MAGNUM UNIVERSE

こちらは森村裕樹による偏愛に満ちた日記、時々観戦レポです。大半は陸上ネタで占められているようですが、たまには違う話題も語ります。記事の無断転載、二次使用はお断りいたします。リンクはフリーですが、その場合は必ずご連絡を! 自分のペースで更新中。チーム福島は優先的にご贔屓中!!

がんばっぺ! 福島


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この時期になると思い出す話

ま、たまには陸上以外の話題です。


これ、一度書いたような気がしないでもないんですが……


ある年のクリスマス、25日の出来事。
待ち合わせまでの時間つぶしで入った駅のファーストフード店で、私の隣の席に小学3、4年生くらいの男の子が座っていました。彼が漫画を読みながらジュースを飲んでいると、女子高生がその向かいに座ります。
姉弟であろうと思われましたが、女子高生は座るなり携帯を開き、二人の間にしばらく会話はなし。席に着いてだいぶ経ってから、女子高生は弟にぶっきらぼうに問いかけました。
「今年はサンタに何もらったの?」
弟は一度顔を上げましたが、すぐにふてくされたようにまた漫画に目を落とします。
「……なかった」
「え?」
「今年はサンタ来ないんだって、お母さんが言ってた」
すると、女子高生はニヤニヤ笑い、
「普段悪いことばっかするからだよ。あーあ」
と、弟の顔を覗き込みました。弟は漫画から視線を上げずに、口を尖らせます。
「俺、知ってるよ」
「何が?」
女子高生はポテトをつまみながら、弟を面白そうに見やります。
「サンタじゃなくて、プレゼント置いてるの、お母さんとかだって」
ドキっとしたのは隣の席にいた私の方。
女子高生は表情ひとつ変えずに弟を見ていました。
「何、それ」
「お母さんが夜にプレゼント置いてたんでしょ」
女子高生はそのままポテトに手を伸ばしながら、弟をまっすぐ見つめると、
「バカじゃないの」
と一刀両断に切り捨てました。
「サンタが送ってきたやつをお母さんがアンタのところにおいてんだよ」
「……」
「だって、サンタはフィンランドにいるんだよ。サンタが直接来たら不法入国になるじゃん」
「あ……」
弟は漫画から顔を上げて、姉をまっすぐ見つめます。
「だから航空便で送ってくるの。それをお母さんが置いてるんだよ。この前ニュースでやってたし。『今年もサンタからのプレゼントが届きました』て空港からの映像」
「……そっか」
女子高生はにやにや笑いながら、弟を斜に見やり、
「バッカだねぇ。そんなこと言ってるからサンタが来なくなるんだよ」
とどめをさすように言い放ちました。
弟はがっくり肩を落としましたが、
「あーあ」
などとからかう姉の言葉に、どこかホッとしたような目を一瞬したのでした。
その後、どこからかかかってきた電話に、
「え? なんでそっちにいんの? 東口って言ったじゃん」
と文句をつらつら並べると、弟に、
「お母さん、西口行っちゃったんだって。ほら行くよ」
乱暴に促して席を立ちました。
弟はそれに黙って従っていたのでした。


一見乱暴そうな言動のいまどきの女子高生は、家族思いなのだろうなあ、と思えたし、ふてくされながらも納得して自分のその年の行動を反省していたのであろう小学生は、きっととても素直でいい子なんだろうなあ、と勝手に想像したのでした。
数年経って、小学生はお姉さんの優しさにそろそろ気づく頃かな、と思ったり……





まもなくクリスマスですねぇ。
25日は全国高校駅伝。その前に18日には全日本実業団女子駅伝と全国中学駅伝。


そして年の瀬が近づくとともに、年明けの駅伝も近づきますね。

第88回箱根駅伝・監督トークバトルレポ《後編》

村山「今回のテーマは『高速レースに挑む』ということですけれども、前回大会、早稲田と東洋は大会記録を更新しました。早稲田大学は今のコースになって初めて11時間を切ったんですね」
大後「速いですねぇ〜。箱根駅伝のコースはアップダウンがあるんですけれども、前回の優勝タイムでどれほどのスピードで走ったかと言うと、5区6区は特殊区間なので除くと、平均して1km3分01秒なんです」
村山「5区6区を除いた8人が1kmあたり3分01秒で走った、と」
大後「はい。復路は若干力の劣る選手が走りますから、おそらく往路は2分台でいっていたと思います。復路は3分ちょっと、じゃないですかね。
年々このタイムは上がっているんですよ。40回大会の優勝タイムだと、1km3分15秒なんです。それが3分10秒になり……」
村山「どんどん速くなってるんですね」
大後「73回74回と神奈川大学が優勝しましたが、この時が3分05秒、3分08秒というところなんです。風もあったりするので、何とも言えない部分もありますが、ここ数年は3分ペースできてまして、いよいよ2分台に入るか、という感じですね」
村山「前回大会がちょうど84回大会、駒澤大学が優勝した時と気象条件が同じような感じだったんですが」
大後「84回大会は3分03秒ですね。この2秒は大変なもんですよ。20kmにしたら40秒違うわけですから」
村山「渡辺監督、前回の10時間59分51秒というのは想定内だったんですか?」
渡辺「いえ、想定外です。84回の駒澤さんのタイム(11時間05分00秒)ぐらいでは行くかな、とは思っていたんですが」
村山「どうしてここまで速かったんでしょう」
渡辺「気象条件がよかったのと後半競り合ったのがよかったんでしょうね。往路は少し風がありましたが、復路の気象条件がよかったですから。気温と湿度が低かったんです」
村山「84回大会と前回の区間ごとのタイム差を比較すると……(モニターに各区間ごとのタイム差が出る) 1区が2分15秒上回ってるんですね〜。1区の大迫選手にはどういう指示を出していたんですか?」
渡辺「14分……(言いかけて)ちょっと専門的な言葉になるんですが……(5km)14分40秒だとつかれるから」
村山「後ろの選手がついてくるから、ということですね」
渡辺「はい。14分40秒だと後ろにつかれるから、中途半端では行くなよ、と」
村山「どのくらいで行けとは言ったんですか?」
渡辺「いえ、細かくは指示してません」
村山「最初、日大の堂本選手がついてきましたが、最終的には独走で飛び出すことになりました。これは狙い通りですか?」
渡辺「狙い通りです。……でも、本来の駅伝のセオリーから言うと、これはダメなんですよ(苦笑)。
私が70回大会で1区を走りましたが、この時に山梨学院の井幡選手につかれまして、私は区間賞はとったんですが、30秒ほどしか差をつけられなくて、最終的には山梨学院に負けましたから。1区でNo.1を使うのはセオリーとしてはバツですね。一か八かの賭けですので、本来は間違っています」
村山「結果的に前回早稲田大学は区間賞はこの大迫選手1人だけなんですよね〜」
大後「他校を焦らせましたよね」
村山「そういった意味では酒井監督、東洋は5区で逆転はしましたが、復路再逆転されることになりました」
酒井「結果的には1区の2分の差というものが大きかったです。1分以内できてほしい、というのが本音でしたが、後ろの集団が牽制して動かず、逃がしてしまうことになりました。渡辺監督の思い通りの展開になってしまいましたね」
村山「(5区で追いかける)柏原選手にはどういった指示を出されたんですか?」
酒井「トータルのタイムの指示は彼には出したことはないですね。
1年生の時には、彼が憧れている今井正人選手の記録に挑戦したい、それをやぶりたいというのがありましたが、その後は自分の記録をやぶりたいというのはなく、いかに前を逆転するかでしたから。今回はできるだけ自分のところで稼ぎたい、16分を出したいと言っていました」
会場「お〜」
大八木さん苦笑。
大後「大八木さん、そんな嫌な顔しなくても(笑)」
大八木「(げんなり)キツイですよ〜。うちは(5区は)19分〜20分で上出来なんですから、それでも4分やられますから」
村山「駒澤大学も6区で千葉選手が前回区間新を出しましたよね」
大八木「6区ではそんなに差がつかないんですよ。でも山(5区)だけで4分ですから! その差をつめるのは一苦労です」
村山「柏原選手というのはそれだけの存在感ですか」
大八木「そうですね」
村山「両角監督は今回初めて箱根駅伝の指揮をとられるわけですが、タイムなどはどう考えていらっしゃいますか?」
両角「経験がないので何とも言えませんが…… 高校駅伝ですと(区間ごとの)距離が結構違うので、最初からこの子は長い距離でもいける、短い距離が得意という目星をつけて、1年かけて指導して起用できますが、箱根はすべて20kmですんで、違うなーと思っています」
村山「西監督はいかがですか?」
西「私の場合は復路は考えてないですからね。往路でいい流れを作ってそのまま行ければと思っています」
村山「高速化についてはどう思われていますか?」
西「うちはスタートの出遅れが多いのでね、それはないように、と思っています」


村山「続いて各監督に伺いたいのですが、今考えている三大重要区間はどこでしょう?」
各監督、フリップに書き出す。
大後「これはチームのタイプで違ってくるでしょうね。特殊区間なのか、2区9区というところなのか、監督の考えもありますし、選手の特徴もありますしね」
渡辺『5、6、2』
村山「これは渡辺監督、今年の重要区間ということですか?」
渡辺「いえ、毎年そうです。早稲田は山が鬼門ですから」
村山「しかし、前回はうまくいきましたよね」
渡辺「ええ、でもずっと鬼門でしたんで。山上りは23kmありますのでね、柏原くんがいるいない関係なく重要ですね。2区は流れが重要になってきます。どこも1区から3区は主力をつぎこんできますから」
村山「では酒井監督お願いします」
酒井『2、5、6』
会場「おー!」
村山「これは(書いた順番は)重要度ですか?」
酒井「いえ、数字の若い方からです」
村山「2区5区6区ということですが、その心は?」
酒井「1区3区も大事なんですが、2区は1区が駄目なら立て直さなければなりませんし、3区へいい流れをつなげなければなりません。5区は23kmありますし、6区はうちの場合は5区の貯金をどれだけ生かすか、いかに消費しないでいけるか、というところですね」
大八木『2区5区6区』
会場「お〜っ!!」
大八木「1区も大事なんですが、酒井監督が言ったように、1区の出遅れも2区が取り戻さないといけませんし、5区は差がつく。6区は復路のスタートですから」
村山「芦ノ湖を時差スタートしていきますからねぇ」
大八木「いい流れをつくらないといけませんから、結局は1区と同じなんですね。いい流れを後半につくらないといけないですから」
村山「駒澤大学はこの3つの区間、前回走った選手が残っていますね」
大八木「どうでしょう? (3人が)出てればいいですね」
村山「前回と同じ区間で?」
大八木「いや……そこは進化してますから(ニヤリ)」
両角『1、2、5(3、7)』
両角「2区5区はコースの特徴から大事ですね。1区は唯一スタートから自分の思い通りのレースができる区間なんですが、大迫や佐藤悠基が過去に走りましたけど、最近の学生はあういう思い切ったレースができる選手が少ないですから。
3区と7区は終わりが平塚中継所で地元なので(笑)」
会場「あ〜(納得)」
村山「今年の東海大学の1区は、思い切った選手が起用できそうですか?」
両角「できません(笑顔できっぱり)」
西『1〜3』
西「前々回、うちは北條という選手がトップに立っていい流れでいきましたんで」
村山「5区で逆転されましたが、そこまでトップでしたね」
西「あの時は5区の選手はあれが精一杯だったので、彼は頑張ってくれました。あの時いい流れでいったように今回も行きたいですね。そして2区の鎧…………あ、」
会場爆笑
西「いやいや」(慌てた様子もなく)
村山「2区の某選手、ですね」
西「まあ、何とか負担がかからないように」
大後「西さんは正直ですね〜」
西「いや、まだわからないですよ。(とぼけて)上りも考えてますから」
村山「(大後さんに)上りも考えてる、と言ってますよ」
大後「いや、それはない(笑)」
西さん、知ら〜ん顔。
西「2区の流れをその後につなげたいですね」
村山「明治大学は前回山を上った選手が残っていますね」
西「それは心強いんですが、6区や9区にビシッとした選手がほしいですね」
大後「メモとってないですけど(他の大学の監督)皆覚えてるんですよ。
でもこれが王道ですね。この区間をしっかり育てていかないと……5区6区の特殊区間、そして前半、且つ帰りに駒を残しておけば楽に勝てますね」


