HAKATA PARIS NEWYORK

今のファッションを斬りまくる辛口コラム

2017年09月

本業はファッション、グラフィックなどデザイン関連のクリエイティブディレクター。創る側の視点で今のファッション関連の事情を評論する。マスメディアはもちろん、業界紙誌も扱わないテーマに踏み込む。

時間外労働は悪なのか。

denapa さる9月22日、広告代理店の電通が社員に違法な残業をさせた事件の初公判で、山本敏博社長は罪を認めて謝罪。検察は「利益優先で健康を顧みない姿勢が違法な残業を引き起こした」と指摘し、罰金50万円を求刑した。

 山本社長は「以前は仕事に時間をかけることがサービス品質の向上につながり、顧客の要望にこたえることになると思っていた。だが、社員が心身ともに健康であることが品質の向上になると考え、改善に取り組んでいる」と説明。併せて「新しい電通を作る」との決意を述べた。

 公判に先立って電通は、7月に「労働環境改革基本計画」を発表。そこではコンプライアンスの徹底を謳っている。これにより社内的に長時間労働は解消されるにしても、物理的に仕事量が減って売上げが減少するのは、業界トップに君臨する同社としては許し難いはずだ。まして、電通には4代目社長の吉田秀雄が作った「鬼十則」がある。

 その5条、6条にはこう記されている。


取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……」


周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる」


 筆者は条項をこう解釈する。クライアントから発注される仕事は、いかなる理由があっても手放さない。特に競合プレゼンに勝利した物件はなおさらだ。また、電通が使うブレーンや下請けを徹底して飼いならし、支配することである、と。

 ところが、インターネットの普及により、広告業界の環境は変わった。ネット広告は代理店が条件を設定して入札し、表示やクリック数の結果によってスポンサーから料金をとる仕組みだ。反面、予定していた広告が出稿できないこともあるし、アクセス数などを検証しながら条件を変えたりしなければならない。また、膨大な媒体や露出数の中から、確実に広告が掲載されているかをクライアントに調査、報告する必要がある。 

 従来のマス媒体のようにコントロールはできないのだ。それでいて膨大な作業をこなしながら、媒体料はテレビCMや新雑広告と違って3分の1程度に止まる。当然、「取り」が少ないのだから、「払い」を少なくしなければ利益はでない。自殺した高橋まつりさんが所属したダイレクトマーケティング・ビジネス局では、社外に外注できないために人員が足りず、高橋さんは長時間労働に追い込まれていったのである。

 公判で山本社長が述べたように電通が労働環境の改善に取り組み、残業を減らすには、ダイレクトマーケティング・ビジネス局だけでなく、営業からメディア、セールスプロモーション、クリエイティブまで、すべての部局で仕事のやり方を改めなければならない。でも、鬼十則を愚直なまでに貫いて来た電通が本当にそんなことができるのだろうか。

 例えば、こんなケースが考えられる。電通がクライアントから新聞広告の発注を受け、制作を下請けのデザイン会社に外注する。営業担当者はクライアントに初校のコピーを見せて確認してもらうが、クライアントの都合でスケジュールが順調に進むとは限らない。上層部の決済がなかなか降りず、修正が何度も発生するケースがあるからだ。

 しかし、出稿、掲載日が決まっていると、当然、制作スケジュールは「けつカッチン」(あとがない)になる。営業担当者はいくつものクライアントを抱えているわけで、打ち合わせ後の夕方に修正分をデザイン会社に持ち込み、「明日の朝一までにやってて」と平気で言うこともある。

 営業担当者とて、クライアントから「修正したものを上司が明日の午前中に確認するから」と言われると、「それは時間的に無理です」とは言えない。クライアントから「無理なら、次から博報堂さんに出すかな」と言われれば、元も子もないからだ。もちろん、「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……」の鬼十則が頭をよぎっている。そんな営業マンの心理を下請けのデザイナーがわかるはずもない。

 電通の営業担当者は制作作業に携わるわけではないし、クリエイティブも企画を離れるとタッチしない。制作はプロダクション制で行われるので、結果、電通が残業しなくても、下請けの制作会社には恒常的に時間外労働が発生している。写植や版下が姿を消してデジタルに移行した今、以前のようには制作に時間がかからないと言っても、仕事を取られたくないという営業のメンタリティは変わらない。だから、誰かがどこかで長時間労働に晒されることに変わりはないのだ。

 電通が全部署で残業をカットすれば、なおさらそのしわ寄せがどこかに行くだろう。ダイレクトマーケティング・ビジネス局も長時間労働ができなければ、赤字であっても外部の会社に委託せざるを得ない。電通側が「今日はここからここまで済ませておけ」と指示すれば下請けとしてやらざるを得ないわけで、別の企業に長時間労働が発生する可能性は高いのだ。

