HAKATA PARIS NEWYORK

今のファッションを斬りまくる辛口コラム

2014年05月

本業はファッション、グラフィックなどデザイン関連のクリエイティブディレクター。創る側の視点で今のファッション関連の事情を評論する。マスメディアはもちろん、業界紙誌も扱わないテーマに踏み込む。

素材に見るもう一つのW杯。

adidashoodie





















 いよいよ2014FIFAワールドカップブラジル大会が6月12日から開催される。日本代表には、なでしこのアジア杯優勝を追い風に、ぜひとも前南ア大会以上に決勝トーナメントで、ジャパン旋風を巻き起こしてもらいたい。


 一方、ワールドカップは、スポーツメーカーのマーケティングと市場の拡大という絶好の機会にもなっている。大手ブランドは各国の代表チームと契約し、胸についたロゴマークは世界中に露出するわけで、大会前から後にはブランドのジャージやレプリカユニフォームの売れ行きにも直結する。


 それが繊維メーカーや製造アパレルには、市場の拡大、売上げを左右することになり、スポーツショップにとっても競技用とは違う商品の拡販につながっていく。日本人だから日本チームの商品を購入するだけでなく、ファッションアイテムとして他国のジャージやユニフォームを購入する層も出てくるはずである。


 ところで、昨年11月、アディダスが製造する今大会の日本代表ユニホームがお披露目された時、円陣デザインや軽量化とは別の話題が業界を驚かせた。それは前回の南ア大会で採用されたのが東レの「ファブリックダブルエックス」だったのに対し、今回は日本メーカーの製品では無くなったことだ。


 アディダスは採用した繊維メーカーの詳細を明らかにしていない。でも、業界ではもっぱら中国のS社や台湾のN社、韓国のB社といった世界の名だたるポリエステル繊維メーカーではないかとの憶測が飛び交っている。


 東レは前回、それまでの素材に比べ、吸水性は3倍、乾燥速度は2倍向上し、30%も軽量化した高機能素材を提供したと自負していた。当然、日本チームはベスト16入りを果たしたわけだから、ユニフォームや繊維も選手たちの高いパフォーマンスをサポートしたと言っても過言ではないだろう。


 ところが、今回はそうした日本メーカーの高い技術力は、アディダスにとっては何の採用条件ではなくなったということか。と言うより、もう日本メーカーの技術=格上、アジアメーカーの技術=格下というのは、過去のもの、単なる過信になってしまったのかもしれない。


 筆者の知り合いである産地やテキスタイルメーカーの関係者も口を揃えて、「日本製品、日本ブランドが最良ではない」と言っている。つまり、アジアメーカーの製品開発力は、日本メーカーのレベルに限りなく近づいているということだろう。


 であるからこそ、アディダスのような大手スポーツメーカー、特にサッカーを主力にしてクローバル戦略を進めるところは、素材コストに対する機能レベル、クオリティを考え、調達先の繊維メーカーを決めているのだ。それが日本メーカーが自負してきた「高機能素材」が大手ブランドにとって絶対的価値では無くなったことを如実に表す。


 もっとも、選手のユニフォームなら、まだ機能追及の面は残っている。しかし、一般向けのジャージ、特にファッションアイテムを意識したものでは、量産の繊維が使われているのは当然だ。ここにもグローバル戦略の性格が表れているように感じる。


 アディダスの場合、おそらくマーケティングは本国のあるヨーロッパの他に、アジア、北米、南米というエリアごとに行っていると思う。それぞれの市場性にあった商品を開発するということだ。当然、気候や風土に沿った繊維が使われることになる。


 先日、懇意にするフランスの問屋からも、ワールドカップに関わるアディダスの情報が入ってきた。この問屋では日本同様に現地まで応援に行くサポーター向けに、アディダス・ヨーロッパの製品を軸にいろんなアイテムを仕掛けているとのことだ。


