こんばんわー。
今日の分。
 

 ◇ / ◇


「とりあえずオレの性能は理解してくれた……のかね?」
 ようやく顔を上げたなのはとフェイトに向けて鏡像は訊ねた。
「うん、もう認めざるを得ないみたいだし。貴方は私のおかしなコピー。私の記憶も経験も全部持ってる。それでいいんだね」
「ああ。ただし持ってる記憶や経験はオレが発生した時点でのものだ。当たり前っちゃそうだが、それ以降のものは共有したりしない」
「そっちの方が楽だったかもしれないけどね。共有するってことは何らかの形で繋がってるってことでしょ? それならこっちから貴方の思考を読むことも出来るかもしれない」
 違いない、そう言って鏡像は笑った。
オレは今の自分が結構好きだ。忘れたくないものばかりだからな。ユーノくんに教わった魔法も、フェイトちゃんの舌の長さも、はやてちゃんと過ごした学生生活も、何一つ忘れたくないと思ってる」
「……うん」
 ――いや待てなんかマズいことさらっと言わんかった?
 聞き流せない何かがあったような気がしてはやてはフェイトに首を向ける。
 セメントで固めたような笑顔のまま、ダラッダラに汗をかいていた。
 見なかったことにする。
「訊きたいことがあるの。たぶん、最後になると思う」
 なのはが低い声を出した。指を振る。鏡像の手首に絡んでいた鎖が粒子となって消えた。
 いま、彼女を繋ぐものはなにもない。
「どーぞいくらでも」
 鏡像は自由になった両手をプラプラと遊ばせたり、肩をぐるぐると回したりと上の空にも思える様子だった。
 二人の視線は合わない。
「貴方が生まれたのは、何のため?」
オレの発生に目的はない。発生する際、オレの意志は鑑みられないからな。そもそも鏡笏ほんたいの状態でいる時に意志とか意識なんてもんがあるのかもわかんねーけど。
 ま、そういうワケで、このカタチになるまでのオレに指向性はないんだ」
 問われる内容をあらかじめ知っていたかのように――鏡像はすらすらと答えた。
「ごめん、訊き方が悪かった。
 ――今の貴方に目的はある?」
「――ある」
 鏡像はきっぱりと断言した。
 どきりとユーノの心臓が飛び跳ねる。
「このカタチになるまでの行程は、オレにとってなんの意志も意義も意味もない。オレにとってのオレは、このカタチを取ってからが全てだからだ。このオレに生まれた。意志も意義も意味もそこから発生する。
 あぁそうだ――オレには、やらなきゃいけないことがある」
 ――ユーノは知っている。
「それは……貴方がやろうとしていることはなに?」
「答えられない」

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