December 31, 2005

『北澤美術館』でアール・ヌーヴォーのガラス器たちに会う 〈Part 1〉

051231本館朝からいい天気。

今日はこの間のリベンジということで『北澤美術館』へ。

ただし清里の方ではなく、近場にある本館と新館へ行くことにしました。

まずは実家から歩いて数分の『北澤美術館』本館へ。
1983年開館以来何度か訪れているとはいえ、アール・ヌーヴォー期のガラス工芸700点と現代日本画200点からなるコレクションが北澤利男氏個人によるものだったことを思うと、感慨深いものがあります。

▼ 「ひとよ茸ランプ」  ガレ  1902年〜1904年
まず最初に出迎えてくれるのは、エミール・ガレ晩年の代表作、「ひとよ茸ランプ」。
たった一夜で成長をとげ、夜明けにはその姿を消すというひとよ茸をモチーフにしたこの作品は、人間の一生を象徴しているといわれています。初めてこれに出会った頃は、この真ん中の茸くらいだった私だけれど、今じゃ一番開いたやつ。『ひとよ茸ランプ』と出会ってからもう20年以上になるので、私の脳内では旧い友人みたいなもんです。

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「ひとよ茸ランプ」さんの周りを一周し、ひっさしぶりぃ〜♪と脳内で挨拶し、中の展示室へ。
ここにも“旧友”たちがいます。私のお気に入りを簡単に紹介しましょう。

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▼ 「好かれようと気にかける」  ガレ  1889年
蜻蛉と蛙、そしてキンセンカがモチーフのこの作品は、何といってもタイトルが秀逸。
花の茎にからげて“Souci de plaire.”「好かれようと気にかける」と刻まれていて、底部にはさらに“C'est mon soui…”「それは私の気配り…」という文字が。「Souci」には「気配り」と「キンセンカ」の二つの意味があり、花のモチーフはそれに因んだものです。
ここでは蜻蛉に「好かれようと気にかける」蛙が気遣いを見せているというわけですが、それにもさまざまな解釈があるようです。ちょっとせつない物語ではありますが、蛙は蜻蛉の気を引いてから喰ってしまうに違いない。
いずれにしても、がんばるのよ蛙!これを見るたびに、まるで小林一茶のように蛙にエールを送る自分がいます。

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▼ 「蜻蛉文脚付杯」  ガレ  1900年〜1904年
大理石風の模様がある素地に蜻蛉。この羽根の繊細な表現が見事なので、私は全体でなくこの部分ばかりじろじろ見てしまいます。素地にある羽根の影の表現も、蜻蛉の眼のグリーンも、なんとも美しいではないですか。

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▼ 「フランスの薔薇」  ガレ  1901年年頃
なんと可憐な花瓶でしょうか。うーん、いつ見てもおまえは可愛いわねぇ、と脳内で声を掛けずにはいられませんが、この血のような赤い薔薇にはガレの強い郷土愛が込められています。
フランス地域の古称で「ガリアの薔薇(ローザ・ガリカ)」とも呼ばれるこの薔薇は、1870年の普仏戦争の敗北でドイツへ割譲された旧フランス領、サン=カンタンの山中でのみ、その花を咲かせるのだそう。
まるで流血を象徴するような「フランスの薔薇」の連作には、ドイツにぶんどられた郷土への思いが込められているのです。

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▼ 「蘭文浮彫花器」  ガレ  1900年〜1904年
これはスゴイんですよ。
溶着したピンクのガラスを冷却後に彫刻してカトレアの花を表現しているんですが、ううむ、はっきりいって私には女性器にしか見えません。
しかも表側には満開の花、裏にはしおれた花が配されていて、生と死を象徴しているのだといいますから、これぞまさしく「カルマの壷」。
ここ数年会ってなかったけどさぁ、いろいろあったのよぅ。まあちょっと聞いてくんない?…と、この方を相手に脳内で話し始めると長くなりそうな「蘭文浮彫花器」さんです。

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▼ 「海馬文花瓶」  ガレ  1903年
ガレ晩年の代表作のひとつ。珊瑚がまるで血管のようです。
この花瓶にはタツノオトシゴのバージョン違いがあって、『北澤美術館』のは向かって右上が黄色、左下が黒ですが、広島の方の個人蔵のものは上が黒、下が黄色だったりするそうです。

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次は2階の展示室へ。
ここには東山魁夷、山口華揚、平山郁夫、加山又造などの日本画が展示されています。常時30点が展示されていますが、季節に合わせて一部入れ替えたりするため、この日は私が好きな山口華揚の作品「青柿」を観ることができなくてちょっと残念。

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諏訪湖の結氷。今年は「御神渡り」が見られるでしょうか。

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この記事へのコメント
ほえ〜綺麗な作品じゃのう。なんだか一緒に旅行をしている気分になれました。いつも思っているのですが、写真、お上手ですよね。
Posted by きゃんべる at January 04, 2006 23:37
ありがとうございますー。
写真、実はあんまり得意種目ぢゃないんですよー。
だけど、見るのも撮るのも結構楽しんでます。
これからもblog上で共に旅をしようではありませんか。
Posted by yann at January 05, 2006 00:29
yannさん、あけましておめでとうございます。

ガレの作品、美しいですねえ…。
この美術館へは行ったことがないのですが、
お写真を拝見する限りでは、
展示構成や見せ方もなかなか凝っているようですね。
照明がさらに作品に美しく見せているなあと思いました。
一度行ってみたいです!

それでは今年もどうぞよろしくお願いします。
Posted by はろるど at January 06, 2006 01:21
一人でこの空間にいると、水族館にいるようです。
「ひとよ茸ランプ」は何点か現存し、他の美術館にもありますが、
ここのが一番バランスがいいのではないでしょうか。

今はすごく寒いので、春になったらぜひお出掛けください。
Posted by yann at January 06, 2006 08:08