 ブラジルはこの時期は冬になるが、亜熱帯気候だからそれほど寒くないかと言うと、試合会場によって気温較差は激しい。だから、コットンの混紡率を上げて汗の吸収を高めたり、メルトンや裏毛にして防寒対策をとった仕様も加えているとのこと。


 例えば、日本代表がコートジボアールと戦うレシフェは、熱帯雨林気候で日本以上に蒸し暑いと言われている。ギリシャ戦のナタールも同様だ。コロンビアと戦うクイアバは、アマゾンの内陸部にあることから平均気温の日格差は、13度以上ある。選手以上にサポーターの温度調整は、難しくなるかもしれない。


 これは他国のサポーターにとっても同じ。だから、スポーツアパレルにとって、ブラジル大会ではアマゾンの内陸と大西洋沿岸、高地と低地でウエアや繊維のマーケティングができることも意義深い。今回大手ブランドの契約先ではアディダスが9ヵ国、ナイキが10ヵ国、プーマが8ヵ国と、ほぼ互角の戦い。


 他には洗濯したら縮んだとクレームがついたドイツの「ウーシュポルト」、ベルギーチームに提供しているスイスの「ブルダ」など、サッカー専門のスポーツメーカーも顔を並べている。


 でも、こうしたスポーツアパレルに素材を提供するのが、ほとんどがアジア系の繊維メーカーだと思われる。いつの間にか日本がお家芸としていた「ファブリック&テキスタイル」がアジアシフトに変わりつつあるのだ。


 でも、それに日本メーカーも指をくわえて見ているだけではないと思う。サムライブルーを纏った日本代表チームの快進撃と並行して、大会後には日本メーカーの覇権奪還への戦術、戦略も興味深く見ていきたい。


ファッションと思えないプリントT。

utme










 ユニクロが
「UTme!」と銘打ってスマートフォンやタブレットから、自分だけのオリジナルTシャツを作れるサービスを始めた。専用に開発されたアプリを使えば、指先で自由に絵を描くペイント、規定のフォントが使えるタイポグラフィー、撮影した写真をレイアウトするフォトの方法で、自由にデザインができる。


 ここまでなら、すでに街のプリントTシャツ屋でも行っている。ユニクロもそれは先刻ご承知のようで、さらにインクを飛び散らせるスプラッシュ、あえてエラー効果を加えるグリッチ、そしてモザイクと3つのフィルターをかけられ、スマホを振る“シェイク”でエフェクトの強さが変わるという、Photoshop並みのデザインテクまでプラスしている。


 デジタル技術が進化し、さらにインターネットの浸透とアプリケーションのローコスト開発がこのようなサービスを可能にしたわけだ。上場企業のユニクロだから、大々的に報道されるが、サービスやシステムそのものは、別に珍しくも何ともない。


 実際にでき上がったTシャツを見ていないので、出来映えがどの程度のものかはわからない。ただ、プレスリリースの写真を見る限りでは、ブラザーの「ガーメントプリンター」を使用しているので、印刷レベルは店頭で販売するUTと遜色ないか、プリントショップの熱転写を凌ぐレベルだと思う。


 ただ、プリント技術はすでにあるものだし、いくらオリジナルだからといって、それほど興味をそそるものでもない。また、専用のアプリケーションや衣料用のインクジェットプリンターを使うのだから、あらかじめプリントの画質を平準化させる狙いがあるのはわかる。


 写真や素材をフリー使用させると、仕上がりにバラツキが出てクレームになりかねない。そうした対策も考えた上での技術サービスということだろう。


 では、実際にプリントの仕上がりはどうなのだろか。これはファッションというより、グラフィックの見地から考えてみたい。まず、サービス内容でペイント、グラフィック、写真の3つを用意したところがミソだ。


