続してアップも両方出来る。そのために発売前に予約して買ったThinkPadキイボードだった。使わない手はない。PCバッグに両方を入れて外出し試みたことがある。結論は「ふつうにモバイルThinkPadを使った方がずっといい」だった(笑)。いまのところ「タブレットに外附けキイボードを使う」というのは、わたし的にはノーだ。嵩張り度合も差がない。それをやってみて、あらためてThinkPadノートのよさを確認した。

 と書いて気づいた。[POMERA]にもBluetooth機能があるので、Asus MeMO Padに文章を送り、そこからアップは出来る。これを書いておかないと[POMERA]ファンから抗議されそうだ。まだしたことはない。ようするに機器のせいではなく、私があまりアップに熱心ではないということなのだろう。と他人事風。



 そういうデジタルギアに埋没した日々を送っていた反動か、ここのところまた急に萬年筆に対する愛情が復活してきた。時は正に啓蟄。しばらく眠っていた感覚がむくむくと動きだした。私はデジタルギアが大好きだけれど、この古風で不器用な絶妙の味をもつ筆記具もまた好きなのだ。マニアと言ったら本物から反目されそうなので地味目に表するが、私はそれなりの文房具好きである。あたらしいタイプのボールペンやシャープペンシルを見たら迷わず購入する。所持している文具はかなりのものだ。安物ばかりだが(笑)。

 ということでここのところ、長年愛用しているプラチナ萬年筆太字でひさびさに原稿用紙に書いたりしていた。すると目新しいものも欲しくなる。まずは安いけれど話題になっているパイロットの千円萬年筆[kakuno]を細字中字と2本Amazonに註文した。これは郵便ですぐに届いた。楽しいAmazon生活だ。シナで買ってきたノートに書いてみる。シナ製は粗雑で買う必要などないのだが、それなりにデザインは珍しいし、ろくでもないとわかっていても買ってみるからこそ好事家である。金ペンとはまたちがうスチールペン先の固い感覚が新鮮だ。紙の質がわるいのでひっかかる。日本製のノートにする。ぜんぜんちがう。比較も楽しい。

 そんな日々を送っていたら益々萬年筆愛が高まってきて、ひさしぶりにあたらしいのが欲しくなった。私は太字愛好だから中字までしかない[kakuno]では不満。あれやこれや調べてパイロットのカスタム74のBB(極太)に決めた。となるとインクにも凝りたいので同時にペリカンのインク壷を2色註文する。パイロットのインク「松露」と、それようのコンバーターも註文する。原稿用紙も欲しい。満寿屋のを何種類かたのんだ。手にする日を夢見る。ここまではしあわせな時間だった。



 Amazonの配送がヤマトになり、不満のない通販生活を送っていた。ヤマトとはなんのトラブルもなく大満足だった。さらにはヤマトの会員(無料登録)だからかもしれないが、ヤマトからは配送の進行状況を知らせるメールまでくる。いたれりつくせりだ。満足の日々。今回もみなAmazonに註文した。が、ここに油断があった。

 今回の品、出品先が3種類、つまりみっつの店からの購入だった。なんと、その宅配便がみなあのクソ佐川だったのである。ヤマトはあくまでもAmazonからの購入のみ。同じAmazonでも出店のような形になっているところはちがうのだ。運悪く大阪の店を選んでしまった。 大阪は佐川一色である。註文確定後に、3店から「佐川急便でお届けします」とメールがあった。蒼くなった。いやな予感がする。馬券は当たらないがこんなのに限って当たる。

 ここでまた不幸が重なった。私はいまAmazonはVISAデビットカードで支払っている。振りこみ料金もかからず便利だ。だがこれは註文確定と同時に引き落とされる。キャンセルしてもすでに金は引き落とされていて、その後キャンセルの連絡が、それ専門の会社から銀行に届き、それから戻ってくる、という方式だ。この「それ専用の会社」が間に入っているので時間が掛かる。それが長い。最短でも2週間ぐらい、最長で60日だ。

  昨年の暮れ、むずかしく言うと旧朧月の尽、キャンセルする事態があった。あれこれトラブルが続いてこの60日になった。それは私にとってはけっこう大きな金額だったので、宙に浮いたままになったそれを60日待つというのは苦い日々だった。その経験からキャンセルはしたくなかった。

 いま思えばたとえ二ヵ月先まで金が戻ってこなくても、今回はたいした金額ではなかったし、クソ佐川だとわかった時点でキャンセルすべきだった。だけど早くあたらしい萬年筆の書き味をあたらしいインクとあたらしい原稿用紙でたしかめたく、しばし迷ったが「まあ、いいか」にしてしまった。もしかしたら佐川のサービスも改善されているかも知れないと……。
 甘かった。



 帰宅すると不在通知が入っていた。
 その紙切れを手に、自動受付というのに電話する。もちろん有料だ。通話料は携帯電話からは20秒10円と書いてある。不在通知に電話が繋がった後の「操作方法」が書いてある。あれこれ入力せねばならない。熟読し、すばやく対応できるように呑みこんでから掛けた。
 
 電話が繋がった。コンピュータによる自動音声である。紙切れには「,問い合わせ番号を入力してください」とあるのでその用意をしていたら、いきなり「あなたの電話番号を入力してください」と言われる。ちがうじゃねーか。しかたない、した。すると最初の「,問い合わせ番号を入力してください」になった。読みにくい運転手の書いた12桁の番号を入力する。ここではなんとかなると思っていた。甘かった。