 それでも、下請けは仕事だから受けるのか、それとも長時間労働はダメと断りきれるのか。物理的に仕事量を減らせば、売上げも減るのではという危機感は電通以上に、制作会社など下請けの「現場」には常について回る。そんな状況下では、一律に長時間労働を減らせるものではない。安倍内閣は「働き方改革」を進めているが、資源がなくエコノミックアニマルの遺伝子で生き抜いて来た日本人にそれができるのかは、疑問だ。


好きな仕事なら残業も苦にならず 

でも、就けるのごく一部の人間

 見方を変えると、働く側の仕事に対する意識や考え方でも変わってくると思う。筆者はアパレルのプレスプロモーションの仕事をしていた時、物撮りやモデル撮影を何度も経験した。中小のアパレルならダイレクトに商品を受け取れるが、大手はプレス用に商品を使うことになる。ただ、プレス用が撮影映えに今イチだと、売場に投入されている商品を直に借りにいくこともあった。

 ファッションビルなどに出店しているブランドでは、夜8時の閉店を待って通用口からスタイリストと共に入って店舗で商品を借り受け、夜中の2時3時迄かかって撮影し、翌日の朝一に返しにいくことがあった。その役割はスタッフ任せにはせず必ず自ら行っていた。商品を汚したりした場合の責任は元請けにあるから、決して手を抜けなかったのだ。

 並行してそれ以外の仕事をこなすと土日が潰れることもあり、残業が100時間以上になる月もあった。そんな状況が2~3年続いたが、仕事が楽しくて少しも苦にはならなかった。スタイリストやカメラマンなどには負担を強いたが、みんなフリーランスだけに喜んで協力してくれたのである。

 自分自身が頑健だったことが幸いしカラダを壊すこともなかったが、今思えばやはり好きな仕事、やりたい仕事ということで精神的にプラスに働いたと思う。それ以上にそんなスタンスを認めて、仕事を評価してくれたクライアントには感謝している。ところが、働き方改革で仕事の量が制限されると、筆者のような人間はかえってやりにくくなる。まあ、仕事を減らすことも本人の能力のうちだ言われれば、それまでだが。

 一方、働く側の仕事に対する意識や価値観も大きく変わってきた中、改革はどんな作用を生み出すのかはわからない。人間の仕事に対する考え方や価値観をザックリ分けると、「1.好きなことを仕事にする」「2.仕事より自分の生き方を大事にする」「3.どちらにも生き甲斐を見いだせない」の3つだろうか。

 1の好きなことを仕事にするは、聞こえがいいが、すべての人間にできることではない。一般人にはないセンスや技術などをもつからこそ、好きなことを仕事にできてお金が稼げるのだ。電通マンであってもCMプランナーやコピーライターなどクリエイティブ部の一部を除き、ほとんどが仕事と割り切っているはずだ。

 ほとんどの人間は、2の仕事より自分の生き方を大事にする、になる。しかし、ここでも会社側から残業や長時間労働を強いられると、肉体的にも精神的にも追い込まれてしまう。この部分がいちばん問題になっているのだ。働き方改革の断行次第ではいく分かは解消されるかもしれないが、労働者不足に悩む企業や業界には二律背反する問題でもあり、それが吉となるかは未知数ではないだろうか。

 3は就職氷河期と重なって、1も2も見いだせない人々が多く当てはまるのではないか。働き方改革は3の人たちに正規雇用についてもらう狙いもあるようだが、40代までずっと非正規で働いて来て、経験もスキルもない人間には容易なことでないと思う。

 雇用する企業側にも教育など相当の負担がかかってくるから、結果がどう転ぶかはわからない。それにAIが本格導入されてくると、人間が行ってきた仕事も機械に取って代わる。当然、これから雇用が奪われていく職種もあると考えられる。

 就職を目指す学生の多くが企業選びの条件として、「働きやすさ」を上げているデータがある。中でも「長時間労働やサービス残業があるか」にいちばん関心があると言われる。仕事はあくまで賃金を得るための手段で、プライベートや家族など、その他の生活を犠牲にして働くことは避けたいとか、趣味に費やす時間が欲しいとか、オンオフのメリハリをつけたいという意識のようだ。

 そんな状況下で、ファッション業界、特に小売業は人材確保が難しくなっている。「リクナビやマイナビで販売員の求人を出しても、応募してくる転職組や経験者はほとんどいない」と、嘆くチェーン店の幹部は筆者の周辺にも少なくない。一方で、友人のスタイリストが無償の求人サイトに「アシスタント募集」と掲載すると、専門学校生を中心に100名以上が応募して来たという。

 また、筆者が仕事を依頼されている中堅出版社もマイナー雑誌しか発行していないが、「編集者募集」には200名くらいの履歴書が届くと、取締役が驚いていた。こんな状況を見ると、今の日本では働く人間の学歴や技術、能力の差こそあれ、ガチでやりたい仕事は決まってきている証左ではないのだろうか。