 今のデジタルプリントでは、画像は小さなドット(点)の集まり=画素で表現される。だから、1色のイラストや文字なら画素数は少なくて済む。データも重くないので、ネット送付でのサ-ビスも可能になる。UTme!でいうところのペイントやグラフィックがこれに当たる。


 アプリに用意されたいろんな筆使いのタッチやロゴフォントくらいのデータなら、デザインレベルは別にして、そこそこの=販売用に足る再現性は確保できるということだ。


 ブラザーのガーメントプリンターは、Tシャツのプリント専用に対応する。仕様はデジタルソフトのIllustratorやPhotoshopにも対応できる。カラーはCMYKの4色で、解像度は600dpi~1200dpiと、一般印刷物の2~4倍の高画質まで再現する。記録手法はインクジェット方式による直接吹き付けで、インクは水性の顔料だ。


 Tシャツだからカラーの上に「白」の上刷りも想定し、インクはシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの他に「ホワイト」もオプションで追加できるようになっている。カラーTシャツには、白色でプリントが可能なのである。


 つまり、ボールドのロゴはもちろん、ベタっとしたタッチの筆使いなら難なく再現できる。さらに「かすれ」のあるカリグラフィー(筆文字)までも、5色カラーのどの色でも十分に対応できるということだ。


 問題は、写真の画質である。スマートフォンカメラの画素数は500万画素~800万画素。デジタル一眼レフの半分以下である。だから、Webサイトの画像やサービスサイズの紙焼き写真なら、素人目には問題ない。画質は十分許容できる範囲だろう。モノクロ写真なら陰影が際立ってカッコいいだろうが、カラー写真は厳しいのではないかと思う。


 ところが、B1サイズのポスターになると、この画素数では画質が荒れてくる。では、Tシャツくらいのサイズではどうか。だいたい縦横30cm~50cmのスペースで、再現される写真の画像は、微妙だ。モノクロ写真なら陰影が際立ってカッコいいだろうが、カラー写真は厳しいのではないかと思う。


 いくらプリンターの解像度が高度でも、元データの画素数が低いと再現性は落ちる。ただ、お客の中にはそれで十分良いという人もいるだろうし、今イチという人もいるかもしれない。ユニクロはPCにも対応しているというが、あまりに高画質にすると、今度はネットで送付するデータを圧縮しなければならないなど、別の手間が生じてくる。


 そこで、ユニクロ側はプリントの表現技術にグリッチやモザイクを加えた。この意図を表向きに考えると、「オリジナルデザインにさらなるエフェクトを加えて、お客さんのクリエイティビティが高められますよ」という理由付けになる。


 裏を返せば、写真をメリヤス生地のTシャツにプリントすれば、「写真があまりきれいじゃない」と言われかねない。だから、万一のクレームに備えた「逃げ道」を用意したと言えなくもない。クリエイティビティとは、使う人間にとって都合の良い考え方だからである。


 クリエーターとしてプリントTシャツを見た時、デジタル技術の発達でここまで来たかという印象だ。しかし、グラフィックデザイン、プリント=印刷物では、光彩やシャドウなど表現方法はまだまだいろいろある。まあ、たかだかTシャツのプリントに高度なデザイン処理は求められないだろうが。


 でも、ファッションとして考えると、言いたいことはある。そもそもプリントTシャツがファッションかということだ。筆者はグラフィックデザインの領域だと思う。既成の無地Tにプリントするだけだからだ。


 ファッションとしてのTシャツは、オープンエンド糸やコーマ糸といった糸から選び、それらで織った天竺、綿麻混など素材に、いろんなパターンやデザインを施して、縫い上げた「Cut&Sew(カットソー)」に他ならない。


 ここではまず、生地を先染めして微妙な色や風合いを出すこともあるし、縫った後に絞りや蠟纈(バチック)といった染め加工を施す場合もある。さらに図柄を刺しゅうで表現することもある。