村山「次に各監督には『エースに求めるものとは?』ということをお聞きしたいと思います。明治は鎧坂選手がエースと決まってますが(会場笑)、それ以外の大学はエースの紹介も含めて書いていただければ、と思います。大後さんはどう考えていますか?」
大後「エースとは計算できる、安心感を与えてくれる存在ですね」
渡辺『早さ、強さ、宇宙人』
村山「渡辺監督、これは……?」
渡辺「名選手は大体ちょっと変わってるんですよ」
会場、誰かを思い浮かべてクスクス
村山「たとえば?」
渡辺「早稲田大学ですと過去には瀬古利彦という選手がいましたが、まあ私も含めてエースは大体変わってるんです。宇宙人同士の会話って言うんですかね」
村山「大迫選手も変わってるんですか?」
渡辺「大迫もちょっと変わってますね。柏原くんもそうなんじゃないですか?」
村山「ということですが、酒井監督?」
酒井「れっきとした地球人です(真顔)」
渡辺「(笑)まあ、普通の選手とはちょっと違いますよ」
大後「……早さっていう字が違いますね」
渡辺「???」(わかってない?)
村山「あ……まあ、エースは朝(起きるの)も早いんですよ」
渡辺「???」(やっぱりわかってない)
大後「(気を取り直したように)シンポジウムでも言ってましたけど、多少変わってないと……ね、大八木さん?」
村山「大八木監督も駒澤大学でエースでしたね〜」
大八木「(大後さんに)そうですか?」
大後さん、またまた〜、という表情。
酒井『レースの流れを変える』
酒井「まあ、怪獣も(真顔)レースの流れを変えてくれる走りをしてくれますので」
村山「今回(5区で区間賞なら)大久保初男さん以来の4年連続区間賞となるわけですが……」
酒井「前々回、強い向かい風があった中であれだけの走りをしまして、前回は大変気象条件がよかったんですが、前々回が(前回と)同じようなコンディションなら、その時に16分台が出たと思うんですね。今回は全日本大学駅伝でも上りがなくてもあれだけ走りましたから、状態は大変いいです(言い切る)」
大八木『レースの流れを変えれる強さ、安定感』
大八木「うちで言うと、藤田」
モニターに駒澤時代の藤田さん。
大八木「後手に回ってもエースで流れを変えましたから。常に安心できる、責任感があって指導者に応えてくれました。出る試合にキッチリ結果を出しましたのでね」
村山「今年のチームだと誰になるでしょう?」
大八木「窪田……が、段々近くなってきましたかね」
村山「窪田選手」
大八木「まあ、言ってしまうと(断言してしまうと)油布とかが怒るんで言いませんが(笑)」
村山「全日本では最後追い上げられてしまいましたけれども」
大八木「まあ、体調とかもありますけど、それでも区間上位でまとめますから。きっちり上位で終わりますんでね」
両角『口数が少ない、男は黙って背中で語る』
両角「ちょっと私だけなんだか的外れなこと書いちゃった気がしてるんですが」
村山「いえいえ」
両角「エースというのはチームを引っ張る存在ですので、普段どういう姿勢で練習に臨んでいるか、生活しているか、ということですね。うちにもベラベラしゃべっていて行動が伴っていないのもいるんですが」
村山「村澤選手はそんな(口数が少ない)タイプなんですか?」
両角「そうですね。物静かで練習でも引っ張っています」
村山「早川選手はいかがですか?」
両角「早川も似たような雰囲気ですね」
村山「村澤選手はこれまで箱根で……(指折り)2大会で合計21人抜いているわけですが」
両角「それは悪い位置でもらっているんで(苦笑)、今回は(抜くのは)少ない人数で上位に立ってほしいですね」
西『気合い』
村山「西監督は文字数が1番少ないですけれども、鎧坂選手はこれがある、ということですか?」
西「鎧坂は今までの監督さんが書いたことも含めて非の打ち所のない選手なんですが」
村山「宇宙人的要素も?」
西「(真顔)若干、ありますね。鎧坂に次ぐ準エース格として菊池というのがいるんですが」
村山「菊池賢人選手ですね」
西「はい。彼に気合いを入れて頑張ってほしいな、ということです。タイムはいいんですが、それが駅伝の結果に反映してないんです。ここで頑張ってほしいな、と思いまして」
村山「鎧坂選手はどういう選手ですか?」
西「今ある力を100%出せる選手です。体調が悪くてもそれなりに走りますんで」
村山「全日本の時にはちょっと調子が……」
西「はい。1週間前に腰を痛めまして、欠場させることも考えたんですが、本人が何とかいけるというので出場させたんですけどね、1kmの地点で足に力が入らなくなったようです」
村山「今は万全ですか?」
西「今は痛みもなく順調にいっています」


村山「今回箱根駅伝公式サイトで、各監督に聞きたいことを募集しましたら、1200通もの質問が寄せられました。ここでいくつかお答えいただこうと思います。
まず『あと3週間、今、選手たちに伝えておきたいことは?』……あ、フリップに書いていただかなくて結構ですよ。マイクでお答えください」
渡辺「書く手間が省けて助かりました(笑)。
風邪、それから故障ですね。毎日言い続けても何かしら出てきますから。これがなければ勝てるんです」
酒井「体調管理はもちろんですが、4年生の中にはこれで競技引退という選手もいます。この緊張感を楽しんでほしいですね。残り3週間しかないわけですから」
大八木「体調管理は当然ですが、全日本で走れなかった4年生がいましたから、悔いのない走りをしてほしいです。下級生には来年のためにもしっかり調整をしてほしいと思います」
両角「私は『たかが箱根、されど箱根』と言いたいですね」
西「故障が1番心配ですね。あと風邪。1年やってきたことがゼロにならないよう、すごしてほしいと思います」


村山「『ここだけには負けたくないという大学はどこですか?』
これはあるという方、手を挙げていただきましょうか?」
誰も挙げない。
村山「渡辺監督、ありませんか?」
渡辺「まったくないですね。強いて言うなら西さんに負けたくないですかねー。若さとトークが負けてるんで(笑)」
村山「トークですか」
渡辺「笑いをとっていましたから」
西「私は早稲田には負けたくないですよ。私が明治に来て一度も勝ってないですから。酒も顔も負けてて、勝っているのは歳だけですからね(真顔)」
会場笑
村山「酒井監督はいかがですか?」
酒井「出場校ぜんぶです(真面目)」
両角「(軽く挙手して)私は日体大と青山学院には負けたくないです。監督が同期なので」
村山「なるほど。大八木監督は?」
大八木「いえ、特にないです。全部に負けたくないですね」
村山「そうですか。たとえば教え子が指導してる大学なんか……?」
大八木「あっ! 負け……ないでしょう!(笑) まあ、負けたら恥ずかしいことになるんで、國學院には負けたくないですね(笑)」
村山「國學院の前田監督は大八木監督の教え子でいらっしゃいますが……しかし、教え子が監督になっていたりするんですもんね〜」
大後「すごいですよね」


村山「だいぶ予定時間もオーバーしてしまいましたが、最後に各監督に改めて抱負を伺いましょう」
西「あと3週間、万全を期して、予定した選手がスタートラインに立てるようにしたいと思います」
両角「本日はたくさんの方にお越しいただいてありがとうございます。新年に明るい話題をお届けできるよう頑張りたいと思います」
大八木「はい。(会場に向かって)本日はありがとうございます。皆さん、箱根駅伝応援してください。頑張ります」
酒井「東洋大学は被災地出身の選手が多いので、年明け元気な姿を見せられるよう頑張りたいと思います」
渡辺「たくさんの方に注目していただいていますから、それに恥じない走りを見せたいと思います」
大後「今日はいろいろ腹の中を出してもらいましたが、これを踏まえて楽しく見てほしいですね。優勝争いももちろんですが、シード争いも見物ですから」
村山「神奈川大学も」
大後「はい、頑張ります(何故か苦笑)」



(終)




※メモと記憶を元に書き起こしていますので、細部は違っている可能性もあります。

第88回箱根駅伝・監督トークバトルレポ《前編》

前回のダイジェスト映像が流れる。熱心な早稲田ファンがいて、早稲田の選手が映るたびに拍手。
が、柏原が映ると会場の湧き方が違う。更に、10区でのコース間違いの際にも大いに会場が湧く。
日本テレビ村山アナウンサー登場。
村山「皆さんこんばんは。第88回箱根駅伝が3週間後に迫りましたが、本日の監督トークバトルは『決戦直前〜高速レースに挑む〜』というテーマでお送りいたします。
前回87回大会は、優勝した早稲田大学と2位東洋大学の差が21秒、シード権争い、10位と11位の差がわずか3秒という、史上もっともタイム差が少ない大会で、最後の最後まで激戦が繰り広げられました。果して今年はどのような展開になるでしょうか」
まずは関東学連青葉会長の挨拶。
青葉「皆さんこんにちは。
今、非常に…………複雑な気持ちで、私はこの席に立っております。その辺りで笑っておられる方はわかっていただけているんだと思いますが(苦笑)」
大東が本戦に出られないから、ですね……(^_^;)
青葉「この会場においでの方は、シンポジウムに引き続いて来て下さってるかと思いますので、私があれこれ言うよりも、5人の監督と大後駅伝対策委員長に話をしてもらった方が、十分にわかっていただけるかと思います。
が、1つだけ。今年は『3.11』……そのことを考えると心につまるものがあります。88回の箱根駅伝……3月から微力ではありますが、我々もできるかぎりのエールを送ろうと考え、『がんばろう日本』という言葉を、今回も選手はユニフォームのパンツに掲げて、それぞれ力の走り、走りの力、そして襷の絆、そういったものを駅伝を通じて発信し、エールを送りたい。これまで2回3回と監督会議を重ねてきましたが、それぞれのチームが絆の襷をつないでいこう、と話し合っております。
今大会、すでに1、2、3位は決まったと思ってらっしゃる方も多いかもしれませんが(会場笑)、先程の記者会見でも『3番以内』という目標を掲げる監督さんが多いんですね。また私は、今回久々に戻ってきた国士舘大学や順天堂大学にもシードのチャンスがあると思っています。壮絶な箱根駅伝になると思います。
今日は楽しんでいってください」


