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サッカー好きではないが同朋が世界一になる瞬間を見ようとテレビを点けた。早朝型の生活なので中継時間にもう起きていたこともある。この辺、これを見るために目をショボショボさせつつ夜更かししていたひととは逆になる。結果的に、とてもいいものを見ることが出来てうれしい。元気のない日本に活力をあたえてくれるだろう。



点けてすぐに「やたら叫きたてるうるさいアナウンサーだな」と感じた。
「でもサッカーのアナってのはうるさくて有名だもんな。ゴールゴールゴールゴールとひたすら連呼して話題になったバカアナもいたっけ」と思う。あのバカアナは吐き気がするほどこちらを不愉快にさせたのに、後にもそれを自慢気に語っていた。気づいていない。感覚の差はどうしようもない。
そしてまた、「こいつの声、どこかで聞いたな」と思い、青島だと気づいた。中継はフジテレビか。

青島は競馬実況もやる。私は青島の自己陶酔叫き実況が大嫌いなので、青島が実況をするときは音を消して見る。音声はラジオNIKKEI(むかしの短波放送)のを聞く。こちらは正統派だ。
レースの実況に撤した正統派の実況は心地良い。一方、レースを実況するということよりも、実況している自分を目立たせようとしているかのような実況もどきは醜い。青島はその代表だ。
そのルーツには関西テレビの杉本清さんがいる。



私はむかし杉本清アナが好きだった。競馬実況に革命をもたらしたひとである。いまも当時の名フレーズを思い出すだけで胸が熱くなる。
しかし杉本さんの功罪の功に酔いつつも、そのころから罪の部分も感じていた。

たとえばテンポイントで言うなら。
「見てくれ、この脚、これが関西期待のテンポイントだ!」の阪神3歳ステークス。関東対関西という対決図式が色濃い時代である。関西人であり異常に関西贔屓の杉本アナの関東への敵意がもう見えている。これはまあこちらも関西を敵視していた時代だから、それなりに愉しかったし、杉本的なものが溢れている今ならふつうのことだが、当時は実況アナがこんな「これが関西期待の」などと口にすることはまずなかった。でもこれはとても好ましい対決姿勢だからいいとして。

菊花賞前哨戦として選んだ京都大賞典は3着に敗れる。その実況、「テンポイント、今日はこれでいい!」
これはなんとしてもテンポイントに菊花賞を勝って欲しい杉本さんが、骨折したダービー明け初戦のテンポイントを、初の古馬との対決で3着に敗れたのだが、「今日はこれでいい!」と評したわけである。実況アナが評論家気どりで1頭の馬の着順に感想を述べているのだから逸脱した行為だ。枠連しかない時代だから、単勝や軸馬にしていた競馬ファンからしたら3着なのに「これでいい」とアナに言われたらたまらない。分不相応な「出しゃばりアナ」の元祖と言える。

本番菊花賞ではテンポイントが先頭に立つと、「それゆけテンポイント、鞭などいらぬ!」と、私情丸だしで1頭の馬を応援した。これは問題だろう。杉本さんにはこの種のパターンは数多い。それが許された時代であったわけだが、当時こんなことをしていたのは杉本さんだけだった。

杉本さんはある意味、実況アナとしては缺陥も多かったが、あふれんぱかりの競馬愛で数多くの競馬ファンから熱狂的な支持を受ける。私もそのひとりだった。初めてお会いしたときはあがってしまった。私がめんとむかってあがってしまったのは長年のファンだったドリー・ファンク・Jrと杉本さんぐらいだ。
杉本さんの功罪は、杉本さんを聞いて育った後輩アナによって、やがて罪の方が大きく花開く。



杉本チルドレンアナの世代になるともう、この「私情」や、「目立ちたがり根性」「前々から用意した名台詞」の連続である。これが典型的な杉本さんの罪になる。
自分達の胸を熱くした杉本さんの名台詞のようなことを自分も実況で叫びたい。後々まで競馬ファンに語りつがれる決めフレーズを言いたい。しかしそういう意図を持ったものは、まず例外なくすべる。それを連発して失笑されている競馬アナの代表が青島になる。だが当然のごとく本人はそれに酔っていて気づかない。
そもそも杉本さんの名フレーズも、ほとんどがケガの功名のようなもので、計算尽くで成功したものはない。

私が好きな杉本さんのフレーズに、「おそれいった」がある。これなどもうごく単純で、杉本さんが自分の好きな関西馬で勝負したら(馬券を買ったという意味)、その馬を大嫌いな関東馬があっさりと負かしてしまった、というような場合。実況の杉本さんは口惜しさを抑えたくぐもった声で、「おそれいった……。おそれいりました」とつぶやく。かといってめったに出ない。タケホープやテスコガビーのような超大物の場合に限られる。関東馬のファンである私はこれを聞くと、どんなもんだと気分が良かった。それは杉本さんの関東馬に対する最大の敬意だったから。こういうのは決して「心に残る名台詞」ではない。でも万感の想いが心に残るひとことに押しあげている。

