★TAKEO PAPER SHOW 2006 「 UNBALANCE/BALANCE 」

ce682e9b.JPGTAKEO PAPER SHOW 2006 「 UNBALANCE/BALANCE 」を青山スパイラルに見に行く。今日が最終日。すごい人。美大かデザイン学校の生徒達と思われる一行がメモ帳を片手に展示物の前に人だかりになっている。これでは落ち着いてみる気にはなれない。一通り遠巻きにしつつ展示会場を一回りする。
今回のテーマは「パリパリ」「ふんわり」「スケスケ」「ツルツル」「ザラザラ」の5つのキーワードに紙の素材を当てはめて展示している。見て、聞いて、触って、感じる紙の楽しさ。五感に訴える紙の使い方。紙に対する人間の親しみ感がどんなに大きいか、観客であふれかえっている会場を眺めながら改めて感じてしまった。
これは写真のプリントも一緒。アナログでもデジタルでもプリントすると云う行為はそこにいつも紙の存在が大きく影響している。アナログの場合とくにオルタナティブプロセスは自分で支持体となる紙を選ぶ事が出来るので、マテリアルとしての表現を考えた場合その選択肢は非常に大きな意味を持ってくる。一方デジタルプリントはアナログプリント以上に紙の選択肢が広いので、何を選んでプリントするかによって作者の意図がより伝わったり伝わらなかったりする度合いが大きいはず。デジタルプリントはそれだけ紙の選択が重要なのだ。今後のプリントワークを通してあらためて紙と戯れて見たいと強く感じた次第。

帰りがけに5つのキーワードをもとに選ばれた紙のサンプル帖を購入する。これは触っているととても楽しい。今後の展開に使えそう。

久しぶりに「レジュ」でコーヒーを飲む。

★湿板「桜」実験


a611383c.JPG湿板写真プロジェクトが始まって以来毎年恒例になっている「小金井公園」での桜湿板撮影も今年で5回目。朝の4時にストロベリピクチャーズ・ファミリーに迎えにきてもらって出発。日の出前に撮影現場に到着してセッティングを開始。朝早いのは日の出とともに太陽の光があたって輝き始める桜の花を撮影するため。私はこのプロジェクトのおかげで初めて体験することできたのですが、これは本当に美しいのです。通常花見と云えば「昼桜」か「夜桜」。でも本当に美しいのはこの「明け方桜」。それはどうしてか?答えは「ここ」に。
ところで今回は天気が今までになくすぐれない。空一面厚雲がおおっていて紫外線を阻んでいる。紫外線メーターと共に菅原さんのメーターも上がらず昼前に早々と終了。あまりにも寒いので暗室用テントで暖を取る。その後それではと云う事で以前より予定していた「湿板椿撮影」に切り替える。これは記念すべき初めてのダブル湿板日となる。しかし「陣屋の椿」も紫外線不足。日曜日に再度挑戦する事にして本日は終了。当日のいきさつは「こちら」で。
先日の「夜桜能鑑賞」といい今回の「桜湿板撮影」といい桜に関しては今年は残念ながら天気に恵まれていない。こういう年もあるのかなと思いながらやはり残念な気持ち。それでも細かいクオリティーをつめて行くテストは着々と続く。

★1960年代のアベドンスタジオ


坂田栄一郎さんのオフィスへ伺う。今年の秋の個展に向けてのテストプリントは順調の様子。60年代のアグファの印画紙とは違う、現在的なモダーンプリントが出来つつあります。楽しみです。60年代後半、坂田さんがアベドンスタジオにいた頃のアベドンやアーバスのナマの話を色々とお聞きする。これはすごく貴重な体験。スタジオによく撮影機材を借りにきたダイアン・アーバスの事をアベドンはダイアンではなく「ダイーン」と呼んでいたそうです。なかなか聞けない話です。プリントのフラットニングをしてあげていた坂田さんはそのお礼にサイン入りのあの双子の写真と自筆のありがとう手紙をもらってしまったのです。リチャードアベドンがアメリカンボーグで最も活躍していた1960年後半、当時のスタジオ内での出来事を写し撮った記念写真群に登場する人々がまたすごいです。時代は重く、濃く、深く、熱かったです。

