HAKATA PARIS NEWYORK

今のファッションを斬りまくる辛口コラム

2013年04月

本業はファッション、グラフィックなどデザイン関連のクリエイティブディレクター。創る側の視点で今のファッション関連の事情を評論する。マスメディアはもちろん、業界紙誌も扱わないテーマに踏み込む。

還元セール禁止は卸の福音となるか。

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 来年4月の消費税率8%に合わせ「還元セール」など、販促名称云々の是非が問われている。国会の審議を見ると政府と官僚、野党との間で利害が渦巻き、いったい何のための法律か、保護されるべき利益は何なんかがさっぱりわからない。


 世論はと言うと、メディアは一部の小売業者と消費者に取材をするだけで、この法律が目指すメーカーや卸業者に多い「中小企業が消費税増加分を、納入価格に上乗せしやすくなるように環境整備」については、ほとんど触れずじまいだ。

 常日頃、小売り側からメーカーや納入業者が受けている圧力に切り込まなければ、「企業が増税分を円滑に価格に転嫁できるようにする特別措置法案」の意味も理解されないだろう。


 では、論点を整理してみよう。まず、政府の意図は「消費者に消費税率が上がったことを理解させ、税率アップを浸透させること」である。しかし、消費者の多くは増税はしょうがないと言いつつも、いざ店頭での買い物となると、1円でも安いものに目が行ってしまう。

 だからこそ、安倍内閣としては支持率が高いうちに、法案を通したい。そのためには「メーカーや納入業者の保護」という側面にも触れ、世論の支持を得ようというのが本音である。


 一方、小売り側は、自由に価格を決めたり、セールをしたりするのを、政府が規制するのはおかしいという意見で一致する。特に大手では、ユニクロの柳井正社長が「そんな法案をつくること自体が理解できない。先進国のやることではない」と非難。

 イオンの岡田元也社長も「(大手スーパーが)不当なことを取引業者にするのであれば、きちんと現行法で排除すればいい」とした上で、「(法案は)論外」と批判した。もっともである。


 ただ、これらはメディアが小売りの代表企業に取材し、そのまま報道したに過ぎない。しかも知名度の高い企業だけに、大衆にはあたかも小売業全体の総意として受け取られてしまう。

 さらにはこの法律が意図する「中小企業が消費税増加分を、納入価格に上乗せしやすくなるようにする」、つまり税率アップによって「メーカーや納入業者といった下請け業者」にしわ寄せが来ないようにする=アップ分を値下げさせられることがないようにできるか。

 これが本当に可能かどうかの検証は、少しもなされていない。


 岡田社長が言うように現行法=独占禁止法の「不公正な取引方法の禁止」で、メーカーや納入業者といった下請け業を守られればいいのだが、話はそんな簡単なものではない。

 なぜなら、マックスバリュが98円均一セールを行うとき、商品を仕入れるバイヤーはあらかじめ、納入業者に卸価格を指定する。言い換えれば、小売り側の値入れ額を決めて取引するのだ。

 つまり、納入業者が消費税のアップ分を卸価格に転嫁したとき、イオン側がアップ前と同じ値入れ率を確保したければ、98円セールは成立しないのである。

 とすれば、バイヤーはどういう行動をとるのか。おのずと想像がつく。また納入業者が小売りとの取引を継続するには、どうすればいいか。選択肢は「従うか」「従わないか」の2つしかない。従わなければどうなるのか。こちらもだいたい想像される。


 卸業者が声を出そうにも日本ではそう簡単ではない。現行法で排除すればいいというが、永年の商慣習では、ほとんどザル法に等しい。メディアはこうした“闇”の部分には、少しも切り込んでいないのである。


 話をファッション業界を転じても、たいして変わらないだろう。アパレルメーカーと小売業との関係では、圧倒的に小売りの方が強い。

 展示会の商談で、バイヤーがメーカーに対して使う常套句がある。「これ、下代いくら」「いくら荒利を残してくれる」「6掛けじゃ無理だよ」etc.バイヤーとしても、消費税アップ分が商品の卸値に載せられれば、売価を据え置いた場合に荒利益は下がってしまう。つまり、儲けが減っていくのだ。