 かつての裏原ブランドでは、タイプフェイスに凝ったロゴをフロントやバックにプリントしていた。ここまでならグラフィックデザインの領域を出ないが、自称デザイナーの彼らはそれをブラックやネイビーといった色無地に「染め抜き」することで、ブランドロイヤルティを上げいったのである。


 また、10数年前に登場した「ちびT」は、Tシャツのパターンそのものを変え、女の子の体型にフィットさせメリハリのあるボディを見せることでヒットした。それがTシャツブラという副次的にアイテムの登場も促した。これがファッションとしてのTシャツだと思う。


 ユニクロは既成のTシャツ、しかも5オンス程度のものにオーバープリントするだけだ。色無地のプリントでは白のインクを使えるから、結果として染め抜きと同じ配色になる。もちろん、白無地なら普通に「書き上げ」状態だ。


 でも、インクジェットプリンターによる「顔料」印刷だから、表面がテカって素材との一体感は感じられない。まして、染め抜きのような独特な風合いなど全くない。どうしても工業製品的な産物の域を出ないのである。


 柳井正社長は「服ではなく、着る人間が個性を出す」が持論だ。だから、今回の UTme!はお客がオリジナルデザインする意味で、これ以上の個性や表現力はないと考えているのかもしれない。


 でも、企画デザイン、パターン、糸、織り、染め、縫製、後加工をはしょって、ITとデジタルプリントで簡素化すれば、それはファッションではなく、大量生産の工業製品に過ぎない。


 アルマーニがコレクションの最後、ランウエイに登場する時、決まって着ているTシャツがある。これはカシミア製と言われている。ユニクロだってカシミアのセーターは企画しているが、Tシャツにまで向かうことはない。


 その差は何か。やはりアルマーニがファッションという世界観の中でTシャツを作るのに対し、ユニクロはコストや効率を優先する工業製品的なアイテムとしてのTシャツを見ているということだ。だから、価格は2000円以下で、ワンシーズン着れれば十分というベクトルになる。


 ユニクロがこのサービスを発表した時、お客に同意させる規約には「投稿したデザインの著作権をすべて同社に無償で譲渡し、著作人格権も行使しないとしていた」と、取り決めていた。


 ところが、ユーザーから「オリジナルデザインを、無断で量産して販売できてしまう」「自分のデザインを勝手に改変して販売することを許す内容になっている」などの反発を受け、「著作権はユーザーのもの」とする内容に変更した。


 ユニクロが変更前のような規約を設けた点を見ると、UTというブランドが限界に来ていることが窺い知れる。キャラクターやデザインアーカイブのTシャツにおいて、その資金力にものを言わせて版権を購入し、広告費をかけてブランド化したまでは良かった。でも、その手法も販売面では限界に来ているということだろう。


 ならば、行きつく先はオリジナルしかないわけで、そのデザイナーを素人のお客にまで広げ、その中からヒットアイテムになる掘り出し物を探そうというのは、誰でも考えつくことだ。ユニクロビジネスの軸、「効率」や「ローコスト」を考えれば、なおさらである。


 昔、表参道を歩く若者の間でヒットしたTシャツに「ラ・エスト」の“チャリンコ”デザインがあった。まさにファッションアイテムの代表格だ。また、DCやマンション系アパレルは、肉厚でコシがある生地を使い、カッコいいシルエットの「カットソー」を企画していた。


 われわれ専門店系アパレル出身者は、 カットソーと聞くだけで、上質なメリヤス生地を使い、ガンガン洗濯しても伸びないアイテムを想像する。たかがTシャツではないか。確かにそうだ。でも、されどカットソーなのである。


 ファッションならば、Tシャツでも作り手の技やこだわり、クリエイティビティへの熱い思いが欠かせないと言うことである。


終焉か、復活か、ビブレの可能性。

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 さる5月11日、岡山ビブレが閉館した。すでにビブレは都市型SCとしてのブランド力、発信機能も失ってしまった。営業面でも若者しか集客できないため、親会社のイオンとしても売り上げ効率の悪い館は、さっさと見切りをつける考えのようだ。


