こんばんは。
いつものです。
 

「遺跡の主役はモンスターでもガーディアンでも財宝でもなくトラップ! それも感知判定→解除判定でなんとかなるようなやつやない、本格的な謎解きトラップ! トラップを通して先人たちと心理的攻防を繰り広げることで彼らの意識と知識を自分らに取り込む、これこそ真の宝! 私今良いこと言った!」
 拳を握って立ち上がりはやては熱弁する。
「それを解さないとは先人に、ひいてはご先祖様にも失礼千万いうことや! うっわ今日の私絶好調! 適当に言った言葉が完全な論理を伴ってここに!」
 なんだかもうちゃんと相手をするのがむなしくなりつつあったが、それでもユーノははやての目を見て答えた。
「――スクライアの家系は遺跡掘りだったんだけど」
「あう」
 はやてがぎくりと一歩下がった。
「それもロストロギアを発見・封印する役目でさ」
「はう」
 見れば肩の上に乗っていたリインがいない。どうも早々に避難したらしい。
 ユーノは視線をはやてから外し、目を伏せて続ける。
「――まぁ、見つけたロストロギアも奪われ、いくつかは喪失しちゃったんだから親不孝に変わりはないけどさ」
「うおおマジ返し辛ー!」
 くはー、と器用にも目の幅涙を流すはやて。
「うぅ、ええよええよ私の負けで。でもユーノ君、忘れんとていな。儒の五常に三徳加えた仁義礼智忠信孝梯。親不孝の不孝も一面のものでしかない。不仁、不忠、不義不信、常に自分を省みることで――」
「それ前聞いたよ。
 不智と合わせて親不智オヤシラズになるってオチだよね」
 パターンによっては歯医者敗者のない世界が栄えたためしなし、と哲学的に終わることもある。だからどうだ、というわけでもないが。
「ゆ、ユーノ君が私を陵辱する……」
「してないよ!
 ……はやて、おかしいよ。なんで急にどうでもいい話を続ける? まるで話を進めるのを嫌がってる、みたいだ」
「……あちゃあ」
 はやてがわかりやすく"しまった"顔を作る。あくまでもおどけているというスタンスを崩すつもりはないらしい。
「やっぱり、わかる?」
「あのね」ユーノの諭すような口調。
「はやて、君は自分で思ってるよりずっと素直だよ。素直すぎて――狂言回しには向いてない」
「んー、誉められとるとは思わんどく」
「……いいけどね。それで、どうして――」
「私だからだよ、ユーノくん。トラップを抜けて、研究所に着いて。最初にロストロギアを見つけたのが私だから」
 誰の声だ。ユーノだけが惑わされた。気付くよりも早くフェイトが心配げに名を呼ぶ。
「なのは……」
「ありゃなのはちゃん、もう平気なん?」
「うん、もう大丈夫。いろいろ気を遣ってくれてありがとう、はやてちゃん」
 ――もちろんフェイトちゃんも。
 そう付け加えたなのはの声にはやはり疲労が色濃くあった。

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