 好きなことを仕事にできる人間はごくわずかだが、働く人間が仕事の魅力ややり甲斐を感じなくては、環境改善だけでは労働者の確保も人材育成ままならないと思う。おそらく知り合いのスタイリストも雑誌の出版社も、応募して来た人間には「夜中まで仕事することもあるし、土日が潰れることもあるけど、それでもいい?」と聞き返したと思う。

 本当に好きなことを仕事にするにはそうでないと務まらないし、本人自身が伸びない。スペシャリストを目指すのではあれば、長時間労働や残業もケースバイケースで考えないといけないわけで、時間外労働は決して悪ではないと、筆者は考える。

 人手不足に悩むアパレル小売りは、ネットシフトに少しずつ移行しながら、ECのデメリットである現物確認や試着などをサポートする新たな職種を生み出していくしかないだろう。また、ファッション業界専業のリクルーティング企業にはいびつな求人、ミスマッチな求職構造を変えていくノウハウ構築が求められるように思うが、果たして…。

影響無しは北の方?

northkorea1 9月11日、国連の安全保障理事会が北朝鮮に対する制裁強化決議案を全会一致で採択した。これには北朝鮮の主要産品である繊維製品の輸入を禁止する条項が盛り込まれたが、日本ではすでに「北朝鮮輸出入禁止措置を講じており、今回の採択が日本と北朝鮮との繊維貿易に与える影響はない」との見方が支配的だ。

 日本繊維輸入組合は「組合企業による北朝鮮からの繊維品輸入は17年1~6月でゼロ」と、発表している。また、アパレルメーカーも「北朝鮮製スーツの輸入はコンプライアンス面から休止。開城工業団地に進出した韓国企業も工場の操業を停止したことから、日本と北朝鮮との繊維製品の貿易は廃れてしまった」と語る。それが「影響無し」の根拠のようだ。


 しかし、本当にそうなのだろうか。中国などを経由した「迂回ルート」がいくらもあるのにだ。おそらく、今回の北朝鮮への制裁強化について、アパレル製造流通の内幕を熟知する諸兄なら「北にはさほど影響ないのかも」と、冷めた目で見ているのではないかと思う。

 そもそも、端から「北朝鮮製」「Made in North Korea」と表示するアパレルがあるのか。筆者は海外ブランドでも一度も見たことがない。実際に北朝鮮で製造したと言っても、中国で仕上げなど一部加工を施せば、それは堂々と「中国製」としてまかり通る。

 アパレル業界では原産国表示に対し、大手アパレルやアパレル産業に携わる団体が「アパレル業界における原産国表示マニュアル」を制作している。 それによると、「不当景品類及び不当表示防止法など関係法令に定められた原産地不当表示の禁止を徹底する」と規定されている。また、団体は「原産国表示のマニュアルを整備し、誤表示を防止するための運用ガイドラインの整備を図る」と宣言している。

 ただ、それらは「法的にはお客さんに誤認を与える表示をしてはいけない」という意味であって、原産国表示を明確に義務付けるものではない。誤認される怖れがなければいいというわけだ。それ以上に、ヤングを主体にお客さんの方が自分が好きなブランドやテイストなら、それほど原産国にはこだわらなくなってきている。そうした背景も純然たる原産地表示を曖昧にしているのではないだろうか。

 アパレル業界側も明確に「どこどこ製」と表示していれば、それ以前のトレーサビリティを厳密にチェックしているとは考えにくい。メーカーがダイレクトに生産工場に製造委託するならいざ知らず、間にOEM、ODM業者、アパレル商社などが何社も介在していれば、どこで製造しようと、末端の小売りが知る由もない。まして、お客さんにわかるわけがないのである。

 そう考えると、日本のアパレル企業が生産を中国のアパレル業者に丸投げした場合、北朝鮮の縫製工場に外注されてもおかしくない。中国の遼寧省丹東、吉林省琿春にはアパレル企業がたくさんあり、世界中のブランドと取引している。

 それらが北朝鮮の縫製工場に製造を委託しているのは紛れない事実であり、中国製と表記したブランドタグを縫い付けて、中国経由で輸出すれば現実的に縫製がどこで行われたのかはわかるはずもない。つまり、国連の制裁強化も限定的ということである。

 もっとも、中国当局は北朝鮮産の鉄、鉛、海産物などの輸入を全面禁止する国連制裁決議以前から、「Made in China」と表記されたブランドタグが縫い付けられた北朝製繊維製品の輸入禁止措置をとっている。現に中朝国境の各税関では、北朝鮮からの輸出入製品に対して調査を厳密に行い、通関できない状況が続いており、丹東の保税倉庫には製品が山積みになっているとの情報も伝わってくる。

 ところが、ここでも抜け道はあるようだ。それは「密輸」という手段があるのだ。中国各地の役所は北京の中央省庁がコントロールするが、地方に行けばそれだけ眼が行き届きにくく、腐敗の温床になりがちだ。アパレル業者が賄賂を出せば、通関の書類なんかいくらでも偽造できるだろうし、税関を通さずに密輸することも決して難しくないと言われている。