 値上げをすれば済む話なのだが、他社が値上げしなければ競争力を失ってしまう。接客でカバーすれば良いと言っても、お客が安い方に流れれば、販売機会さえ得られない。

 バイヤーにはそうした状況が想定されるだけに、荒利確保のためにメーカーに対し「ゴメン、泣いてくれる」と、言い出すものが出てくるのは想像に難くない。


 「世界一の売上げ」「世界一の商品」「世界同率賃金」を宣うアパレル製造小売業が、はたしてどこまで取引業者のことを考えているのか。消費税が上がれば、それはコスト増に跳ね返り、収益に影響しかねないのだ。

 「世界一」をスローガンに掲げた以上、きれいごとなど言っておれないはずである。それを「先進国のやることではない」の陰に垣間みる業界諸兄は、少なくないだろう。


 断っておくが、すべての小売業、すべてのバイヤーがそうだと言っているのではない。「メーカーさんも儲けて、うちも儲かる」という共存共栄の精神をもつ中小の専門店は少なくない。 

 「あの店は消費税アップ分の下代を快く受け付けてくれた」「あのバイヤーはクオリティを重視だから、値上げ分だけ原価を圧縮させることなんかしない」

 ファッション業界では数少なくなったが、こうした小売業者がいるのも事実である。


 なぜか、メディアは大手小売業しか取材せず、建前ばかりを報道するだけだ。結果として、メーカーや卸業者の声なき声は拾われず、利害関係者の本音が論じられることはない。

 でも、法律には必ず保護法益がある。めでたく成立した時、アパレルメーカーや卸業者がその対象となり、利益を受けられることを切に願うばかりである。


2年目でお客の購買意欲をクールダウン。

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 JR九州が展開する駅ビル、アミュプラザ5店舗の2013年3月期の売上げが出揃った。これを見ると、小倉、長崎、鹿児島、そして博多デイトスが増収だったのに対し、「アミュプラザ博多」のみが前期比で2.1%の減収になっている。


 振り返れば2011年3月、九州新幹線鹿児島ルート開通に合わせて開業した「JR博多シティ」で、アミュプラザ博多は博多阪急と双璧をなす商業施設である。

 核テナントには東急ハンズを迎え、くうてんという飲食フロアや九州初進出のショップを充実させたことで、JR九州の唐池恒二社長は「九州各地はもとより、はてはアジア全域からお客を呼べる駅ビルだ」と豪語したほどだった。

 開業直後には東日本大震災が発生し、福島の原発事故も重なって、自粛ムードが広がり、海外からの旅行者の減少はあったものの、そんなことにはびくともせず開業景気は空前の売上げ、集客をもたらした。しかし、 それもたった1年で終わったのである。


 ただ、冷静に考えてみると、それは当たり前のことだ。 駅ビルを利用するのは通勤・通学、旅行、ビジネス出張のお客である。だから、メーンで売れるのは日用品やサービスといったデイリーユーズのカテゴリーか、旅行客が購入するお土産。あとはせっかく博多に来たのだから、地元料理を食べて帰ろうという食のニーズくらいだ。

 ファッションについては、遠くまで行かなくても同じものがあれば、駅利用のついでに買うくらいだろう。今はネット通販の時代である。いくらほしい商品があるといっても、新幹線に乗ってわざわざ買い物にいくとは考えにくい。


 アミュプラザ博多にしかないブランドなら、買いに行かないこともないだろうが、ここはヤング中心で、フラットなMDは否めない。九州初を80店以上、福岡初を数店揃えるが、とても集客力のあるテナントとは言い難い。人気ショップほど既存店があり、ネット購入も可能だ。

 所詮、九州の首都は天神である。地域1番店はここに集中し、レアなブランドも集まる。マーク・ジェイコブス、フラボア、コムデ・ギャルソンなどといったデザイナーズブランドは、天神でしか買えない。 

 大阪では高級店、地域一番店として名が通っている阪急も、博多駅出店なると地域4番店にすぎない。どうしてもブランドリーシングでは、天神の後塵を拝してしまわざるを得ないのだ。