あるいは前記のテンポイントの菊花賞。「それゆけテンポイント、鞭などいらぬ!」とアナにはあるまじき実況をしていたら、その内からするすると安田富男のグリーングラスが伸びてきた。グリーングラス1着、テンポイント2着。杉本さん、一瞬にして天国から地獄である。これがトラウマとなり、その後グリーングラスの出ているレースでは、グリーングラスが映るたびに「こわいこわい、グリーングラスはここにいます」とグリーングラス恐怖症。「こわい」の連発。これなんかも私には名台詞だった。



杉本さんと同じ形で今のアナに影響を与えたのがプロレス実況の古館伊知郎だ。
古館は猪木の懐に食いこみ、プロレスのアングル(仕掛け)の部分にまで深く関わった。そこから逆に実況を作りあげる。それまでのプロレス実況アナが、おおまかな筋しか知らされていなかった(例・今日メイン前にハンセンが乱入します)のに対し、古館は、その「筋」を考える部分にまで関わった。レスラーの乱入や造反のタイミングや「セリフ」にまで関わったのだから古館の実況が充実しファンの支持を集めたのは当然だった。番組開始からしてもう「会場外には雨雲が広がっていますが、ここ××体育館も、なぜかとてつもない事件が起きるかのような不穏な空気に包まれています」なんてやるわけだ。盛りあがるに決まっている。最初から番組自体を仕切っている。

競馬実況で言うなら走る前から全着順を知っているようなものである。ゲートが開くと同時に落馬する馬、途中で骨折してリタイアする悲劇の馬、どうしようもないほど後方をとことこと走っているが直線で全馬をゴボー抜きして一気に先頭に立って劇的に勝つ馬、それらすべてを知っていての実況なのだから充実するに決まっている。
そういう実況をすることによって、古館もまたレスラーとなり人気者となった。古館もリングに上がっていたのである。

この古館の悪影響で、古館的美辞麗句独自言語を実況に使いたいと志すアナが増えた。フジの『PRIDE』担当アナなどがそれに当たる。前記青島もそのひとりだ。しかしこちらはプロレス的筋書はないのだから古館的なことをやろうとしてもすべるに決まっている。

古館はそういう意味ではずば抜けた才人だった。それは彼の「トーキングブルース」という仕事を見るとよくわかる。じつにすばらしい。まさにことばの職人である。天才としかいいようがない。あれだけ自由奔放に日本語を操れるひと(しかも朝鮮人なのにだ)が、いま最もことばの不自由な番組で自分を殺しているのだから滑稽である。いや、しみじみもったいない。そんなに報ステキャスターという看板が欲しかったのだろうか。理解できない。
たしかに社会的地位?は得たのかも知れない。年収も2億から6億へと三倍増だ。だがあれほどの才能をすべて封印し、つまらない意味不明なことをしゃべっている。むしろ報ステのキャスターは訥弁の方がよい。古館のようにマシンガンのように言葉が溢れるひとが、「舌禍にならないように、ならないように」としゃべると、「いっぱいコトバはしゃべったけど、よく考えるとまったく中身がない」という状態になる。これはいま、多くの古館批判で一貫して言われていることだ。さっさとあんなものは辞めて元のことば藝人に戻って欲しい。



青島アナが好きなひとは、なでしこジャパン世界一を心から楽しめたことだろう。でも中には私のように、「実況は……青島か……」というひともいたはずだ。

大相撲もアナと解説によってがらりと変る。でもこちらはそれがイヤだったら、それのないのをインターネットのgooで見ることが出来る。

サッカーも、会場の歓声はそのままで、アナなし解説なしで見ることは出来るのだろうか。ともあれ、青島はごめんだ。

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フジテレビ青嶋アナの実況から青嶋アナのセックスを想像する

フジテレビダービー実況──高低差200メートルの坂



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あ、最も大事なことを言いわすれた。
なでしこジャパン、おめでとう!
前半戦、アメリカのシュートの嵐。受けて受けて、冷や冷やした。リードされて、でも追いついて延長戦。
延長戦でリードされたときは覚悟を決めた。あそこからの同点は涙もの。
そしてPK合戦での勝利とドラマチックな世界一だった。
美しいなあ、日の丸は!

このあと、国民栄誉賞なんてくだらないものを餌にちかよってくる気持ち悪いおじさんがいるから気をつけてね。そのガラガラ声のおじさん、特別機を用意してドイツまで応援に行って、自分の人気回復に利用しようとしたんだけど、大金が掛かるし、あんたはそんなことをしてる場合じゃないだろって周囲にとめられたんだって。