どうも白です。
お待たせしました、本日よりweb連載を始めます。
楽しんでいただければと思います。

もし、誤字脱字や、読みづらい事などがありましたらばコメントで指摘していただけるとありがたいです。

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というわけで、続きより本編をどうぞ。



 一人暮らしにしては大きすぎるテーブルを買ってしまった。 食事時、必要以上の寂しさを覚える度にユーノはそう考えていたが、今ばかりは広い卓上に正解を確信せずにいられなかった。
 六人。
 昨晩の――いつもの――いや、今までの、六倍。
 胸の奥どこかで憧れた風景だが、ユーノの背をつたうのは温度も分からない汗だけだった。
 長方形のテーブル。顔ぶれは全て見慣れたもの。部屋奥側の短辺にユーノ・スクライア自身。その左側に眉根を寄せた八神はやて。彼女の肩には困った顔のリインフォースIIが乗っており、その二人の対面にはフェイトとなのはが並んで座っている。
 フェイトはくるくると、なのはと残る一人の間で視線を行ったり来たりさせており、なのはと言えば重い頭痛にでも耐えているのか片目を押さえて時々息を吐いている。
 そして最後の一人。ユーノの正面。この誰もが声を出せずにいる状況にもかかわらず一人、ニヤニヤとさも楽しげに頬を緩めている。

 その顔は――高町なのはのものだった。

 うり二つ、というわけではない。"そっくり"という形容も相応しくないだろう。だが雰囲気や存在感といった視覚に訴えない実在性は双子など及びもつかないほど酷似していた。
 しかしそんな事実すら些細だとユーノは、フェイトは、はやては、リインは判断している。
 四人は揃って、本物のなのはに目をやった。
 年齢は僅か十五歳。出身世界の経歴だけで見れば聖祥大付属中学校を卒業して数ヶ月の少女にすぎない。
 見目も同様だ。纏めて片側に流している長い栗色の髪はどんな激務のさなかでもキューティクルに満ちているし、ティーンエイジャーらしいあどけなさを残した可憐な外見は、ぐしぐしと髪を掻き乱す仕草の最中であっても曇りを失わない――と少なくともこの場にいる内の二人は思っていた。瞳がそう語っていた。他の二人は苦笑と肩をすくめて弱く同意を表すに留めた。
 そんなどこにでもいる――と評するにはやや磨きがかかりすぎている容姿と年齢相応の学生生活の裏で、彼女は内に秘めた戦闘魔導師としての苛烈な資質を日々育ててきた。けれどその姿を見て抜きん出た素養を、今まで育ててきた魔導師の人数を言い当てることが出来る者が何人いるだろう。
 四人は続けて、笑うなのはに視線を向けた。
 あどけなさはない。大人びた安定感に取って代わられてしまった。可憐は艶めかしさに近いものへと変質していた。身に着けた、なのはのものと同じバリアジャケットの上からでもメリハリのある肢体のラインが確認出来る。よくよく見れば崩した表情の中にもなのはらしい、温もりのある朗らかさが残っていた。
 ――なのはだ。これは成長したなのはの姿だ。
 彼女はそう直感させるに足る全てを持っていた。
 ――いや。
 冷厳な魅力を持つ目前の事実に対して、ユーノだけが踏みとどまった。
 この鏡像にして未来像を思わせる彼女は、この席についてから未だ一言も発していない。ただ口元を歪ませてこちらを観察しているだけだ。
 しかしその以前。
 フェイトが、リインが、はやてが。本物のなのはが。
 この部屋に足を踏み入れる直前。

 『――よう。久しぶりだな、ユーノくん』

 ユーノは声を聞いていた。
 
第02話