 北朝鮮から陸路で中国にアパレル製品を運ぶ場合、平安北道の新義州から遼寧省の丹東、あるいは北東部の羅先から吉林省の琿春には、鴨緑江や豆満江にかかる橋をを渡ることになる。だから、中国側の税関で差し止めされると製品の行き場はない。

 しかし、新義州にしても羅先にしても、漁船に(運送品の内容を偽装した)荷物を積んで西朝鮮湾や日本海を経由すれば、中国まで運ぶことは必ずしも不可能ではない。琿春からだと一旦ロシアを経由したり、対馬海峡、済州海峡を経由すれば手間はかかるが、儲かることなら何でもする中国のアパレル業者にとっては、決して吝かではないはずだ。極論すれば、秘密裏にシベリア鉄道で運んでロシアや東欧で売り捌くという手もあるだろう。

 北朝鮮は貿易統計を一切公表していないが、東アジア貿易研究会は北朝鮮が2015年に繊維製品の輸出で稼ぎ出した外貨は、約8億ドル(約880億円)に達すると見ている。北朝鮮と輸出入取引がある国や地域の対北朝鮮輸入額合計(北朝鮮から見ると輸出)は44億1,577万ドルと(約7,948億円)なっている。

 アパレルは北朝鮮の総輸出額の約5分の1程度で、国連の制裁措置が北朝鮮の外貨収入を大きく減少させるという意見もある。だが、抜け道がいくらもあるわけで、実際のところは不確かなのである。


 話はずいぶん前に遡るが、2002年9月の小泉純一郎総理の訪朝で、日朝平壌宣言が発表された。10月には拉致被害者5名の帰国が実現した。その時、筆者は羽田空港に到着した政府専用機からタラップを降りる蓮池薫さんを見て、はたと思った。着ていた黒のスーツが某紳士服量販店に置いているものと、生地の光沢や風合い、袖や襟の始末が非常に似ていたからだ。「北朝鮮でも既製品のスーツを量産しているのか」。

 ニュース映像を見たくらいでそんなものがわかるのかと、言われるかもしれない。でも、筆者はアパレル業界で長年服を見てきた経験から、感覚的に形や質感を見ただけで、どのくらいのクオリティの生地を使い、どの程度の工場で作られているのかは、だいたい想像がつく。テレビ映像やネット画像の質が格段にアップしたこともあるだろう。

 フォルムは肩幅がやや広く、身幅も大きめ、着丈も長い。メンズスーツの原型パターンに近い印象だった。当時、日本で出回り始めたスーツは細身になり、着丈は短くなっていた。蓮池さんのスーツは間違っても洗練されたデザインとは言えなかったが、作りはしっかりしていて確かな縫製が施してあるように感じた。

 拉致被害者の帰国からだいぶ後になって、経済誌系メディアは紳士服量販店が格安スーツを商社経由で発注したケースで、「北朝鮮で縫製していたものもある」と、シラッと報道していた。このニュースを目にした時、「やはり、な」と確信した。

 2000年始めの日本はバブル経済の崩壊、平成不況を脱していなかった。消費はデフレの影響で価格の安い商品に向いていた。アパレル業界では、アジア生産が急速に進み、スーツも例外ではなかった。多くが中国生産だったが、紳士服量販店のマーケットでは北朝鮮で縫製されたものがかなり出回っていたということである。

 現在ではどうなのだろうか。アパレル業界では数年前から「中国の人件費が高騰してきており、ベトナムやバングラデシュなどに製造委託しなければ、利益が出ない」と言われている。中国の業者からしても、自国の人件費アップは間違いないのだから、製造コストの安い国に外注するのは当然のこと。北朝鮮は選択肢の一つなのだ。なのに相変わらず「中国製」「Made in China」で通っていることに疑念を抱かずにはいられない。

 この秋、セレクトショップが全面に打ち出すレザーのライダースでは、3万円台のほとんどが中国製だ。原価率30%とすれば、材料費を除くと2000~3000円が縫製工賃だろうから、もしかしたら北朝鮮で製造されているのではとさえ思ってしまう。

 経済産業省は今年4月、「外国為替及び外国貿易法に基づく北朝鮮輸出入禁止措置の延長」を公表した。北朝鮮を仕向け地とする全ての貨物の輸出禁止及び北朝鮮を原産地または船積地域とする全ての貨物の輸入禁止等の措置を講じている。期間は今年4月14日から19年の4月13日まで続くということだ。

 日本はこうした経済制裁を北朝鮮に課している関係から、貿易を一切行っていないことになっているが、それはあくまで書類上である。

 某紳士服量販店が店舗展開を拡大する時、その出店費用が破綻した「朝銀から低利で融資されていた」というのは、業界では有名な話だ。また、二代目社長の顔立ちを見ると、何となく金一族系統に似ている感じもするが、気のせいだろうか。それはともかく、日本のアパレル業界が間接的に北朝鮮に手を貸しているという意味では、何ともやるせない気持ちになる。