今回の出演監督の映像が流れ、その間に各監督が登場。
村山アナが1人ずつ紹介していく。
村山「コメンテーターをお願いしています、大後英治神奈川大学監督、関東学連駅伝対策委員長でもいらっしゃいます」
大後「よろしくお願いします。今日はホスト役に徹して、できるだけ各監督の本音を引き出したいと思います」
村山「いやいや、今年は神奈川大学も本戦に出場しますからね」
大後さん苦笑。
村山「前回大会優勝の早稲田大学、渡辺康幸監督」
早稲田ファンから「頼むよ!」の声。
村山「すごいですね。熱心な方がいらっしゃいます」
続けて、東洋大学酒井俊幸監督、駒澤大学大八木弘明監督、東海大学両角速監督、明治大学西弘美監督の順で紹介される。
村山「前回大会は早稲田が久しぶりに勝ちましたが、今年に入り出雲は東洋が、全日本は駒澤が優勝しました。そしていよいよ箱根。大後さん、この時期というのはチームの状態というのはどうなんでしょう?」
大後「あと3週間になりましたからね。今まで出てこなかった選手もここにきて調子を上げてきていますし、いよいよだなというところですね」
村山「さて、今回は核心をついた質問からして参りたいと思います。各監督の『目標順位』、これをまず聞いてみたいと思います」
監督たちフリップに書き出す。
村山「いきなりこの質問です。大後さん、まず書いてもらってますが……」
大後「皆まだ酒が足りないですかね? 真面目くさって書いてますけど」
村山「そうですか? 先程裏では打ち合わせになりませんでしたが……随分長く書いていらっしゃる監督さんもいますが、なかなかユニークな回答も出るんでしょうか……あ、書き終わったようですので、まずは渡辺監督」
渡辺『優勝したいなら減量しろ!!』
会場笑。
村山「なかなかフリップも刺さりませんが……ちょっと太かったですかね。
渡辺監督、これはどういう……?」
渡辺「例年通り減量しないとな、と思ってます」
村山「前回は……今胴上げの映像が出てますが、渡辺監督、随分減量されましたよね」
渡辺「はい。去年は15kg落としたんですが、今5kgリバウンドしまして(会場笑)。奥さんからもあと3〜4kgやせないと、と言われてますんで頑張りたいと思います」
村山「これから3週間頑張るわけですね」
渡辺「はい。大八木さんも全日本で胴上げしませんでしたしね〜」
村山「選手ともども追い込んでいく、というわけですね。続いて酒井監督」
酒井『総合優勝』
会場「お〜」
酒井「前回3連覇を目標にしていましたが、21秒及びませんでした。この1年、選手たちは雪辱を果たすという一心でやってきましたんで。また、往路は4連覇がかかってますから、往路4連覇をしてそのまま総合優勝をしたいと思います」
村山「そうですねぇ、往路は4連覇がかかっています。これもすごいことですよね」
大後「はい。5区には素晴らしい選手がいますからね〜」
村山「その柏原選手は今年は主将としてチームを引っ張っていますが」
酒井「主将としてチームをまとめています」
村山「続いて大八木監督」
大八木『2位以内』
会場「えーッ!?」
大八木さん、しれ〜っと。
村山「……大八木さん? 本心ですか?」
大八木「今年3番だったので、1つでも上にいきたいですね」
村山「大八木さん、それは違うんじゃないですか〜?」
大八木「(笑) ま、若干謙虚に書きましたけど」
村山「2位以内、ということは当然、1位か2位ということですよね。大八木監督はいつも『3位以内』という風にお書きになりますよね」
大八木「そうですね。そういう思いはいつもあるんですが、今年3番でしたから、3番じゃ選手が納得しないだろう、ということで2位以内と」
村山「なるほど。では両角監督」
両角『4』
村山「両角監督は1番書くのが速かったですね〜」
両角「冷静に分析しますと、ここから3つとの溝が深いですから」
村山「3つというのは大八木さんから?」
両角「そうですね。なのでそれ以外で1位、ということです」
村山「あわよくば、というのは……?」
両角「まったくありません(笑)」
村山「両角監督は今年から東海大学の指揮をとられているわけですが、初めて箱根駅伝に臨むお気持ちはどうですか?」
両角「そうですね、楽しみな気持ちもありワクワクしている、と言いたいところですが、やはり勝負ですから結果を求められますんで、責任を感じています」
大後「謙虚ですね〜。昨年までは我々に選手を供給してくれた先生ですからね」
村山「昨年までは佐久長聖高校で指導をされていました。前回は佐久長聖出身の選手が3人、区間賞をとっているんですよね。大迫選手、村澤選手、千葉選手。全体では9人の(佐久長聖出身)選手が走りました。そんな佐久長聖高校を昨年まで率いていた両角監督です。
では、西監督」
西『3位以内』
村山「来ました。3位以内」
西「うちはエースがいませんので」
会場「えーっ!?」
西「小粒ぞろいですから。大砲がいませんので、総合力で3位を狙いたいと思います」
大後「(呆れて)やめましょうかね?」
村山「他校も羨む大エースがいますよね〜」
西さん、しら〜っとした顔。
村山「今回は3大学が強いですけれども」
西「その牙城を崩したいですね。1番近いのが早稲田、かな?」
渡辺「多分、そうだと思います(笑)」
村山「東洋や駒澤にはいかがですか?」
西「絶対かなわないですね。ブレーキを期待しています。前回5位で、定位置としては5番だと思うんですが、3の方がいいかな、と」
村山「西監督はこんなことを言っていますが、両角監督はいかがですか?」
両角「一応、明治には出雲と全日本では勝ってるんで」
会場笑
村山「酒井監督はピシッと総合優勝と書きましたが、いろいろですね」
大後「皆、仲いいんですよ。まあ、腹の探り合いですね」


村山「今日チームエントリーが終わりまして、先程記者会見が行われましたが、ここからは各大学のエントリーを見ながら進めていきましょう」
モニターにエントリー選手が映し出される。
村山「まずは明治大学ですが……小粒ですか?」
大後「これが小粒と言えますか?」
と、鎧坂の名前に赤ラインを引く。会場笑。
村山「鎧坂選手の状態はいかがですか?」
西「今年は10のレースに出ていますが、4月のアシックスチャレンジからこの前の国際千葉駅伝まで、いい悪いいい悪いと交互にきてるんですよ」
村山「そうですか。千葉駅伝はどうでしたか?」
西「千葉駅伝は悪かったですね。区間新で走りましたが、予定より20秒くらい悪かったですね」
村山「では次は……?」
西「(千葉駅伝が)悪いと言っておかないと次が大変ですから」
村山「千葉駅伝はもっといけた、と?」
西「はい。あと20秒くらいいけましたね」
村山「エントリーされた16人のメンバーはいかがですか?」
西「1年生6人、2年生4人と入っていてバランスが取れた(エントリーだ)と思います」
村山「この中でエースは?」
西「1年生の6人は期待しています」
村山「大砲+若い力というわけですね。その中でもどの選手がいいですか?」
西「特にいいのは大六野ですね。最近調子がいいですから。あと八木沢。故障していたんですが、ここにきて調子が上がってきました」
村山「元輝くんが元気になったんですね」
西「10月までは『病気』という名前でしたが、元気になりました」
村山「更に鎧坂選手という大砲がいる、と。ロンドンオリンピックのA標準を突破しています」
大後「27'44……素晴らしいですね」


村山「続いて東海大学ですが、4年生が6人、3年生4人、2年生2人、1年生4人というエントリーになりました」
両角「人数には特にこだわっていないんですが、村澤、早川、元村を軸にした布陣で、往路にこの3人を並べて、前半いい戦いをしたいですね」
村山「往路に3人を並べる、と」
両角「1区から順番に並べませんよ(笑)」
会場笑
両角「あ、でもそれもいいアイディアですね。平塚中継所までトップで行けそうですから」
大後「今、ポロッと本音が出ましたね」
村山「前回は2区村澤、3区元村、5区早川でしたが、このあたりは前回と同じですか?」
両角「いろんな可能性もありますし、他の選手の力も考えて、トータルで最終的に東海大学がどういう順位でゴールするのかということを考えてですね、どこに起用するか決まると思います」
村山「村澤選手、早川選手の今年の成長はいかがですか?」
両角「村澤は夏以降調子が上がらなかったんですが……高校の時のうるさいオヤジがやっと離れたと思ったら、また戻ってきたんで調子が悪かったのかもしれませんが(笑)、やっと最近上がってきました」
村山「早川選手はいかがですか?」
両角「早川は大きな試合に強いんですね。出雲、全日本はチームの事情で1区に起用しまして、最後はスプリント力で負けてしまいましたが、中程の区間で使っていたら面白いでしょうね」


村山「駒澤大学ですが、この16人というのはいかがでしょう、大八木監督」
大八木「うちはこれしかありませんから。ベストメンバーです」
村山「そのベストメンバーの中で区間配置というのはどうなるでしょうか」
大八木「東洋を頭に入れて、5区を頭に入れて戦わないといけないですから、4区まではリードしていないといけないですからね、久々に前半にもしっかりいい選手を揃えていきたいと思います」
村山「駒澤大学というと、比較的前半は目立たず、いつの間にか上位に上がってきて後半逆転するというイメージですが」
大八木「そうですか? ちょっと頑張ってるんですが(苦笑)」
村山「でも後半に逆転するイメージがありますよね」
大八木「今回、5区には柏原くんがいますから、1、2、3……4ぐらいまでは頑張らないと……」
大後「(選手は)いくらでもいますよね〜。油布、上野、撹上、久我、千葉……」
と選手に赤線を次々ひいていき、最終的にはうねうねとエントリー表に赤線を這わせる。
会場笑
村山「1年生はいかがですか?」
大八木「猪浦、中村、村山とメンバーに入りましたが、中村、村山は全日本でもメンバーに入りまして、猪浦はここにきてしっかり上がってきてくれました。彼らは16人に入ることが来年につながりますので、メンバーに入ったことが来年いい結果になると思います」
大後「村山選手、あと窪田選手もいますし、どう配置するかミモノですね。大八木さんのパターンを崩す大会になるかもしれません」


村山「東洋大学は4年生がガッチリ入っていますね」
酒井「4年生が7人、ですね」
村山「実績のある選手が多いですね。経験者が多くなっています」
酒井「設楽兄弟は出雲、全日本と走りましたが、3大駅伝で使っていないフレッシュなメンバーもいます」
村山「例年、酒井監督は1年生から4年生までバランスのとれたエントリーを心掛けていらっしゃる、と言っていたかと思うのですが」
酒井「今回は下級生も実戦で使えるメンバーになっています。1年生では田口という選手が入っていますが、この田口もハーフを63分台のタイムを持っていますんで、経験(のため)で入れたのではなく、戦力としてメンバーに入れました」
村山「大八木監督は柏原選手を意識しているようですが?」
酒井「今まで柏原にはかなり負担をかけていましたんで、4区までの差を最少に……4区で先頭に立っていれば理想ですね。東洋も新しいスタイルもいいのかな、と思っています」


村山「早稲田はこの16人はどうですか? 状態はどうでしょう」
渡辺「うちはもう後は振っても出てきませんから(笑)、ベストメンバーですね」
村山「主将の八木選手が戻ってきましたね」
渡辺「やっと戻ってきまして、初めてうちはスタートラインに立てるかな、というところです。八木と志方……西脇工業出身のこの2人がいるといないじゃ大きく違いますから」
村山「この16人をどういう戦略で考えていらっしゃいますか?」
渡辺「柏原くんが5区にいますから逃げられませんからね。記者会見で思わず『怪獣』と言ってしまいましたが、あと1回彼と戦えるということをプラスに考えていきたいですね。前半の滑りだしはやはり大事ですが、前回うちが大迫を使いましたけど、これで1区の重要性というのも変わってきたかな、と思います。1〜3区、各大学さん悩むんじゃないかな、と思います」
村山「区間配置はやはり相手を考えて変わってくるものですか?」
渡辺「集中練習の後の体調を見て、ですね。前回は私、27日に大迫の1区を決めたんですよ。やはり故障とかもありますから、全体の集中練習を終わってから、ですね。うまくいっている時は、区間の入れ替えとかしてもいいと思うんですが、前回はそれでうまくいったんですけど、これがうまくいってないと一か八かのバチの勝負になってしまいますね」
大後「最後の最後まで、31日まで迷いますよ」
村山「29日に区間エントリーが行われて、当日4人まで入れ替えができますけど、その補欠の4人も含めて迷いますか?」
大後「イメージ通りにはなかなかいかないんですよね〜。ただ最後に何かが降りてくることもあるんですよ。渡辺監督は前回直前で大迫くんの1区というのが降りてきたんでしょうね〜」
村山「大八木監督は迷いますか?」
大八木「ギリギリまで迷います」
村山「たとえばどういったあたりですか?」
大八木「8区とかつなぎの区間でどっちを使うか、なんてのは悩みますね」
村山「これから各監督頭を悩ませるところなんですね」