 20秒10円だから手早く済ませたい。こんなものとは関わりたくない。用件を済ませ早く切りたい。
 すると「4桁の営業所番号を入力してください」と言われる。そんな話は聞いてない。不在通知の用紙の連絡方法にもそんなことは書いてない。知らんよ、おまえんとこの営業所番号なんて。不在通知のどこかに書いてあるのかと表から裏まで隅々まで見たが、そんなものはない。ないものを入れろと言われても出来るはずがない。その間もコンピュータ電話は「4桁の営業所番号を入力してください」、しばらく間を置き、「営業所番号が確認できません」を繰り返している。電話賃がもったいないので切った。3分は使ったか。こんなもので100円も取られてしまった。切ってから不在通知をもういちど舐めるように見るが、どこにもそんな4桁の番号なんてのはない。

 しかたなく読み辛い字で書いてある運転手のケータイに掛けることにした。この「読みづらい字」はイヤミではなく有名な事実。ネットでも「佐川の不在通知なんだが、これは何番だと思う?」という写真が話題になったことがある。とんでもない殴り書きで電話番号がわからないのだ。みな佐川では苦労している。私のもひどかったが、とりあえず読めた。掛ける。でない。10回コールしても、でない。10分後に掛けた。また10回コールしても出ない。1時間後にかけた。また10回コールしても出ない。あきらめた。精神衛生に悪い。出ない番号なら書くなよ。



 これ、いくつかの品物を註文した三つの店のまだ最初の1店目なのである。あと2つの店から品物が届く。それもみな佐川だ。これからどれほど不愉快なことが続くのだろう。というか、私は註文した品々を無事受けとれるのか。腹立ちも、代引だったらまだ耐えられる。「手にするまで金は払わん」とやれるからだ。だがデビットカードでもう支払ってしまっている。
 憂鬱な時間が続く。これからはもう何があろうと「佐川急便でお届けします」とある店からは買わない。まちがって註文してしまったらキャンセルする。そのためにデビットカードの使用はやめよう。以前と同じ振りこみにする。振りこみ作業のめんどくささなど佐川と関わらないですむならなんてことない。

 佐川急便のひどさはだれもが知っている。店の関係者の耳にも届いている。でも利用している店は多い。そういう店は、客が気持ちよく商品を受けとることよりも、たぶん他の業者よりも安いのであろう佐川急便の配送料金を選んでいる。つまり、お客さまの満足感よりも、自分達の利益優先だ。そんな店とは縁を切る。長い目でみりゃ、そんな店は損している。私のような客は決してすくなくない。

 とにかく、もう、ぜったい、「佐川急便でお届けします」という店からは買わない。註文してしまってもキャンセルする。キャンセル理由を問われたら「佐川急便だから」と書く。巨大な歪んだ搭の地べたに穴を掘るアリンコみたいなものかも知れないが、いつかはこの搭が倒れることを夢見て、そうしてゆくしかない。

 パイロットのあたらしい萬年筆で、ペリカンのブルーブラックで書くぞという昂揚感が萎んでしまった。いやな会社である。この世から消えてくれ。

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【追記】──営業所番号がなかったのは運転手のミス──2014/4/2

 二度と使わんと言いつつ、また佐川に関わってしまった。
 eneloopを愛用している。三洋の(いまはもうPanasonicの、と言うべきか)すぐれもの充電池だ。いま単3を16本、単4を8本もっている。単2を使う目覚まし等もこれを使っている。eneloopの単2は単3に着ぐるみ?を着けて使うのはご存知の通り。[POMERA]等にも使うのであと8本買うことにした。ノジマオンライン。佐川だった。がっくし。そうだよ、いちばん安いからノジマにしたが、ノジマは佐川なんだよ。わすれていた……。

 帰宅すると不在通知がはいっていた。相変わらず運転手にかけても出ないし、サイトからの連絡にも手間取るし、すべてが最悪だが、もう書きたくないのでそれには触れない。

 今回ひとつ確認できたことがあった。上記の「20秒10円の有料電話にかけたら『営業所番号を挿れろ』と言われた。そんな番号しらねーよ」の話。今回の不在通知、運転手の殴り書きした欄に、伝票番号、運転手の携帯番号のあとに、同じく手書きで4桁の営業所番号が書かれてあった。前回のものも保持している。確認した。そこには書かれてない。つまり前回の不在通知では、運転手が必ず書くことになっている営業所番号を書き忘れたのである。クソ会社のクソ運転手である。私にも「どこかにきちんと印刷されているのにオレが見おとしているのではないか」という気持ちがすこしあったので、そうじゃなくあきらかな運転手のミスとわかって安心した。

 しかし佐川と手が切れない。じつはこのeneloopの前にも、私は長年BVLGARIのPour Hommeを愛用しているのだが、たまにはすこし浮気をするかと、これのBlueを註文してみた。これがまた見事に佐川で、当然のごとくトラブルに巻きこまれた。
「クソ佐川とは縁を切る。ぜったい使わない」とか言いつつ、相変わらず関わってしまい、いやなことばかり体験している。さすがに恥ずかしいのでそれらのことは書かなかったが。こまった。なんとかならんのか。

●私のブログの佐川急便関係の文章一覧
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