 中国のアパレル業者に丸投げを続けていれば、製造履歴の確認は何ともしようがない。業者が製造を北朝鮮の工場に委託し続ける限り、北朝鮮は経済的に追い込まれることなく、今後も核・ミサイル開発費の原資を稼ぎ続けるだろう。日本のお上がいくら輸入禁止措置が講じたところで、「影響無し」はむしろ北朝鮮の方かもしれない。

閉襟するのも手。

leather_main 9月も半ばに差し掛かった。店頭は秋物に変わったが、福岡はまだまだ残暑があって、先物買いのお客さんはまばらだ。一方で、動きの良い商品もあり、「サイズによっては完売したアイテムもある」と、あるレディスメーカーさん。だが、セレクトショップの店頭を見る限りでは、これと言った目を引く商品は見当たらない。

 大手SPAはレディスで「ベロア」素材を仕掛けている。起毛の割にツルンとして感触があり、フォーマルにもカジュアルにも合わせられるので、トレンドにはなっていくだろう。シルエットもスリム路線の揺り戻しから、全体的にふわっとした太めになっている。

 全体的にはフロントにギャザーを入れたり、袖のラインを意識したブラウス、ボトムはワイドパンツやフレアスカートがキーアイテムになるのだろうか。店頭ではそれらに加え、アメカジ系のトレーナーなんかを10月頃まで引っ張りながら、推移していくのではないかと思う。

 ただ、各社とも今シーズンを表すデザインを見あたらず、数字を取る先物としては「レザージャケット」くらいしかいないようだ。レディスではファーやムートンをあしらうなど、少しアレンジしたレザーにお客さんが注目している印象である。

 そのレザージャケットだが、これがどこも似たり寄ったりなデザインで、攻め手を欠いているように感じる。メンズ、レディス、各ショップとも判で押したように打ち出すのは「ダブルのライダースジャケット」。ここ数年、欧米を中心にデルカジで目立っていたことで、投入に拍車をかけたと見られる。

 ヤングは価格を抑えるためにフェイクやデニムもあるが、ヤングアダルトからアダルトまで一様に本革仕様(ラムが主体)で、付属のジップ&ホック使いも一辺倒。セレクトのほとんどがオリジナルで、価格が3万円代後半から5万円台と値ごろ感もだ。違いはバイアスジップの角度と位置、数くらいか。一部でアメカジの代表「Schott」などのブランドがある程度になる。

 ここまで似通ったジャケットが並ぶと、店頭で見ただけではその違いはわかりにくい。本格的なバイク乗りのジャケットなら、革も硬めのステアからカウ、カーフだろう。しかし、タウンに着るには柔らかいホース、ゴート、ラムやシープの方が適するから、企画もその方向で行くしかないのだと思う。

 特にレディスではゴチゴチのレザーは、華奢な日本人には似合わない。プレスリールックを女性版に焼き直したハードスタイルも、肉感的なプロポーションをもつ米国モデルならマッチするが、日本人の体型ではガバガバだから、どうしても柔らかい素材のラムやシープで、カラダにフィットさせる仕様にならざるを得ない。

 それでも、アイテムはレザーのライダースだから、ジップやホック使いの仕様は踏襲されていく。女性は男性と違ってハンドバッグを持つし、ジャケットが脹らむのを嫌うので、メンズほどジップやコインのポケットは要らない。結果的に余分なディテールはカットされ、よりシンプルなデザインになっていく。違いを打ち出しづらいから、上襟をカットするなど、引き算の企画で個性を打ち出すくらいしかないのである。

 さらに店頭のディスプレイでは、インナーやボトムとコーディネートする。店としては1点でも買い上げ点数を増やしたいし、メーンのアイテムを売りたいのはやまやまだが、実際には組み合わせたアイテムの方が売れるというケースもある。SPA化しコーディネートMDをしっかり作ったとは言っても、売れるのはほとんど単品でしかない。

 注目すべきは、ダブルのレザーライダースの場合、タウンカジュアルでの着こなしは、ディスプレイ時から「前空き」で飾られている点だ。それの方がインナーやボトムとのコンビネーション、色や素材の外し崩しで提案しやすくなる。確かにそうしたコーディネート、ディスプレイの手法は一理ある。

 しかし、レザーライダースのデザインというか、完成型の仕様が開襟状態のワンパターンだと、着こなし提案もありがちなものになり、どこか陳腐化して見えてくる。お客にとっては、あまり意外性を持って受け取られないのだ。

 カジュアルスタイルの着こなしだから、ドレスダウンしたい。関東以南は温暖化で冬でもそれほど寒くないので、ライダースジャケットの着こなしは前空きでも十分。だから、ジャケットの仕様が開襟状態で完成するのはわからないでもない。

 しかし、本来のライダーがレザージャケットを着るのは、バイクに乗る時だから防風や怪我防止のために前合わせの状態にする。襟元に風が入って来ないようにジップを上まで上げれば、襟は台襟なしのシャツカラーになるはずだ。それもファッションスタイルではないのだろうか。

