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 愛読している日経ニュースメールに以下のような記事があった。シャープの液晶を作っていることで名高い三重県亀山市で、就職率100%だった高校の就職率が低下してきているという話だ。

卒業生の4割が就職する地元の県立亀山高校。鈴鹿山脈を目前に臨む、のどかな公立校に異変が起きている。希望者の就職率は毎年ほぼ100%。11年には文部科学省から県内で唯一「キャリア教育優良学校」として表彰されるなど、先生の熱心さで知られる。そんな就職強豪校をもってしても「近年は非常に厳しくなってきている」と進路指導部主任の前川明男は眉をひそめる。



 卒業生の就職率がわるくなってきているという事実に対して、進路担当の教諭は「眉を曇らせる」だろう。「眉を顰める」は一読しておかしいと感じた。

 いくつかの辞書を引いてみた。
 学研の国語辞典は「眉を顰める」を以下のようにしている。

まゆをひそめる【_眉を_顰める】《慣用句・ことわざなど》心配事や他人の不快な行為のために、顔をしかめる。口に出しては言わないが、心の中でいやだなあと思う。

 私が「眉を顰める」で真っ先に思うのは下線部分になる。
 就職担当の先生の気持ちは、就職率の低下を、「口に出しては言わないが、心の中でいやだなあと思う」だったかも知れないから、「眉をひそめる」もあながちまちがいではないだろうが、

まゆをくもらす【眉を曇らす】──心配や不快の思いで、暗い顔つきになる。 

 のほうが適切だろう。



 ただし広辞苑は、 ○眉を曇らす──心配や不快の思いで、暗い顔つきになる。眉を顰める。
 と、末尾に「眉を顰める」を足して、ふたつの表現を同義としている。

 これは「従軍慰安婦」なんて気味の悪いアサヒシンブンの造語を収録している最新の第六版でも、そういう造語がないので長年愛用している第四版でも同じだった。広辞苑の見解ではふたつの表現に差はないらしい。

 まあむきになるほどのことでもないが、わたし的には「眉を顰める」は、「マナーのわるいものを見て、しかめっ面をする」という感覚なので、卒業生の就職率がわるくなっていることにたいして教師が「眉を顰める」とは使う気になれない。デヴィ夫人のブログだと、「皆さんの御意見をお聞かせ下さい」と結ぶところだ(笑)。