(続)




※メモと記憶を元に書き起こしていますので、細部は違っている可能性もあります。


目の前でA標準突破を見てきたよ

本日法政大学多摩キャンパスで行われた、八王子ロングディスタンスにて、男子10000mのロンドン五輪A標準突破が2名出ました。


宇賀地強(コニカミノルタ) 27'40"69
宮脇千博(トヨタ自動車) 27'41"57


宇賀地くんのタイムは、国内日本最高タイムになります。




いやー、目の前でA標準突破を見られるとはねー。
寒いし、法政のキャンパスが広くて散々歩くし、大変でしたが(^_^;)、行った甲斐があったというものです。


1000mぐらいで1周67秒ペースになったところで、ムワンギ(YKK)が前に出たり、クイラ(コニカミノルタ)が前に出たりしたのですが(この2人はPMではない)、PMのツォー(トヨタ自動車)やムワカ(愛三工業)がペースを守ろうとしたのに、宇賀地はPMを抜いてクイラにつこうとする(^_^;)
仕方なく、ツォーやムワカもペースを上げ、結果として66秒〜67秒前半のペースで集団でレースは進みました。
松本(トヨタ自動車)が脱落し、6人の集団になると、4〜5000mぐらいで宮脇が表情が苦しくなる。集団最後尾になんとかついている感じ。
が、そこを我慢してつききると、7000mあたりで苦しさが抜けたか、後方に下がっていたツォーの横を「ごめん、前に行かせて」とばかりに手刀を切ると、宇賀地の前へ。逆にそれまで表情の変わらなかった宇賀地がやや口が開きはじめる。
しかし、先に苦しくなったのは宮脇でしたね。ツォーに宇賀地がつき、クイラ、宮脇と続いてラスト1周。クイラが一気にペースを上げると、ツォーが外れ、これはクイラが行ったかと思いましたが、最後の直線で宇賀地がクイラを追い詰める。
最終的にはクイラが逃げ切りましたが、宇賀地、人差し指を突き上げて2位のゴール。続いて宮脇がゴールでした。


一瞬、もしや日本記録まで行くのでは?と思いましたが、5秒ほど足りず……しかし、「彼らなら近いうちに出すでしょう」とは、檄飛ばしアナウンス係(笑)だった富士通の福嶋監督。見ていても、近いうちに日本記録が出るんじゃないか、という気がしました。




B組でも、伊藤(国士舘大)が28'28"64、濱崎(小森コーポレーション)28'29"16、大石(トヨタ自動車)28'34"66、山崎(SUBARU)28'36"82、山本(トヨタ紡織)28'43"86、新庄翔太(中央大)28'44"00と好記録が出ていました。
山崎くんのPBに胸が熱くなりましたけど、B組ではミカ・ジェル(トヨタ紡織)のPMっぷりがよかったなあ…… 先頭集団が固定されると、そちらはドゥング(愛知製鋼)に任せて、自分は下がって第2集団を引っ張る。山本、新庄に再三「ついておいで」と手で合図しながら引っ張る。彼らがいいタイム出せたのはミカの仕事のおかげかなー、という気もしました。


にしても、トヨタ自動車の若手の充実っぷりってば( ̄∀ ̄;) C組で伊藤くんも28'52"22だったしなあ……いやはや、恐ろしい。。。



八王子ロングディスタンスのリザルトは東京陸協携帯サイトにて。

第23回ふくしま駅伝

4区、10区、16区と移動して観戦いたしました。


観戦していて1番印象に残ったのは、広野町の10区を走った神永くん(東洋大)。
本来いわき出身なので、広野町で出場することはないのですが、震災の影響で選手が集まらなかった広野町に、言わば「助っ人」で、福島陸協派遣選手として参加しました。それでも広野町は後半の8区からの参加。
同じく飯舘村も8区から、更に双葉町は16区間に参加できたものの、中学生・シニア区間の選手が揃わず、3区に高校生を登録し、オープン参加となりました。
3町村は総合記録に反映はされないものの、個人記録は残ります。


ただし、広野町10区、双葉町3区を除いて。


ということで、神永くんは出身地ではない町から、記録の残らない形での参加だったわけです。
しかし、10区で見た神永くんはしっかり走っていました。タスキをもらった位置が後方で走りにくかったかもしれませんが、頑張っていたなあ。




その他にも、容赦なく爆走した柏原くん。(おかげで、レース展開は面白くなくなったが(笑))
前日風雨の中10000mを走りながら、最長10区を走った圓井くん。
ゴール後、多くの取材に1つ1つ丁寧に応対していた小川さん。ずっと着替えもできてなかったなあ。
走れなかったけど、会津若松市チームのキャプテンとして、アンカーの選手をゴールで出迎えていた敦之さん。田村のOBの子はチームが違っても、集まって話していたり、中学生に高校生が話しかけてふざけあっていたり、ふくしま駅伝らしい光景がそこここで見られた。
そして、やはり避難区域のチームには一際大きな声援が飛んでいて……現地に見に行ってよかったなあ、と思うシーンの数々です。




ま、あの……走り終わった選手に渡すドリンクが「アセロラドリンク」ってのは、いくら協賛がサントリーだからってどうなの?とは思ったが(^_^;)
サントリーさんよ、そこは南アルプスの天然水とかDAKARAとかビタミンウォーターとか、いろいろあるだろうが。。。何故アセロラ?
ゴール地点で小川さんの手に握られたアセロラドリンク見ながら、首を傾げちゃったわ(笑)




避難先から集まって出場した町やこのために実業団や学生の選手が集まったり、そこまでしても参加している意義って何なんだろう?と、ふと思ったけど、確かに「福島」がそこに在って、それぞれの出身市町村が確かに在ることを、確認して示したかったのかもなあ。
自分たちで示していかないと、忘れられてしまうかも、て恐怖は常に福島の人間にはあるだろうから。


その手段が「走ること」で「駅伝」だっていうのが、あまりに福島らしい。


この先、どんどん選手を集めるのが困難になる町や村が出てくるかもしれない。
それでも、できるだけすべての市町村が揃って、ふくしま駅伝が開催され続けてほしいなあ。


そんなことも思ったりして。





第23回ふくしま駅伝のリザルトは福島民報サイトにて。

第23回ふくしま駅伝エントリー

今年のふくしま駅伝のエントリーが出揃いました。
主だったところを挙げてみます。



第23回ふくしま駅伝エントリー
区間はエントリー時の予定と思われる想定区間ですので、補欠選手と入れ替わる可能性もあります


【福島市】
10区 太田涼(順大)
11区 二瓶美沙(岩手大)


【会津若松市】
2区 武藤健太(田村高)
4区 横木克宜
5区 酒井槙志(田村高)
6区 安西秀幸(日清食品グループ)
10区 佐藤敦之(中国電力)
12区 増田優太(山梨学院大)
16区 星雄之(早大)


【郡山市】
1区 小枝理奈(田村高)
2区 高本真樹(学法石川高)
4区 鈴木優人(青山学院大)
5区 佐久間祥(日大東北高)
6区 齋藤大樹(慶大)
10区 三浦輝(平成国際大)
11区 小澤夏美(田村高)
12区 橘内翔太(帝京大)
16区 吉田義宏(福島大)


【いわき市】
1区 田邉美咲(田村高)
2区 吉田将平(いわき総合高)
4区 柏原竜二(東洋大)
6区 村上康則(富士通)
10区 齋藤昌紀(駒大)
11区 近藤彩乃(立命館大)
12区 立花克広(いわき総合高)
14区 蛭田雄大(学法石川高)
16区 小川博之(八千代工業)


【白河市】
2区 吉田強(学法石川高)
10区 近藤星一郎(帝京大)


【須賀川市】
2区 太田元紀(学法石川高)
4区 樋口勝利(西置賜消防本部)
5区 伊藤亮(学法石川高)
16区 田村一平(市体育協会)


【二本松市】
2区 本多将貴(田村高)
3区 佐久間幸希(東和中)
16区 仲野光博(順大)


【田村市】
4区 村越直希(日大)
10区 村越裕希(日大)


【南相馬市】
1区 田代響子(東農大)
10区 玉木章吾(国士舘大)


【本宮市】
1区 長井彩香(田村高)
10区 作田康輔(駿河台大)
16区 難波美彰(亜細亜大)


【鏡石町】
1区 柳沼志帆(東海大)


【矢祭町】
1区 石井寿美(学法石川高)
10区 鈴木修宏(上武大)


【塙町】
16区 松本淳(愛知製鋼)


【石川町】
12区 田口雄助(上武大)


【古殿町】
1区 緑川智公(学法石川高)
11区 矢内ねね(学法石川高)


【三春町】
1区 田村飛鳥(福島大)
2区 佐藤和仁(田村高)
4区 岡本尚文(駒大)
5区 清水目大貴(田村高)


【小野町】
1区 吉田美咲(いわき総合高)


【南会津町】
10区 渡部良太(日大)


【猪苗代町】
1区 鈴木美姫(田村高)
10区 水上崇史(国士舘大)


【広野町】
10区 神永よしき(東洋大) ※県陸協派遣として


【大熊町】
15区 坂本ちほ(内郷一中)


【泉崎村】
2区 近藤和輝(学法石川高)


【中島村】
2区 小針旭人(学法石川高)


【鮫川村】
10区 圓井彰彦(マツダ)


【平田村】
2区 阿部良平(学法石川高)



尚、広野町と飯舘村は震災によりチーム編成が困難なため、後半8区よりの参加となる。




当日は観戦に行って来ます☆ 雨予報なのがなんとも(^_^;)ですが……


全エントリー選手は福島民報サイトでご確認ください。
当日はTUFサイトにレース速報が出る予定。
携帯の方は民報携帯サイトにて。有料ですが。

『第88回箱根駅伝シンポジウム』レポ《後編》

註)メモと記憶に基づいて書き起こしており、細かい言い回しなどは違っている可能性が高いです。こんなニュアンスだった、ということで読んでいただければ幸いです。





矢島「世界と戦うために必要なもの、とは何でしょう?」
実井「練習ですね。トレーニングがしっかりできていないと世界とは戦えないです。
箱根駅伝で1区を走った時は、(1区は)朝の8:00スタートですので、1ヶ月前から5:00に起きて1人でスピード練習をしていました。(通常だと)朝身体がまだ起きていないような時間ですから、箱根で思いきったレースができるように、(スタート直後から)逃げると決めた時から、朝からそのイメージで走っていました」
矢島「朝から逃げていたわけですね。
実井さんは高地トレーニングなども積極的にやられていたようですが」
実井「オリンピックの選考レースの前にエクアドルとメキシコに行きました。エクアドルは標高2600m、メキシコは標高2400mぐらいなのですが、エクアドルは1人で行きました」
矢島「お1人ですか!? なかなかエクアドルって行かないと思うんですが……」
実井「世界ハーフに出場した時、入賞した(エクアドルの)選手がいたんですが、彼と意気投合しまして、連絡先を交換していたので、電話をしてそれでいきました。向こうでお宅にお世話になって」
矢島「言葉とかは?」
実井「全然わからないです。言葉もろくに話せなかったけど、なんとしてもオリンピックに出たいと思ってましたから、何かを見つけたかったんです。言葉がわからなくても、(強い選手が)何をしているのか見たかったんですね」
大後「それ……何年前の話?」
実井「15、6年前ですね」
大後「彼はねマラソン界の三浦知良選手ですよ! 単身海外に行って、それで43歳の今でも走ってますから」
実井さん恐縮。
大後「なかなか1区で飛び出すというのもできませんし、発想も変わってますよね〜」


