HAKATA PARIS NEWYORK

今のファッションを斬りまくる辛口コラム

2011年11月

本業はファッション、グラフィックなどデザイン関連のクリエイティブディレクター。創る側の視点で今のファッション関連の事情を評論する。マスメディアはもちろん、業界紙誌も扱わないテーマに踏み込む。

セカンドラインでファースト予備軍開拓なるか。

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 大人のデイリーカジュアルが少ない中、素材感、着心地ともまずまずなのが英国の「マーガレット・ハウエル」だ。日本では仏の「agnis.b」と並んで根強い人気を誇るのは上質な天然素材を用いて、着る人間を選ばないプレーンなデザインを生み出す点だろう。

 同ブランドを運営するアングローバル社は、2004年に日本のサンエーインターナショナル社が買収。英国と仏に同ブランドの海外子会社を置くものの、その優れたブランド孵化機能で経営を安定させている。

 今年の7月には無印良品の「MUJI LABO」において、アン社は無印良品を運営する良品計画とデザインコンサルティング業務等の業務委託契約を結んだ。これは誰もがわかるように布帛やカットソーなどの素材使い、ボーダーやストライプ、リブなどベーシックなデザインテイストが似通っている点が大きく影響したと思われる。

 つまり、 マーガレット・ハウエルの感性が生きづけば、値段ばかり高かくババ臭かったMUJI LABOも少しはあか抜けたデザインになっていくはずだ。


  マーガレット・ハウエルのセカンドラインには「MHL」がある。英国のクラフツマンシップと肌触りの良い素材を使ったプレーンなTシャツやパンツ、丈夫なトートバッグなどは、飽きがこないテイストでずっと着ていけるので、筆者も何点かもっている。ただ、デザインにそれほどインパクトがなく、ブランドとしてはインショップの一角でくすぶっていたが、09年秋に代官山にMHLのオンリーショップが誕生すると、雑誌でのプレス活動にも力を入れるなど、少しずつ人気も高まってきた。

 来春からはブランドの拡大に取り組むようで、新たにデニムを導入してラインナップを広げるという。すべて4万円以下で買えるお手頃感から、チープなカジュアルでは物足りない大人にとってはうれしい。

 もうすっかり陳腐化してしまった企画だが、昨年12月、宝島社が雑誌スプリングにMHLの大きなショルダーバッグを特別付録で付けた。筆者もそのレベルをチェックするために購入してみたが、素材も丈夫で男性にはちょう良い大きさ。ちょっとした日々の買い物にはたいへん重宝している。


 セカンドラインであるMHLのブランド拡大は、日本市場の閉塞でなかなかファーストラインが売れないことがある。まずは普及版でヤングを捉え、将来はファーストラインの予備軍を開拓する狙いだろう。

 これは素材感、着心地ともに良いカジュアルブランドが少ない中、大人にとってもそれはうれしいことだ。しかし、若い頃から多少無理をしてでもカッコいい服を買ってきた人間としては、この戦略が成功したあかつきにはファーストラインでも新たなデザインアイテムを差し込むなど、こちらでも多少は商品の幅を広げてもらいたい。特にプレーンなデザインが主流のメンズでも、多少の遊び心はあってもいいと思う。 


手段と目的をはき違える専門教育。

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 このコラムでも、ファッション専門学校の教育については、論じてきた。少子化の影響で学生の確保が難しく、学生の志向も多様化している。それ以上に業界の変化、ビジネスの革新は著しい。

 でも、ファッションが好きで、自分で服を作りたい学生はいるだろう。だから、そのニーズに少しでも応えてあげなければいけないのだが、これが教育の現場では中々難しい。一つはデザイナー育成という視点だけでは、学校経営が立ち行かなくなっているからだ。

 通常、独立したデザイナー学科を開講するならなら、1クラス最低25名ほどの学生を確保しなければならない。ところが、定員に達しない学校はビジネス学科などとの混成クラスになる。当然、講師の人件費などの面から、学生のニーズに見合うカリキュラム、授業時間は限られてくるのだ。


