HAKATA PARIS NEWYORK

今のファッションを斬りまくる辛口コラム

2017年01月

本業はファッション、グラフィックなどデザイン関連のクリエイティブディレクター。創る側の視点で今のファッション関連の事情を評論する。マスメディアはもちろん、業界紙誌も扱わないテーマに踏み込む。

流行はボトムから浸透?

widesilhouette_mens 今年のトレンドはどうなるのか。さらに売れるアイテムとなると、予測は難しい。アパレル業界が厳しい環境に置かれている中で、何とか抜け出そうという仕掛けがうまくトレンドになってくれると、儲けものと言った感じだろうか。

 デザイン面の傾向と言えば、一昨年にこのコラムで「太めが復活しそうな予感」と題して書いたが、昨年あたりからメンズでは、ヤングのトップスでワイドシルエットを取り入れる動きが出始めている。

 昨年の春夏はSPAを中心にビッグシルエットのTシャツが売り出され、秋物ではセレクトが打ち出したワッフルにも、リラックス系のシルエットが加えられた。MA-1の進化型としてパッデッドでドロップショルダーのジップアップジャケットも出てきている。ワイドなトップスなら、今年はヤングアダルトくらいまで広がる予感がする。

 細身一辺倒だったボトムでも、すでに「oversized」が散見されるようになっており、なおかつクロップドやロールアップしたものが登場している。雑誌メディアはスタイリング提案をし始めているが、実需レベルでいきなり上下とも太めにすると、上背があってよほどスタイルが良くない限り野暮ったく見えてしまう。まして一大トレンドになるかは別問題だ。今年のマーケットがゴロっと変わるかは、秋以降の商戦になるのではないか。

 戦略的、先行提案で考えると、商品にバリエーションを増やせるSPAなら、1アイテムが10型くらいあれば半分程度を太めにして様子をみることができるだろう。昨年のMDでその動きを見せたところもあった。おそらく今年はさらに顕著になるかもしれない。

 セレクトはどうだろうか。派生業態を持っているところなら、思いきって挑戦できなくはない。でも、オンリー業態がフェイスをいきなり変えてしまうのは、反動が大きさから二の足を踏むだろう。なおさら、仕入れオンリーの店舗になると、個々のメーカーがこぞって打ち出さない限り、打ち出しは難しい。

 そもそも日本セレクトは、根底にアングロアメリカンスタイルがある。それを日本人の体型に合わせて焼き直して売れたわけで、モード感漂うリラックススタイルとは相容れないはずだ。御三家にとっては太めのシルエットと言っても古き良きクラシックが本筋だろう。なおさらカジュアルに取り入れるのは容易ではないから、アメリカンスタイル本来のシルエットに回帰する方が妥当ではないのかとも思う。

 だが、後発、新興勢力のセレクトとなると、思いきってトレンドを仕掛けないと、市場もなかなか反応しないわけで、その辺の塩梅が今年の勝負所かもしれない。トップスは比較的受け入れやすく、ユニクロでもできるが、ガラっと変えて行くには、いかにカッコよく穿きこなすボトムを提案できるかだろう。

 平均的日本人の脚の長さ、ヒップラインという永遠のテーマに対して、スタイル良く見せるシルエット&着丈&裾幅の黄金比率があるかどうか、また導き出せるかどうかである。試着をしたお客に対し、ショップスタッフが「シルエット、きれいでしょう」なんて聞き飽きたフレーズではなく、姿見を見た瞬間に「いいじゃん」と思わせるような商品企画がカギになるのではないか。

 それを実現するには、コットンのギャバやツイル、麻といったワンパターン素材では「落ち感」がハッキリして、裾にかけてのストレートなラインはブルースリーのカンフーパンツのように見えてしまう。モード感を出すにはフラットな生地では難しそうだ。あまりに厚手だと春夏ものは熱さがネックだし、コストを考えると妙な小細工も難しい。デニムをはじめ、コードレーンやシアサッカー、ピケなどの定番生地で新鮮さを出せるか。リラックス過ぎずにタウンに堪えられる素材使いがどうなるのか楽しみだ。

 秋冬になるとツイードやホームスパンなどで、トラディッショナルなテイストの方が打ち出しやすい。さすがに70年代のバギーやパンタロンは難しいが、太めでも裾を細めにしたり、ロールアップしたりするクラシカルな穿きこなしだと、トップスとの相性も良くなるはずだ。

 思いっきりモードに振るなら、ジョッパーズを今風にアレンジしたり、ドローコードを使って脇や裾に脚にフィットさせるようにしたり、下にレギンスを穿くレイヤードスタイルとかの変化がほしい。それだとロングブーツやレースアップスニーカーと合わせられる。同じテイストのトップスとコーディネート次第では、近未来的でスポーティな着こなしになるのではないか。



