フジテレビの競馬中継で実況する青島さんというかたは、うるさい。しゃべりすぎ。
 レースのあいだに何文字しゃべれるかを目標にしているかのよう。超早口で1秒も間をおかず喋りまくる。
 それが彼の考える「すぐれた実況」なのだろう。

 どんな楽しみなレースも、このひとの実況でぶち壊しになる。
 テレビ映像があるのに、見せてくれない。
 しゃべくりまくる。ノイズ。じゃま。ゴミ。



 このひと、「間の美学」がわからない。 

 テレビの実況放送なのにラジオ実況の倍もしゃべる。
 お通夜でしんみりしているときに、隣で柳沢慎吾がはしゃいでいるよう。

 1965年生まれだというから、もういい年。
 いいかげん落ちついたらどうか。
 自分に自信を持てば、男の口数は減る。



 杉本清アナには名実況と同じく迷実況も多い。
 名実況は、有名な名文句で飾られたものかというと、そういうわけでもない。

 異常な関西馬贔屓の杉本さんの実況で、敵視していた関東馬が想像以上の強さで勝つ。
 杉本さんが応援していて、馬券もたっぷり買っていた関西馬を歯牙にもかけない圧勝だ。
 直線、ゴール前、アナの腕の見せどころ、杉本さん、思いきり自分の好きな関西馬に対する美辞麗句を用意してきたのに、その馬にいいところがない、嫌いな関東馬が圧倒的に強い。よって、口篭もる。

 大好きな関西馬が負けた。悔しくて何もでてこない。馬券がハズれたショックもあろう。
 すこし間があって、くぐもった聲で、「おそれいった……。おそれいりました」。
 もごもごと、絶妙な間がからみあい、たったそれだけで、身贔屓迷実況が猯鮖謀名実況瓩鵬修韻襦



 一例として、グリーングラスの菊花賞。
 杉本さんの大好きなのは関西馬テンポイント。
 前年、関東のカブラヤオーとコクサイプリンス、テスコガビーにクラシックを全部取られた。その年に現れた強い関西馬がテンポイント。阪神3歳ステークスの直線では、「見てくれ、この脚、これが関西期待のテンポイントだ!」と関東を意識した名実況。

 しかし皐月賞2着、ダービー7着。
 秋は京都大賞典から。3着に敗れるが、「今日はこれでいい」って、もう馬の着順をアナが評論している(笑)。迷実況。しかしこれまたテンポイントの悲願の戴冠を夢見るファンからすれば紛うことなく名実況。

 そして三冠最後の菊花賞。直線、単枠指定の2頭、トウショウボーイをクライムカイザーを抜いてテンポイントが先頭に立つ。夢が叶うのは目前だ。杉本さん、大興奮。名台詞「それゆけテンポイント、鞭など要らぬ!」。

 なのに内からするすると伸びてくる無印の馬。ぎりぎりで出走権を得て出てきたグリーングラスなる関東馬。テンポイントのことばかり叫んでいた杉本さんだが、それを追いぬいた馬の名も言わねばならない。「内からグリーングラス」。
 たったこれだけのことなのに、大好きなテンポイントの夢を砕いた「内からグリーングラス」、その無念を孕んだひとことだけで名実況となった。
 以来、杉本さんは「内から来るグリーングラス」がトラウマになってしまい、その後の実況でも、グリーングラスをカメラが捉えると(杉本さんはテレビ映像を見ながら実況を始めた草分け)いつでも「怖いぞ怖いぞグリーングラス」とグリーングラスを怖がることになる。



 青嶋さんはきっとセックスでも、挿入後、安田記念1分32秒でゴールするまで、失礼、もうすこし長いか、菊花賞3分04秒で発射するまで、いかに速く腰を動かすか、発射までに何回出し入れするか、だけを考えて勤しむのだろう。その腰ふりの速さこそが男の能力であり、出入りの回数こそが女を悦ばすのだと。
 せがまれてもなかなか挿れず、女を焦らす、なんてテクとは無縁の人生なのだろうね(笑)。とにかくインサートすれば女はよろこぶ。高速ピストンさえすれば悶える。そうひたらす信じこんで女とセックスしてきたのだろう。実況からはそうとしか思えない。

 おそまつな実況だ。 
 映像だけ見て、実況はラジオNIKKEIを聞こう。



 青嶋さん、コトバを今の三分の一に減らしなさい。もっとコトバを撰びなさい。
 丸いものは、あなたが「丸い」と言わなくても、視聴者は画面を見ているのだから判る。それを言う必要はない。
 なのにあなたは「丸い」を連呼する。さらには「右から見ても左から見ても、上から見ても下から見ても、おお、斜めから見ても丸い。完全に丸い、本当に丸いぞ」と喚き散らす。それを言わずにいられないのは、自分に自信のない憶病者だからだ。

 落ちついて、心を込めて、コトバを撰び、ゆっくりしゃべりなさい。
 それだけであなたの実況は化ける。