 店頭に飾ってあるのはみな開襟、前空きの状態だから、多くのお客さんがこうしたレザーライダース本来の完成仕様を見たことがないと思う。それほど大したことではないのだが、店頭展開のアイテムデザイン、ディスプレイがあまりにワンパターン化している。だから、ダブルのレザーライダース本来の完成仕様で展開するブランドが2~3あってもいいのでは、数年来ずっと思っていた。

 もちろん、各社ともパターンは閉襟した状態で作ってあるだろうが、開襟・前空きで革をプレスしてあると閉襟、前合わせすると変な皺がよって、襟元がぎこちなくなることも考えられる。だから、閉襟や前合わせ、ジップアップはしにくのかもしれない。しかし、ディスプレイや見せ方で印象を変えなければ、ワンパターンな展開方法から脱却できない。お客さんにも今シーズンのイチ押しアイテムとしては印象づけにくく、結果マークダウンやバーゲン待ちの怖れもある。

closedcollor2 同じことを考えたわけでもないだろうが、今年3月、コムデギャルソンが「ブラックマーケット」で販売したライダーズジャケットは、完成仕様の見せ方が「閉襟状態」だった。ルイスレザーとのコラボアイテムということだが、各社がライダースジャケットを打ち出す中でどこもかしこも開襟、前空き仕様で見せることを嫌ったとすれば、いかにもコムデギャルソンらしい。

 レザーメーカーへの協業オファーにも二つ返事で乗ってもらえるコムデギャルソンに対し、セレクト各社はODMやOEMでの企画がほとんどだろうから、似通ったアイテムデザインになるのは仕方ない。

 しかし、仕様やパターンにも決して手を抜いていないと胸を張るなら、完成型の見せ方を少しアレンジすると、お客さんに与えるファーストインプレッションもかなり違ってくるのではないか。それが買う気にさせる第一歩になることだってあると思う。

 コムデギャルソンがライダース本来の仕様に拘るルイスレザーとコラボしたことが、必然なのか意外なのか、どちらにしてもダブルライダースのワンパターン化にくさびを打ち込んだのは確かだ。さすがコムデギャルソンとしかいいようがない。

 肌を刺す風がまだまだ冷たい3月始め、ピンと張りつめた緊張感あるパリコレクションに赴いたことがある。その会場に早足で急ぐモデルたちは寒さをしのぐために閉襟、前合わせでレザーライダースを着こなしていた。これこそ、お洒落の王道だと感じた。ショップの店頭でも、こうした角度を変えた着こなし提案があってもいいのではないか。

発信力は消費に?

TGC2017 先日、東洋経済オンラインが慶応義塾大学教授の「東京ガールズコレクション(TGC)驚異の事業構造」と題したルポを掲載した。教授はメディア論を研究しており、「今や TGCはメディアコンテンツとして、情報発信の効果は絶大だ」と、記している。


http://toyokeizai.net/articles/-/186493


置き去りにされるアパレル

 人気モデルとトップアーティストによる総合エンターテインメントに成長したTGCは、F1層(20歳~34歳までの女性)から圧倒的支持を受け、認知度も94%を誇る。「回を追うごとに高まる発信力は、TGCとソーシャルメディア(SNS)との相性のよさが相乗している。会場来場者数延べ約3万人、LINEでの生中継視聴者数140万人以上、さらにTGC当日の「#TGC」でのツイートは1億インプレッション以上……。広告換算額は50億円超に上る」のだそうだ。

 さらに「最旬トレンド・マーケットを熟知し、開発から流通、リアルからメディアまでを網羅したTGCは、エコシステム(複数の企業や登場人物、モノ、コトが有機的に結びつき、循環しながら広く共存共栄していく仕組み)の中心にいるプラットフォーマーとしてとらえることができる」のだという。

 スポンサー企業にとっては、こうしたプラットフォームが特定の業界やカテゴリーに特化していないことで、インフルエンサーとなるモデルやイベントスタッフ、会場に訪れる客や生中継の視聴者、リツィートする層にリサーチを行えば、商品開発やマーケティング、デモンストレーションを行うことも可能になる。ここまでは筆者も異論はない。

 また、教授はメディア的側面から「こういったすべてのチャネルを連携させて顧客にアプローチし「加速化するチェーン効果」を創出するビジネスモデルを「アクセラレートモデル」と称し、「アクセラレート(加速化)するバリューチェーン(価値連鎖)である。アクセラレーターは既存事業の急成長を加速化する支援者である」とも論じている。

 知名度もブランド力もない企業がスタートアップする時期にTGCのプラットフォームを使用して、コンテンツ類で有力企業と提携することで、パートナーシップを具現し、成長軌道に乗れる可能性もあるようだ。