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 一方、レディスはトレンドだからではなく、痩せて見える方がスタイルがいいとの固定観念から、タイトシルエットは鉄板だ。それがトレンドとして定着し、ストレッチ素材の浸透もあって、ここ20年ほどは細身全盛だった。しかし、ファッションは体型をカバーしながらいかに自己を主張するかも大事で、シルエット変化がトレンドのカギを握る部分はある。バルーンやコクーンといったラインの登場がそうであり、ドメコンやモードエレガンスへの反転も後押しした。

 アワーグラスラインという女性服の基本形から脱却しつつ、決して太って見えない、ウエスト回りがダボッとしないという条件を克服できれば、太めは新鮮に見え売れていくだろう。ただ、ワイドでボクシーになると、メンズよりもなおさらトップスとボトムのバランスが重要になる。その答えとしては、シャツではヨークと切り替えで前身頃にしっかりドレープを入れたり、ウエストから下を異素材でフレアやフリル処理も考えられる。逆に後身頃の分量を多めにしてボリュームを出すのも手だ。スタイリングは何も正面から見られるとは限らないからである。

 ニットでは袖口や裾にかけて緩やかに広がるライズステッチ、ウォーベン切り替えなどを取り入れるとスッキリ見える。身幅はそれほど太めにしなくても、袖を思いっきりoversizedにするとか、ドロップドショルダーにすれば、かなり変化がつく。

 ボトムはワイドシルエットがずっと存在していたので、メンズほどの抵抗はないと思う。今年のトレンド感とすれば、レングスだろうか。くるぶし上ほどのクロップドパンツで、これをデニムやキャンバス地で仕掛けても行けるのではないか。ヒップラインから裾に広がるワイドラインで丈は短め、メンズテーラーのようなトラウサーズ、ウエストにプリーツを入れたもの、大胆に入れたサイドスリット等々は、タウンのみならずオフィスでも十分通用する。ワイドパンツは穿くと颯爽として見えるので、キャリア層の女性にはぜひ挑戦してほしい。

 モード感を出すなら、裾を極端に広げたカットソーのワイドレッグもありだ。鳶職の兄ちゃんみたいだけど、海外では暴走族スタイルもクールなのだから、穿きこなし次第だと思う。裾を絞らないからロングスカート風にも見えるし。これならSPAのジョガーパンツやガウチョパンツに飽き足りない層を開拓できるかもしれない。ボトムのワイドラインは、レディスの方がメンズより抵抗がないはず。どんどん打ち出して行けば、トレンドになっていく可能性は高い。細身は飽きたと感じている層にいかにアプローチできるかがカギになるはずだ。

 メンズ、レディスに共通することは、全体を完全に太めにするのではなく、パーツやディテールで変化を付けると、だいぶ変わったように見えて来ると思う。SPAなら無地が中心だから、1アイテムでいろいろと打ち出せるのではないか。NBや専門店系アパレルが単品でどう変化を付けるかだが、上下、フルアイテムではかなりのリスクがあるので、挑むには腹をくくらないと難しい。

 メタボが気になるおじさん、おばさんはタイトは着づらいし、ワイドは太ってみえるからさらに抵抗感があるかもしれない。でも、メンズスーツではアルマーニスタイルで一世を風靡したソフトスーツがリバイバルするとの見方もある。当然、パンツもプリーツが復活するだろう。これならおじさんだってゆったり穿けるし、自分が20代の時の流行に戻ったと考えれば、決して気後れしないと思う。

 メーカー側にとっては、用尺が増えてのコストアップが頭の痛い問題だが、ヒットトレンドになれば売上げもつく。筆者はレディス専門畑で来たので、今年は昨年とはガラッと変わって、ワイドなシルエットの女性が街を闊歩する光景を見てみたい。

買い得を考え直す。

Comme-le-printemps 2017年が始まって2週間が過ぎた。1月2日、初詣に出かけたついでに、中心部天神の初売りを見て回ったが、メディアの報道ほど服袋を買った人とはすれ違わない。店外に出ると購買客の密度が落ちて目立たなくなるのだろう。

 それとも中身がメーカーの売れ残り在庫やコストダウン製造した専用品であるのを消費者が見透かし始めたということか。福袋商戦を煽るのは年末年始に飯のタネがなく、営業企画としてタイアップ番組を作りたいテレビ局くらいでは。服袋も商品詰め込み型から、コト消費の体験型にならざるを得ないということである。

 それにしても、初売りからセールへの流れは、皮膚感覚で年々賑わいを失っていると感じる。人手は2年前の15年がピークだったのではないか。その時でさえセール用に確保していた在庫を投入したようなショップもあった。お客側は「お値打ち品がないなあ」との印象から、集客の割に購買には結びつかなかったところが多かったと思う。

 日常から十分に値ごろな商品が出回っている。それを買えば、セールでまた同じような商品を買う必要はない。一部のブランド品では、「狙い目はバーゲンまで待とう」「お買得品を1円でも安く買おう」という消費者心理も働く。伊勢丹のように長蛇の列ができるのはわからないでもない。言い換えれば、昨年のセールが惨敗したところ、17年のセールも不発だったところは、明らかにプロパー商品に魅力がないのである。