 でも、筆者にとってビブレは公私に渡り、お世話になった。1980年代の半ば頃だったと思う、同じマイカルグループの中でスポーツクラブの「エグザス」が産声を上げた。


 伊勢丹や西武がライフスタイルで打ち出した「ヘルシー」。それは米国から上陸したフィットネスブームよって、より具体的な「シェイプアップ」「ウエルネス」という概念に昇華した。それにファッションのエッセンスを加えたのがエグザスだった。


 エグザスは原宿ビブレ21をはじめ、マイカルの主要施設にリーシングシングされた。ちょうどマガジンハウスがターザンを創刊し、バブル経済が到来すると、エグザスも大幅な資金投下を行い、プロモーションに力を入れた。


 企業はリクルーティングのために法人会員になり、個人はステイタスの象徴として会員権を購入。それが原資となって別の施設が建設され、会員獲得にためにプロモーションに注力する。こうしてスポーツクラブはブランド化していった。


 外国人モデルの中からイメージにどんぴしゃなタイプを起用し、スタイリストに命じお洒落なレオタードやフィットネスシューズを着用させて、スタジオ撮影。それが終わると、クラブに移動してジャグジーバスの入浴シーンを撮影する。


 施設というハード、インストラクターやプログラムというソフトが充実し、まさに「スポーツコミュニケーション」がビジネスになった。その直中で仕事ができたのは、今でもいい思い出である。


 一方、プライベートでは、ビブレでよくショッピングをした。ちょうど、原宿ビブレがオープンしたのが1984年で、DCブームが翳りを見せ始めた頃。どのブランドも似たり寄ったりで面白くなくなり、かといってビームスのようなアメカジ志向でもない。その空白を埋めてくれたのが、何を隠そうビブレだった。


 その話をマイカルの販促担当者にすると、「ニチイから衣料品の開発に力を入れていた。ビブレには値ごろ感のあるPBも投入している」との答えが返ってきた。手前味噌ながらDCファンの感性をある程度、惹き付けてくれたのだから、ビブレのマーケティング力は秀逸だったのだと思う。


 服だけでなく、生活雑貨も都会的なものが多かった。いつもなら、わざわざ合羽橋まで出かけて探すテーブルウエアも、ビブレにはちょうど良いものがあった。さらにマンションのインテリアとのコーディネートを考え、ソファまでここで調達した。


 海外出張用のキャリーケースも当初、レンタルで済ませていたが、帰国後に返しにいく貧乏くささが嫌でしょうがなかった。そこで、カメラ店に返却しにいった足で、原宿ビブレでフランス製の「Superior」を見つけ、即買いした。


 今、振り返ると、ビブレの真骨頂は都会生活者をターゲットにするマインド型編集の上手さだった。売場から常に新しい情報を発信することで、エージの枠を超えてファッションリーダーをつかんできたと言える。


 ところが、バブル崩壊以降は勢いを無くし、マイカルの破綻でイオンの傘下に入ると、良いようにされている。ダイヤモンドシティ(現イオンモール)でのリーシングでは、「郊外でも若者を惹き付けた」と、イオンは語る。


 でも、それはイオン側に「ビブレは都市型SCでなくてもいい」との抗弁材料を与えてしまったことになる。岡山ビブレの受け皿はこの秋、向い側に開業するイオンモールで十分に果たせるという理屈にしても、そうだ。


 そんなことを考えている時、「天神ビブレ」のリリースを見た。ビブレは1982年に開業した「天神VIVRE21」、今の天神ビブレがルーツなのだ。だが、この1号店もかつての勢いは無く、パルコの進出、JR博多シティの開業で、苦戦が続いている。


