HAKATA PARIS NEWYORK

今のファッションを斬りまくる辛口コラム

2013年06月

本業はファッション、グラフィックなどデザイン関連のクリエイティブディレクター。創る側の視点で今のファッション関連の事情を評論する。マスメディアはもちろん、業界紙誌も扱わないテーマに踏み込む。

巨大グループ傘下に入ると、なぜかデザインが似てくる?

PPR_Kering































 以前から報道されていたフランスのファッションコングロマリット、PPR(ピノー・プランタン・ルドゥート)がさる6月18日、CIを導入しグループ名を「ケリング」に変更した。

 PPRと言えば、クリスチャン・デオールやマーク・ジェイコブスなどを傘下に持つLVMH(モアヘネシー・ルイヴィトン)グループ、クロエの他にカルチェ、ピアジェといった宝飾・時計ブランドを従えるリシュモングループと、双璧をなす多角経営&ブランド持ち株会社である。


 抱えるブランドの顔ぶれは、 グッチ、イヴ・サン・ローラン、ステラ・マッカートニー、アレキサンダー・マックイーン、そしてドイツのプーマ、アウトドア、ゴルフなどと多彩。また、100%子会社のレッドキャッツは、インターネット通販企業で欧州各国に拠点を持ち、値ごろ感のあるトレンドファッションやPBを販売して、ボリューム市場を開拓してきた。


 しかし、昨年12月にはそのレッドキャッツを売却し、今回の株主総会ではチルドレン部門「Vertbaudet」&ファミリー部門「Cyrillus」についても、投資会社と売却の話し合いをしているという。05年にはパリの百貨店「Printemps」を売却し、レッドキャッツ売却でPB「Redoute」も傘下を離れ、 PPR の「PR」が無くなったわけだから、CIに踏み切ったのもうなずける。

 

 一大ファッションコングロマリットであり、高級ブランドの持ち株会社だから、ちまちま販売しても中々売上げにつながらない部門は切り離し、ラグジュアリーとプーマが得意とするスポーツライフスタイル部門でがっちり稼ごうというのは理解できる。投資家としても、その方が短期にリターンを求めやすくなるので、納得済みかもしれない。あくまで高級ブランド&スポーツが売れ続けるという前提ではあるが。


 今後は傘下の高級ブランドには、単体での収益が重視される。従来はグループ企業が高級ブランドのデザインをコピーして値ごろ感のある商品を企画し、インターネット通販で世界中に売りさばいていた。その売上げがグループ全体の収益をカバーしてくれていたわけだが、こうしたビジネスはもうできない。


 世界的に見れば、グッチやイヴ・サン・ローランは顧客を持ち、米国の景気回復やアジアの成長で期待は出来るだろう。 ステラ・マッカートニーは、日本にもコアなファンがいて人気があるし、来年はサッカーのW杯イヤーでプーマも相応の戦略で臨むはずである。

 懸念されるとすれば、持ち株会社ブランドが収益を重視するあまりに、売れ筋回れ右の全天候型経営に走ることだ。ブランドの独立性は保たれても、どこかデザインが似ていくのではないかということである。


 かつてのグッチとイヴ・サン・ローランのリヴ・ゴーシュは、デザイナーが同じトム・フォードだっただけに、似てしまうのはしょうがなかった。でも、プーマはスポーツシューズづくりのノウハウをもつだけに、これからはグッチやサンローランの高級スニーカーが相似形にならないとも言い切れない。

 クリエーションを重視するデザイナーたちは、そうなることは断固拒否するはずだが、収益が上がらなくなれば退任、交替は止むなしである。それが顕著になるのは言うまでもない。


 パリやミラノのコレクションレベルでは、各デザイナーのクリエーションを通じて、独自の世界観が披露される。ただ、その前後のプレコレクションはどうだろうか。「えっ、このデザイン、あのブランドも発表していなかったっけ」ってなりはしないだろうか。
 売れてなんぼのブランドビジネスだから、しかたない面は往々にしてあるだろう。でも、デザイナーにはあくまで独自のクリエーションを重視して、他にはないデザインの商品を発表し続けてほしいものである。


 まあ、「ブランディング」だの、「クリエイティブ」だのと、稚拙な企画書に意味もなく並べたがる三文ローカルメディアには、ファッションビジネスの根底にあるものなど理解できないだろうが。