 消費者の立場から言えば、今の市場には大枚をはたいても買いたくなるような商品がなかなかない。SPAを中心に値ごろな商品はいくらでもあるが、それが買いたくなるかというと別問題。値ごろ感、安さはあくまで選択肢の一つであって、絶対的な価値ではない。なおさら仕入れのみで勝負するセレクトショップとなると、商品1点1点はバイヤー垂涎の品かもしれないが、必ずしもお客の感性にフィットするとは限らない。

 今は高級セレクトショップを訪れるお客でも、SPAやネット通販もチェックしている。バリエーションに富んだMDに飼いならされてきているせいか、選択肢が少ない品揃えではどうしても購入に二の足を踏んでしまうだろう。購入条件が素材感やデザインであるなら、それらを提供するブランドを買えばいい。しかし、仕入れ中心のセレクトショップとなれば、そうは行かないのである。売り方の問題ばかりがクローズアップされているが、今年は商品そのものの課題にもスポットを当てるべきだと思う。

 それはアパレルも小売りも十分にわかっているはずだ。ところが、「消費がモノからコトに変わった」からとか、さも問題がないように商品から目を逸らし、責任転嫁や言い訳をするようでは製版の使命を放棄したことに他ならない。やはり抜本的に商品づくりから品揃えまで考え直さないとどうしようもないだろう。初売りはその年の商売に勢いを付けるイベントでしかない。作りすぎた不良在庫をだらだらと消化していくのが良いわけではない。その後はあくまでプロパーで売る日々が続くのである。

 一方で、ファッションは気分消費的な面もある。陽射しが明るく春に向かって行くのに重たい冬素材、ダークな色合いが着たいはずもない。だから、冬本場と春に向かう中で商品をどうしていくのか、考えなければならないのである。

 福岡は先週末から今週火曜日まで「日本中をこの冬一番の寒波が襲う」と報道される中でも、陽射しは暮れとは比べ物のはならないほど明るかった。マンション内の事務所では、暖房が必要ない時間帯もあるくらいだ。肌寒い日々はまだまだ続くが、陽射しが日に日に春めいていく中では、なおさらプロパーで売れるMDがカギを握るのは言うまでもない。

 どこかのグローバルSPAは、毎年のように1~3月の四半期決算では、「天候不順で春物の動きが鈍く、売上げが低迷した」と言っている。まだまだ肌寒いのだから、Tシャツや薄手のコットンが売れるはずはない。かといって、重たい冬物でも買う気にはならない。何年も経験しているのなら、もう少し企画をじっくり練ってもいいのではないか。

 具体例を挙げれば、スプリングコートは厚手のコットンギャバで、生地をコーティングするとか、取り外し可能なフリースのライナーを付けるとか。薄手になめしたレザージャケットを押し出すとか。目が詰まった肉厚のコットンニット、綿素材のスエードやフランネル、同素材のピケなんかを使ったジャケットやパンツがあれば、防寒を発揮しつつ4月まで引っ張れると思う。

 色目はブライトカラー、パステルやグレイッシュトーンが主体になるが、ポイントは逆差し色としてダーク系を入れてもいいんじゃないかということだ。黒、紺はもちろん、モスグリーンやカーキなどである。例年のように暖冬が続いて9月、10月はなかなか気温が下がらない。ウールのアウターやニットが立ち上がりから実半期に入っても売れないのは、寒くないから要らないのである。

 だからと言って、着るものが不必要かと言えばそんなことはない。コットン素材を主体とした「春物」の黒、紺、モスグリーンはこのシーズンにも十分に着てもらえると思う。つまり、年明けの商品の中には、秋の立ち上がりにも着回せるようなものを加えることで、購入の選択肢を拡げることもできるということである。価格はそこそこ高くなるが、売れると売上げは確実につく。

 グローバルSPAなら同じ素材で色のバリエーションは10種程度まで増やせる。だから、十分対応できる思うし、現に行っているヨーロッパのメーカーもある。仕入れのみのセレクトショップでも1年を通したMDの中で、メーカーに別注企画などを持ちかけてもいいのではないか。毎年、暖冬、寒春で失敗したと嘆いてばかりでは何も始まらない。もっと暖冬を前提とした着こなし、寒春に即応できる商品に目を向けるべきなのである。

 消費者は賢くなっている。必要でないものは買わないと言われる。ならば、消費者の合理的なワードローブ計画に添うような商品企画、売り方をすれば良いということだ。あくまで判断は消費者がするのだから、買いたい商品があれば売れるはずである。

 店頭で在庫を持ちこせないなら、通販サイトなどに「お値打ちコーナー」を設けていいと思う。店頭で売れない在庫ばかりをサイトに置いたところで、ネットの向こうの消費者が反応するはずもない。そうではなく、「春素材だけど、ダーク系だから秋口にも着回し」「ブライトカラーの薄手ニットは九州の方におすすめ」なんて括りを作ってもいいのかもしれない。安売りを打ち出すのではなく、真のお買得、お値打ち感を訴えるのである。