 何せ、1階南側入口すぐ脇に地元店の「ダブルハート」を展開させていたくらいだ。それほどNBから期待されない館に落ちていた。そんな状況から脱却すべく、「初夏リニューアル」と題して、4月末に6店舗の新店、13店の改装を行っている。


 ダブルハートはファッション誌に登場する「旬のブランド」のECが主力。そのため、バッティングの問題から、ビブレ店は他ブランドによる品揃えにしていた。でも、それでは売上げが取れなかったのか、この2月に撤退している。


 代わって今回のリニューアルでは後地に「ロキシーストアー」がリーシングされた。あと「パープル&イエロー」「ボナジョルナータ」の2店が登場。他にはコスメ業態の「ABCコスメストアー」がオープンしている。


 2階にはセクシーをテーマに「VG」「プディング」「バニティフェイス」「クラブ」がオープン。メンズでは「ホライゾン」「シュリセル」が新たに導入されたが、大半は売れ筋に陳腐化して、ロイヤルティを無くした名ばかりブランドだ。 


 リニューアルと言っても、やはりファッションテナントは小粒で、他の商業施設と堂々と対峙できるようなパワーを取り戻すまでにはいっていない。


 おまけにイオン傘下ゆえに狭い売場にも関わらず、「スポーツオーソリティー」が導入されている。逆に数字が取れるハンジローやGUはそのままなのだから、営業サイドのジレンマが窺い知れる。コンセプトなんてあって無いようなものだ。


 もはやお客は好きなブランドがあれば購入するという感じで、ビブレの発信力に何の期待もないだろう。欲しいブランドの購入はスマホで十分にいける中、リアル店を抱える都市型SCはどうあるべきかを、根本から考え直さなければならないと思う。


 試着しないと買う気にならない。販売スタッフとの会話やコーディネートを楽しむ。ショッピングの感動を味わいたいなど、実店舗で保守的な買い方をするのは、むしろアダルトの方だ。だからいっそのこと、そのゾーンにシフトしてはどうだろうか。


 レディスを中心にメンズも含めコンサバ、コンテンポラリー、モードといったテイストで区切り、マインド編集する。また、テストマーケティング的なショップも導入してみる。かつて渋谷109がヤングで失敗したケースの大人版だ。


 地方では厳しいから、集客力をもつ大都市に限る。売上げ的にはペイしないなら、流行の「ショールーミング」を導入してみる。ECによるストック配送でも、購買時点が実店舗ならデベロッパーは、部率をもらえる契約にすればいい。


 原価率を20%程度まで圧縮した服に、出店コストや物流費を含めた利益を載せて、都市部のビルインで売ったところで、もうファッションリーダーは飛びつかない。特に大人の洋服好きは、全国津々浦々で同質化したファッションに辟易している。


 だからこそ、もう一度、専門店系アパレルやクリエーターを中心にした上質なブランド編集に回帰し、ショールーミングというリスクヘッジを施して、新しい都市型SCのビジネスを創造してはどうだろうか。


 立地は一等地ながら、じり貧のファッションビルが復活するには、付け焼き刃的な対策では無理である。ゼロからコンセプトやマーケットを見直す時期に来ていると思う。

上質な白Tは意外に少ない。

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 モデル撮影をする時、意外に困ることがある。小道具に使う純白で質感のあるTシャツが日本には意外に少ないのだ。


 筆者が大学生の頃は、純白のTシャツといえば、米国製の「Hanes」と決まっていた。3枚セットの袋入りで、綿100%のレッドとポリエステル混のブルーがあった。でも、どちらも生地が薄く、赤は一度洗濯すれば襟が伸びてヨレッとなり、ブルーは型くずれしない分、真夏に着るとは暑かった。


 他に「フルーツオブブルーム」というブランドもあったが、こちらも質感では Hanesと大差はなかったように記憶している。リーバイス・ジャパンもグンゼのPBで発売していたが、ブランド料が載せられて大して良くもないのに「この価格か」って感じだった。


