2005年09月19日

戯れ言 09/19 村上龍の世界(上)


ども。今日は、月曜日なんですね。。
 すっかり日曜日と勘違いしており、余裕だと思ってた仕事の期限が結構ギリで、家で仕事してます。
 記事書いてるヒマもないので、昔の文書を使い回します。

 とはいえ、3年前くらいに私的に数人に送った文書なんで、ほとんどの人は見たことないと思いますが。。

 私がとても好きな作家の一人、村上龍についての考察です。


「必ず新しい階級社会が生まれる。
 努力しなかった人、訓練を何もうけていない人、技術が何もない人、コネクションが何もない人、醜い人、才能がない人、頭が悪い人、そういう人たちは最低の人生を生きるようになるだろう。
 恋愛が出来るのも限られた人だけになるはずだ。
 わたしは、それがしょうがないことだと思っている。」
   村上龍    誰にでもできる恋愛 より

 この文章は、彼がここ数年間言い続けている、ドラゴニズム(龍イズム・私の造語)のひとつの要素を表す文章です。

 ドラゴニズムが、一番に提唱しているのは「自立」です。

 つまり、人間はそれぞれ個人個人が、一人で生きていける力を持たねばならない。ということ。
 それは、経済的にも、精神的にも。

 彼の最近の小説も、多くがこの「自立」をテーマにしています。

■愛と幻想のファシズム
「狩り」を行うことにより、生物として自立した(自分で自分の餌を狩ることができる)主人公、鈴原冬至が、独裁政党を作り上げ、実質世界を支配している企業連合から独立していくお話。
 冬至に依存している剣介が、狂気に陥るのが印象的。
 ちなみに、エヴァンゲリオンのなかにトウジとケンスケという人が出てくるが、精神的に自立しているトウジは非常に辛い運命を背負うことになり、これといった依存も自立もないケンスケは平和に時を過ごしている。

■希望の国のエクソダス
 教師に反乱を起こした中学生が、インターネットを使った商売で経済的に自立し、やがて、独自通貨まで作り上げ、国家からも独立していくお話。
 この中で、中学生たちは「リーダー」というものを作らず、全てフラットな形で組織を作っている。つまり、彼らの組織の中に、他の人に依存している人間を作ることを許していないのである。
 60年代の安保闘争やぼくらの7日間戦争と大きく違うのは、これらが明確なビジョンを持たずに、いたずらに独立だけ求めているのに対して、この中学生たちは、独立宣言の後、どうやって自分たちだけで生きていくかのビジョンを持ち、それを実行に移したと言うこと。

■最後の家族
 親父はリストラ(配置転換ではなくビークー)、息子は引き籠もり(ヒッキー)という家族。この家族の一員がそれぞれに自立していくことにより、それぞれが復活していくお話。
 リストラされるサラリーマンには会社からの自立、専業主婦には配偶者からの自立、子供たちには親からの自立をそれぞれ促している。
 それぞれが自立しているからこそ、それぞれが負い目なくつき合っていくことができるのである。


 日刊ゲンダイのように、闇雲に「だめぽ!だめぽ!」と騒ぐのではなく、どこの、何がだめなのかを、小説の中で浮き彫りにし、登場人物にそれに対する解決策を必死に探らせることにより、読者に未来への指針を与えようとする小説たちです。

 この姿勢はその後形を変え、「13歳のハローワーク」や「JMM『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』」などにつながっていくわけです。

村上龍の世界 (下)に続く。


 試しに登録してみた、amazonアソシエイトのリンクを貼っておきます。
 ここから購入すると、私にちみっと広告料収入が入るので、上の文章を見て気になったものがあれば、買って読んでみてください。

 あと、ハローワークも。

 この本は、「大きくなったらなんになる?」と言われて「公務員」などと答える小中学生に向けた本です。
なんでこんなことを答えるようになったかを考えると、大人も子供も世の中にどんな職業があるか知らないからではないかという仮説にたどりつきます。

 絵が大好きな小学生。彼も、それなりの歳になればいやがおうにも画家や漫画家への道は限りなく狭く厳しいということを学習してしまいます。
 そのリスクを考えると、いっぱい勉強してローリスクの公務員になった方が。。などと考えてしまうのも自然だと考えられます。
 親も、「一流大学→一流企業」の物差ししか持っていなければ、絵に特化した教育を与えた子供が大人になってどうなるかを想像できず、不安になり、一生懸命止める方向に動いてしまいます。

 しかし、「絵が好き」な人は、画家や漫画家になる以外も、「編集者」や「グラフィックデザイナー」「コーディネーター」や「イラストレーター」などの職業があるとわかったらどうでしょう?