 ビジネスの授業を延々と受けさせられたり、検定試験の対策がメーン授業になったりでは、 学生は的外れだと思うだろう。デザイナーを目指すのに幅広い知識や資格は必要ないとまでは言わないが、それはあくまで仕事をするための手段であって、教育の目的になってはならないはずだ。

 二つ目は学校側が学生をつなぎ止めたいがために教育をエンターテインメント化し、 必ずしも業界の現状に合わせた人材育成をしきれていないことである。

 もの作りの勉強はそこそこにイベントの企画実施を優先させたり、流行りの「企業コラボレーション」を口実に小売店の品揃えの一部を肩代わりさせたり、旅行とほとんど変わらない海外研修に出かけてみたり。それが完成度の高いクリエイティブワークにつながるならともなく、とても一般にお披露目できる作品やお客に買ってもらえる商品を生み出せているとは言い難い。 


 加えて講師自体が進化していないから、 得意分野を教えるだけで授業に工夫がない。 こういう内容で学生を育て、あのアパレルの企画に送り込もうとか、ここまでの技術を身につければ、このメーカーなら入れるなんて、 就職に結びつける技術伝承やリアルな発想があまり見られないのだ。

 しかし、専門教育がこのままでいいはずがない。服作りを勉強している若者に対し、先日、南充浩さんが「(専門学校は)縫製工場、染工場、織布工場、ニット工場などに卒業生の就職をあっせんしてはどうだろうか?」と書かれていたが、筆者も大賛成である。

 大学を卒業しても中々就職できない昨今、「徒弟制度」の復活とまでは言わないが、「縫う」「染める」「織る」「編む」技術を身につけた方がよほど、若者の将来は明るいと思う。


 ただ、アパレル一社をとっても、安さを訴求するところもあれば、高付加価値、高価格が売りのところもある。自社企画のオリジナルブランドを謳っても、商品企画や開発のスタイルは一貫型もあれば、業者にアウトソーシングする企業もある。

 自社に企画開発部門をもてばクオリティは維持できるが、商品化が遅くロットが増えないと高コストで、販売価格がはね上がる。逆に企画開発を外部の業者に依存すれば、スピードアップとコスト削減はできても、クオリティの徹底がなされず、似通ったテイストになって競合が多くなる。

 当然、各社各様でテキスタイルや染め、縫製、編み立てなどの業者や工場がすべて変わってくる。学校や講師はその辺の現状を十分理解した上で、学生に対し就職指導やカウンセリングを行なわなければならないのである。


 「キミがゆっくりデザインをしたければ、テキスタイルメーカーや染色工場もいいよ」とか、「あなたがトレンドに敏感なら、OEMメーカーの企画の方が適しているかも」とか、「国内にある縫製や織布の工場で働いてみると、将来独立する上で勉強になるはず」といった具体的なアドバイスが必要である。

 いずれにせよ、ファッション専門学校がこうした業界の現状をマクロ的かつ俯瞰で見ながら、教育内容を変えていかなければ、学生がアパレル業界に就職して服作りに携わることなど難しいと思う。



アナログとデジタルの聖夜プロモ。

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 商売柄、いろんなアパレルや小売店のプロモーションを行なう。毎年、この時期になるとクリスマス販促の相談を受けるが、今年はとあるセレクトショップの依頼でモデル撮影を行なった。オーナーはプレ・クリスマスカードに自店のレコメンド商品を載せ、お客にメッセージと着こなし提案を伝える考えらしい。

 この人はファッション業界でずっと働いていながら、独学でグラフィックデザインを習得。Macやllustrator、Photoshopが使えるため、われわれには撮影のみを依頼してきた。カードのデザインは自分で行ない、質感のある紙にプリントアウトして、凝った封筒に入れて送るのだという。


 デジタル機器の発達で、ショップレベルでも簡単に販促ツールが作れるようになった。ただ、オマケのソフトや市販のプリンターで完成度の高いクリエイティブワークはなし得ない。それはプロの見方かもしれないが、このオーナーも「自分でやる以上、デザインでは妥協はしない」と言い切った。

