2016年12/10~12/11 インゼミ

こんにちは!

記事更新が遅くなりましたが、2016年度も慶應義塾大学の金子勝ゼミ、井手英策ゼミと3ゼミによるインゼミを開催しました。

日時:2016年12月10日(土)−12月11日(日)
場所:12月10日(土):慶應大学三田キャンパス
   12月11日(日):TKP品川カンファレンスセンター

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院ゼミinnzemi



諸富ゼミの報告内容は以下になります。

・諸富ゼミ 財政班 インゼミ論文
「要因分析から見る出生率と育児政策」

――目次――
*序章
*第1章 現状分析
 1-1 出生率低下の要因
 1-2 一般論としての出生率低下の根本的問題
  1-2-1 所得に関する問題
  1-2-2 女性に関する問題
  1-2-3 子育て・教育に関する問題
  1-2-4 労働環境に関する問題
 1-3 政府による少子化対策
  1-3-1 少子化対策の歴史
  1-3-2 現在の政策
*第2章 既存の実証分析
*第3章 出生率の要因分析
 3-1 変数の説明と結果の予想
 3-2 推計結果と解釈
 3-3 都市と地方
 3-4 結果の含意
*第4章 現在の政策の評価 〜第3章の結果を受けて〜
*第5章 政策提言と試算 ゞ軌虍馼蘆瓦侶攜
 5-1 政策提言
 5-2 試算
 第5章付録 子ども手当の所得制限決定方法
*第6章 政策提言と試算◆―斬霹馼蘆瓦侶攜
 6-1 政策提言
  6-1-1 住宅補助を行う対象
  6-1-2 住宅補助額
  6-1-3 財源
 6-2 試算
  6-2-1 増税額の試算
  6-2-2 新税率の試算
 6-3 今後の展望
 第6章付録 住宅補助額と増税額に関する試算
*終わりに

――概要――
1990年の1.57ショックを契機に日本政府は少子化対策を行うようになり、毎年合計特殊出生率の推移が話題になっている。合計特殊出生率は1989年以降減少し続けて2005年には統計史上最低の1.26を記録し、政府が目標に掲げている1.8には程遠い状況が続いている。少子化対策には毎年3兆円を超える予算が使われているが、「現在の政策は効率よく出生率を上げることができているのか」という問題意識を持った。そこで、この問題意識に対して、出生率に関わる様々な要因について実証分析を用いてより出生率を上げるにはどの要因に対しての政策を行えばよいかを検討し、新たな政策を提言することにした。加えて、提言した政策の財源について具体的な試算を行うことで実現可能性についても言及した。
第1章では、深刻化している少子化問題の要因とその背景、また、日本政府の少子化対策の政策の歴史を確認した。具体的には未婚・非婚化、晩婚化・晩産化、完結出生児数の減少の3点を出生率低下の要因とみて、そしてこれらの要因には所得、女性に関係した問題、子育て・教育、労働環境の4つの根本的問題が背景にあると考察した。
第2章では、出生率の要因分析と政策について述べられている既存の論文を2つ紹介し、それぞれの論文の特徴や長所を述べ、そのうえで今回の分析でベースとして用いる論文の妥当性を示した。
第3章では、第2章で述べた分析をもとに、出生率とその要因について回帰分析を行い、その結果と含意を述べた。結果、保育サービスの充実性と出生率には正の相関関係が、教育費・地価と出生率には負の相関関係があると分かった。
第4章では、児童手当制度と保育サービスの充実に向けた取り組みに大別される現在の政策について第3章の結果をもとに評価を行い、教育費負担の軽減と住宅費負担の軽減が出生率を上げるには効果的だ、という結論を得た。
そして第5,6章で教育費負担の軽減、住宅費負担の軽減の2点について政策提言と財源の試算をそれぞれ行った。



・諸富ゼミ 環境班 インゼミ論文
「屋上緑化の現代的意義」

――目次――
*序章
*第一章 ヒートアイランド現象への問題意識
  第一節 ヒートアイランド現象とは
  第二節 ヒートアイランド現象の原因
  第三節 ヒートアイランド現象の影響
*第二章 ヒートアイランド現象対策の現状分析
  第一節 ヒートアイランド現象対策の現状
  第二節 ヒートアイランド現象対策の検討
*第三章 問題解決策としての緑化事業
  第一節 緑化とは
  第二節 屋上緑化とは
  第三節 屋上緑化の機能 
  第四節 問題意識から見た緑化の効果的な機能
*第四章 屋上緑化普及の政策のこれまで
  第一節 これまでの屋上緑化
  第二節 緑化をめぐる法的規制 
  第三節 法的規制と緑化の現状
  第四節 緑化推進の際のボトルネック
*第五章 課題解決策
  第一節 環境経済学から見た緑化
  第二節 費用・便益の詳細と日本の現状
  第三節 海外事例
*第六章 政策提言
  第一節 日本と諸外国における水道料金体系の違い
  第二節 日本への導入
  第三節 屋上緑化を推進する意義 
  第四節 新政策の割引率と条件の妥当性について
  第五節 本政策を活用した場合のシミュレーション
*終章
――概要――
 近年、環境問題への関心が世界においても日本においても高まっている。様々に存在する環境問題のなかでもとりわけ地球温暖化問題に強い関心が集まっている。地球温暖化問題は気候変動、農業生産・食糧不足、海面上昇などに細分化でき、その中で多くの人々にとって直接的かつ深刻な被害の規模が大きいものは気候変動である。日本において気候変動についての関心の多くは集中豪雨と洪水被害に向けられている。この集中豪雨のもう一つの要因にヒートアイランド現象も上げることができる。本論文ではヒートアイランド現象について原因や影響をあらいだし、その対策に総合的に取り組める政策として「緑化」を提起する。また、緑化推進のボトルネックである高コスト、そして緑化の便益が正しく認識されていないという問題に対処する政策として、欧米で既に導入されている「流出雨水処理費用割引制度」の日本版を設計、その妥当性を検討した。
 第1章ではヒートアイランド現象について原因やその影響を考察した。原因としては人工排熱の増加、地表面被覆の人工化、都市形態の高度化が考えられ、その影響として集中豪雨はもちろんのこと、熱中症や睡眠阻害、大気汚染、また、エネルギー消費の増加などが挙げられた。
 第2章ではヒートアイランド現象対策の現状を分析している。人工排熱の低減、地表面被覆の改善、都市形態の改善、ライフスタイルの改善、適応策の推進の5つの政策について分析し、今回取り組むべきは人工排熱の低減と地表面被覆の2つに絞るべきだという結論を得た。
 第3章、第4章では第2章で絞った問題の解決策として有効性が高いと考えられた緑化事業について検討した。その中で緑化事業のボトルネックとして高コスト、緑化の便益が正しく認識されていない問題、費用対効果の問題などが浮かび上がってきた。
 第5章では課題解決策と題して、上で述べた緑化についての費用と便益の詳細を明らかにし、日本で現状どのように受け止められているかを考察した。また、海外事例として欧米で導入されている対策政策を比較し、そのなかで「流出雨水処理費用割引制度」が緑化施策およびヒートアイランド現象対策に資するものであるとした。
 第6章では、欧米と日本との水道料金体系を比較し、第5章で挙げた「流出雨水処理費用割引制度」を参考に。下水道料金を割り引く政策を提言し、割引率やその条件等の妥当性をシミュレーションすることで示した。
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