コンペ募集はアリバイづくりに思えてならない。

FWF_26













 前回のコラムで、7月1日に開催される「福岡アジアファッションフォーラム」について言及した。おざなりのプログラムで、しかもYA・RA・SEとも思える集客方法も変わっていない。どれをみても、公金からおりた予算を使うためだけのイベントに思えてしまったからだ。


 そこでも書いたが、この春に開催された「福岡ファッションウィーク」の共同販促のキャンペーンとしての「実効性」である。驚いたことに、その検証も報告もなされていない時点で、来春の同キャンペーンについて、今度は「企画コンペ」形式で募集するというのである。

 この春のキャンペーンはコンペなど一切なく、業者に丸投げされ、そのままスタートしたにも関わらずにだ。全く、不可解というしかない。


 しかも、キャンペーンは今年と同じ来春に実施されるのだが、この7月にオリエンテーション、応募申し込み、一次書類審査が行われ、8月上旬にプレゼンテーション、下旬に業者決定というタイトなスケジュールになっている。

 理由はあくまで想像の域を出ないが、この秋から時間をかけてじっくり準備するなら、早めに業者を選定し、前倒しで作業のかかった方が良い。しかし、募集する企画項目はこの春と一緒である。あれだけ、物議を醸し、市顧問後山氏の不正疑惑に白黒がはっきりしていない「カワイイ区」も、企画に加えることになっている。

 

 イベントの仕込みやガイドブック、サイト、ポスターなどの制作には、それほど時間はかからないだろう。重要なことは地場ファッション業界、末端の小売専門店までどれほど賛同させる企画レベルまで持っていけるかである。

 推進会議側は、一般客を集客することばかりに頭がいっているが、商品が売れなければこんなキャンペーンをやっても、税金の無駄遣いである。

 そのためには大小さまざまな店舗に足を運んで呼びかけ、キャンペーンの狙いの浸透させることが重要になる。販促ツールのクリエイティブレベル、 ツールからは決して見えない地道な活動が求められる。それが真のプロモーションキャンペーンの準備作業なのである。

 それを地元ファッション業界を熟知せずして、できるかというと、答えはNoだ。


 この春のキャンペーンがほとんど実効性を欠いているのではとの話は、地元業界、ファッション専門店の多くから聞いた。中でも、とある専門店の代表は「代理店にいいようされている。何の効果も無い」と、吐き捨てた。

 ならば、福岡アジアファッション拠点推進会議の内部で、このキャンペーンを企画に携わった人間がまず、結果と実効性をきちんと検証し、それを情報公開してから、反省するのが先ではないだろうか。


 ガイドブックには地元流通大手はもとより、専門店各社も有料の広告枠を購入している。さらに、期間中に展開された各種イベントには、福岡県や福岡市からは多額の助成金がおりている。つまり、企業の経費や税金を使っていながら、投資対効果がはっきり報告されないでは、許されない。

 地元専門店各社が言うように「効果がなかった」と認めるなら、まず担当者が詰め腹を切るべきである。それが公職ある人間の責任のとり方というものだ。


 ところが、それを行わずして次回のキャンペーン企画を募集するというのは、全く持って本末転倒である。しかも、企画項目や活動内容が同じであることを考えると、今回のコンペは出来レースのアリバイ作りかと、思えてならない。


 もうそうだとすれば、行政と推進会議が発注、選考に携わって来た「FACoと関連の事業」、2793万円もの公金を投下しながら全く機能してない「福岡ファッションビジネス情報発信システム」構築事業、その他諸々の関連事業と同じように、今度はR社とその子会社に事業が流れることが決まっているかもしれない。


 今回も福岡県や福岡市からの巨額な税金が使われることになるのだから、くれぐれも疑われないような公正な選考、発注を望むばかりだ。また、実効性のある事業を実施していただきたいものである。


予算を使うだけに堕ちたフォーラム。

asiafashionforum













 今年も福岡アジアファッションフォーラム開催の知らせが来た。昨年、当コラムで同フォーラムについて書いたところ、同じような事業に疑問をもつ全国の業界関係者から賛同のご意見をいただいた。

 一方、おそらくこの企画に当たっていらっしゃるプロデューサーの御仁だろうか、的を射た指摘が癇癪に障ったのか、反応してこられた。でも、ただ捨て台詞を吐くだけで、反証を挙げるわけでも、議論をするわけでもなかった。