 今年のクリスマス向けイチオシのアイテムを等身大のモデルに着せて、お客さんの目線で商品の特徴や着こなし提案をするこだわりを、販促ツールのグラフィックデザインでも見せたいのだろう。当然、この考えにはわれわれクリエーターも大賛成である。

 大金をかけてデザイン会社に丸投げすれば、少なくともプロの評価に足る「広告作品」はでき上がる。でも、それが顧客目線にあった「販促」につながるかどうかと言えば、必ずしもそうではない。個店の場合は、オーナーの個性や力量がビジネスや品揃えに映し出される。顧客のことも外部の人間より、オーナーの方が知っているわけで、コピーやデザインでも内部の表現が説得力を増すとの考えには一理ある。


 もちろん、われわれもプロのクリエーターだから、依頼された仕事には最大限のパフォーマンスで臨んでいる。他がやらないようなアングルやシチュエーション、オーナーの想像以上のカットで「商品の魅力」を写し出そうとする。クライアントに喜んでもらいたい一心からだ。

 今回、オーナーのアナログな発注とは別に、こちらはデジタル技術を駆使して、メーンヴィジュアル用として商品の質感やフォルム、着たときの意外性なども表現してみた。それは掲載した2枚の写真である。

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 ファッションフォトは欧州のメゾンに代表されるように、どうしてもロケ地やシチュエーションに凝ったものが撮影されるなど、ブランドイメージが優先されてきた。それを米国のギャップは「インディヴィジュアル」という手法に変え、パーソナリティをもつモデルに商品を着せてシロホリ(白いホリゾント/背景)の前で撮影し、インパクトのあるヴィジュアルに仕上げた。

 

 どちらが、販促効果が高かったかと言えば、商品がクローズアップされる後者で、ユニクロの広告づくりも基本的にギャップスタイルを踏襲したものだ。その後、グッチのトム・フォードは、広告ビジュアルは「最後のデザインだ」として、デザイナーである自身のビジョンを的確に打ち出した。それがモデルやカメラマンが変わっても、ブランドの世界観は統一させる技法を生み出した。

 世界的なブランドと一個店を比較するのは、いささかはばかられる。でも、表現の目的は同じだ。訴えたい商品やショップの考え方をいかに打ち出すか、なのである。オーナーは、カードデザインの方向性は決まっているとだけ話すが、デザイン用のソフトを使うので折りを加えるなど、デザインにすると思われる。おそらく写真は商品とそのメッセージを伝える中面にレイアウトされるはずだ。


 印刷はオフィスコンビニを利用し、特殊紙に印刷するのだそうだ。大きめの紙に印刷すればあとはトンボを合わせてカットするだけで、両面カラーのカードに仕上げられる。印刷会社に出せば簡単だろうが、最低ロットがあるので経費面ではバカにならない。オフィスコンビニなら1枚からOKだし、いつでも追加印刷が可能だ。

 その分のコストを紙やデザイン封筒に投資できるところまで、このオーナーは考えている。もちろん、作業は店を閉めてからの深夜に行なうという。

 Webデザインの浸透で、肩身が狭くなっているグラフィックや印刷物。しかし、1枚の布から作り上げるファッションもアナログな世界。ならば、それぞれがもつアナログの良さをもっと生かせるはずだ。

 個店レベルのプロモーションではデジタル機能を活用しつつ、アナログ感覚なものを創る。この程度がちょうどいい。カードの出来上がりが楽しみである。


復活なるか?Xマスホリデー企画。

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 11月も半ばとなれば、ショップの一角にはクリスマスホリデー向けの商品が並んだ。…というのは昔の話しだ。ウィメンズでシルクサテンのワンピース、ベルベットやタフタのドレスは、年末商戦のプロパー企画としてショップでコーナー展開された。

 専業でないDCアパレルまでもがデザイナーのフィルターを通してこれらのアイテムを企画。雑誌メディアが「パーティは、思いきって、頑張って、勝負して、いつもより目立つ女。」なんて企画をぶち上げるもんだから、予定無しのコまで「私も買っとかないと乗り遅れるちゃう」と、ホリデー企画のアイテムは結構売れていた。