 であるからこそ、日頃から天神で買い物しているお客がわざわざ買いに行くとは考えられないのである。大型雑貨店の店長がハウスカード客の住所地を見て、「JR沿線の福岡市東区、県東部、南区に集中し、西部は少ない」と語っていたのが、それらを如実に物語る。

 西鉄電車の路線が天神まであることを考えても、県南部のフリー客を開拓するのは容易ではなかったということだ。

 結果として、初年度は開業景気に支えられただけで、2年目の反動減は起こるべくして起こったわけだ。ブームはやがて去り、終わるのである。

 新しいもの好きは消費者の大半に言えることだ。せっかくの大型商業施設だから、1度はチェックしておこうとなる。それで1年目の売上げは、目標比大幅アップという上ぶれになるが、ファッションにしてみると人気テナントの大半はアミュプラザ各店にリーシングされている。

 つまり、初年度はリアル店舗とショールームとして機能した。でも、2年目はそれらを学習しているだけに、近くのアミュプラザで十分いいということになる。それが他のアミュプラザ3店舗の売上げを押し上げた要因と言える。

 皮肉にもJR博多駅シティは2年目で、お客の購買意欲をクールダウンさせたということである。


クリエイティブと言えば予算がつく不可解さ。

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 さる2月末、福岡市役所の経済観光文化局コンテンツ振興課に「クリエイティブ福岡推進協議会」という組織が設置された。

 メディア関係者に配られた「CREATIVE LAB FUKUOKA」のリリースには、設立主旨として「ゲームをはじめとするデジタルコンテンツやファッション、デザイン、映画、音楽などのクリエイティブ関連産業については、今後の成長エンジンとして地域経済を牽引することが見込まれています」と、記されている。

 また、ご丁寧にも「福岡は若い人材が豊富で働きやすい街として、東京や県外の企業から高い評価を受けており、関連産業の集積も期待されています」と、福岡を過大評価するコメントまで付けてある。

 そして、福岡のクリエイティブ関連産業を振興する手段として、「若い人材がクリエイティブなまち・ふくおか」を内外に向けて情報発信するためのイベントとして「The Creators~POWERED BY CREATIVE LAB FUKUOKA」などの各種イベントを開催するとある。その中心が9月に開催する「ASIAN PARTY」で、この3月にはプレイベントも開催されている。


 これは福岡市の25年度の予算編成でも事業項目として挙げられ、ちゃんと予算が計上されている。 ASIAN PARTYは、「5.磨かれた魅力に、様々な人がひきつけられている」の項目として、2億2,224万円の予算がついている。

 また、クリエイティブ関連産業の振興、誘致推進事業、そしてクリエイティブ・エンターテインメント都市づくり推進事業、クリエイティブ産業拠点機能調査検討事業は、「7.創造活動が活発で、多様な人材が新しい価値を生み出している」の項目として、それぞれ3,423万7,000円、6983万2,000円の予算が計上されている。

 どれも凄い額である。しかし、CREATIVE LAB FUKUOKAのプレスリリースをじっくり読むと、「福岡のクリエイティブ関連産業を振興する」と言いながら、またもや「手段」としてのイベントばかりが挙げられ、それに予算のほとんどが使われそうなのである。


 もう、おわかりだろう。ファッション、デザイン、イベント、情報発信、そして今回は新たに“クリエイティブ”というキーワードまでくり出して、またもや利害関係者が公共事業を食い物にする“新たな利権”が見えてくるのである。

 まあ、当コラムの主旨からすれば、ゲームや映画、音楽については畑違いなので、言及は差し控えることにする。ただ、ファッションについては十分言わせて頂こう。

 そもそも、ファッションで言うクリエイティブ、クリエーターとは何か。いちばん分かりやすいところでは、欧米のコレクションのモード、メゾンブランドの服づくりだ。そしてそれを行うデザイナーである。


 ただ、服づくりにはテキスタイル、いわゆる生地や副資材が必要なので、コレクションの1年から1年半までに発表される「テキスタイルデザイン」からクリエイティブワークは始まっていると言える。

 具体的には、色の配色や繊維の組織、プリント、加工などを考え、生地のデザインを創り上げる。これに携わるクリエーターが「テキスタイルデザイナー」だ。

 そして、ファッションデザイナーは、シーズンのイメージを膨らませ、スタイル画を描き、オリジナルで生地を作るか、テキスタイル展でセレクトした生地を用いて、服づくりを行っていく。


