屈み込んで草を抜いていると、額から噴き出す汗が頬を伝わらずに、ポタッポタッと、直接地面に落ちていく。
汗を吸い込んだズボンがグショグショになり、屈んだままで膝を動かすのが不自由になってくる。

オクラやナスの葉っぱが、屈み込んでいる頭に被さるまでに背丈が伸びてきた。
「熱中症とやらに注意してねー」
出掛ける前に、女房殿が台所の窓から叫んでいたのを思い出したが、予定した作業だけは済ませなくてはなるまい、とおのれに気合を入れた。

顔見知りのおっちゃんが、
「こげな日に草取りなんかしよったら、死んでしまうばい」
と軽トラの窓から本気とも冗談とも取れる言葉を発しながら走り去った。
そのとき、仙人は何か言い返そうと思ったのだが、適当な言葉が見付からず結局何も言わなかった。

この時期、年寄りが熱中症で死亡するニュースをよく聞く。
だが、・・・ここまでという体力の限界が・・・。
限界を誰よりもよく分かってる筈の本人が、実は一番よく分っていないのかも知れない。
あまり用心深ければ無精者と、その反対だと無茶が過ぎると人は言うだろう。
年寄りは、このボックス圏を上手く立ち回らねばならぬのは分かってはいるのだが・・・。


頼れるのは「3/4世紀近くを生き抜いた経験と勘しかない」と言うたら、
「それこそ、あんまり当てには・・ねぇー」と誰かに言われた。

オクラ









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