桜がもうすぐ散ろうとしているのに、真冬並みの寒さが襲った日。


季節が思い切り逆戻りしたその日、私はこのままもっと季節が戻って欲しいと思った。


冬に、そしてその前の秋に、半年前の夏に、また春に・・・・・・・・・・・・・


あの4年前の冬に、そしてもっともっと何年も前の春に・・・・・・・・・・


そう、祥一郎の生きていた季節に戻って欲しい・・・・・・・私はそう願っていた。


しかしそんなことが起こるわけも無く、寒かった翌日にはまた春の日差しがもどり、季節は容赦なく
移ろっていく。


祥一郎はもう私の傍に居ない季節が、容赦なくこれからも移ろっていくのだ。



そんな残酷な現実を少しでも和らげようと、春の陽が戻ったあの公園、祥一郎がいつも過ごしていた公園で私は独りそぞろ歩いていた。


そっと右手を伸ばしてあいつと手を繋いで散歩しているふたりの様子を想像しながら、私は歩いていた。


「ねえ、昨日は寒かったねえ、でもやっぱり春だね。すぐ暖かくなる。桜もだいぶ散っちゃったね。でもすぐにお前の好きなアジサイの花の季節が来るね。」

そんな会話をしながら歩いているふたりの姿も想像しながら。



そして私は呟いた。
「さあまだ風は冷たいから家に帰ろう。そして晩御飯の支度しなきゃ。ね、帰ろう。」


気のせいか私の影の傍に、誰かの影が寄り添っているような気がした。



↓祥一郎の供養の為によろしくお願いします。
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