 筆者がニューヨークで仕事をした90年代半ば、百貨店のブルーミングデールズには12月なのに麻のジャケットやパンツ、コットンのシャツが値ごろな価格で売られていた。最初は「ええ、もう春夏物なの」と思ったが、よくよく考えるとニューヨーカーの中には、クリスマスホリデーを避寒地のバハマやプエルトリコで過ごす人もいる。旅行着(トランク)として夏用のクロージングが必要になるのだ。

 日本でも水着が一年中売れると言われるが、欧米ではホテルにおけるドレスコードからジャケットが不可欠になる。新規に商品を仕入れるというより、夏場の在庫を確保して投入していたのではないか。米国の百貨店は商品を買い取るからこそ、できることだが。

 こうした売り方の発想転換は決算や課税の問題があるのでアイデアの域を超えず、どこでも一律にできることではない。それは十分承知の上だが、商品が売れないと断じるだけでなく、もう少し商品の作り方や売り方で融通を利かせてもいいと思う。ECがここまで発達しているのだから、消費者は店頭で必要な商品が見つからなければ、通販サイトにお目当ての商品を探しに行く。

 しかし、ECが目先を変えただけの単なる流通ルートにとどまり、店頭の商品と同じものしか売ってなければ、現物を見て試着して買うか、しないで買うか、コスト分だけ多少安いかの違いなだけで、購入の選択肢は広がらない。そうではなくて店頭ではできない、いろんな商品展開、売り方ができるところがECの良さ。だからこそ、商品の着回しをサイトと連動して商品開発から提案まで行っていく。消費者にお買得感=賢い買い物を訴えて行くことも重要だと思う。

 ここ数年はECやオムニチャンネルなど、販売手法さえ新たなものにすれば、活路が見出せるようなビジネス論も多い。しかし、いくら売り方を近代化したところで、売れないものは売れないのである。これはいたって単純明快なことだ。

 ネットビジネスが隆盛を極めれば極めるほど、まやかし、詐欺まがい、食わせ者の業者も登場してきており、星印ではわからないところで悪徳商法があとを立たないのも事実だ。いくら「イタリア製生地」「コードバーン使用、日本製」と謳われたところで、ネットの先にあるものを消費者が確認できるはずもないからである。

 昨年暮れにはDeNAのキュレーションサイトの問題が噴出した。その多くが読者を増やして広告の収入源を上げようとするあまりに、運営者は執筆を自分で行うことなく、一記事数百円から二千円程度の安価で外注したり、裏ワザを使って検索上位表示させたりしていた。

 結果、ネット上では信憑性や根拠のない事実がまかり通り、読者が間違った情報を鵜呑みにする危険性が非常に高いことがはっきりした。そうなると、通販サイトの世界で消費者を欺くような商品の流通が絶対にありえないと、誰が言い切れるのだろうか。今年はECの世界でも蓋をされて来たこうした問題点がどんどん噴出するかもしれない。

 せっかくの利便性と購買チャンスがまやかしや詐欺まがいといったイリーガルな行為で悪用されることがあってはならない。消費者がますます期待はずれ、まがいものを購入させるケースが増えて行けば、ECには未来はない。これには売る側だけでなく、商品を作る側にも責任があるわけで、ネット時代のもの作り、売り方がますます問われる1年になると思う。

 いいくらい言われているが、要は価値あるものを作りだし、賢いお客の理にかなった商品提案だと思う。「今は着れないかもしれないけど、秋口の方がいいかもね」。店頭での接点がネットでも管理、継続されるような仕組みづくり。単に実店舗とネットを融合させるスローガンではなく、その中にどんな商品を作って投入し、レスポンスとヒット率を高めて行くか。メーカー、小売り双方の挑戦にかかっていると思う。

アリバイ作りの予感。

kumamotosakuramati 昨年暮れに業界の知人から「東京ガールズコレクション(TGC)が熊本で開催されるかもしれない」との情報が入って来た。昨年10月のTGCイン北九州では、熊本地震の復興応援ステージが設けられ、大西一史熊本市長はビデオメッセージで1万人以上の観客に復興支援を呼びかけるとともに、「(TGCを)いつかは熊本市でも」と語っていた。

 その報道を耳にした時、TGCをプロデュースするW TOKYOから熊本にもイベント開催の打診があっているなと、直感した。その時期が震災以前か以後かわからないが、復興アピールは開催の大義になるし、桜町地区で進む再開発事業が完了し、新しい商業施設がオープンする2019年は、絶好のタイミングとも言える。

 福岡市で開催される同系の福岡アジアコレクション(FACo)も、商業施設の柿落しとしとなった年があった。2010年には福岡パルコ、2011年には博多阪急がそれぞれオープニングイベントとして協賛したのだ。そう考えると、数年先の熊本が同じ流れになるのは想像に難くない。