矢島「岡田さんはニコニコドーの監督をされていましたが」
岡田「女子の指導というのは、当時はまだ手探りの状態だったんです。10000mを走って倒れる松野に何故マラソンをやらせるのか?と言われましたが、練習で50km走らせたんです。42.195kmは途中経過という意識をもたせたんですね。それが当時の日本最高記録というものにつながったんだと思います。
実井さんが言ったように、我々にとっては練習がすべてですから」
矢島「松野明美選手というのはどんな選手でしたか」
岡田「まっすぐですね。集中すると何も目に入らなくなる選手です。私は彼女と親子ほどの年の差がありましたけど、彼女に怒られることもありましたし、随分気も遣いましたね〜(笑)。選手はちょっと変わっていた方が強くなりますよ」
矢島「人と同じことをしてもダメなんでしょうか?」
鈴木「世界で1番を目指すということになれば、人と同じことをしてもそれは二番煎じになりますから。トレーニングも大事ですけど、学生だったら学業が本分じゃないですか。そうなると効率も大事ですよね。
あと長距離の選手って怪我が多いですよね。水中トレーニングを取り入れたら、怪我が減るんじゃないかと思うんですよ! なんか僕、水泳界の回し者みたいですけど(笑)、実際回し者なんですが(笑)。
以前、澤木さんに「プールに連れてけ」と言われて、水中トレーニングに連れて行った選手がいたんですけど、本川くんという選手で、本番でなんとか走りきったことがありましたが、あとで検査したら疲労骨折していた、なんてことがありましたね。
順大にももっといいプールがあればいいんですけどね〜」
矢島「桜庭さんは高橋尚子さんのパーソナルドクターをされていましたが?」
桜庭「高橋尚子選手は創意工夫をする選手でした。
先ほど鈴木先生は(現役時代)潜水のトレーニングをされていた、という話がありましたが、彼女はまず足を使って走ったら、次に骨盤を使って走る。更に体幹を使って走る、というふうに常に工夫をしてトレーニングをしていました。
金メダリストは自分がNO.1と思ってはいないんです。常に工夫、絶えず前進しています。やらされている選手はダメですね。
あとは古い言葉になりますが、根性がないと。
土佐礼子選手が怪我をしていた時に、「プールを歩け」と言ったら平気で5、6時間歩いているんですよ。松野明美さんも岡田さんが忘れて帰ったらずっと歩いていた、と聞きましたよ」
岡田「バイクに乗っていろと言ったんですが、私忘れて帰っちゃったんですよ。気づいて戻ったらまだバイクこいでましたね〜」
桜庭「陸上は耐える選手が多いですね。しかし、それに加えて、ONとOFFの切り替えも大事です。疲労骨折してても普通に歩くことはできるから『走る』とかいう奴もいるんですよ。こっちは、いやアンタ折れてるんだから、と言うんですけどね〜」


矢島「箱根から世界へ、というテーマで今日はお送りしていますが」
大後「よく言われるんですが、考えて行かなきゃならないことですね。
昨年の3月に男子マラソンのニュージーランドU-23合宿を行ったんですが」
モニターに合宿時の写真。山下佐知子(第一生命)監督、佐藤敦之、松宮隆行、石川卓哉、森本卓司、伊達秀晃、米澤類、三岡大樹、柏原竜二、矢澤曜、村澤明伸。
大後「今年はロンドンオリンピックですが、その先のリオデジャネイロを狙っての強化になりますが、山下監督に講演してもらって研修なんかもしたんです。
山下さんの持論で、5000mの記録に90秒上乗せしたタイムでマラソンは走りきれるハズ、というのがあるんですが、松宮くんは5000mの日本記録13'13を持っているんですが、これを14'43で(5kmを)走ると、大体2:04'24で走れるはずなんです。こう言って選手を洗脳してもらいまして(笑)、学生たちにはスタミナも大事だけどスピードも大事だということを伝えました」
モニターにクロカンコースを走る写真やロード走をする写真。
大後「クロカンコースや芝生の上だと負担がかかりますんで、そこでねちっこくトレーニングをしました。ロードの30km走なんか、写真見てもらえばわかると思いますが、佐藤敦之くんに給水をやってもらったんですよね〜。贅沢ですよ。
しかし、陸上の学生の選手は水泳やスピードスケートなんかに比べたら、海外遠征が少ないんですよね」
鈴木うなずく。
大後「今回南半球で合宿をしましたら、(日本との気候の差で)バタバタ倒れて行くんですよね! 柏原おまえもか!? 村澤おまえもか!? て感じで、我々は看病に走りましたよ」
矢島「しかし、リオも南半球ですからね〜」
大後「そうなんですよ。(今の選手は海外に)順応してないんですよね。それも学びました」


矢島「岡田さんは、世界へ行くためには何が必要だと考えますか?」
岡田「今までで出尽くした感もありますが……
私は選手と(指導者と)の信頼関係だと思います。
松野と合宿で沖永良部島に行った時なんですが、あの島は1周45kmで私が給水をしながら走ったんですけど、給水をするとトイレに行きたくなって駆け込むわけですよ。そうするとそこで1、2分ロスしてしまう。なのでトイレに行くな、と言ったんです。そうしたら走りながら漏らしてしまいまして……20代前半の1番恥じらいのある年頃だったんですが、バイクで松野の後ろをついていったら、ぺたぺたと濡れた足跡が続いているんですね。私を信頼してくれたから、恥ずかしさも忘れて走りに没頭してくれたのかな、と思います。その姿を見ていたら、彼女を絶対オリンピックへ連れていかなければ、と思いました」
矢島「大学の指導でもそういった姿勢は変わりませんか?」
岡田「亜細亜大学に初めて赴任した時、『このチームで本当に箱根を走れるの?』と思いましたね。金髪にしてる奴はいる、ピアスをしている奴はいる、こちらの言うことには抵抗する……来なきゃよかったなー、と思いましたよ。
しかし、やる以上はしっかりやろうと思いましてね、2年目から信頼関係を築けましたが」
矢島「どのようにして信頼関係を作っていったんですか?」
岡田「この子たちをどうやって理解しようか?というところから、合宿所で一緒に生活を始めたんです。同じように6畳一間の部屋に住みまして、風呂や食事を一緒にすることで信頼関係ができました。
3年目に亜細亜大学は本戦に出場して、優勝も経験しましたが、それを拓大でも続けています。
トイレで隣同士になることもありますが、緊張してあがってる選手は話の調子も違うんですよ。あと、寮の中で咳をする音が聞こえたりもしますから、そうすると、あ、この部屋からだから誰だな、ということで注意深く観察して、風邪を隠していたのがわかって事なきを得たこともあります」
矢島「指導者ということになりますと、実井さんの時には青葉「監督」でしたね」
実井「高校の時にはガチガチに管理されていたのが、大学に入って少し緩くはなったんですが、ポイントポイントで厳しくしていただいたり、また時にはおだてていただいたりしまして、今の私があるのは青葉さんのおかげだと思っています。3年生の時には怪我をしていて、私自身もギリギリ間に合うだろうか、という状況でしたが、『2区は実井でいく』と指名していただいた時にはやらなきゃと思いましたし、青葉さんの期待に応えたい、と思いました。
青葉さんに言われた言葉で印象的なのは、
『実井、おまえの人間性が走るんだ』
という言葉ですね。(今でも思い出して)ハッとしてレースでは気持ちが入ります。
途中で諦めるようじゃダメですから、長距離では粘りが必要ですので。
後でこの言葉を思い起こして反省することもあります」
矢島「先ほど裏で青葉さんに『実井、しっかりしゃべれ』なんて言われてましたね。それが緊張するんだと思うんですが(笑)。
……大後さん、随分細かく書いていらっしゃいますね」
大後「いや、メモをすることが多くて!」
矢島「それは駅伝対策委員長として、ですか?」
大後「これは監督として、ですね」
矢島「皆さ〜ん、神大はメモをとってますよ〜」
会場笑
大後「学生を指導するということは、大事な選手を『預かる』ということだと思うんですね。我々指導者はどうしても目先の勝利というものにこだわってしまうんですが、『勝たせたコーチ』より『育てたコーチ』になっていかなきゃ、と思います。どうしても勝ちたくなると無理をさせたくなるんですが、『勝たせる』ことと『育てる』こと、それぞれに重みがありますから。
アメリカなどはその辺しっかり評価されるんですよ。『コーチ・オブ・ザ・イヤー』と『育成コーチ・オブ・ザ・イヤー』とありますからね。
ゴールデンエイジと言われる9〜12歳の指導というのは本当に大事なんですが、日本ではどうしても勝たせたコーチが注目されてしまいます」
矢島「そのあたり、鈴木さんはアメリカでの競技経験もありますがいかがですか?」
鈴木「うまく連携がとれてますよ。高校まではスイミングクラブで指導を受けて、学生になると大学で指導を受けるものなのですが、互いのコミュニケーションができていて、学生のシーズンが終わって地元に帰ると、そこの指導者にコーチしてもらったりしますから。
水泳界は日本でも指導者がコーチ研修を実施していまして、小さなスイミングクラブの指導者も、日本トップクラスのコーチの考えを共有できたりします」
大後「水泳連盟はつながりができてますよね。サッカーも縦のつながりがありますし、やはりそういうのができていないと、と思います」


矢島「鈴木さんは世界と戦うためには何が必要だと考えますか?」
鈴木「素質ももちろんですが、プラスαで何を持っているか、だと思います。忍耐の精神、或いはクリエイティビティというようなプラスαが必要ですね。
北島康介くんなんかプレッシャーを乗り越える強い精神を持っていますが、彼なんか見てると、まずはメンタルの強い子を集めて、それから指導をしていった方がいいんじゃないか、と思いますよ」
矢島「メンタルというのは表には見えませんが」
岡田「まずは夢をもつ、ということじゃないですかね。松野も小学生の頃、作文にオリンピックに出ると書いていましたよ。小さい身体なので、夢で終わるところを、私が勧誘に行きまして「君ならオリンピックへ行けるよ」と騙しまして(笑)。それが結果としてオリンピックにつながりましたが、それにメディカルのサポートも大切だと思います」
矢島「メンタルの裏付けにあるメディカル、ということでしょうか」
桜庭「メンタルを支えるのは『信頼関係』ですが、コーチというのは「御者」の意味なんですよ。コーチングは『導く』ということで、その導きでアスリートが走るわけです。この方向が一致していればうまく走っていける。いずれ違う方向になるかもしれませんが、これがうまくいっていないと、怪我や悩みを抱えることになる。
あとコーチがバラバラなことを言うと迷ってしまいますね。統一した意見を持っていないといけません。
メディカルの部分でいいますと、今日本陸連ではトータルでケアしていこう、という方向になっています。オリンピックなどの大会前だけケアするのではなく、ずっとトータルでということを高野進強化委員長を中心に考えています。特に長距離はそれぞれに秘密があったりするものなんですが、垣根を取っ払おうという方向ですね」
矢島「順大がスポーツ医学を取り入れたのは、1980年ごろですか?」
桜庭「順天堂大学はスポーツと医学しかない単科大学なんですが、その短所もありますけど、そこが特長でもありますからなるべくタイアップしてやっていこう、ということでやっています。
たとえば、走るための筋力をあげるには、とか……野口みずき選手などは筋力で走る選手と言われていますよね。また高地トレーニングではヘモグロビンの値が上がるんですが、これを効率よく上げるにはどうするか、などです。
澤木さんが言っていますが、実践したのは我々が最初なんですが、今は皆がやりはじめてきましたから。だから負けてきた、と」
会場笑


