
「作者は作品のかげに完全に隠れてしまって、ついに最後まで、ちらりとも姿を現さず、私たちの目を奪うのは、研がれて研がれて研ぎつくされた技と巧と作品のみ、そのために骨身をけずることこそが、作家にとっての本当の意味での倫理であって、人生の求道とやらを作品のなかに持ちこむことなどは、要するに、田舎者の小説家の勘違いにすぎない、ということを私たちに如実に教えてくれるのが、久生十蘭の小説である。」
かの澁澤龍彦氏が久生十蘭について語っている文章。
小説に限らず、
絵でも、
音楽でも、
映画でも、
何かを創作する人によって創作されたものにはこれを求めてしまう、
というよりそのように創作されたものが、
とにかく、
好きです。
願わくば、
自分の「語り」もなんとかその域に、
作者は作品のかげに完全に隠れてしまって、
ついに最後までちらりとも姿を現さず、
カタチとして表に残るのは、
研がれて研がれて研ぎつくされた技と巧と、
そして作品のみ…