私は、基本的にはカメラマンですが、職人さんの真善美の心のこもった工芸品の情報を発信させて頂いております。また、先日亡くなられました松本サリン事件の被害者でありながら、犯人扱いされた報道がありました。この報道の決着もないまま時代は進んでいますが、そんな報道を読んで何が報道されているのかを問う会の会員です。「秋田・市民のメディア研究会」と言います。

この度、BPOの皆様にご連絡させて頂きましたのは、一つの文化が途絶えているのを、こつこつとその文化を全国を回りながら広めている方のご苦労を無為にする様な、真実とは離れた紹介がNHKのETV「美の壷」で放送されました。その回は、7月11日放送の「File96 弁当箱」です。
http://www.nhk.or.jp/tsubo/arc-20080711.html

曲げわっぱのお弁当について問題がありました。

 実は、放送された内容が、現実的に無理な説明がされていて困っています。曲げわっぱの柾目の白木は、浸透性による親水性が炊きたて御飯の水分を調節することが、先人の知恵で今に伝えられています。そこで、おひつやお弁当箱を作って来ました。樽職人は、液体を入れる樽を作る際は、柾目ではなく板目を使います。板目と柾目で木の性質が明らかに違うというのが先人からの知恵です。

番組では、通気性と言っています。アニメ迄使っていますが、空気が御飯を旨くするのは、粗熱をとるという作業です。お寿司の酢飯が飯きりで粗熱をとって御飯を旨くしていますよね。よく知られていることです。そして、肝心の水分調節の話が出ていません。通気性が続けば、御飯が乾燥して固くなり、不味さ倍増です。基本的台所の科学を間違えられて悲しくなって来ます。間違った情報が一つの文化にありますと怪しい文化と認定されて衰退してしまいかねません。ですから、正して欲しいのです。

 私の知る限り、木の通気性は論外。問題は、水分をいかに調整するかの保水性・浸透性であります。ただし、産地の工芸に寄っては、ヒノキ・ヒバやサワラの様に香りが強い素材を生かした木工業者は、春慶塗を考案したりして臭いの問題を解決して美味しいご飯の保存方法を作り出し、地域の人々の食生活を助けています。その伝統工芸者を考慮した表現の美のあり方が、和の美しさと心得て頂きたいものだとも感じた次第です。

 天然秋田杉の柾目の薄い板には、通気性ではなく浸透性です。柾目であるのがその根拠です。反対に酒樽等お水がこぼれない様に、浸透性のない樽作りでは板目を使います。その浸透性によって、御飯の水分調整が行き届き美味しい御飯を作り出します。そこの所が、白木のおひつの美味しさのツボです。勿論、外側をウレタン塗装したお弁当箱にしましても水分調節に問題はなく美味しいおひつ効果が得られています。

また、食文化に詳しい奥村彪生さんと紹介されてますが、栗久さんに聞きましたら、大阪の料理人さんだそうです。木の通気性に詳しい訳でもありません。それなのにアニメの紹介画面であたかも正しい様な説明がなされています。木の組成を説明なく、結論の通気性を正論と刷り込む話につじつまを合わせたもので、話を作り上げた誤報番組になっております。

全国に曲げわっぱを伝えて回ってる曲げわっぱの老舗:栗久さんも、また、私はサイトやブログで使い方や先人の知恵を紹介させて頂いております。放送された録画を持っていないのですが、再放送をみました。
 曲げわっぱの木工文化は戦後、東芝が電気釜を作り出したり、生産性に寄る核家族化で、台所文化の伝承が途絶えました。白木の食器を始めおひつの文化の伝承が途絶え御飯がまずくなって御飯離れが起きだしました。使い方を間違った人たちが多く、その為にすたれた台所文化の一つです。食料自給率の低下にも発展しています。

 御飯はおひつに移すだけで旨味が出て来ます。それを忘れさせる炊飯器電子ジャーが販売を優位に、炊きたて御飯が美味しいと思い込ませられています。
おひつ文化を皆様に正しく楽しく使って頂こうと日本中を回って、正しい使い方や知識を広めて来て曲げわっぱのおひつやお弁当箱の今があります。
それが、今回の放送で踏みにじられました。彼らの努力が無になる間違った情報が流れて曲げわっぱの認識に不振をもたれない様に、NHKに抗議しているところです。

しかしながら、7月19日に連絡したものの何の返事もNHKからありません。
どうぞ、間違ったことを改めた放送がなされます様に希望致します。
よろしくお願い致します。

今困ったのが、BPOの受付が、400字程度ということです。。。。。

ネットからの書き込みが400字でした。その後、お手紙で上記文面を送付致しました。