 北九州市は、福岡県が2009年から福岡アジアコレクションを支援していることで、自治体間の対抗意識や予算拠出の公平性からTGCイン北九州への福岡県の支援を取り付け、二度の開催にこぎつけた。市側は昨年開催分の経済波及効果を14億5000万円とみており、こうしたデータは熊本市にとっても追い風になる。TGCの九州開催は他に宮崎の例があるだけで、W TOKYOが他都市をリストアップしていたすれば、熊本市が候補となる条件は揃っている。

 ただ、熊本市がTGCをプロモートするには、自治体としての支援や予算的な裏付け、熊本商工会議所ほか関係団体の連携、企業スポンサーの確保などが必要だ。要は開催資金をいかに捻出するかであり、W TOKYOとしても資金面の「担保」が絶対条件のはずだ。そう考えると、「復興支援」は行政が税金から資金を拠出するには十分な大義と言えるし、商工会議所がスポンサー企業を連携させ、残りの資金確保に動くことの説明もつく。宮崎のように単発なら、開催は不可能ではないだろう。

 加えて熊本の中心市街地を取り巻くファッション環境が依然として厳しいことがある。福岡市への年間100億円とも言われる持ち出ちの大半はファッション消費だし、周辺市町村ではゆめタウンやイオンモールの攻勢があり、郊外なりのファッションステージが形成されつつある。実際、ひかりの森周辺は新興住宅地としての発展は著しく、おしゃれをして歩くにも遜色ない街並になりつつある。

 それに対し、中心市街地は上通、下通のアーケードに店舗が並ぶ典型的な地方都市の商業構造だ。ご多分に漏れずここでも家主が高額な家賃を請求するため、出店は大手資本が中心で、2階部分には空き店舗も散見される。長引くデフレでファッション業態の顔ぶれは決まっており、大小ある再開発も面による計画ではないため、おしゃれをして歩く街路にはなりきれていない。そうした環境が中心市街地の活性化、ファッションタウン化の妨げになっている。

 個別の商業施設では、鶴屋百貨店が福岡への持ち出し阻止を旗印に有名ブランドの集積、東急ハンズ、ユザワヤなどのリーシングに注力したものの、所詮は対症療法に過ぎず、地域百貨店として抜本的な戦略は見い出せていない。しかも、百貨店系アパレルの売上げ不振は、鶴屋とて例外ではないはずだ。

 一方、熊本パルコは昨年3~8月の売上げが震災前年比で2.9%増となっている。秋物の需要期に入った9月は微減だったが、10月は気温が高めだったにも関わらず15.4%増。気温が低下した11月は45%増と、復興需要と9月の30周年改装を上手く取り入れた形だ。しかし、これからは競争激化の波に飲み込まれるのは言うまでもない。

 4月には下通のダイエー城屋跡にNSビルがオープンする。1階~4階の商業ゾーン「COCOSA」は、天神VIOROのデベロッパーが運営に当たる。テナントはすでに決定済みで、セレクトショップ中心のリーシングになると思われる。同じテイストのテナントをもち、ターゲットが競合する鶴屋東館、同New-S館、熊本パルコへの影響は免れない。さらに2019年には大型商業施設が開業するわけで、市場規模、購買力が限られる熊本の中心市街地では、ファッションタウンより同質化競合の不安が先に立つ。

 もっともファッション業界では、「熊本は進歩的」と言われてきた。デザイナーズブランドやインポートファッションをいち早く取り入れる気質が全国でも群を抜いていたからだ。80年代の初め、上通のアーケード入口ではコムデ・ギャルソンがすごく似合うお姉さんが闊歩しているとの評判だった。


showrstreet 80年代半ばからはバブル景気の後押しもあり、下通商店街が切れた「シャワー通り」が注目を浴びた。英国のマーガレット・ハウエルがダイレクトに開店すると瞬く間にビルが建ち、その1階には同国のポール・スミスが本人の協力もあって登場する。仕掛人のA氏は後にセレクトショップの草分けと言われる「パーマネントモダン」を誕生させ、2015年にはそれを東京青山に逆上陸させた実績をもつ。

 A氏の後に続いたS氏はシャワー通りに立て続けに出店し、立志伝中の人物として業界誌にも登場した。しかし、そうした栄光もつかの間、バブル崩壊の影響で一転倒産に追い込まれてしまう。結局、1社による多店舗化で体裁を整えただけのシャワー通りは歯抜け状態となり、完全に輝きを失った。

 2000年代に入ると、呉服商から転身したM氏が高級服を売ろうとミセス向けのセレクトショップなどを出店し、通りの整備にも尽力した。しかし、後に続く経営者が登場することはなく、バブル期の威光を取り戻すまでにはいたっていない。

 若手経営者は初期投資がかからない上通商店街を抜けた並木坂、上乃裏通りに出店した。熊本で受けそうなレアなブランドや値ごろなカジュアルは、民家を改造した店舗の方が似合い、県内外から多くの若者を集めた。ただ、中小零細、個人経営の店舗が中心で、経営力の乏しさから出退店が繰り返される状況に変わりはない。それでも路地裏にはカフェや居酒屋が立ち並び、下通の歓楽街にない小洒落た雰囲気がビジネスマンやOLを惹き付けるのも事実だ。