矢島「メンタルはどのようにサポートしていけばいいでしょう」
大後「フロー状態、というんですが……南アフリカのW杯で日本の監督の岡田さんが『ゾーンに入った』と言っていましたけど、事前の試合ではなかなか噛み合わなくて、マスコミにもバッシングされたのが、W杯初戦の直前に閃いてその通りにやったらうまくいったということがありましたね。無の境地でイメージ通りに動けることを『フロー状態』というんですが、これが究極の目標です」
矢島「イメージ通りに流れていける『flow』ということですね」
大後「ソウルの時の鈴木さんはそうだったんじゃないですか?」
鈴木「(ソウルの時は)気持ちよかったですね〜。一線を越える感じです。身体が軽くなって、細胞の1つ1つが反応してくる感じなんですよ。
ただ、これは降って湧いてくるものではなく、トレーニングの上に成り立つものだと思います。身体が勝手に泳げるような状態になると、余計な神経を使わなくていいですから。やはり準備が大事ですね」
実井「箱根の1区を走った時は頭が真っ白で走っていました。マラソンは長い距離を走りますが、いろいろと考えてしまうと脳が疲れてしまいます。練習によって身体が自然に動くと、100パーセント、120パーセントの力が出せるんだと思います」


矢島「ここまで世界を目指すためのキーワードとして『トレーニング』『指導者との信頼関係』『メンタル』『メディカルサポート』というものが出てきました」
大後「(オリンピックに出たいというような)根拠のない自信をサポートする、ということですね。脳を騙す、といいますか、確信を信じて選手を指導していかないと」
矢島「それを周りがサポートしていくわけですね」
大後「箱根駅伝を走るということはプレッシャーがかかります。これが人間力を高めるんですね。プレッシャーを力にすることでメンタルが育ちます」
岡田「今あがった4つのキーワードが強化の基礎だと思います」
矢島「この4つに順大にプールができれば完璧、というわけですね」
桜庭「指導者の皆さんはすぐ施設のことを言うんですけど、そういう時は『鈴木大地を見ろ』と言ってるんですよ。順大にプールがなくても勝ったんだから、と。こう言うと誰でも黙りますけどね(笑)。
私は大後さんの言う自信の根拠をメディカルで見つけたいと思います」


矢島「本日は箱根から世界の頂点へ、というテーマでお送りしてまいりましたが、最後にお1人ずつ感想をお聞きしたいと思います」
桜庭「世界に通用するマラソンランナーを育てたい、というのが箱根駅伝の最初の目的だったわけですが、箱根駅伝というのは日本の長距離の登竜門であると思います。今活躍している日本の長距離選手は3分の1が箱根を走っています。これを門としてステップにして世界へ出ていってほしいと思います」
鈴木「今日はお得な時間でした(笑)。
実井さんがおっしゃっていた、箱根の先に世界があると意識していた、というのがポイントだと思います。
箱根を走った選手が世界の舞台で走ってほしいですね〜」
岡田「まずは目の前の箱根本戦に向かわなければなりませんが、『練習は嘘をつかない』というのが私の信念ですので、今後もその考えでやっていきたいと思います」
実井「今の学生には自信を持ってやっていただきたいです。箱根駅伝は日本で大変注目されていますが、世界に果敢に挑戦してほしいです」
大後「箱根駅伝は第63回大会から日本テレビで中継が始まりまして、今回で26回目の放送になるんですが、当初は我々にも戸惑いがありました。これだけ注目され箱根至上主義という時代もあったかもしれません。
しかし今はそういう時代じゃありませんから。実際明治の鎧坂選手が27分台を出し、オリンピックの標準記録を突破しました。いずれ箱根の優勝チームは10人全員が28分台じゃないと勝てないぐらいになってほしいですね。
今現在、(箱根偏重という)批判もありますけど、もう箱根駅伝は次のステージに入っているんですね。そう思って見ていただきたいと思います」
矢島「あと51日に迫った箱根駅伝ですが、箱根の舞台からオリンピックへ多くの選手が旅立ってほしいですね」


(終)

『第88回箱根駅伝シンポジウム』レポ《中編》

註)メモと記憶に基づいて書き起こしており、細かい言い回しなどは違っている可能性が高いです。こんなニュアンスだった、ということで読んでいただければ幸いです。





矢島「身体のトレーニングだけでなく、『脳』のトレーニングも必要だということですが?」
鈴木「何故、心や脳のトレーニングが必要かと言いますと、水泳というのは25mを何回も繰り返すわけですよ。景色が変わらないんですね。そうすると飽きちゃうわけです。いろんなことに対して感動がないと続かないんです」
矢島「たとえばどんなことをされていたんですか?」
鈴木「本を読んだり、映画を見たり、心の栄養と呼んでましたけど、今日頑張れる自分のネタを作る、ということですね。
ライバルのことを想像すると、あいつが頑張っているから自分も頑張らないと、と思えます。想像やイメージすることは、強くなって更に強くなる時に必要なんだと思います」
矢島「実は今日持ってきていただいたものがあるんですが、これは?」
鈴木「練習日誌ですね。トレーニングメニューや思ったこと、コーチに言われたことなんかを書いているんですが……この端に80と書いてありますけど、これは頑張り度数ですね。自分がどれだけ頑張れたか……結構辛口につけていますけど(笑)」
矢島「これを見返したりはされるんですか?」
鈴木「選手時代はよく。今はしてないですけど。
高校1年〜26、7歳くらいまでつけていましたね。コーチには「将来、金メダルを取ったら本でも書け」と言われていました。タイミングを逸しましたけど(笑)。
今日あったことを書くことで、もう一度目標を明確にできます。オリンピックに向けて意識もはっきりとしてきます」
矢島「鈴木さんも順大を卒業されましたが、選手の中には大学で研究をされている方もいますね」
鈴木「ライバルの選手にハーバードの学生がいましたが、試合前日に話すと、『次のオリンピックはソウルだから、韓国語勉強しようかな』なんて言ってたりして、アカデミックなんですよね。かつての金メダリストが社長や医者になっていたりしますし、いろんなことを勉強することがスポーツにもよいんだと思います。
順天堂は中学〜高校のカリキュラムも改めてびっちりやりまして、正直来なきゃよかった、と思うこともありましたが(笑)、勉強をすることで一瞬スポーツのことも忘れるんですよ。一時的にスポーツ以外のことを考える、ということはいいリフレッシュになるんです」
矢島「更に『心』のトレーニングですが」
鈴木「これも1つのポイントですね。やる気がある時ない時どうしてもあるんですよ。人間ですから。私も弱い人間なんでやる気が出ない時もある。このやる気のない時にどう頑張るか?
ライバルのことを考えるのも1つですね。
あとトイレに座った時に、ちょうど目の位置に世界のランキングを貼っていたんですよ。それを1日1回確認するわけです」
矢島「ランキングが上がったら、トイレに行くのも楽しくなりますね」
鈴木「それもありますが、たとえば日本で1番になったら努力しなくなっちゃうわけですよ。でも世界のランキングで見たら、まだここなんだ、と。まだまだ上がいる、と考えないとダメになってしまいますね」
矢島「身体のトレーニング、脳のトレーニング、心のトレーニング、すべて揃わないといけない、ということでしょうか?」
鈴木「バランスが大事です。身体を使ったら頭を使って、ということですね」


矢島「では最後に鈴木さん、未来のオリンピアンへエールを送るとしたら、どういう言葉になりますか?」
鈴木「今はスポーツへの関心が高まって、価値も高まっています。以前より注目されて大変だと思いますが、それを意気に感じて、幸せだと思って頑張ってほしいですね。
プレッシャーもあると思いますがそれを楽しんでほしいです。
ソウルの前に日本テレビさんで長嶋茂雄さんにお会いしたんですよ。長嶋さんというとチャンスに強いというイメージがあったので、プレッシャーに打ち勝つにはどうすればいいのか聞いたんですが、その時長嶋さんが、
『いやー鈴木くん』」
矢島「今、ちょっとモノマネ入りましたか?」
鈴木「(笑)。長嶋さんが、
『いやー鈴木くん、プレッシャーがかかる場面にいられるということは幸せじゃないか。そんな場面にいられるということに感謝しないと』
とおっしゃったんです。
自分がそういう立場にいられるということを、より意気に感じて、トレーニングでプレッシャーを跳ね返してほしいですね」




第1部終了。休憩を挟んで、第2部へ。
モニターでは87回大会のダイジェスト、88回の予選会ダイジェスト。予選会の結果発表の場面では、1位通過の上武と5位神奈川、9位順大の模様を。
第2部はパネルディスカッション。
矢島アナとゲストが登場。
矢島「前回大会と10月の予選会の模様を見ていただきましたが、早くも次回のお正月が楽しみになってきましたね」
パネリストを1人ずつ紹介。
関東学連駅伝対策委員長として大後栄治神奈川大監督。
大後「1年早いですね〜」
矢島「大後さんは駅伝対策委員長でもいらっしゃいますが、先ほど見ていただいたように、神奈川大学も予選を通過しました。今年の神大はどうですか?」
大後「しっかり準備をしています」
実井謙二郎さん(日清食品グループ)
実井「よろし……しく、お願いします」(しょっぱなからかむ。ガチガチ)
矢島「実井さんは先日大阪マラソンにも出場されました」
実井「大阪マラソンは完走するだけになってしまいましたが、43歳でマラソンの距離に近い年齢まで走ることができて幸せだと思います」
岡田正裕拓大監督。
矢島「岡田監督は松野明美さんを育て、また拓殖大学を前回大会で7位に導きました。これは拓殖大学過去最高順位ですね」
岡田「そうですね。今まで8位が最高でしたから、1つ上がりました」
矢島「今回はどうでしょう?」
岡田「できれば前回より1つ2つ上がれたら、と思っています」
引き続き、鈴木大地さん。
矢島「第2部は世界と戦うということをテーマにお送りしたいと思いますが」
鈴木「僕は順天堂のいち教員として参加したいと思います」
矢島「鈴木さんが学生の時は順天堂大学は4連覇していた時だったんですよね」
鈴木「そうなんですよ。だから僕は箱根って勝つもんだと思っていたんですよね!(会場笑) 同級生なんか4回走って4回勝ったヤツもいましたから。
今年はもう出られてよかったです」
桜庭景植順天堂大学大学院スポーツ医学教授
矢島「谷亮子さんのパーソナルドクターを勤められ、高橋尚子さんのメディカルトレーナーとして活躍されました」
桜庭「先ほどの(予選会の順大が通過した瞬間の喜び合う)映像が流れるとは思わなくて……いきなり泣いてる自分が映ってびっくりしました(笑)」
実は通過した際に選手と抱き合って喜んでいたのがこの方。順大陸上部のチームドクターでらっしゃるんですね。
桜庭「鈴木先生は箱根は勝つもんだと思ってた、とおっしゃってましたが、我々は『いやー、よかったー。首がつながったー』て感じでしたよ。(鈴木に向かって)すいません、現状こんなもんで」
会場笑。