 まあ、ファッション業界はもちろん、地元の各企業の状況でさえろくにご存じないのだから、しょうがないと言えばそうなのだが。ただ、今年も昨年通りの企画内容、プログラムで、講演のみが差し替えられた過ぎない。

 一部が福岡アジアファッション拠点推進会議総会における「前年度の活動報告及び今後の取組み」と、「福岡アジアコレクション(FACo)出展ブランドによる取組み発表」である。その報告時間がたった40分。お歴々の挨拶があるだろうから、正味30分といったところだ。



情報公開できないことを知っての詭弁


 ただ、前年度の活動は例年とは違う。12月から4ヵ月の期間と巨額な予算をかけた共同販促キャンペーン「FASHION WEEK FUKUOKA」が展開されている。事業報告を行うなら、公式サイトへのアクセス率はどれくらいか。ガイドブックの反応は。キャンペーンのレスポンス率は。各店の売り上げへの影響は等々、詳細なデータを公表するのは当然のことだ。

 ただ、時間的に無理だろうし、主催者ははなから詳細な事業結果を発表する気はないと思う。なぜなら、データがあるのはサイトへのアクセス率と懸賞応募の件数くらいだからだ。


 個店が売上げ数字を公表するわけもない。まして、大型店は数字を出してもそれがキャンパーン効果と判断できるかと言えば、必ずしもそうとは限らない。そんなことは企画の段階からわかっていることで、そこが重大な問題なのだ。

 前年度、天神の大型商業施設で、昨対をクリアしたのは「福岡パルコ」と「ヴィオロ」だと言われている。でも、それはJR博多シティに流れていたお客が揺り戻されたに過ぎない。売上げの伸びがキャンペーン効果というには無理がある。


 結局、何のためのキャンペーンだったのかが曖昧で終わった。カネが流れたのは、サイトの制作会社もしくは枠の営業を担当した代理店、そして印刷会社。しかも、期間中のイベントは東京からタレントまがいの業界人を呼んだだけ。そのギャラにも多くの予算が使われている。少なくとも、その費用対効果が詳しく検証されないのは、大問題と言わざるを得ない。


 また、 FACo出展ブランドによる取組み発表も然り。 これまで地元ブランドはSPAばかりで、それではブランド数が揃わずNBまで起用してごまかす始末だった。そんな中で、昨年度は地元メーカー「サベナ」の「マリエッタ」がランウエイに登場した。


 ようやく地元の専門店系アパレルが参加したことで、FACoを絡めた同ブランドの営業戦略や取引手法などが紹介されてもよさそうだ。まあ、企業秘密の部分もあるだろうから、同社が応じるとは思えないし、拒否しても同社に罪はない。

 でも、それを企画を練って何とか説得してこそ、プロデューサーではないのか。ショーの尺に地元ブランドの頭数が揃わずにNBで代用しときながら、翌日の早朝ニュースでは「地元で活躍するデザイナーやアパレル商品を一堂に集めた」と、まやかしの報道をする。

 これも事業継続と予算確保のためのリップサービスでしかないのは、業界人なら誰が見てもわかる。前回のニュースなんか、2回もパブ枠にして報道しているところをみると、一連の公共事業に関わる利害関係者の腐敗がささやかれる中、プロデューサー氏の焦りが見てとれる。



東京情報に頼る企画力の乏しさ


 一方、二部の講演会は、昨年同様に東京から業界人を呼ぶもので、今回は「日本のクリエイティブを世界に発信~アッシュ・ペー・フランスが世界に挑む」である。

 ウエアだけでなく、アクセサリーやインテリアなども扱うアッシュ・ペー・フランスが、定期的に行っている展示会「ルームスリンク」。そして、同社が新たにしかけるイベント「SHIBUYA FASHION FESTIVAL」の取組み~について、話があるようだ。


 全くもって企画運営委員長も、当該プロデューサー氏もイベントがお好きなようである。アッシュ・ペー・フランスは、この春夏から「東京モードを原宿から発信する」をテーマに、クセがあり味の濃いブランドを集めたショールーム「ハラジュク・プロジェクト・ショールーム」を展開している。

 そこで扱う東京ブランドは昨年のルームスリンクでも紹介し、アジア圏も含めて取り扱いブランドの卸し先を開拓している。その集大成として「SHIBUYA FASHION FESTIVAL」という一大イベントを仕掛けるということだろう。


