手軽に持ち運べ、手軽に組み立てられる木製のアウトドアテーブルがほしかった。
アルミが嫌いなので市販のものにはなかなか満足できない。
神様からの贈り物のような、野生食材料理を置くのに耐える存在感もほしかった。
ふとおもしろい構造が浮かび、自分で作ってみたが、道具として貧弱すぎる。
欲が出てきた。
こいつはちょっといけそうだ!
で、友人の木工作家、坂野原也に制作を依頼したのである。
折りたたんだ状態。
2つの足にそれぞれ穴が開いていて、大きな穴と小さながある。
で、その太い穴から棒を入れる。
棒は先が細く、元が太い。
細い先が小さな穴に入り、ぐっと押し込むと足が固定される。
僕の試作品は適当な流木でやったが、坂野はしっかり丁寧に削り込んでくれた。
仕上がりは非常に美しい!
坂野自身がアウトドアが大好きなので、注文したらすぐにできてしまった。
しかも2つも!
ひとつくれるというが、さすがに悪いので1.5個分のお金を払う。
坂野もいろいろ考えながら作ったので、2つの机は少しずつ違う。
右は栗の単板。左は三枚合わせである。
坂野得意のリンシードオイル仕上げ。東京芸大油画の出身なのだ。
とっておきの場所でデビューさせる。
もう何年も傍らにあったように、僕の世界に溶け込む。
ローな世界である。
足元を湧水がひたひたと揺れて流れる。
そこにワインをころがし、トマトをころがし、おもむろにひろいあげては飲む。食う。
何の文句もない。