去年のラジオNIKKEI杯2歳ステークスのときからクラシックはエピファネイアと決めていた。シーザリオがやっと走る馬を出したのだ。
 皐月賞は2着。ならダービーだ。天国のラインクラフトに「シーザリオの仔がダービーを勝ったよ」と報告するのが今年の私のダービーテーマだった。本命に迷いはない。3連単1着固定勝負。



 しかし皐月賞の負けかたはキツかった。レコードタイムの2着ではあるが完敗だった。でも東京の2400なら逆転はあり得る。父シンボリクリスエスは2着だったが、母は日米のオークスを勝っている。母の父はダービー馬だ。かなり身贔屓だが、府中の2400ならロゴタイプを逆転可能と読んだ。

 3頭出しの藤沢調教師が「悲願のダービー制覇」と話題になっている。藤沢師の最高着順はシンボリクリスエスとゼンノロブロイでの2着。なら藤沢師の馬は勝たなかったが代わりにシンボリクリスエスが無念を晴らした、でもストーリィにはなる。



 ところが別路線からすごいのが現れた。キズナだ。京都新聞杯の勝ちっぷりはまさに父ディープを彷彿とさせる切れ味だった。あの切れはエピファネイアにはない。エピファネイアが先頭に立ったところを、一瞬にして交わされるシーンが浮かぶ。
 さらにはソエの情報まで流れてきた。最終追い切りは予定変更しての坂路である。これはよくない。

 勝つのはキズナか。武豊ダービー5勝目。社台に干されたときにずっと応援してくれたマエコウファミリーへの恩返しだ。ノースヒルズはノーリーズンが皐月賞を勝っているがダービーは初制覇になる。



 それでも、これでいいのだと確信できたのは偶然目にしたNHKの映像だった。
 私はいまテレビをほとんど見ない。週に2,3本、バラエティ番組を録画しておいて見るが、いわゆる「起きたらまずテレビ、帰宅したらとりあえずテレビ」という習慣とは完全に縁が切れている。それとNHK嫌いがある。朝の連ドラ、大河ドラマ、紅白歌合戦、見たことがない。まったく知らない。

 かつて、朝のワイドショーをよく見ていた時期があった。テレビ習慣病のころである。起きたらまずテレビを点けていた。そのときも、オヅラであり、テレ朝であり、みのもんただった。NHKの朝の7時台なんて見た記憶がない。



 その私が、いまもって不思議でならないのだが、24日の金曜日、朝の7時半ぐらい、なぜかテレビを点けたのだ。しかもNHKだった。なぜNHKだったのだろうと今考えて、その日の明け方に大相撲ダイジェストを予約録画したので、その名残だったのだと気づく。

 そこに福永親子が出ていた。生出演ではない。ドキュメント風の構成だった。高知競馬の「福永洋一杯」の映像を流し、車イスの父を押す息子の姿が映っていた。ひさしぶりに見る福永が老けていて胸が痛んだ。福永の勝てなかったダービーを、早く勝てよ祐一、父さんはいつまでも待っちゃくれないぞ、と思ったら迷いが消えた。
 テレビを見ない私がこんなものを偶然に見られたのだ。それも縁だろう。
 シーザリオの息子のダービー。福永洋一の息子のダービー。迷いなくエピファネイアで行く。

 私は競馬文章を書くようになって四半世紀以上経ったが、狹刑有瓩箸いΨ鼠討鬚靴燭里亙 ̄瞥琉豕骸蠅世韻任△襦
 南井克巳は言った。「狹刑有瓩詫琉譴気鵑笋辰燭隼廚い泙垢茵だって洋一さんが乗ったら、それまで動かなかった馬が動くんですから」(この場合の「動く」は「勝つ」という意味あいである。)
 どんなに武豊が好きでも、私は狹刑有瓩蓮∧ ̄瞥琉譴砲靴使わない。今までもこれからも。