 まあ、同社はもともと青木むすび氏がバイヤーをやっていた時から、独特の感性で世界中から商品を買い付けてきた。筆者もパーティに呼ばれたことがあるが、その世界観にはある種のアングラさも漂っていた。

 でも、ビジネスで考えると、仕入れロットを自社の店舗で捌くのは限界がある。そのため、ルームスという展示会も企画して全国からマニアなバイヤーを集めて来たのだ。それを今度はデスティネーショントーキョーやウォールのバイヤーを務めてきた益子杏子氏が逆に「東京発信のクリエーション」を、展示会やイベントで発信しようということだ。


 でも、そんな話を聞いたところで、地元のアパレルやデザイナー、小売業者にどうしろと言うのか。東京・原宿やっていることを福岡でもパクろうというつもりか。デザイナーを目指す学生に福岡でもそんなクリエーションを作れというのか。素材も、工場も、流通ルートも確立していない福岡でである。まさにファッション音痴のプロデューサー氏の発想でしかない。

 まして、予算の大半をイベントやタレントに使っときながら、地元のアパレルやデザイナーには資金を拠出せず、「自前で商品を用意しろ。俺たちが器を準備するから」と、言っているようにしか映らないのである。


 事業の中心は福岡アジアファッション拠点推進会議である。東京からばかりの情報をもたらして何をやろうとしているのか。そんなことをやればやるほど、プロデューサー氏は何も考えず(考えきれないのは確かだが)に、ただ予算から自社のマージンを抜いているだけに過ぎないと言われてしまうのだ。


今年もFUBAに動員をかけるYA・RA・SE?


 もっとも、今回のフォーラムも日時は7月1日、月曜日、午後4時からである。昨年も書いたが、この日は県内の理美容院の多くが「店休日」である。プロデューサー氏としては今年もフォーラムの集客を考え、福岡アジアファッション拠点推進会議の参加団体であるFUBA(福岡県美容環境衛生同業組合)に動員をかけるのは言うまでもない。

 でも、参加者の大半がヘアサロンのオーナーやスタッフで、FACoの報告や東京ファッションのビジネス情報が役に立つのか。若手スタッフならクリエーションや商品には関心はあるだろうが、展示会での仕入れや利益のノウハウなんて何の役にも立たないはずである。ここに「集客さえはたせれば、フォーラムは成立した」というプロデューサー氏の姑息な考えが見え隠れする。


 もっとも、先日、FUBAの組合員であるヘアサロンのオーナーがこんなことを話してくれた。

 「FACoのチケットは始まった時から、組合が組合費で買っているんだけど、私たちは店があるのでとても行けないのよ。だから、(組合がやっている)学校にチケットが流れ、多くの学生が行っているみたいね。学校もただで行かせるわけには行かないから『勉強になるから』と理由をこじつけて。でも、あんなイベント見て、勉強になるわけないのに」と。


 まさに図星である。学生が「もえちゃ~ん、エビちゃ~ん」と黄色い声で叫ぶ他に何を学ぶと言うのか。バックステージに入れば別だが、会場での写真撮影さえ厳重に管理する芸能事務所側がそれを許すはずはないのである。

 つまり、今回のフォーラムも、福岡市から拠出される年間1200万円他の補助金を何とか消化する場であり、プロデューサー氏はそれを使ってマージンをハネ、自社の利益にし、企画運営委員長は関係者の利害調整をしているに過ぎない。


 「地元ファッションの振興」なんてのがいかにも安っぽく聞こえ、口実に過ぎないことがよくわかる。事業は予算を使い、関係者が甘い汁を吸うだけのものに堕ちている。

ロープレコンテストは、スタッフ不足の解消になる?