 その後、無印良品が天竺の無地を発売したが、「天然素材」「粗野」を売りにしたため色なしは「生成り」になった。ユニクロはカラーとプリントを使ったTがメーンで、無地は4オンス程度の薄手しか作っていない。


 純白のTシャツはどうして下着のイメージがあるのか、各社とも企画に二の足を踏んでいたようだ。ブランドメーカーが作る場合は「ワンポイント」が入らないと、付加価値がつかず価格を上げられないという意識があるように思う。


 結局、大手ジーンズチェーンがテレコやワッフルなどのデザインものの隙間を埋めるため、6オンスくらいのベビーなものを投入した。それが10年くらい前だっただろうか。それでもシャツインナーの感覚だから、シルエットは何となく野暮ったかった。


 一方、最近ではプロモーション用の方が純白は素材、サイズ、厚さと種類が多い。ただ、これもユニフォームの下地向けなので、ブランド感覚はない。ネットを見ただけではサイズや着心地、質感もわからないし、取り寄せれば、送料がかかってしまう。


 それでも、撮影用の小道具には十分マッチするから、昔に比べると隔世の感がある。そんなことを考えていたら、2014年春、ついにヘインズブランズジャパンから、「Hanes T-Shirts 14SS Japan Fit 」が発売されたので、早速買ってみた。


 こちらはまさに純白のブランドTで、下着にもアウターにも着ることができる。日本人の体型に合わせて着丈を短く、アームホールを絞り、襟ぐりを細めに設計。また、製品にあらかじめ洗いをかけてあり、心地よい風合いを出している。


 アメカジテイストのTシャツでは、すでに「Anvil」というブランドがある。米国アンヴィル社の主力ブランドで、生地は6.1ozとこしがある。ユニフォーム用に売られているためカラーバリエーションも豊富で、ファッションでも十分いける。


 ただ、如何せん、米国仕様だけに着丈が長い。Mサイズで73cm以上あるから、モデルの身長に合うようにスタイリストに命じて裾上げをしなければならない。


 スタッフが裁縫の技術をもたず時間もないときは、ベルトで裾を止めてごまかすこともあるが、やはり皺が出てスタイリングが決まらない。モデル撮影ではジャストサイズのTシャツは、ディレクターとして譲れないところだ。


 ファンデーションなどで汚れることを想定すると、撮影で使用する純白のTシャツは必ず予備を用意していかなければならない。その点、2枚パックはありがたい。価格も2500円程度と値ごろ感があり、コレくらいなら撮影経費で落とせる許容範囲だ。


 これらの条件を総合すると、Hanes T-Shirts 14SS Japan Fit は、待望の1枚と言えそうだ。ご多分に漏れず、中国製ではあるものの、かつてのような米国仕様ではなく、日本企画だから質的にも申し分ない。


 カジュアルライクなシチュエーションでは、アウターに着せる場合、ガーメントウォッシュで洗いをかけた風合いがちょうど良い。首回りがチクチクしないダグレス仕様も、「肌が弱いだの、アレルギーだの」とわがままを言うモデルにはもってこいだ。


 白須次郎の時代には、Hanesはカッコ良さの象徴だったのかもしれない。でも、すぐにヨレヨレになるから、買うのに二の足を踏んでいた時代から30数年。遅ればせながら、ヘインズもやっとジャパンマーケティングに本腰を入れたようである。


 バブル経済が終焉を迎え、デフレが進んだ時代には、3Pパックはどこが一番安く売っているかを競っていた。でも、今はいくら安くても質が悪いものは売れない。


 まあ、「値ごろで、上質で、風合いがあり、シルエットも良く、ブランド性をもつ」なんて、Tシャツに要求する人間なんてそうそういないだろう。


 でも、結果として、Hanes T-Shirts 14SS Japan Fitは、それらのニーズをほぼ満足させてくれていると、個人的には思う。たかがTシャツ、されどTシャツなのである。 

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