 最近では、ブランドビジネスをより強固なものにするため、単なる服づくりだけでなく、VMD(ヴィジュアルマーチャンダイジング)やコミュニケーション(広告、販売促進)までの一貫したクリエイティブ戦略を考える「クリエイティブディレクター」も登場している。

 日本のファッションで見ると、NBアパレル、中小アパレルが行うファブリケーションや企画デザイン、ファッションソフトハウス(企画デザイン会社)が手がけるダイレクトなトワルデザインも、クリエイティブワークに含めることができる。



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 では、 CREATIVE LAB FUKUOKAが挙げるファッションで、クリエイティブな項目とは何か。プレスリリースでは、「主要イベント」の第2項目に「福岡アジアコレクション(FACo)」とある。しかし、このファッションイベントのどこがクリエイティブなのだろうか。

 主催は「福岡アジアファッション拠点推進会議」と記載されているが、このプロデュースをしているのはRKB毎日放送というローカルテレビ局だ。そこがこのイベントを神戸コレクションを実施している大阪のイベント会社、アイグリッツに丸投げしているだけに過ぎない。

 アイグリッツは、タレントのブッキング、音響照明など神戸コレクションのフォーマットのままにタイトルと商品、地元モデル、会場設備を変えるぐらいだから、何のクリエイティブ能力も必要ない。業界で「FACoは神戸コレの地方巡業」と揶揄されているのが、何よりの証拠だ。


 地元からもメーカー、個人デザイナーがそれぞれ9ほど参加しているが、それ以外のNBが30ほどもあるのだから、もはや地元色などほとんど感じない。おまけに地元メーカーといっても、商品づくりは中国生産のSPAや売れ筋卸系がほとんどで、クリエイティブワークに力を入れているわけではない。

 唯一、個人デザイナーが自身のオリジナル作品を出展しているため、こちらはクリエイティブワークの産物になるだろう。ただ、彼らは作品づくりをすべて自費で行っていて、こちらに主催者側から資金が投下されるいるわけではないので、まったく本末転倒である。

 まあ、RKBのプロデューサーがやっていることは、イベントのスポンサー営業と行政へのおべんちゃら、そしてスタッフの弁当手配くらいだろうから、クリエイティブな仕事など微塵もないのは、はっきりしている。


 驚いたのはCREATIVE LAB FUKUOKAの主要イベントである「The Creators~POWERED BY CREATIVE LAB FUKUOKA」にも、RKB毎日放送が一枚噛んでいることだ。

 内容はデジタル技術を駆使した映像パフォーマンス、アーチストライブ、トークーショーなどとなっているが、いわゆる東京などから関連のタレントを呼んだイベントに過ぎない。つまり、FACoで味を占めたのか、FACoだけでは物足りないのか。またもや別の担当者が手前味噌の企画を打ち立てて、行政から公金をせしめようとしているのが垣間見えるのである。


 ローカルテレビ局は、最大の収入源であるスポットCMが頭打ちになっている。そのため、放送以外の「事業」収入の確保に活路を見出さなければならない。だが、民間のビジネスで早々に巨額なカネが動く事業なんて考えにくい。そこで、「公共事業」に触手を伸ばし始めたということだ。

 福岡アジアコレクションを主催する福岡アジアファッション拠点推進会議が事業を始めた2008年当時、RKB毎日放送には所管する福岡県と福岡商工会議所が初年度に約3,000万円、2年目、3年目にも2,000万円ほどの事業資金を拠出している。

 この資金は2年前から無くなり、福岡県や福岡市からの補助金だけになっているが、裏を返せば「いつまでもカネは出せんぞ。自分でスポンサーを捕まえるなり、お前のところでペイする事業モデルにしろ」なんてニュアンスが、上層部が行政と蜜月のRKB毎日放送にとって、事業をゲットするための交換条件だったとすればどうだろうか。あくまで推測の域を出ないが。