 Xデーまであと1ヶ月という勤労感謝の日を境に、店頭販促はクリスマス一色に染まった。「ホリデーハート、高鳴ります」なんてテーマのもと、ウィンドウにはパールのチョーカーやレーシーなグローブ、シャンパングラス、バタフライ眼鏡…スノースプレーの演出まで。BGMはBoys Town GangのCan't Take My Eyes off Youでポップアップし、お客さんの購買意欲を煽っていった。

 この時は大学生の間でもパーティ同好会なんてサークルが誕生した。入部の条件は「スリップドレスやタキシードをオーダーする」だったから、いかにホリデー企画のニーズが高かったかである。ところが、バブルが弾けた途端、日々の仕事や暮らしにそれほど必要で無いホリデーやパーティの企画は、マーケットから姿を消してしまった。各社ともお客が必要ならばフォーマル専業メーカーの定番で十分との判断だった。


 そして、若者は自宅にこもって過ごすようになり、メディアもクリスマス十字軍なんてキーワードで、地味なクリスマスをトレンド化していった。それではギフト需要が盛り上がらないと、百貨店はカップル向けに販促を仕掛け、それにのせられたコッパアベックがブランドジュエリーのガラスケースの前に並んだ。

 でも、そのときの格好は女性がウールのコート&ブーツ姿で首にストールなのに対し、男性はフリースにジーンズとスニーカーという、何ともアンバランスで滑稽なツーショットだった。男性には光りモンを買う前に自分のセンスをもっと磨けよと突っ込みたくなったものである。

 それから10年ほど、婚姻年齢が上がっていることもあり、多少大人っぽい格好には変わってきているが、男性のスタイルはフリースからメルトンのコートに変わったくらい。女性のスタイリングとドンピシャでマッチングできている男性は皆無に近い。というか、アイテムがないのである。


 12月に入ると、バーゲンに突入するショップも出始めるなど、店頭は秋冬在庫を消化する方に躍起になっているので、とてもホリデーアイテムの投入どころではない。ただ、そんな状況を少しでも変えようと、クリスマス需要に期待をかけるところもで始めている。先日、イオンモール福岡が地元のファッション専門学校とコラボし、学生がテナントの商品でクリスマスコーディネートを行なうとの話しを耳にした。

 小売りとしては何とかクリスマス需要を喚起したいとの思いから、学生の発想やアイデアに期待したようだ。 アパレルやSPAがホリデー用のアイテムを企画しない中、学生が色のバランスや小物使いでいかにクリスマスっぽいコーディネートで売りに繋げることができるか、協業成功のカギになる。

 ホリデー企画には、光沢や艶といった独特な質感が付き物だった。素材でいえば、シルクやサテン、タキシードクロス、ドスキンなどである。ただ、今のファッショントレンドから言えば、従来のホリデーのようにピッタリしたアイテムをカチッと着たんでは能がない。特に男性はボーイにしか見えないからだ。


 ホリデーの質感をもつウエアはキーアイテムとして残しつつ、それを大胆に着崩したり、カジュアルアイテムと組み合わせたり。くだけた中にもフォーマルな味付けをチラリと覗かせながら、足下は無難にまとめればいい。

 こうした洋服好きが遊び心のあるコーディネートで、プライベートパーティなんか仕掛けると、多少はホリデー需要も喚起されるのではないかと思う。学生に頼るのではなく、業界人からホリデーを復活させる機運を盛り上げてもいいのではないか。ホリデー企画がタフタのモアレのように波状で消え去るのでは、また一つマーケットがしぼんでしまう。


CMのタレント起用は諸刃の剣。

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 先日、南充浩さんが「繊維産業ブログ」で、「昨年からアパレルブランドのテレビCMが増えたと感じる。(中略)最大の理由として、クロスカンパニーの『アースミュージック&エコロジー』のテレビCMの成功があるのではないだろうか。(中略)当時の視聴者の気持ちをデフォルメして書いてみると『何かよくわからん宮崎あおいのCM流れてたなあ。あれ何やろ?ネットで検索したろかな?』という感じだったと推測される」と書かれていた。

