<明晰夢>

夜に見る夢の中で、自分が夢を見ていると気づくことがあります。
夢の中で覚醒すると、かなり自由に自覚的・選択的に行動できるようになります。
このように、夢を見ているという自覚を持ちつつ夢を見るのが第一の「夢見」です。
一般に「明晰夢」とか「覚醒夢」呼ばれます。

いくつかの神秘主義的な伝統でも行います。

「明晰夢」では、夢が通常の夢よりも、また、現実よりもずっと鮮やかになり、印象深くなります。
また、自覚的、選択的に行動できるだけではなく、夢の環境や登場人物を変えることも、ある程度できます。
夢のストーリーも、通常の夢のように突飛な連想的展開が減って、かなり整然としたものに近づきます。

しかし、夢は完全にはコントロールできない、あるいは、しません。

「明晰夢」の見方については、明晰夢を見る方法123をお読みください。


<白昼明晰夢>

第2の夢見の方法は、昼に空想する「白昼夢」の状態から、「明晰夢」に近い意識状態に入る方法です。
つまり、イメージしたものが夢や現実同様のリアリティーを持ち、自分の意図を越えて自動的に動くようになります。

「完全にその夢の世界に入って行く」場合もあれば、「現実世界を残しながら絵を見るように」夢見をする場合もあります。

この状態を「白昼明晰夢」と呼びましょう。
この意識状態では、現実の自分がどこにいてどういう姿勢をとっているかも、半ば自覚しています。
しかし、同時に、夢の中にいて行動しています。
意図的に夢の中に入って行き、戻ります。

様々な神秘主義的伝統で行なわれていますが、特定の場面の設定を行って、特定の目的で行います。

深層心理学者のユンクが「能動的想像力」と呼んだ方法もこれに当たります。

シャーマンのトランスもこれに当たります。
エクスタシー型のシャーマンのトランスは「完全に夢に入り込む」形、暗闇などで行う霊視は「絵を見るように行う」形です。

また、高等魔術の修行などでも良く使う技術です。
「完全に夢に入り込む」場合は「アストラル・プロジェクション」、「絵を見るよう行う」場合は「スクライング」と呼びます。

これら秘教の伝統で使われる場合は、その内容に、個人的なものではないなんらかの客観性が求めれます。

イメージを完全にコントロールすると「観想」と呼ばれる瞑想法や、イメージ療法になってしまいます。

「白昼明晰夢」の見方については、「白昼明晰夢を見る方法」をお読みください。


<ドリーム・ワーク>

第3の夢見の方法は、「白昼明晰夢」ほどイメージの世界に入り込まない、行いやすい方法です。
意識の状態としては「白昼夢」と同じですが、意図を持って夢に向かい合うので、「ドリーム・ワーク」と呼びます。
そのテーマ設定は、自分の内面からの合図に従って行うことが多いのです。

夜見た夢を思い出して、その続きを白昼夢として展開するのも一つの方法です。
ただ、あくまでも自分でストーリーをコントロールせず、受動的な姿勢で、イメージを受け入れるようにします。

夢だけではなく、日常の中で感じる漠然とした感覚や雰囲気、あるいは、無意識的な体の動き・しぐさや身体症状なども夢と同様の表現と考えて、それに集中し、イメージを膨らまして、夢のように展開します。

プロセス指向心理学を初めたアーノルド・ミンデルは、身体症状などを夢と同様に扱うこの方法を、かつて「ドリーム・ボディ・ワーク」と呼びました。

ジェンドリンが始めたフォーカシング指向心理学では、言葉やイメージになる前の漠然とした身体感覚を対象にワークを行い、それをイメージや言葉に展開します。
この方法は「フォーカシング」と呼ばれます。

プロセス指向心理学では同様な方法を「センシェント・ワーク」と呼びます。

日常の中で、一瞬ふっと心を通り過ぎる直観のようなもの、様々なものを見たり聴いたりしている中で何となく気が引かれるもの、そういったものを夢の種のような存在と考えて、それに集中し、イメージを膨らまして、夢のようにそれを展開します。
そして、このイメージ以前の意識と、イメージ段階の意識、日常の意識を、行ったり来する方法を「プロセス・ワーク」と再定義します。

また、プロセス指向心理学では、夢をあまり見ない人が、日常を夢のように扱う夢見の方法を、特に、「秘密のドリーム・ワーク」と呼びます。

シャーマン的な伝統でも似た方法が行われます。
夢見の技術には収まりませんが、自分の記憶を書き換えたり、自然を対象にして夢見に似た方法を行うこともあります。

「ドリーム・ワーク」の詳細については「ジェンドリンのフォーカシング」、「コーネルのフォーカシング」、「ドリームボディワーク」、「センシェントワーク」、「フラート・ワーク」、「秘密のドリーム・ワーク」をお読みください。


<演劇夢>

第4の夢見の方法は、数人が即興的に夢の続きを演劇的に演じる方法です。

夢を実演しながら体験し直すのです。
頭で考えるのではなく、無意識から自然に生まれる心の動きに従って行動し、話しながら演じます。
順番に、夢の登場人物のそれぞれになりきります。

これはゲシュタルト・セラピーが行うロールプレイングによる夢見の展開の方法です。

分かりやすく表現すれば、ジャズのセッションで、即興的に演奏するようなものです。


シャーマン的な伝統や、宗教的な儀式でも、似た方法が使われることもあります。

演劇夢の詳細については「夢の演劇的ワーク(ゲシュタルト・セラピー)」、「西洋魔術の即興神秘劇」をお読みください。