 しかし、筆者は良いこと尽くめではないと思う。敢て反論させてもらえば、彼女たちがランウェイで身に纏う衣装は、「リアルクローズ」という「売れる服」。そのため、TGCにはデザイナーが創作する「クリエーション発信」の意味合いはない。TGCに登場するファッションは、もはやメーンのコンテンツにはなり得ず、代わって美容や化粧品、健康食品、ブライダル、食品などの企業が情報発信やマーケティングに活用しているのだ。

 ファッション価値としては、「あのモデルがプロデュースしたブランド」「あのタレントが着ているから、私も着たい」程度のものだ。リアルクローズという言葉は耳当たりが良いが、登場するブランドは原価率を極限まで落としたチープクローズに過ぎない。慶応大の教授がTGCの情報発信力を礼賛するのに対し、アパレル側がいくら衣装提供をしたところで、業界全体の疲弊を食い止められないのは、全く皮肉な点である。

 C to Cで商品を売買するメルカリが協賛しているのを考えても、彼女たちがTGCに登場したアイテムを購入したところで、気に入らなければ「売れば良いや」くらいの程度だろう。端からそうした発想でブランドを購入しているとも考えられる。当たり前のことだが、彼女らは高額なファッションに投資し、高級ブランドを所有することに価値を求めていないということでもある。

 加えて、TGCのインフルエンサーやアクセラレーターが、マーケティングやコンテンツ開発の対象たるかについても、筆者は疑問に思う。一口にF1層と言っても、下は20歳から上は34歳である。20歳なら学生もいるし、OL1~2年生もいる。22~23歳なら結婚し、育児を担う主婦もいるし、まだ大学に通う学生もいる。

 年齢、階層で収入や生活実態が違うのだから、マーケティングやコンテンツ開発の条件が一律なわけがない。そもそも、20歳と34歳ではライフステージが全く異なる。当然、消費にかける金額や内容も明らかに違ってくる。なのにインフルエンサーやアクセラレーターというニューワードだけでアプローチし、十把一絡げで現象を論じることに非常に違和感を覚える。TGCのスポンサーがイオンカードやリポビタンファインを除けば、大企業やトップブランドが名を連ねていないのは、そうした理由があるのではないか。

TGC2017-2 まあ、9月2日に開催されたTGCにマイナビが冠スポンサーだったことも、彼女らが就職情報サービスのメーン対象でもあるからだ。アルバイトや転職を繰り替えす層でもあるわけで、それだけ飽きやすい人間が多い階層とみることもできる。裏を返せば、商品開発やマーケティングで彼女らにフォーカスするのは容易ではないとも言えるだろう。

 大学教授にTGCのメディア価値をあれこれ言われるまでもなく、大企業ともなればマーケティングやプロモーションを別の仕掛けで行うノウハウを十分に蓄積しているはずだ。でなければ、宣伝会議の別冊「販促会議」があれだけの特集を組めるはずがない。

 アパレル業界なら20歳でも人によって好みが違うし、30歳になると意識やマインドが広がるから、いろんな企画で商品開発を行わないと、服は売れない。言い換えれば、TGCのスポンサーである美容や化粧品、健康食品、ブライダル、食品などの企業は、F1層にアプローチすれば目的が達成できると考えているのであれば、企業のコンテンツ開発はいたってアバウトなものと言わざるを得ない。


地方自治体はドル箱?

 TGCの新たなステージとして教授が取り上げた「TGC KITAKYUSYU(北九州)」も、主催者である北九州市の大本営発表をそのまま鵜呑みにしている。大学教授ともあろう方が「今年1月、北九州市産業経済局MICE推進課から発表された経済効果(2016年)は、約17億1000万円に上った」と、行政特有の水増し数値を検証もしないのはどうなのか。それとも、このくらいの額なら信憑性があるとの思い込みなのか。

 TGC KITAKYUSYUについては、このコラムでもその政治的な事情を解説している(http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/092c0e3cd530f7c31e8b4de1ef552558)ので、ここでは詳細は述べない。

 福岡のガールズコレクションでは、福岡市が2009年から「福岡アジアコレクション/FACo(TGCと双璧をなす神戸コレクションをフォーマットにする)」を先行させている。これは当時の麻生渡福岡県知事の肝いりで発足した「福岡アジアファッション拠点推進会議」が4つの事業の一つに位置付けてスタートした。

 福岡県がメーンで事業費の補助金(約2000万円)を拠出するのは3年限りで、あとは民間事業化すると約束がなされていた。しかし、ガールズコレクションの地方開催は、民間スポンサーだけでは厳しい。そんな時、九州朝日放送アナ出身の高島宗一郎が福岡市長に就任した。すると、「かわいい区」をはじめタレントを起用する事業に次々と予算を拠出し始めたのである。

 神戸コレクションを主催するMBS毎日放送からガールズコレクションのビジネスモデルを指南され、FACoをプロデュースするRKB毎日放送にとっては、まさに「救世主現れる」だった。ただ、福岡市がメーンでFACoに補助金を出すようになったからと、福岡県が支援を停止したわけではない。麻生知事からバトンを受けた小川洋知事も支援は継続している。