モニターに、オリンピックマラソン代表になった選手の、箱根を走った時の写真が出る。
矢島「こちらは懐かしいスクールカラーのユニフォーム姿ですが……」
学生時代の写真が、オリンピックを走った時の写真に変わる。
矢島「日の丸のユニフォーム姿に変わりました。箱根を経験してオリンピックに出場した皆さんですが、実井さんもいらっしゃいます。
実井さんは大東文化大学で1年生の時に箱根駅伝1区を走り、区間賞を取られたんですよね」
実井「この時は1区を走った選手の中で持ちタイムが1番遅かったんです。初めてで緊張しましたね」
実井さん1年生時の映像が流れる。背後のジープには当時の青葉監督。
矢島「後ろに青葉さんが映っていましたが、青葉さん若かったですね〜。
実井さんは1年生の時は1区区間賞デビューでしたが、2年生からは2区を3回走り、大東大の連覇にも貢献しました。その頃から将来はオリンピックに出場することを意識されていたのですか?」
実井「オリンピックを最初に意識したのは、小学6年生の時にマラソン大会で優勝した時です。その時に『君は瀬古さんや宗兄弟のようにオリンピックで走るんだぞ』と言ってくださった方がいたんです」
矢島「小学6年生の時ですか!?」
実井「はい。それで中学から陸上部に入り、段々と意識していくようになりました。箱根駅伝を1年生で走った時も、苦しくなっても、ここで終わるんじゃなくて自分はまだ先があるんだ、と思って走りました」
大後「この時はスタートしてすぐ飛び出したんですよね。1年生で出てすぐ飛び出すなんてなかなかできないですよ」
実井「無我夢中でした。1区の自分の使命は先頭から30秒以内で次の走者に渡すことでしたが、スローペースになったので、先に逃げてしまおう、と。もし追いつかれてもなんとか30秒以内には渡せるだろう、と考えました」
矢島「オリンピックを現実のものとして考え出したのはいつ頃ですか?」
実井「(オリンピックに)出たのは1996年なんですが、その前の92年のバルセロナで森下選手が2位になり、日本人選手が活躍しました。この時優勝したのが韓国の選手なんですけど、91年のユニバーシアードで優勝した選手だったんです。この時に私は一緒に走っていまして2位でした。彼が(バルセロナで)優勝するところを見て、自分もオリンピックに行かなければ、行きたい、と強く思いました」
大後「学生の時の経験は大きいですよ」
矢島「その経験がつながるんですね、結果に」


矢島「前回大会、拓殖大学は過去最高順位を記録しました」
モニターに給水で選手と並走する岡田監督の姿。会場笑。
矢島「久々に箱根路を走られて、どうでしたか?」
岡田「ある監督はこの後肉離れしたとかいう話がありましたが」
会場笑。
岡田「(拓大は久しぶりの出場だったが)特効薬というのはないんですが、選手とどれだけ信頼関係を築けるか、が大事だと思うんです。一緒に生活して、雑談も含めて、今どんなことで悩んでいるのか、調子はどうなのか、情報収集をするんです。
女性関係の悩みなんかも聞くこともあります。それに関してはあまり経験はないんですが、その中でもアドバイスしましたね」
矢島「先ほど実井さんのお話であったような、目標を持つということに関してはいかがですか?」
岡田「昨年の2月に私は赴任したんですが、最初にミーティングをして話し合った時に、選手たちは『箱根に出たい』と言うわけです。じゃあどこよりも練習をやろうや、ということになりまして、それを実践したことが結果につながったんですね」
矢島「鈴木さんは第1部でも『目標を持つ』ということが最初に出てまいりましたが」
鈴木「目標を持って、それを維持して、モチベーションを持ち続けなきゃならないんですね〜。いや、勉強になります」
矢島「桜庭さんは箱根駅伝を走る選手とオリンピック選手、両方を見られていますが、共通点はどういったところでしょう?」
桜庭「箱根駅伝で強い時のチームの選手と、オリンピック選手は、目標意識が高いんですね。そしてそれを実現させる選手は機転が利きます。頭がいいですよ。あと素直ですし、漠然とした言い方になりますが、魅力を持っている人は強くなりますね。
谷(亮子)選手は……今は谷先生ですが、彼女と会った人は皆、『テレビで見るよりいい子だな』と言うんですよ。
高橋尚子選手は苦しいマラソンを走った後に笑顔なんですね。これは小出さんとの作戦もあったと思いますが、あれがマラソンブームにつながったんだと思います」


矢島「オリンピックというのはどんな場所でした?」
実井「小学生の時から出たいと思ってやっと立てた舞台でした。スタート地点で見渡すと、周りは今まで憧れていた選手ばかりなんです。自分もタイムは持っていましたが、周りは有名選手ばかりで、足が地面についていない感じでした」
矢島「国際レースを経験されていた実井さんでも、オリンピックは別でしたか?」
実井「他の大会より思いも大きかったですから。地に足がついていなくて、空回りしてしまいました」
鈴木「オリンピックは特別ですよ。先ほども言いましたが、プレッシャーで体重も落ちましたしね。ダイエットに困っている方は、オリンピックに出てみたらいいですよ(笑)。
ソウルの時には前回の経験があったんで落ち着いていられましたが。
引退した後、(取材で)他の種目を見たりしましたが、92年のバルセロナも見ましたけど、選手ってオーラがすごいんですよねー。マラソンなんか一瞬で目の前を走り去っていくのをみるだけでしたが、すごかったですよね。
箱根駅伝もそうですよね。選手を見て『うわー』と思う」
矢島「沿道の雰囲気も違いますもんね。その雰囲気から箱根駅伝は始まっているように思います」
大後「ギリギリまで選手は絞ってますから、(箱根本戦で)走る時は選手はキラキラしてますよ。それを是非見ていただきたいですね」



(続)
後編は「世界と戦うために必要なもの」
→順大にプールを作れ。……ん???

『第88回箱根駅伝シンポジウム』レポ《前編》

註)メモと記憶に基づいて書き起こしており、細かい言い回しなどは違っている可能性が高いです。こんなニュアンスだった、ということで読んでいただければ幸いです。





今年のテーマは「箱根、そして世界の頂点へ」
司会は日本テレビの矢島アナ。
矢島「第88回箱根駅伝まであと51日になりました。今日は2時間という限られた時間ですが、皆さんお楽しみください」
まずは青葉会長の挨拶。
青葉「こんにちは。(相変わらず体育会系)
たくさんの方がお越しくださってありがとうございます。
今年はご承知のように3月11日、東日本に大変なことが起こりました。8ヶ月すぎて、今現在も不自由な思いをされている方も数多くいる、と聞いております。そんな中、関東学連としても何かできないか、関東インターカレッジなどを通じ、学生ランナーが力走、激走、熱走することで、東北に何か力になることはないか、と考えてきました。
残すところ1ヶ月ちょっとで、第88回箱根駅伝が開催されます。
箱根駅伝は大手町に襷がゴールすることが、最終的なゴールではありません。その襷が、世界の舞台につながる、というのが目標です。今日のシンポジウムには多彩な方がいらしております。この多彩な方々から多彩な視点でアドバイスをいただけたらな、と思っております。
皆さんもテレビで沿道で箱根駅伝を見て、新しい発見があれば、是非我々に知らせていただきたいと思います。
常に箱根駅伝は新しい発展、進化がなければなりません。最近、箱根駅伝が世界につながっていないという指摘も多くあります。それを打開して進化していきたいと思っていますので、忌憚ない意見を本連盟にお寄せください。
今日は2時間という短い時間ですが、この時間を楽しくお過ごしください」
青葉会長退場。


矢島「2012年はロンドンオリンピックを控えた年ですが、今回は『箱根、そして世界の頂点へ』というテーマでお送りしたいと思います」
第1部、鈴木大地(ソウル五輪100m背泳ぎ金メダリスト)とのトーク。
鈴木大地登場。
鈴木「よろしくお願いします。実は僕は箱根駅伝の大ファンなんですよ」
矢島「鈴木大地さんは順天堂大学のOBでいらっしゃいますが」
鈴木「今年はホントよかった! 正直、去年一昨年は箱根駅伝見たくなかったですもん。今年はよかったですよー」
矢島「OBの皆さんや学内は喜んでいらっしゃいますか?」
鈴木「盛り上がってますねー。僕も勝手に1人で盛り上がって、YouTubeで過去の大会を見たり(←これ、日テレではカットだろうなw)、先日箱根も行っちゃいましたからね! 芦ノ湖行ってきました」
会場笑。
矢島「イメージトレーニングはできてるんですね?」
鈴木「バッチリです!」


矢島「鈴木大地さんはソウルオリンピックで金メダルを獲得し、引退後は執筆活動や解説などをされ、母校の順天堂大学で准教授として活躍されています。今日は『世界の頂点に挑む〜未来のオリンピアンへ〜』というテーマでお話を伺っていきたいと思います。
鈴木さんはオリンピックには二度出場されていますね」
鈴木「水泳選手にとって、オリンピックというのは1番大きな夢ですからね。
高校3年でロサンゼルスオリンピックに出ましたが」
モニターにロス五輪時の写真。
鈴木「あ、渋い表情してますねー。200m背泳ぎで予選落ちしたんですが、その時の写真ですね」
矢島「市立船橋高校の3年生でしたね」
鈴木「そうです。……あ、その時の体育の先生が小出さんだったんですよ!」
矢島「そうなんですか!? どんな先生でした?」
鈴木「熱かったですよー。でも陸上の話しかしないんです」
矢島「体育の先生、ですよね?」
鈴木「そうなんですけど陸上の話ばっかり! 保健の授業なんかで、今順大のコーチをしている仲村明さんの話とかね。『小さいけど速いのがいるんだよー』とか話してました」
矢島「そうだったんですか。
この時のロサンゼルスオリンピックはどうでしたか?」
鈴木「出ただけで終わりましたね〜。オリンピックに参加しただけ、という感じでした。当時59kgだった体重が(レースの時は)55kgまで落ちたんです。プレッシャーで。オリンピックって怖いなあ、と思いましたよ」
矢島「そして4年後のソウルオリンピックですが」
モニターにソウル時の写真。
矢島「あ、今度はガッツポーズの写真ですね。全然違いますねー」
鈴木「この時は前年から金を狙っていましたから。ランキングが当時3番で、1年間頑張って目標通り、という感じですね」
矢島「順天堂大学4年生の時ですね。4年越しの思いということですね」
鈴木「ロスからこの日のレースの事を思い描いていましたから」