 確かに大手アパレルのプロモーションと言えば、かつてはイメージキャラクターに有名モデルか、タレントを起用し、媒体は雑誌か新聞広告、テレビCMと相場が決まっていた。凝った仕掛けと言っても、せいぜいそれらを連動させたキャンペーンくらいだ。しかも、強力な販促効果やブランドの認知アップをはかるには時間をかけて露出しなければならなかった。
 そこにインターネットが登場し、状況は一変した。メディアミックスすればインタラクティブでプロモーションを仕掛けられ、さらに直販までも容易く行なえる。いわゆるタレント=ブランドを簡単に浸透でき、すぐに売上げに跳ね返る。サマンサ・タバサの戦略がまさにそうだ。

 しかし、CMのタレント起用はリスクも覚悟しなければならない。予期せぬゴシップや不祥事が発生するからだ。また、ブランド再編によってタレントとイメージの擦り合わせが難しくなる場合もある。
 ワールドは05年、キャリアブランドのアンタイトルに起用していたケイト・モスを秋冬の販促にも使った。キャンペーンは雑誌とCMと店頭の連動型だったが、英大衆紙に彼女の薬物使用の疑惑が報じられ、同社はブランドイメージが損なわれると販促を打ち切った。ただ、CMは放送しなければ露出はしないが、雑誌広告はすでに出稿しており、店頭ポスターも掲載されていて、後の祭りとなった。
 恐らく、広告代理店は多額の違約金を支払うハメになり、担当営業は左遷されたと思われる。それ以上にワールドへのダメージは大きかったはずだ。その反省からか、同社は現在、アンタイトルにはヨンアを起用し、他はなでしこジャパンのオフィシャルスーツ・サプライヤーなど、販促戦略を見直している。

 一方、小雪を起用し売上げ好調だったオンワード樫山の「組曲ファム」は、ショッピングセンター向けブランドであるため「組曲」を扱う百貨店からクレームがつき、名前を「エニィスィス・ファム」に変えた。ところが、今度はイオンが「それはテナント契約違反だ」と噛み付いた。
 結局、現在は組曲が長澤まさみから外国人モデルにシフト、エニィスィスは北川景子で落ち着いたものの、『by kumikyoku」と苦しい但し書きがついている。 さらに酒井法子がプロデュースした「PP rikorino」が、彼女の覚せい剤使用で終了に追い込まれたのはそんな昔の話ではないし、東日本大震災の義捐金問題で暴言を吐いたマリエ、市川海老蔵の事件で黒い交際が疑われた藤井リナなど、ファッション系CMタレントの火種は少なくない。
 自治体の暴力団排除条例で芸能界やタレント事務所は身内の浄化に躍起になっているし、代理店もタレントの選考にはかなりの神経を使っている。しかし、いくら身体検査で「シロ」と出ても、タレントが永遠に清廉潔白であるとは考えにくい。 

 それでもアパレルブランドのテレビCMが増えた理由はもう一つ、広告不況によるスポット料金の値崩れがある。通常、CMは日曜劇場や月9などの「提供」ではスポンサーが時間枠ごと買っているが、「スポット」は代理店がテレビ局から個別に仕入れて、企業スポンサーに営業をかける。
 テレビ局はスポットを増やすためにCM枠の料金をダンピングすることがあり、代理店は「局のタイムテーブルに赤線を引いて、Aから特Bまで15”スポット1日○本入って○十万円ですよ」とスポンサーにセールスする。提供でなければ、媒体料は巨額にはならないので、その分CM制作費に回せるというわけだ。
 クロスカンパニーがアースミュージック&エコロジーのCMを制作したのも、宮崎あおいをキャラクターに起用できたのも、少なからずこうした広告業界の状況が影響している面もあるだろう。 

 かつて日曜洋画劇場はダーバンやレナウン、月曜ロードショーはオンワード樫山が提供していたが、すでにスポンサーではなくなった。アパレルの提供CMが減ったのは、テレビよりインターネットの方が反響が大きいこともあるだろう。でも、それとタレントの起用は別問題である。どんな媒体でもあっても、起用には慎重を期すのは言うまでもない。ブランドの凋落は一瞬で起こりうるのだ。
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