 自分の好きな絵やデザインをもっと勉強する気になるでしょう。
 親も、ある程度の見通しを持って、そのために美大に行く、留学してデザインを学ばせるなどの投資を選択肢のひとつとして考えられるでしょう。

 そんな風に、新しい知識を人が身につけることよって、仕事の選択肢を増やす。
 結果的に、自分のやりたいことを仕事にする人を増やし、仕事を楽しむ人を増やす。

 そんな意図のもと作られてるのかなと思います。
 純粋に、職業図鑑として読んでも楽しいですが。



mota2005 at 20:43コメント(7)トラックバック(0)戯れ言 | 書評 この記事をクリップ!

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コメント一覧

1. Posted by shina_pooh   2005年09月20日 12:25
読みたいなと思っていて最近忘れていました。龍ちゃん。

『限りなく透明に近いブルー』で拒否反応を起こしたのを覆してくれたのが『愛と幻想のファシズム』でした。大好き。

『希望の国のエクソダス』と『最後の家族』、買ってみます。リンクからぽちっと押すかどうかは・・・どうしよっかなぁ(笑)
2. Posted by もりぞお   2005年09月20日 12:28
押せ!
3. Posted by もりぞお   2005年09月20日 14:33
うそ。押してください。
今、「亡国のイージス」読んでます。行君が暴れ出して、面白くなってきた。
4. Posted by sayuri   2005年09月21日 12:13
私も読みました。
「最後の家族」と「恋愛の格差」を読んで
本当にそうだと思いました。
配偶者に依存してはいけない、自立しなきゃいけないって。

依存しちゃいけない、自立しなきゃいけない、
そう思うと子供はいらない、と確信しました。
子供はしょっちゅう病気をし、熱を出し、怪我をし
保育園から呼び出しがかかる。
小学生になれば授業参観や、お稽古事や塾への送迎、
PTAの会合、3者面談、そんなに会社を休んでいたら
周りに迷惑をかけるし首になって当然。
自分が生きていくためにも、生き残るためにも
子供はいらない。


少子化はどんどん進み、日本はなくなるかもしれませんね。
5. Posted by もりぞお   2005年09月21日 13:45
コメントありがとうございます。
そうですね。
でも、世の中には子供とかスキューバダイビングとかスキーとか遊園地とかインドとか野球とかファッションとか、自分が生き残るために必要ない物が大好きな人もたくさんいるから大丈夫だと思いますよ。

私も、時々発症する「海外に行きたい病」で会社首になりそうで大変。
お互い、頑張って生きていきましょうね。
6. Posted by shina_pooh   2005年11月27日 23:56
『希望の国のエクソダス』ようやく読み終わり。

龍ちゃんの先見の目はあまりにも今を言い当てていてすごいと思うし、全体的な流れは面白いけど、途中ノンフィクションに近い経済の話が多すぎて個人的には読むのに疲れた。一応、経済学部出身なんですけど、、、いろんな業界の人のあとがきが興味深い。『愛と幻想のファシズム』派でした。私は。

それにしても考えさせられる。お手本にしたい大人がいないときた。今自分はその大人の立場にいて、子供をもうけて育てる自信がなくなるよ。

ちょっと間を開けて、次『最後の家族』いきます。
7. Posted by もりぞお   2005年11月28日 00:09
これは、JMMってメルマガで、経済の専門家たちにいろいろ話を聞いてるので、それを書きたくてしょうがなかったんでしょうね。

まあ、大人は、自信を持って、毎日を楽しんでればいいんじゃないでしょうか。
子供が手本にすることなんて、とてもシンプルなものだと思いますよ。

日本の「失われた10年」は、バブル崩壊によって、自信と楽しみ(主に金)がなくなっちゃった10年でしたから。

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