矢島「今日はそんな鈴木大地さんにオリンピアンになるためのポイントというのを伺っていこうと思いますが、鈴木さん、1つめはなんでしょう」
鈴木「1つめは『イメージ』ですね。
自分が選手としてオリンピックに出る、という強い思いです。
ロサンゼルスオリンピックの年、僕は日本では3番目の選手だったんですが、選考レースで並み居る強豪選手、当時は日本のトップ選手ですね、その選手たちに勝って1番でゴールしてガッツポーズする、というイメージをして臨んでいました。イメージする力とその思いの強さというのが大事ですね。
ピグマリオン効果、というんですが、昔の王様でピグマリオンという人がいまして、好きな女性を思い続けてついにその女性を自分のものにした、という話があるんですが、そういった思いを抱きつづければ、現実になるんだと思います」
矢島「鈴木さんはいつからオリンピックに出たいと思っていたんですか?」
鈴木「7歳で水泳を始めたんですが、その時に僕は『オリンピック選手になるため』と書いてるんですよね。泳げもしないのに、『泳げるようになりたい』ではなく、『オリンピック選手になるため』に水泳をやる、と言っていたんです。
周りの友達なんかにはバカにされましたよ。泳げもしないのに、て。
でもその時は夢であったことが、いつしか目標になったんですよ。子供の時は夢ってあったけど、大人になるにつれ「そんなのムリだ」とか段々夢をつぶしていくじゃないですか。でも夢って実現するものであって、うなされるものじゃないんですよね」
矢島「大人も夢を持っていいんですか?」
鈴木「もちろんです。
僕の場合、『オリンピック選手になる』と言って、「そうか」「君ならできる」と言ってくれる人がいたんですよ。そういう人がいて夢を持ち続けられるのも大事ですね」
矢島「よく有名スポーツ選手は小学校の時の作文で『オリンピックに出る』などと書いていた、と言いますもんね。鈴木さんは小学生の時はなんて書いてたんですか?」
鈴木「動物の飼育員、でした(笑)」
矢島「違うじゃないですか(笑)」
鈴木「でも、高校3年の時は『次のオリンピックでみてろよ』みたいなことは書いてましたね」
矢島「夢を見ていれば、その次につながる、ということですね」
鈴木「イメージすることが大事です」
矢島「選手生活を続けているとスランプや体調不良などもあるかとは思いますが」
鈴木「僕は大学1年の終わりから2年生にかけてケガをしまして、腰痛なんですけど、始めは鈍痛だったのが段々起き上がれなくなってしまいまして、その時はやめようかと思いましたね〜。
寝たきりのような状態で、1日3冊くらい本を読んだんですが、その中に野球の村田兆治さんの、肘のケガから復活したことを書いた本があったんですが、これを読んで目からウロコが落ちましたね!
スポーツ選手というのは常にケガとの戦いなんだ、と」
矢島「辛いところを乗り越えて、夢が現実になったわけですね。
そのソウルオリンピックでは、決勝でキックの回数を直前で変えた、ということがありましたね」
鈴木「予選ではバサロを21回で25m潜っていったんですが、ライバルの選手が35mくらい潜りまして、これじゃ勝てないということで、決勝では回数を増やそうと。それで27回キックをしたんです」
矢島「いきなり変えられるものなんですか?」
鈴木「普通は変えないですね。ただコーチと1番を目指そうということでやってましたから。3番じゃなくて1番じゃないとおもしろくない、と。
よく一か八かと言われますが、その時は1番か3番か、て感じでしたから、じゃあ1番を目指そう、と」
矢島「そういった場合、リスクもあるかと思いますが」
鈴木「バサロというのは潜ってますから、呼吸しない分、後半バテるんじゃないか、という意見もありましたよ。でも練習ではもっと長い距離(潜水)してましたからね。
あと当時は手をついてターンをしなきゃいけない、というルールだったので、利き手でターンができないんじゃ?というのはありましたが、精神的に優位にレースを進めたかったんです」
矢島「細かくなりますが、なぜ27回だったんでしょう?」
鈴木「まあ、多少のひらめきもありましたが(笑)。
バサロのキック3回で1かき分稼げる、という考えだったんで、6回キックを増やせば、利き手でターンできるかも、とは思いました。
練習ではいろいろやってましたが、試合では初めてやりましたけど、うまくいきましたね」
矢島「閃きと日頃の練習に裏打ちされたことだったんですね」
鈴木「基本的なことですけどね」


矢島「さて、オリンピアンになるためのポイント2つめはなんでしょう?」
鈴木「2つめは『トレーニング』ですね。
よく、運動、休養、栄養が大切と言われますが、しかしトレーニングがやはり大事ですね」
矢島「ここに鈴木さんの選手時代の1日のスケジュールがありますが、9:00〜17:00が大学の授業で……」
鈴木「正確には8:50〜16:30でしたね。プールが大学じゃなくて別のところに通ってたんで、移動して17:00からウエイトやストレッチ、サーキットトレーニングをして、18:00〜20:30で泳いでいたという感じです」
矢島「泳ぐ時間が2時間半というのは多いんですか?」
鈴木「少ないです。
大学がない日は朝晩泳いでいましたが、プールが遠かったんで、少なかったです」
矢島「授業がない時は、よく陸上などは夏合宿で月間1000km走るとかありますが、水泳はそういうことはあるんですか?」
鈴木「あります。3日間朝晩泳いで、1日休んで、10日〜2週間で100kmぐらい泳ぐんですよ。7000mとか7500mを2回泳いでウエイトするとか、そういう練習してましたが、僕は少ない方でしたよ。
最近マラソンスイミングという競技もあるんですが、この種目の選手は1日7〜8時間、20kmぐらい泳いでるそうです」
矢島「7500mというのはずっと泳いでいるんですか?」
鈴木「いえ、通常のこれは一例ですが、ウォームアップを500m、キック1000m、プル(腕だけで泳ぐ)2000m、スイム4000mといった感じで、更にその中身も100m×10とか200m×5とか、ダラダラではなく、ダッシュの繰り返しなんです。陸上の短距離の選手なんか、20mダッシュぐらいで楽だなー、と思ったことがありますよ(笑)」
矢島「更に鈴木さんは独自のメニューがあったということですが」
鈴木「潜水の練習ですね。朝の1番最初のメニューなんですが、25m×8、50m×4、100m×1の計500mをやるんです」
矢島「潜りっぱなしですか!?」
鈴木「そうです。潜ったままだと、最後にはこめかみの血管がぷちぷちいってくるんですよ。あと僕だけかもしれませんが、身体中がむず痒くなってきて、それを我慢してやってましたね。たまにふざけて煙草を1本吸ったりすると、次の日は苦しかったですねー」
矢島「潜水をこれだけやる選手というのはいるんですか?」
鈴木「いないですね。潜水が速いとか、あの当時は注目されませんでしたから。今はフェルプスやロクテなどもやっていますし、イアン・ソープが潜水トレーニングをしています」
矢島「20年以上前にいち早くやられてたわけですね。これだけやっていたからソウルでは回数を増やせたんですね〜」
鈴木「距離に対する不安はありませんでした。練習の時にはフィンをつけたりすることもありましたが、距離に対する不安はなかったです」



(続)

チーム福島的IH〜5日目〜

遅くなりましたが……IH最終日の結果。




平成23年度 全国高等学校総合体育大会陸上競技

【男子110mH】
[予選4組](+0.1)
4.永野秀成(会津学鳳) 15"17


【男子4×400mR】
[準決勝3組]
8.磐城(吉田-高野-穂積-山野辺) 3'22"11


【男子三段跳】
[予選1組]
27.八巻隼人(清陵情報) 13m64(+0.9)
28.田中道寛(聖光学院) 13m63(-0.1)

[予選2組]
1.山下航平(橘) 15m09(0.0) Q
11.石川真也(双葉) 14m24(0.0)

[決勝]
5.山下航平(橘) 14m98(+1.2)


【女子100mH】
[予選7組](0.0)
4.安部遥香(福島西) 14"58

[予選8組](-0.6)
2.猪股愛里(会津学鳳) 14"57 Q

[準決勝3組](+0.7)
5.猪股愛里(会津学鳳) 14"02


【女子4×400mR】
[準決勝2組]
7.会津学鳳(五十嵐-猪股-小林-渡部) 3'51"22


【女子砲丸投】
[予選3組]
13.有賀真奈美(日大東北) 10m98




男子110mHは八種で優勝した田中(洛南)が準決勝落ち。決勝は+2.4の為、追い風参考だが、増野(函館大有斗)が14"01で優勝。2位は尾形(小松商)14"40、3位川崎(尾道商)14"45


男子3000mSC決勝では、ランキングでは決して上位ではなかった、小林(下諏訪向陽)が8'57"13で優勝。2位は内村(市尼崎)9'00"40、3位田林(和歌山北)9'01"26 以下、佐野(東農大二)9'03"09、服部弾馬(仙台育英)9'04"79、大山(大牟田)9'05"47 大山は予選で記録した高1最高記録を更に更新。この種目はホント停滞気味ですからねぇ、どの世代も(^-^; 来年以降もホント楽しみ。


男子マイルは滝川二(三崎-大西-竹中-魚里)が3'11"07で優勝。2位は西武台千葉(野口-辰野-斎藤-小池)3'11"16、連覇を狙った桐蔭学園(室伏-中村-紙-皆木)は3'12"06で3位でした。


男子三段跳は勝部(西京)が15m28(+1.0)で優勝。2位は阿比留(福岡第一)15m19(+0.1) 昨年2位だった地元岩手の松村(釜石)も15m19(+1.8)だったが、セカンドの差?3位でした。椢原(鳴門)が15m14(+1.0)で4位。ここまでが15m台。間島(日本文理大附)は14m64(-0.9)で9位、岡本(英明)は予選で14m51(-0.3)にとどまり決勝に進めず。
で、山下くん、やりましたねー。予選で初の15m超えをマークして全体でもトップタイで決勝へ進むと、決勝でも14m98(+1.2)で5位。見事入賞。大舞台で結果を出すあたり、大物の片鱗? まだ2年生ですから来年楽しみ! てか、福島から4人出てたんだよねー。これもスゴイこと。


男子円盤投は安部(玉野光南)が47m90で優勝。中京大の400mH選手、安部くんの弟さんですね。お兄さんもデカイですからねぇ…… 2位は近藤(川口総合)46m75、3位は武田(西武台)46m65でした。越(至学館)は決勝で記録なし。


女子3000m決勝は留学生がワンツー。ムルギ(豊川)が9'04"55、ワイリム(世羅)が9'08"14 日本人トップの3位には木村(筑紫女学園)9'10"19、4位は岡(興譲館)9'10"62、以下、小崎(成田)9'15"52、榊原(浜北西)9'15"80、牧川(星稜)9'16"64、菅(興譲館)は9'18"08の8位。


女子100mHは準決勝で13"88(-0.2)をマークした福部(広島皆実)が決勝で13"74(0.0)で優勝。2位は久貝(東洋大牛久)13"88 久貝は準決勝で13"78(+0.7)をマークしました。3位辻(桑名)13"89、4位高木(中村女)と中原(恵庭北)13"99(着差なし)とここまでが13秒台でした。
それにしても猪股さん、惜しかったなー。準決勝で14"02(+0.7)と自己ベストを大幅に更新したのに、決勝に進めなかったんだもんなー。組が違ってれば、とか言っちゃいかんのだけど……猪股さん、今大会前のPBは14"51だし、5月あたりは15秒台だったんだよねぇ。国体代表は安部さんとの争いだと思いますが、どちらにしても頑張ってほしいな〜。秋までにはもっと伸びるよねぇ。


女子マイルは東大阪大敬愛の6連覇ならず。相洋(矢島-杉本-那木-馬場)が3'42"27で優勝。2位は浜松市立(杉浦-名倉-伊藤-建部)3'42"37 東大阪大敬愛(田中-名倉-荒金-吉田)は3'44"03で3位でした。


女子砲丸投は松田(西武台)が14m48で優勝、2連覇達成。2位は山本(観音寺中央)13m58、3位樋川(弥栄)13m34 知念(那覇西)は13m28で4位でした。


学校対抗は、男子が東京31点で優勝。女子は埼玉栄が39点で優勝でした。





ということでインターハイの陸上競技は終了いたしました。
力を出し切れた選手も出し切れなかった選手もいたし、中には震災の影響で調整も思うようにいかなかった選手もいたでしょうね。この本戦に合わせてくるのだけで大変なことだし、何より出場するだけで大変なことですから、これがいい経験になればいいなあ……
だからこそ、優勝した選手やPBを出した選手には価値がありますね。
チーム福島的には去年に比べると入賞数は少ないですが、思うように練習環境が整わない選手もいただろうし、これから環境が整っていくことを祈るのみ。



秋シーズン、国体や日本ジュニアも楽しみ。長距離は駅伝シーズンになりますね!

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