藻の月 新作アルバム「inframince」を音楽ライターの行川和彦氏がブログで紹介してくださっています!

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70年代末から自殺、コックサッカーズ、ウィスキーズ、CANON、WAXで活動してきたジョージ(vo、g)が
2000年代初頭に東京で結成したロック・バンドの藻の月(MONOTSUKI)の新作。
CDとしては『Tum』以来の約1年ぶりでフル・アルバムとしは約2年半ぶりの4作目だ。

メンバーは、
ジョージ - Vocal, Guitar、
竹中邦夫 - Guitar、
ムーン安井 - Bass、
KRITER - Drumである。

なかなか多彩で“ロックンロール”と呼ぶことにためらいも覚えるロック・アルバムだ。
もちろんほとんどを藻の月が作った曲自体が細かいジャンルから自由だからでもあるが、
メンバーがプレイしてない曲を含むほどゲスト陣の演奏等の影響も少なくない。
その面々は以下のとおりだ。

HOL-ON(meroro records) - Electronics+1曲の作曲
柴田エミ(稲生座) - Piano
芝井直実(N-unit) - Alto Sax
村上雅保(THE FOOLS) - Percussion
桑原延享(DEEPCOUNT) - Trumpet
川崎知 - Tenor Sax
pocopen(SAKANA) - Vocal+1曲の作詞
高八 - Strings, Guitar
松井亜由美(PASCALS) - Violin

意外なミュージシャンも参加しているが、
きらきらした音楽性と表現の広がりと深みを象徴している。

エレクトロニクスよるアンビエント・チューンで幕を開け、
シスコ・サウンドっぽい透明感あふれる開かれた音でゆっくり疾走しながら
ちょっぴりトランス感覚で反復する曲が続く。
エッジが効いてピアノもハジけるROLLING STONES風のロックンロール・ナンバーあり、
パーカッション入りのファンク・グルーヴの上でトーキング・ヴォーカルが歌う曲あり、
ジャズ・ファンク調の曲あり、
フリー・ジャズっぽいバックとポエトリー・リーディングの曲あり、
透明感いっぱいの音のやさしいR&Bチューンあり、
ヴァイオリンが光る穏やかな曲ありだ。
とにかくいい具合に力の抜けたヴォーカルも含めてデリケイトだし、
静かなパートを大切にした彩り豊かで芳醇なサウンドが“スウィング”している。

さりげなく社会性も帯びて毒を含む意味深長な歌詞はほぼすべて日本語だが、
曲名が「Faune ファウネ」「Black Kite ブラックカイト」「Satanael サタナエル」「D2」
「Fantomas ファントマ」「Peri ペリ」「Khamma カンマ」「Simourgh スィームルグ」
「Même メーム」といった具合に、
日本語ではなく、英語もほとんど使ってないところがユニークだ。
どことなくマジカルな音楽を暗示しているようでもあり、
古代イタリアの神格やイラン神話などの様々なキーワードにも思えるし、
音と相まって想像力をふくらませる。


ジョージが描いたジャケットにも表れたアーティスティックな情趣が滲む一枚。


★藻の月『inframince -アンフラマンス-』(Messer Works MW-004)CD
約45分9曲入り。