 「熊本は全国的に見てもファッション感度が高い」。80年代のファッション業界では

公然と言われていたことなので、今さら否定するつもりはない。ただ、高級ブランドの売上げ不振、百貨店や地域専門店の苦戦、郊外SCの攻勢、グローバルSPAとファストファッションの快進撃は、熊本も例外ではないだろう。唯一の救いは他の地方都市に比べファッションに興味がある若者が比較的多いことだろうか。それもECに取り込まれており、地元店にどれだけカネが落ちているかは懐疑的である。

 レアなブランドを仕入れるのが上手いと言ったところで、ナイキの限定スニーカーなんかになれば、直営店でしか購入できない。高速バス代に4000円以上を使っても、福岡まで買いに行くのが昨今の若者意識だ。その意味では熊本も他の地方都市と変わらない消費環境になっている。そんな状況下において、三文タレントによる一過性の客寄せ興行で、80年代のようなファッションタウンのロイヤルティが取り戻せるのだろうか。


自治体と商工会議所のアリバイ作り


 TGCのような客寄せ興行は「神戸コレクション」が先駆けと言われる。神戸にはワールドを筆頭にアパレルメーカーが数多く存在するため、一般向けにもファッションイベントを開催する土壌があった。神戸商工会議所が中心となって神戸市を動かし、芸能界にパイプをもつMBS毎日放送がプロデューサー、イベント会社のアイグリッツが企画に当たった。こうしてタレントが地元ブランドを着てランウエイを歩くガールズコレクションのプロトタイプができ上がったのである。

 しかし、行政課題だった地元ファッション産業の活性化は、 結果的に見ると神戸市と神戸商工会議所のアリバイ作りに過ぎなかった。結局、税金からカネが転がり込んだのは、企画制作にあたるMBSとアイグリッツ、東京他の芸能事務所に他ならないからだ。

 福岡の場合は神戸コレクションのフォーマットを踏襲し、自治体からの公金支援を受けるために「福岡アジア」という冠を付けたのが実のところだ。大義には地元ファッション産業の振興、情報発信が謳われているが、福岡は小売りの街でアパレルメーカーなど数えるくらいしかない。だから、ショーに登場するのもNB主体で、地場ブランドは申し訳なさそうに盛り込まれているだけ。こちらもアリバイ作りなのは火を見るより明らかだ。行政は事業を「民間主導」とボカしているが、イベントの実行者はMBSと同系列のRKB毎日放送。つまり、公共事業が民放テレビ局の「事業」になっているのである。

 熊本市がTGCを開催する場合、事業主体がどこになるのか。単発であれば市の経済観光局あたりだろう。2回、3回と継続させていくなら、福岡市と同じように商工会議所が中心となり、民間主導で事業化させるしかない。その時はテレビ局が名乗りを上げるのか、それとも代理店が飛びつくのか。だいたいのところは想像がつく。

 ショーに出展する商品についても、福岡と同じくNB主体になると思う。それでは地場ファッションの振興や活性化つながらないと、鶴屋百貨店はじめ、パーマネントモダン、地元発祥のベイブルックなどにも商品提供の声がかかるだろう。しかし、火事場のような忙しさのバックステージでは、商品という「売り物」がファンデーションやリップで汚されるリスクが伴う。プレス用の商品を持たない中、それを承知で小売店がすんなり貸し出しに応じるのか。スタイリスト経由で情報番組のコメンテーターに着てもらうのとはわけが違うのである。

 あとは熊本のファッション協会が地元ファッション事業の意識をどう統一するかだが、そこには一にも二にもイベント開催の大義が重要になる。資金の大部分を自治体やスポンサー企業が拠出するため、ファッション事業者は何も言えずことが進んでいく。熊本を飛び越え全国区の知名度をもつファクトリエやシタテルがスポンサーとなるのことも、事業目的が違うので考えにくい。

 熊本市では地震で全壊、半壊となった住宅が1900軒以上ある。それに対する支援は遅々として進まず、住宅再建の目処が立たない市民が少なくない。果たして3年後にそんな状況から脱却し、完全復興を遂げられるのか。大部分の市民やファッション事業者は納税者であり、税の再配分を受ける資格を有する。しかし、血税が表向きだけの復興支援のもと、イベント会社と芸能界に流れるのを見過ごせるだろうか。

 それをチェックするのはメディアの役割のはずだが、福岡の事例をみる限り期待薄だ。福岡ではRKB毎日放送が関わることもあり、他局が取り立ててパブリシティすることはなく、事業の問題点を検証するような報道もない。開催から数年を経過しても産業振興や情報発信に実効性がないため、最近では当の大義すらその集客力に合わせ、「賑わい創出」や「観光」にすり替えられている。