 しかし、福岡県や福岡商工会議所が出さなくなった資金を、今度は別の事業を立てて福岡市に肩代わりしてもらおうとRKB毎日放送が企てたとすれば、説明もつく。

 そのための大義、キーワードがファッションであり、今回の「クリエイティブ」なのだ。自社の事業を少しでも有利に進め、より収益を高めるには、公共事業化して少しでも公金を引っ張り出した方が手っ取り早い。それくらいは誰でも思いつく。

 もっとも、福岡アジアコレクションを始めとする一連の事業で、RKB毎日放送が培ったのはクリエイティビティなんかではない。誰の目から見てもわかる「浅知恵」ってことだけは、はっきりしている。

 


公金をドブに捨てるファッション事業。

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 3月2日にスタートした「ファッションウィーク福岡(F.W.F.)」は、4月7日で終了する。約1ヵ月間にわたって展開された、ファッション・ショッピングの街「福岡」を内外にアピールする共同販促のキャンペーンだ。

 果たしてその効果はどうだったのか。それを検証するまでもなく、こうした事業が一部の利害関係者による“利権の産物”であるということが、いよいよ白日のもとに晒されそうである。このコラムで永年に渡って指摘してきた問題点は、はっきりその裏付けになるやもしれない。


 そもそも福岡にふさわしいファッション事業とは何か。ここの焦点がボケているから、情報発信の名の下に事業を独占しようと、広告代理店やテレビ局の利権と化してしまうのである。

 歴史的に見ると、福岡は博多を中心に有史の時代から大陸との交易で栄えた商業都市だ。それをファッションに置き換えると、アパレル(企画・製造・卸)というより、小売り(販売サービス)の機能が強いのは、最初から分かりきっていることである。

 先日、ファッションライターの南充浩さんもご自身のブログで記されていたが、「ファッションで街興しとか、ファッションで街を全国区に、と言ったスローガンを掲げたイベントが地方都市で行われる。だいたいが神戸コレクションか、東京ガールズコレクションの地方巡業である場合が多い。


 個人的に、福岡でタレントライブの延長線上のようなファッションイベントを開催して、全国区になれたり、地元のファッション産業が振興したりするのだろうかと疑問に感じる。

 現在、めぼしいアパレル、セレクトショップの本社は9割方東京に存在する。神戸、京都、大阪にも本社を残している企業はあるが、本社機能や企画機能は東京に移転されている。

 岐阜にも量販店向けのアパレルがいまだに残っているが、かつての勢いはない。岡山・広島にもジーンズ専業アパレルがあるがこちらも苦戦傾向が続く。となると、ファッション産業が振興できる場所というと実質、東京しかない」と。


 なるほどである。そこであえて福岡にふさわしいものを考えれば、やはり小売り業支援しかないだろう。特に福岡は百貨店のシェアが少なく、専門店が強い市場ということで、全国のアパレル関係者が注目してきた街である。

 そこでF.W.Fが開催されたわけだが、終了まであと終日を残し、主要商業施設に置かれたガイドブックは、買い物客が手にすることもなく無惨に放置されたままである。特にこの3月は博多駅ビルが開業して2周年に当たるため、アミュプラザ博多や博多阪急は独自で販促・集客策に力を入れている。

 一方、天神地区の各商業施設も毎春にはポイント加算などの施策をとっている。つまり、その最中に共同キャンペーンを張る意味があったのかという疑問が残る。


 もっとも、キャンペーンが認知されない最大の原因は、その目的と企画内容が連動していない点にある。目的は街に出て商品を買ってもらうことなのだが、その販促策がスタンプラリーによる商品プレゼントと海外旅行、そして商品券程度でしかない。しかも、商品プレゼントはすべての店が準備してはいないのだから、相乗効果なんてあるはずもないのである。

 また、週末に開催されたトークショーやセミナーも、ほとんどが販促に繋がるとは言い難いものだ。今回のためにわざわざ企画されたものというより、すでに福岡アジアファッション拠点推進会議およびそのトータルプロデューサーの口利きでブッキングされた陣容に過ぎないからだ。


 例えば、雑誌レオンの創刊に参画した干場義雅氏のセミナー。これは第1回の福岡ファッションフォーラムで起用された大丸のメンズ課長の講演があまりに酷い内容だっただけに、その反省を踏まえて東京から呼ばれたに過ぎない。

