このブログは陸上競技短距離専門ですが、今回はサッカーの話。

アジアカップという4年に一度行われる大会が終わり、日本代表は準優勝になりました。

優勝候補だっただけに、決勝でカタール代表に3-1で負けたことに日本国内では結構騒がれました。

「優勝じゃなければ意味がない」「得たものはない」というコメントもちらほら見えましたが、ぼくはそうは思いませんでした。

アジアカップ全体を通してベストを尽くしていたし、「得たものはない」という視点があると、目の前におおきなチャンスがあっても見逃してしまいます。

そしてネットはもちろんのこと、スポーツ雑誌やメディアの解説を見ると、具体的な戦い方の分析や解説をされていますが、僕の情報配信を熱心に読んでくれてる方は、とてつもない違和感を覚えたはずです。

なぜなら、戦術は戦略に支配され、戦略はマインドに支配されるからです。

つまり、世間で反省・議論されている部分は「戦術」という具体的であり抽象度の低いところなので、どんなに議論をしても結局は「頑張る」「努力する」になってしまいます。

ですがその業界の第一線にいる以上、「頑張る」「努力する」のは当たり前の事であり、プロであれば誰しも限界ギリギリまで追い込んでいます。なので根性論を超えたアプローチが必要となります。

じゃあどうすればいいのか?というと、マインドの仕組みを理解して活用することです。

戦術(ポジションなどの具体策)は戦略(つまりアジアカップをどのように制するのか?)という一つ抽象度の高い情報に左右されてしまいますし、さらには戦略はマインドの使い方(ゴールなりコンフォートゾーン)という抽象度の高い情報に左右されてしまうという事です。

マインド→戦略→戦術

これを知っていないと、目の前で起こった出来事に囚われ、解決策がスコトーマに隠れた状態で議論をする事になるので、議論を繰り返したところで解決策は出てきません。

人間は、変わりやすいモノゴトを欲しますが、本当に大切なものは分かりにくく目に見えないものです。

なので今回は、コーチングの理論を使って、日本代表に必要だったことを解説していきます。


【準決勝後に必要だったのはゴールの更新】


やるべきことは一つ。ゴールの更新でした。


準決勝はイランに3-0で勝利しましたが、主将を務めた吉田麻也選手によると、チーム内に精神的なゆるみが発生したようです。

「イラン戦の流れでいけるだろうという油断やスキみたいなものを少し感じていたにもかかわらず、それを律することができなかった」吉田麻也

モノゴトを成し遂げるためには必ずモチベーションが必要になります。そしてモチベーションを作る方法は、ゴールと現状にギャップを生むことです。

僕たち人間は、内面のリアリティによって外部環境を合わせます。

つまり「これが自分の実力だ」と自己イメージがあり、無意識にまでまたがるコンフォートゾーン(自分が心地よいと感じるゾーン)に戻るように行動を促すということです。

これがモチベーションです。(つまりモチベーションは結果という事です)

そしてハイパフォーマンスを発揮するためには、コンフォートゾーンを引き上げることが必須になりますが、コンフォートゾーンを引き上げる基準がゴールになります。


ゴールを更新しすることで、現状とギャップが生まれて適度なストレスがかかり、適切なコンフォートゾーンに戻るために(この場合は新しく設定したゴール)、モチベーションが維持できるという事です。

逆に言えば、無意識が「このままいけばゴールを達成できる」と思った瞬間、モチベーションが上がらなくなり、パフォーマンスが下がるという事です。


つまり今回のケースで言えば、吉田麻也選手の言葉通り、準決勝でイランに勝ったことでチームとしてのゴール(アジアカップ優勝)に手が届くところまで来てしまったので、チームの精神的なゆるみを発生させてしまい、決勝で本来持っているパフォーマンスを発揮できなかったというわけです。

なので準決勝から決勝までの間に行うべきことは、チームとしてのゴールをコンフォートゾーンの外に設定して、チーム内で共有してリアルにイメージしつづけることでした。

現状の自己イメージ(チームのイメージも含む)を守ろうとする意識が働ていれば、それ以上の能力を発揮することはありません。

たしかに日本代表として、プロとして、アジアカップというアジア地区の頂点を決める試合をするくらい、選手およびチームの力も高いですし大きな活躍でもあります。

しかし、ゴールを現状の外側に設定して、それを達成した時のリアルで強い自己イメージを持つことができれば、世界中のサッカーファンが語り継ぐようなプレーと成績を残すことができたはずです。


【2006年侍ジャパンのイチロー選手の高いゴール設定】


スポーツのゴールを考える時に、僕は2006年のWBCのイチロー選手を思い出します。

なぜならコーチング的に考えても、とてつもないぶっ飛んだゴールだったからです。

「勝つことだけに満足するのではなく、試合を見守っている日本のファンにすごい試合だったと感じさせたい。(韓国、台湾など相手チームには)これから30年間は日本に勝てないことを思い知らせたい」

「優勝するのは当然で、大事なのは世界中の人達の記憶に残り、野球の面白さを伝える」という意思が見え隠れします。

日本陸上界代表として世界大会決勝で勝負するマインドセットとは!?100mで世界と戦おう!にも書きましたが、試合に出場する以上、優勝というのは平等に与えられた権利なのでゴールになりえません。

つまりそもそも「試合に勝つというのはゴールになりえない」という事であり、大事なのは「優勝してどうしたいのか?」という高いゴールということです。

イチロー選手の話に戻りますが、結果は皆さんご存知の通り、チーム一丸となってゴールに突き進み、2006年と2009年のWBCで優勝しましたし、今でも語り継がれてる試合でもあります。

もちろんこのゴールが全て良いというわけではないですが、これがゴールをコンフォートゾーンの外に設定するという事です。

ハイパフォーマンスを実現して結果を出してる人というのは必ずコーチング理論通りにマインドセットを行っていますし、マインドが正しくセットされるからこそ超一流になることができます。


【ゴールを現状の外側に設定してますか?】


スポーツは技術も大切ですが、レベルが高くなればなるほどマインドの状態で決まります。

つまりメンタル勝負なわけです。

今回のアジアカップのように、プロとして活躍している超一流の身体能力を持っている選手でさえも、マインドの働きには逆らえません。

なぜなら僕たちの身体はマインドの状態によって変わって簡単に変わってしまうからです。

確かに心と身体はつながっているので、身体からアプローチすれば心も変化しますが、抽象度の概念で言えば心(情報空間)と身体(物理的現実世界)では、前者の方が抽象度が高く影響力を与えます。

なのでこのブログを読んでる指導者およびプロスポーツ選手は、心と身体をセットとして考えるマインドの働きを知り、使えるようになる事が重要なわけです。

僕たちは常にゴールをコンフォートゾーンの外側に設定し続け、指導者は選手のゴールを更新して高く維持するようにサポートしてあげる必要があります。

そうすることで、選手の中眠る能力は発揮され、ハイパフォーマンスが実現します。

良いコーチとは、選手のゴールを引き上げ、それを達成できると信じて、選手の能力を引き出す人の事です。

ハイパフォーマンスを実現できる選手というのは、常にコンフォートゾーンの外側にゴールを設定して、リアリティを維持できる人です。

マインド→戦略→戦術

視点を上げて、抽象度を高くしていきましょう!

そして僕たちは、マインドの使い方を抑えて、己に愚直に使い続け、ハイパフォーマンスを実現していきましょう!



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