 それでも、タレントの肖像権がW TOKYOや芸能事務所に厳重に管理されているため、情報発信の名のもとでの写真の二次使用やYouTubeによる動画配信はできない。結局、TGCイン熊本は1日限りの客寄せ興行で終わってしまう可能性が高く、ファッションタウンとしてのロイヤルティを取り戻すことは不可能に近い。

 熊本では行政主導のイベントになればスポンサー企業はまとまるはずで、地元メディアとしてスポット収入や広告出稿が期待される。そうした利害が絡んでいるため、メディアがこうした問題点に真摯に向き合い、批判するとは思えない。

 もし、地銀団までもがスポンサーに名前を連ねると、どうだろうか。シャワー通りを発展させた立役者のS氏は、バブル崩壊で貸し剥がしに会い倒産に追い込まれたと、業界では語られている。「ファッションタウンの礎は俺がつくったのに、今さら復権かよ」。S氏の恨み節が聞こえてきそうである。

右に倣えはいい事か。

siteimages2 2017年が開けた。業界は昨年にも増して厳しい1年になると思うが、新たなビジネスを展開できれば活路が開ける可能性は残っている。

 ここ数年のアパレルビジネスは、インターネットを利用したECに軸足が移り、さらにネットと実店舗を融合したオムニチャンネル化が叫ばれた。これにはメーカー幹部はもとより、大手小売業の経営陣までが「重要な戦略に位置付ける」と異口同音に宣い、台頭する若手コンサルタントは悉くポテンシャルの高さを強調した。

 確かに個人消費が低迷する中で、「服が売れない」理由の一つに「買いたい服が見つからない」があり、既存のリアルマーケットではターゲットと商品の間でミスマッチが起こっているのも事実だ。だから、店舗の販売テリトリーを越境してマーケットを広げれば、商品を求めるお客さんにヒットするのは無きにしもあらず。ECはこうしたテーマを見事に解決し、確実に市場規模を拡大した。

 ところが、商品づくりの課題は残されたままである。国内外で製造される数量こそ無尽蔵だが、商品はブランドやデザイン、グレード、テイスト、オケージョンなどの掛け合わせで、売れるかどうかの価値が決まってくる。ただ、ひと度、売れる商品となればたちまち競合が現れ、似たような商品がネット市場に溢れていく。

 そもそもバーチャル店舗のデジタル写真では、触覚が決め手となる素材や縫製といった商品の優位性を訴求するには限界があり、結局、競争が激化すればECも送料無料や返品自由など、サービス面で差別化するしかない。さらにSNSやO2Oアプリを導入すれば、販売管理に関わる費用がかかり、リアル店舗に比べたコスト優位性は薄れている。

 当然、小売りレベルでは、お客は1円でも安い方に流れていく。事業者間では厳しい消耗戦が繰り広げられ、あれほど威勢の良かった楽天市場でさえ、売上げの鈍化に見舞われている。ネットコンサルはサイトのブランド力向上を盛んに訴えるが、Webデザインや写真撮影には注力する一方、IT投資のために商品の原価率を圧縮するようでは全く意味がない。

 本来、ブランド力とはそれが持つ理念や世界観、活動の目的、表現力によって顧客のマインドにすり込まれていくものだ。その如何を決する商品づくりがおざなりになっているのに、サイトのブランド力もクソもない。所詮、情弱なお客を捕捉するだけに終わってしまう部分もあるだろう。抜本的な解決にはならないはずである。

 ECはリアル店舗や販売スタッフの人件費を抑制しながら、テリトリーの越境でマーケットを拡大できることがメリットだった。しかし、猫も杓子もECに参入した結果、優位性はなくなって来ている。そこで今度はリアル店舗とネットとの融合であるオムニチャンネル戦略がカギになると言われるが、商品づくりの課題がクリアできないまま、販売手法のみを喧伝したところで、個人的には解決策にはならないと思う。

 アパレル業界が闇雲に商品を作り続けた結果、お客にとって買いたい商品が市場にはほとんどなく、在庫の山が築かれるばかり。ビジネスという意味では日本での商品づくりそのものが終焉を迎えたとも言われ、アパレルビジネスはすでにITや金融といった次元で語られるようになっている。しかし、糸へん出身の人間としては、それでは片手落ちのような気がしてならない。

 人口の減少、若者の服離れ、労働力不足、同一労働同一賃金などなど、業界環境はますます厳しさを増している。識者の中には、そうした中での売上げ拡大は、海外戦略に活路を見出すしかないというお方もいる。大手セレクトショップのようにある程度のブランド力を持てば、頭打ちの国内市場よりも海外の方が開拓の余地があるということだろう。

 本当にそうなのだろうか。大手セレクトとは言え、原価率が30%を切るようなお値打ち感もない商品を販売しているのだ。売上げの鈍化は、何も人口減少や若者の服離れによるマーケットの縮小、インバウンド商品の減退だけとは限らないはずだ。アパレルビジネスがマーケティングのフレームワークである4P(製品、価格、流通、販促)では解決できなくなって以降、顧客価値や利便性、コミュニケーションといった「C」がカギを握ると言われたが、これもネット時代においてもはや陳腐化している。