2013derby



















 3連単1着固定、18点勝負。

 黄色帽子のエピファネイアだけを見ていたダービーだった。
 蹴躓いたときはビクっとした。あれでもうダメだと思った。だから直線で伸びてきたときは、興奮して叫ぶのではなく、息を殺して見守った。
 だけどやっぱり切れ味が違っていた。ディープの切れ味で、武豊が並ぶ間もなく交わしていた。アドマイヤベガの文章に「風のようにすり抜けたゴール」と書いたが、あれを思い出す、さわやかな完勝だった。



 エピファネイアが勝っていても、3着のアポロソニックがないから馬券はハズれだ。
 私は青葉賞馬が大好きだ。毎年重視している。いまだ最高成績は2着だが、青葉賞馬がダービー優勝するときはぜったいに当てたいと思っている。
 しかし今回は勝ち馬のヒラボクディープからして消したから(理由は言わずもがな)、2着の逃げ粘った外国産馬アポロソニックは完全無視である。青葉賞を逃げて2着だったが強いとは思わなかった。
 だがこのダービーは、完全に沈没するパターンなのに二枚腰を使った見事な3着だった。力を見抜けなかった自分を恥じる。菊花賞、春天が楽しみだ。



2013derbygoal











 おめでとう、武さん。おめでとう、キズナ。おめでとう、マエシンさん。
 不遇の武豊を応援してきたノースヒルズのダービー初優勝がうれしい。それが「絆」だ。桜花賞馬ファレノプシスと武豊の絆、その弟キズナとの絆。
 佐々木調教師と佐藤哲三の絆。それを受けついだ武豊との絆。

 桜花賞、皐月賞を連覇したデムーロ兄弟に続いて、オークス、ダービーを武兄弟が連覇した。
 今年のテーマは「兄弟」であり「絆」だった。 
 
 私はそれを「親子」と「愛情」だと思った。その読み間違いですでに完敗だった。だけどエピファネイアと歩んだ今年の春クラシックに一片の悔いもない。

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 以下のことはみっともないので書きたくない。「ダービー完敗記──エピファネイアと玉砕して悔いなし!」としたい。でもそれじゃウソになるから正直に書く。

「ソエが出て、最終追い切りは坂路」と知ったとき、キズナかロゴタイプに負けての2着が浮かんだ。
 それで、
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 という枠連2点を買った。皐月賞の時のようにパドックを見て不安になり、急いで買い足したのではない。エピファネイアと心中だと土曜にもう馬券を買ったのだが、そのとき3連単と一緒にこの枠連も買った。3連単がハズれたときの保険だから、これの的中で元取りになるように購入額は計算した。両方当たるのが理想だが……。

 結果、土曜昼には上記のオッズだったが、直前には枠連1-5は5倍を切るぐらいまで下がり、トリガミだろうと覚悟していたら、逆にエピファネイアに不安になるひとが多かったのか、6.9倍と上がっていて、引き分けに持ちこめた。正しくは微額の浮きになる。だから引き分け記としたが……。



 やはりダービーは競馬の華だな。
 今年も、忘れられないダービーになった。

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【追記】──なんともすばらしいロゴタイプの馬体

 いつみてもロゴタイプの丸く溌剌とした馬体がすばらしい。ほれぼれるする。秋は菊花賞ではなく秋天に行くものと思うが、この馬、ダイワメジャー並に中距離のG気鯀蹐覆瓩垢襪鵑犬磴覆い。 ダイワメジャーは咽なりの手術をし、皐月賞の後のG祇覇が遅れたが、缺陥のないロゴタイプの出世は、もっと早い気がする。なんとも楽しみだ。

 しかしこれはまた狒蠻牢祗瓩箸いΔ茲Δ淵螢奪僂箆辰任呂覆ぁC韻覆襦峭イ漾廚任△襦どんなスタイルの女が好きかと同じだ。私はロゴタイプのような形の馬が好きなのである。