 ただ、この御仁の話が本当に大人のメンズファッションに影響があるなら、まず一般聴衆より大丸の課長始めとした百貨店のバイヤー陣、デベロッパーのテナント誘致担当者が聞いて、男性客が買い物したくなる商品を揃えるのが先だろう。大人向けの商品については、いつも「メーカーがない」って言い訳ばかりしているのだから。


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 また、FACo(福岡アジアコレクション)の前日、3月24日に行われた「ファッション講座」は、CanCam専属の舞川あいくとスタイリストの亀恭子によるものだった。これはまさしくショーのタレントを活用するために「前乗り」させたものだ。

 雑誌や広告で数々のスタイリストと仕事をした人間からすれば、従来のスタイリストは仕事ぶりとは対照的にルックスは見られたものではなかった。だから、ずっと裏方の職業として成り立ってきたのである。

 しかし、このお方は多少の見てくれの良さから、出版業界の表舞台に出てセレブ本を刊行。さらに宣伝会議が発行する「編集会議」や「PRIR」でも顔を売り、代理店始めローカルメディアに憶えられたと思われる。

 しかし、所詮ファッション音痴のテレビプロデューサーから地方営業の場を与えられた程度で、ファッション業界に精通しているとはとても言えない。要はスタイリストというより、タレント活動と言った方が正確だ。それに何を期待しろというのかである。


 先日、ファッション業界誌「ファッション販売」の6月号で、地元ファッション専門店を取材する機会があった。この企業は推進会議、FACoにも関連しているのは承知していたが、取材のテーマは全く別物だったので、一連の事業に触れることなく社長のインタビューは進んだ。

 ところが、取材の終わりがけになって社長の口からは、「最近、全国のファッション事業がいろいろ書かれているのを見るけど、うちが扱う商品を含めてファッションショーなんかやったところで、商品はほとんど売れない。あれは主催者の幻想だ」というコメントが出て来た。

 そこで、机の上に無造作に置かれたガイドブックを指して、F.W.Fについて話題を振ってみると、「うちは全く効果がないから、よそもそうじゃない。広告代理店に良いようにされているようだね」とまで語ってくれた。

 この社長は地元のファッション専門店で20数年のキャリアをもつだけに、その言葉には説得力がある。おそらくこのキャンペーンに参加した多くの小売業者がそう感じているのではないだろうか。


 まあ、ガイドブックを見ると、利害関係者の思惑がそこかしこに浮かび上がる。まずFACoの告知であっても、出演する押切もえ、蛯原友里、山田優といった有名タレントの写真が使われることはない。

 これはTGCを業界メディアが取り上げた時からそうだが、タレント事務所が肖像権管理を徹底しており、「使うならカネを払え」という意味でもある。報道写真ですら使用規制は厳格なのだから、ローカルメディアは完全に足下を見られているということになる。

 また、ガイドブックに堂々とページを割かれている「福岡市には『カワイイ区』がある!?」も、福岡市からの補助金をガイドブックの制作費に回すためのものだというのがわかる。しかし、企画段階では予想だにしなかった篠田麻里子の退任、福岡市顧問A氏の同事業にまつわる数々の疑惑によって、笑えないオチがついた。

 他にも推進会議の企画運営委員長による私物化、トータルプロデューサーRKB毎日放送に対する疑念など、新たな問題もクローズアップされつつある。当コラムで数年に渡って指摘してきたことに、地元も気づき始めたということである。


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 最後にガイドブックをザッと見ただけでは気づかないが、業界とそれに関わる人間の動きを読む当コラムとしては、以下のイベントにも触れておきたい。

 F.W.F期間中の3月9日、博多リバレインのHAKATA JAPANで、カラープランナーによる「あなたに似合うネクタイ選びます!」が開催された。

 イベントはすでに終わり、筆者はネクタイを締めないので、あまり興味はない。でも、仮に当日参加する機会を得たのなら、「離婚で苦楽を共にしてきた女房、子供を捨てた結婚相手に似合うネクタイはどんなものか」という質問をしてみたかった。

 あっと、他に書かなければならない記事、やりのこしたデザインがあるので、当コラムはこの辺で締めることにしよう。


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