 やはり、原点は一つだ。マーケットを細分化し、ターゲットをしっかりセグメントして、それにあった商品を開発しなければ、売れないものは売れないのである。それが基本の基だと思う。セレクトショップにしても日本では20年という長いスパンで成熟していったが、海外のセレクト市場は成熟度はそれよりも速い。海外戦略なんぞ言っている先から、成熟は始まっているのではないか。そこでは日本国内おけるブランド価値なんて何の武器にもならない。むしろ、潤沢な資金力によって簡単に逆に買収されてしまうリスクがつきまとう。それがグローバルマーケットなのである。

 筆者が知るあるショップは数年前からオリジナル化を進め、ECに注力して海外市場の開拓に乗り出した。商品づくりでは自社で企画から仕様まで行うため、こうした決して手を抜かない姿勢が、海外のお客からも高い評価を得ていた。ところが、海外戦略を初めてちょうど1年たった昨年、某国の購入分300万円全額がカードの不正使用で、売上げ取り消しとなった。クレジット会社は「unfortunately」とだけ答え、泣き寝入りするしかなかったという。

 Amazonが一人勝ちする中で、海外戦略はいともビジネスの救世主のように語られるが、一方でこうしたリスクが増大しているのである。おそらく今年は国際的なネット詐欺がますます横行していくかもしれない。それに対する日本のアパレル、小売りの対策は決して万全ではないし、むしろ脆弱ではないのか。まして個店レベルの海外戦略なんて管理コストの方がかかってしまい、そう簡単に利益が出るはずもない。

 海外事業に乗り出すには現地における商標の申請、カレンシー(通貨)の設定、原産国証明の取得、Shipping(国際配送)の手続き、サイト翻訳の精度アップ(某通販サイトの翻訳機能はグチャグチャ)、通販システムの改修などやることは少なくない。筆者が懇意にするフランスのメーカーも海外戦略を展開した当初は、こうした「条件でかなり困惑した」と言っていた。

 当然、それ以上に不正リスクは増大している。2017年の新年早々、地元メディアをかけめぐったのは中国本土を狙ったと特殊詐欺集団が福岡県内を拠点に活動しているということだった。所謂、外国人によるオレオレ詐欺のグループが日本を隠れ蓑してインターネット電話を利用して、中国の居住者から現金をだまし取っているのである。犯罪はどこまでも巧妙化しているわけで、オレオレ詐欺がEC詐欺にならないと誰が断じることができるだろうか。

 昨年の暮れには、佐川急便の配送スタッフが届けるはずの荷物を投げたり蹴ったり、叩き付けたりという動画が公開され、事件となった。ネット通販の人気もあり、12月には荷物の量が増大し、スタッフは過度の負担に耐えきれずイライラを重ねた末での「犯行」だったようだ。しかし、こうした問題は通販業者が競争優位に立つために「送料無料」を打ち出したことで、その分のしわ寄せが配送事業者にかかっているという構図も浮き彫りにする。

 ネットコンサルタントは、即日や短時間による配送がECの次なる一手と言うが、結果的に物流業者の負担が増すという新たな課題をどう解決するおつもりだろうか。ユニクロの潜入ルポについてのコラムでも書いたが、オムニチャンネル化における商品流通には「店まで商品を配送し在庫」「お客が来店して商品を購入」「ネット通販で倉庫から商品を配送」「お客が店やサイトで在庫を確認し倉庫で購入」の4つが考えられる。

 店内の業務が増えて疲弊するなら、ECを活用するなどで業務を効率化すればいいという理屈になる。でも、今度は物流業者に負担がかかっているわけで、お客側も何らかのデメリットも享受しなければ解決する問題ではない。

 かつてユニクロの柳井正社長は「お客様は神様ではない。王様くらいで十分だ」と言い切った。何でも言うことを聞いていたら、ビジネスにはならないとの意味だ。メリットがあれば、デメリットも生じるし、リスクないビジネスなど考えられない。特に海外戦略を考えればなおさらである。

 行政が税金で資金を拠出し、地域活性化、ファッション拠点化をスローガンにしたガールズコレクション。その代表格TGCが昨年の2回目の実施で経済波及効果が高いとうそぶく北九州市に次いで、熊本市でも開催されることが決定した。しかし、ファッションをメディアコンテンツと捉え、原価率を抑えたチープな服を三流モデルが来た客寄せ興行ごときで、アパレル産業が活性化するはずもないのは確かなことだ。

 今年は数年来続いた好調ビジネスのどれもが踊り場を迎え、難しい局面を迎えることが想像される。それに対して、大手から中小零細までの事業者はどう立ち向かうのか。何でも「右に倣え」をしてもいい事はないと思う。昨年の成功事例を捨てたところにもマーケットはあり、ビジネスチャンスが生まれるかもしれない。



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