 北九州の北橋健治市長にとって、なぜ福岡市ばかりが県の恩恵を受けるのか。それでもなくても、北九州市は福岡市に比べると、都市の活力で引けをとっている。首長として「北九州市にも福岡県は支援する」ことを見せておかないと、政治家としての手腕を疑われる。TGC KITAKYUSYUの開催は、それをアピールする格好の場となったわけだ。

 しかも、北橋市長は東京大学卒で、麻生元知事、小川現知事は京都大学卒という学閥争いも絡んでいた。東大出からすれば、格下の京大に負けるわけにはいかない。結果、北橋市長は小川知事を引き連れての「東京ガールズコレクション in 北九州」開催の記者会見をこぎつけた。北橋市長の満面の笑み、小川知事の照れ笑いは、政争の結果を如実に表す。

 慶応大学の教授は「TGCがアクセラレーターとして加速させているのは、 地方創成、日本企業の海外進出支援、国際貢献など多岐にわたる」と、言い切る。TGCはこれまで北京や上海での開催実績をもち、TGC ジャカルタでは参加ブランドの海外進出も支援している。 

 また、2015年2月には国連が推進する女性のエンパワーメントと女性が輝く社会に向けて、国連の友Asia-Pacificとの提携を発表し、 2018年5月に国連本部にてTGCのファッションセレモニーを開催することが決定している。それらの根拠からだ。

 もっとも、ファッション事業というマクロで見れば、クリエーション発信であるJFWや東京コレクションには、これまで所管の経済産業省から補助金が拠出されていた。しかし、 今イチ投資対効果が明確にならなかったため、予算がカットされている。東コレのスポンサーにアマゾンがついたのも、国からの補助金では開催できなくなったからだ。

TGC2017-3 片や、TGCの地方開催や海外進出という実績は、追い風になっている。縦割り行政により、地方自治体や外務省、文化庁が支援にまわり始めたからだ。おそらくTGCを運営するW TOKYOが既にイベントを開催した沖縄や名古屋、宮崎、福島、北九州などを除き、他の主要都市にも開催の営業をかけているのは、容易に推察できる。

 開催の大義は何でも良い。福島は震災復興であり、北九州は地方創生だった。こう考えると、熊本市の大西一史市長が2019年にTGCの熊本開催を示唆したのも説明がつく。「震災復興」「にぎわい復活」「ファッションの街、復権」。大義がいくらでもある。こうしてW TOKYOや神戸コレクションに携わるアイグリッツはプロモーターとして、行政や自治体のお墨付きと資金的バックアップを受けて、収益基盤を安定させていくのである。

 その意味で慶応大教授のルポでは、一つ抜け落ちていることがある。それはトップモデルというタレントの肖像権管理が徹底されていることだ。いくら情報発信力を喧伝しても、カネを出さないところに、イベントの模様やタレントの写真は一切使わせない。 これは一般報道機関はもとより、ファッション系メディアにもだ。

 無償で二次使用できないからTGCを利用したプロモーションなどの新たな展開ができないのだ。教授のルポですら、メーンビジュアルはステージの「引きの写真」しか使えないのが何よりの証拠である。

 メディア論からマーケティングやアクセラレートを語ろうが、所詮、TGCはタレントを活用した客寄せ興行に過ぎない。人がたくさん集まるから、コンテンツとしての価値、情報発信機能があるというのは事実だが、それもタレント頼みでしかない。

 芸能人がもつ清廉イメージと醜聞リスクの二面性は諸刃の剣であり、不安定要素は尽きない。ハーフで早稲田大学卒。報道番組のキャスターやラジオのパーソナリティも務めるモデルとて、番組を降板すれば局アナとの不倫報道まで出るのだから、一目瞭然である。また、インフルエンサーとてF1層のライフステージが安定していないことから、消費行動は目紛しく変わっていく。

 言い換えれば、TGCはファッション雑誌が売れずに仕事が激減しているモデルやタレントの受け皿、CDが売れずに行き詰まっているアーチストの営業の場であり、そして観客はリクルーティングや転職の対象とでも言えようか。

 この手のイベントはとにかく情報発信力ばかりがクローズアップされるが、イベントはタイムデザインである。事象は一過性のもので時間とともに消えていくから、映像などを残さないとアーカイブにならない。だから、実際に市場を開拓し、どこまで消費につながっているのか。具体的なデータが一般に公表されることはほとんどない。

 それが反響や行動実態の検証を曖昧にしている面は否めない。だが、仮にも大義を掲げ、行政が公金を拠出してイベントを実施する以上、投資対効果におけるきめ細かなデータを公開すべきではないのか。でなければ、イベントの大義は形骸化し、ただお客を集めて収益を上げれば良いだけになってしまう。

 結局、プロモーターと芸能界が潤うだけなのに、アカデミックなメディア論も彼らの思惑を正当化するだけの安っぽい言説に見えてしまう。

記事検索
プロフィール

monpagris

カテゴリ別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