201710月4 昔話のことば:54 「くるみはぱっぱぱぁくずく おてらのなすはちゃあるるる」「ふるきりふるきりふるえんざぁ こさめしぽしぽふるえんざぁ」(こぶとりじいさん) 昔ばなしに挿入されるこういう歌って、例えば囲炉裏端でちっちゃな子どもたちに語るおばあちゃんとか、どんな声で、どんな節と拍子で歌っていたのかすごく知りたくなる。
20177月24 昔話のことば:53 「うーまいももっこ、こっちゃこい」「にーがいももっこ、あっちゃゆけ」(桃太郎)音、言葉、くり返し、異界から訪れるもの、異界への訪問…改めて、「語り」を勉強する上で必須のアイテムが勢ぞろいの噺。何よりもこれは、世の男の子たちすべてに願いを込めて贈る冒険譚だ。生まれ育った家を出て、仲間を見つけ、困っている人を助けだし、そして旅から帰ってくる。芥川龍之介作『桃太郎』の弊害だろうか、後の世に安易なパロディがつくられればつくられるほど、この噺の本質がどんどん見えにくくなっていく。
20177月11 昔話のことば:52 家の手伝いなど何もすることなしに猫の絵ばっかり描いているものだからとうとう…(絵ねことねずみ) 自分が好きなことをやり続ける。大抵の人は、この噺に出てくる子どもの域に達する前にやめてしまうだろう。「好きなことだけやって生きていけるわけないんだから」この言葉を言う人は、好きなことをやり続けられなかった人。
20171月4 昔話のことば:51 待ちぼうけをくわされた他の神さまたち、まず初めに痺れを切らしたのは…(七福神のおはなし) 待ちぼうけをくわすほうもくわされるほうも、そしてとうとう待ちきれなくなったり、実に人間くさい神さまたちばかり。すべてにまったく瑕のない完璧な神さまに「あれをするな」「これをしろ」と言われるよりかえって、「仕方ないなぁ、聞いてやるか」となるものなのかもしれない。
201612月14 昔話のことば:50 今起きて今出てきたばかりなのに東の山と西の山を取り違え朝日を夕日と取り違える(そこつ惣兵衛)山と太陽の位置で時刻を知る暮らしから遠く離れた今の人たちが、朝なのにもう夕方だと思い込んだら、仕事ももう終わりだと喜ぶだろうか、それとも何にもしないうちに一日終わってしまったと残念がるだろうか。日々、なるべくあんまりちょくちょく時計を見ないように心がけてはいる。