180703お弁当の粉

 曲げわっぱの製品が新しいうちは、ご飯に黄色く着色することがあります。
木の色が落ちたもので使い込むと着色しなくなります。害はございません。

 実はですね、他の曲げわっぱと違う栗久の曲げわっぱの特徴とも言えます。
曲げわっぱを作る経過は、お湯で洗われたような物ですからさっぱりしています。
天然秋田杉の素材が綺麗に切り出されて、100度近いお湯に3〜4時間浸かっています。そして、曲げて山桜の皮で止めてそれぞれの形になります。ですから、粉が出るはずもないのです。

では何故粉が出るかと言いますと、栗久のとっておきの仕上げ加工に依るところが大きいです。この加工といいますのは、磨きをかけるんですね。塗装していない天然秋田杉の表面をていねいに磨いてあります。
これは、職人のお父さんが樺細工の職人でその最終仕上げを施したと聞いています。
 私はこの加工が初めは表面の美しさを造り出す栗久五代目の樺細工の最終仕上げを六代目の栗盛俊二さんが受け継いだと簡単に思っていたのですが、それだけではなかった様です。天然秋田杉を薄く切り出した素材でありながら、ご飯の保存が長いことに関係しているように思っています。
ご飯がこびり着きにくく、栗久の「おひつ」に入れたご飯が、春・秋で三日、夏に二日もつ力を素材から引き出しているように思っています。
また、特別な環境だったのかも知れず真似はしてほしくないのですが、夏の暑い日にお弁当を朝から車の助手席に置き忘れたままお昼になり、『もう腐ったよな〜』ととりに戻ったところ、お弁当の中が無事で食べられた経験を、栗久のお客さんがしています。天然秋田杉はタンニン酸が含まれていて、食品加工や保存の樽に昔から使われた素材です。その性質を薄い素材でありながら充分生きる働きを引き出す加工のようです。

 だからといって御購入後は傷つけないで下さいね。傷つけないように使い続けて半年しますと、炊き込みご飯や酢飯を入れたり、うどん等の麺類を入れられるように育って行きます。
どうぞ、洗う際は傷つけるクレンザーやたわしは使わないで下さい。使用後は、お湯でゆるかして柔らかい布巾やスポンジ等で洗い流して下さい。<手入れの仕方>

栗久の曲げわっぱの「おひつ・飯切り」の表面がしんなりと柔らかなフォルムは小さい器の保存力の姿でもあったんです。