<明晰夢>
夜に見る夢の中で、自分が夢を見ていると気づくことがあります。
夢の中で覚醒すると、かなり自由に自覚的・選択的に行動できるようになります。
このように、夢を見ているという自覚を持ちつつ夢を見るのが第一の「夢見」です。
一般に「明晰夢」とか「覚醒夢」呼ばれます。
いくつかの神秘主義的な伝統でも行います。
「明晰夢」では、夢が通常の夢よりも、また、現実よりもずっと鮮やかになり、印象深くなります。
また、自覚的、選択的に行動できるだけではなく、夢の環境や登場人物を変えることも、ある程度できます。
夢のストーリーも、通常の夢のように突飛な連想的展開が減って、かなり整然としたものに近づきます。
しかし、夢は完全にはコントロールできない、あるいは、しません。
「明晰夢」の見方については、明晰夢を見る方法1、2、3をお読みください。
<白昼明晰夢>
第2の夢見の方法は、昼に空想する「白昼夢」の状態から、「明晰夢」に近い意識状態に入る方法です。
つまり、イメージしたものが夢や現実同様のリアリティーを持ち、自分の意図を越えて自動的に動くようになります。
「完全にその夢の世界に入って行く」場合もあれば、「現実世界を残しながら絵を見るように」夢見をする場合もあります。
この状態を「白昼明晰夢」と呼びましょう。
この意識状態では、現実の自分がどこにいてどういう姿勢をとっているかも、半ば自覚しています。
しかし、同時に、夢の中にいて行動しています。
意図的に夢の中に入って行き、戻ります。
様々な神秘主義的伝統で行なわれていますが、特定の場面の設定を行って、特定の目的で行います。
深層心理学者のユンクが「能動的想像力」と呼んだ方法もこれに当たります。
シャーマンのトランスもこれに当たります。
エクスタシー型のシャーマンのトランスは「完全に夢に入り込む」形、暗闇などで行う霊視は「絵を見るように行う」形です。
また、高等魔術の修行などでも良く使う技術です。
「完全に夢に入り込む」場合は「アストラル・プロジェクション」、「絵を見るよう行う」場合は「スクライング」と呼びます。
これら秘教の伝統で使われる場合は、その内容に、個人的なものではないなんらかの客観性が求めれます。
イメージを完全にコントロールすると「観想」と呼ばれる瞑想法や、イメージ療法になってしまいます。
「白昼明晰夢」の見方については、「白昼明晰夢を見る方法」をお読みください。
<ドリーム・ワーク>
第3の夢見の方法は、「白昼明晰夢」ほどイメージの世界に入り込まない、行いやすい方法です。
意識の状態としては「白昼夢」と同じですが、意図を持って夢に向かい合うので、「ドリーム・ワーク」と呼びます。
そのテーマ設定は、自分の内面からの合図に従って行うことが多いのです。
夜見た夢を思い出して、その続きを白昼夢として展開するのも一つの方法です。
ただ、あくまでも自分でストーリーをコントロールせず、受動的な姿勢で、イメージを受け入れるようにします。
夢だけではなく、日常の中で感じる漠然とした感覚や雰囲気、あるいは、無意識的な体の動き・しぐさや身体症状なども夢と同様の表現と考えて、それに集中し、イメージを膨らまして、夢のように展開します。
プロセス指向心理学を初めたアーノルド・ミンデルは、身体症状などを夢と同様に扱うこの方法を、かつて「ドリーム・ボディ・ワーク」と呼びました。
ジェンドリンが始めたフォーカシング指向心理学では、言葉やイメージになる前の漠然とした身体感覚を対象にワークを行い、それをイメージや言葉に展開します。
この方法は「フォーカシング」と呼ばれます。
プロセス指向心理学では同様な方法を「センシェント・ワーク」と呼びます。
そして、このイメージ以前の意識と、イメージ段階の意識、日常の意識を、行ったり来する方法を「プロセス・ワーク」と再定義します。
また、プロセス指向心理学では、夢をあまり見ない人が、日常を夢のように扱う夢見の方法を、特に、「秘密のドリーム・ワーク」と呼びます。
シャーマン的な伝統でも似た方法が行われます。
夢見の技術には収まりませんが、自分の記憶を書き換えたり、自然を対象にして夢見に似た方法を行うこともあります。
「ドリーム・ワーク」の詳細については「ジェンドリンのフォーカシング」、「コーネルのフォーカシング」、「ドリームボディワーク」、「センシェントワーク」、「フラート・ワーク」、「秘密のドリーム・ワーク」をお読みください。
<演劇夢>
第4の夢見の方法は、数人が即興的に夢の続きを演劇的に演じる方法です。
夢を実演しながら体験し直すのです。
頭で考えるのではなく、無意識から自然に生まれる心の動きに従って行動し、話しながら演じます。
順番に、夢の登場人物のそれぞれになりきります。
これはゲシュタルト・セラピーが行うロールプレイングによる夢見の展開の方法です。
分かりやすく表現すれば、ジャズのセッションで、即興的に演奏するようなものです。
シャーマン的な伝統や、宗教的な儀式でも、似た方法が使われることもあります。
演劇夢の詳細については「夢の演劇的ワーク(ゲシュタルト・セラピー)」、「西洋魔術の即興神秘劇」をお読みください。