サブタイトル『夢の中で』
夜が更ける。
部屋の電気を消してベッドに入る。
今日も彼に会い行く。
彼はいつも私を笑顔で迎えてくれる。
何事も無い日常・・・でもそれが嬉しい。
ドラマのような人生なんて要らない。
ただ二人で一緒にいられることが私の望み。
・・・・・・・わかってる。これは私の夢の中だけのこと・・・・・。
現実の彼は私を見つめてはくれないし、抱きしめてもくれない。
ただ友達として側にいるだけ。
初めて会ったその日から私の心は彼を求め続けている。
『好きだ』
この一言が言えたらどんなにいいだろう。
でも言い出せない。
そんな事をしたら彼は私から離れていってしまう。
だから私は夢の中で彼を求める。
朝が来る。
夢の中の彼とはここでさよなら・・・現実の彼へと会いに行く。
二段ベッドの梯子を降りると、彼は無邪気な顔でまだ眠っていた。
「おはよう、もう起きないと遅刻するよ」
男子寮の同じ部屋、寝ぼすけの彼に声をかける。
『友達』の仮面をつけた思春期の少年の一日が始まる。
終わり