猪苗代ショップオープン編


どんな業種でもひたすら右肩上がりという企業は少ないわけで、飛ぶ鳥を落とす勢いだったはずの森の工房もその例に漏れずやがて売り上げは頭打ちとなり、不景気と時代の変化によって次第に下がり始めることになる。エレベーターと同じで下がり始めは気持ちが良くないわけで?子供たちの教育費も稼がなければなどと焦って悪あがきを始めてしまうのだ。

いくら何でも不景気はこれ以上は続くまい、三流の立地でもこれだけの売り上げがあるのだから一流の場所に出店すればまだまだ売れるはず、と安易な発想を抱いていた頃、運悪く?一流リゾートとして有名な猪苗代湖畔の国道沿いに元コンビニだった貸店舗を見つけてしまった。交通量は何倍もあるし、野口英世記念館、世界のガラス館などに隣接している、立地は抜群だった。すぐその気になってしまうのが悪い癖で、捕らぬ狸の何とやら・・・。「絶対間違いない」そう思ってかなりの予算を立てても銀行も問題なく貸してくれてまた借金を増やしてしまうのだが、借りる時は返せないとは思わず借りるものだから仕方ない。

雪解けとともに改装をはじめゴールデンウィークを前にオープンにこぎつけた。店舗面積は本店の2倍以上、ショップデザイナーに依頼した改装工事はプレハブとは違ってかなりセンスの良い店に仕上げることができた。やっとまともな店を持つことができたと満足だった。現地で募集したアルバイトに管理を任せ週に1.2回私や広子さんが通うことになった。

しかし、蓋を開けてみれば思ったほどの売り上げにはならなかったのだ。本店と比べてかなり良かったのは最初の三年だけだった。底なしの不況が世界中を覆い、観光不況は深刻なものになっていた。そうなると経費がかかるだけ、管理するのが大変なだけの店になってしまった。最初は「車で50分なら通える範囲」とたかをくくっていたがやがてそれさえも苦になるようになってしまった。あれこれと手を変え品を変え金をかけて悪あがきを試みるのだが客が減り続ける時に何をやっても効果は無いのである。いや単に頭が悪いだけなのだが・・・。これでは借金も返せなくなってしまう、私は頭を抱えてしまった。


続く