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SCのパルコがこの6月から、「チーム力で競う接客ロールプレイングコンテスト」を開催する。池袋店を皮切りに全国10店舗で来年の2月まで継続されるようだ。

 特徴はコンテスト開催に至らないショップのスタッフや、ファッション専門学校の学生が観覧できること。出場の条件は店長以下のスタッフに限定。店長は指導役となってスタッフの接客トレーニングを行うことで、マネジメント能力も磨く目的もあるという。


 パルコ側が外部の専門学校にまで観覧を許したのは、「ファッションビジネス界で働くことを目指す学生を対象に、販売志望には接客の楽しさとパルコへの興味関心を、デザイナー志望には、将来自分が手がけた商品を販売してくれるスタッフの努力を感じてもらいたい」ためと言っているが、果たして効果はどうなのだろうか。


 少なくとも、テナントの販売スタッフにとっては、観覧回数が増えるほど学習効果が働いて、自分のスキルアップに繋がるかもしれない。ただ、それは店舗間が近い東京近郊なら可能だが、広島店や福岡店のスタッフが簡単に上京できるとも思えないから、限定的だ。

 専門学校との関係では、「学生に接客とは何ぞや。販売テクニックやセールストークが学べる実践勉強の場にする」という大義はあると思われる。

 一方、専門学校側には無知な学生に現実をわからせたい、何とか就職するきっかけと作らせたいという思惑も垣間見える。


 まあ裏読みすれば、パルコやテナントがここまで踏み切った背景には、販売力の低下があるだろう。また、販売を取り巻く環境の変化や人材不足が頭をもたげていることもあると思われる。

 つまり、ファッション業界における構造問題が大きなネックになっているのだ。逆に考えると、単なるロープレという話題づくり、コンテストというインセンティブ・キャンペーン、専門学校の課外授業などの次元では、問題は解決しないということである。


 ロープレコンテストは、(社)日本ショッピングセンター協会が主催するものが有名だ。今年も1月18日、パシフィコ横浜にて「第18回SC接客ロールプレイングコンテスト全国大会」が開催された。しかし、パルコからは物販部門、飲食サービス部門とも出場していない。

 昨年の大会には、静岡店から靴のダイアナのスタッフが出場したが、1995年の第1回大会以降、パルコは1度も大賞者を出していない。ルミネやイオン、三井不動産からは出ているところを見ると、やはりテナント教育の課題が指摘されて当然である。




接客・販売力の強化=パルコはそぐわない。


 言い換えれば、都市部の一等地に店舗を構え、若者向けの人気ブランドをリーシングし、集客イベントと絡めれば売上げがあがる。パルコはそんなビジネスモデルの域を脱しきれていないということだ。

 しかし、今はブランドを買うなら、ネット通販があるし、イベントは集客目的でないほうが面白い。デベロッパーとしてお客を来館させるには、サイレントマジョリティの声を拾い、それをテナントにフィードバックして、店頭の品揃えや接客に生かさなければならない。

 そうした基本というべきものが、できていないのかもしれない。


 テナント側を見ると、さらに深刻だ。一部の有名ブランドを除けば、「販売スタッフ」は募集してもほとんど集まらなくなっている。10時から20時、土日が休みでないというレイバーシフトを考えれば、派遣社員で手当てでいるわけでもない。

 もはや、今の若者が旬のブランドを着て、売場に立ち接客することと、月別店予算達成や個人ノルマをクリアすることを両天秤にかけると、「販売の仕事をしたい」なんて考えるのは、ごく少数ではないのか。それが応募の少なさに表れている。


 そして、専門学校の立場である。かつてのようにデザイナーやパタンナーの育成だけでは経営が発ち行かなくなっている。しかし、「スタイリスト学科」なる名前で学生を集めたはいいが、正式な就職先になると「販売スタッフ」くらいしかない。

 まして、デザイナー志望の学生が自分がデザインした服のセールスまで考えるかと言えば、甚だ疑問だ。DC全盛時代ならともかく、今のパルコにデザイナーが作るような服を扱うショップがそれほどあるとは思えないからである。

 販売の仕事をしたいなんて若者が少なくなっている現状で、販売の現場を見せたくらいで販売職を目指そうという学生が増えるとも思えない。むしろ本当に販売が好きなら、高校を卒業してそのまま入るだろうからである。

 

 ロールプレイングは教育の一環であり、コンテストはインセンティブが目的だ。ただ、パルコには、どうしてもI&S時代からのクリエリティブ戦略に頼るDNAを感じてしまう。I&Sが外資系広告代理店の傘下に収まった今でも、そこがいろいろと仕切っているのは事実である。

 であるがゆえに、今回のロープレコンテストも「話題性」や「イベント」先行で、教育・インセンティブの視点がきわめて見えにくいのである。

 何より身内で行い、切磋琢磨できるかわからないコンテストで、どれほどテナント教育が進み、スタッフの接客・販売の力がブラッシュアップされるか。全く未知数と言わざるを得ない。


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