市民タイムス 平成20年1月1日(火)より転載
松本大学(松本市新村)には、地元出身の二人の詩人が残した蔵書が保管されている。旧穂高町出身の清沢清志(1905-59)と、松本市浅間温泉に居住した高橋玄一郎(1904-78年)の蔵書で、遺族がそれぞれ寄贈した。松本大学は「地域に密着した文学者のコレクション」として、保存に努めている。
文学者が残した蔵書はページに挟まれたメモや新聞の切り抜き、ページの線引きも後の研究者にとって貴重な資料となる。ただ、量が膨大なため、遺族が管理に困るケースも少なくない。
蔵書の寄贈は、松本大学松商短期大学部の元教授で、詩人の腰原哲郎さんが「清沢清志関係資料集」や、信州の文学者についての本を出版した縁などにより実現した。
清沢の蔵書は約二百冊が平成十八年に寄贈された。大正から戦中にかけての単行本や雑誌が中心だ。清志が、親交のあった作家の吉行エイスケとともに発行した文学雑誌『賣恥醜聞』(ばいちしゅうぶん)のほか、夏目漱石の俳句集、堀口大学の詩集など希少な初版本もある。
県詩人協会の会長を務めた高橋玄一郎の蔵書は十九年、約千冊が寄せられた。『文抄』『詩の家』など大正、昭和初期の貴重な詩誌や明治期の名作詩集の初版本がある。
松本大には文学部はないが「ビジネス関連の仕事に就く人も深い教養が必要」として、授業やゼミで活用していく。
松本大学 長野県松本市新村2095-1