★湿板写真ポートレート


昨日は菅原一剛さんのオフィスで湿板写真ポートレート。新しく溶いた溶液の出来はどれも皆素晴らしく、銀のテカリ方が明らかに違う。これは今回初めて使用したレンズによるところも大きいはず。そしてモデルの方々の影響も相当にーーー。8x10インチのアンブロタイプ約20枚を約4時間かけて一気に終了。春から夏にかけて、「椿」「桜」ーーーなど目白押しの湿板撮影に大いなるはずみとなる。しかしコロジオンによる二日酔いが今日になっても抜けていない。迎え酒ならぬ「むかえコロジオン」をやってみたが効き目がなさそう。さてさて。
今回の詳細はこちらで!

★飯沢耕太郎さんと「プリントの未来」について対談する


写真評論家の飯沢耕太郎さんとアサヒカメラ+エプソンの記事広告で「プリントの未来」について対談する。

まずは銀塩印画紙プリントとデジタルプリントの現状について。
その後、話は「プリントする行為とは」「物としてのプリントが持つ重さ」「モニター上の画像と物質としてのプリントの持つ意味の違い」などなど、あっという間の2時間。
デジタルプリントであろうとアナログプリントであろうと、静止画像として物質化されたプリントを見つめる眼差しはこれからも絶対無くなる事は無いであろうと云う意見で終わる。


デジタル画像の特質として、オリジナルが何であれデータで保存されるということがある。この保存されたデータを元に、ある時はインクジェットプリンタでデジタルプリントにしたり、ラムダでアナログ銀塩プリントにしたり、あるいはプラチナプリント等のオルタナティブプロセスでプリントしたりーーーと、ある意味今は何でも有りの時代だ。

ダゲレオタイプが発明されて以来今日のデジタルプロセスまで何百という、否ひょっとすると何千種類もの写真の印画法が現れては消えて行った。そんな印画法の歴史の最先端にいる僕達は、少しオーバーな言い方をすれば表現する為に選択可能な膨大な数のプロセスを持ち合わせている事になる。この事が幸せな事なのかあるいはそうでは無いのか立場によって違って来ると思うけれど、自分としては今を生きる一人のプリンターとして、写真プリントにするためにそれらのプロセスを使う必然性を少しでも感じる事が出来たならば積極的にトライして行きたいと考えている。
なぜならば「Wet Collodion Process : 湿板写真」を写真家の菅原一剛さんと一緒に進めて行く中で、自らが選んだプロセスの中にそのプロセスでなくてはいけない必然性があれば、作品として大きな力を持ち得ると云う事を実体験できたからだ。


今回の飯沢耕太郎さんとの対談は3月20日発売の「アサヒカメラ」4月号に掲載予定です。


★プリント工房「ザ プリンツ」の仕事


写真雑誌で4回にわたって掲載された Epson: PX-P/K3-Ink+PX-5500 Printer & PX-G-Ink+PX-G5000 Printer の広告がエプソンのweb-siteに登場しました。
Epson Proselectionと題して「須田一政」「三好和義」「森山大道」「上田義彦」の各氏とのインクジェットプリントのコラボレーションの行程がプリント工房「ザ プリンツ」の仕事として「SPECIAL CONTENTS」のコーナーで取り上げられています。

★「P.G.I. プラチナプリンターII 型」新発売


フォトギャラリーインターナショナルから「P.G.I.プラチナプリンターII型」が発売になりました。I 型に続いて西丸雅之さんの労作です。ペーパーサイズは11x14インチまで。バキューム式の紫外線光源・密着用コンタクトフレームです。I 型と比較して光量が20%アップし逆に消費電力は20%減少しているそうです。私としては操作パネルの位置が卓上でも床置きでも見やすくなったのは嬉しいですね。また内臓タイマーが発光タイプに、スイッチが露光中に光るようになった事も暗所での作業ストレスが大幅に減少するはずです。プラチナプリントをはじめこれからオルタナティブプロセスに挑戦しようとする人にとっては超お勧めの必需品です。欲しい!

★ P.G.I.「アメリカの写真家:ファインプリント展」


P.G.I.「フォトギャラリーインターナショナル」で開催中の
「アメリカの写真家:ファインプリント展」を見た。2月10日(金)まで。

ゼラチンシルバー、プラチナパラジウム、P.O.P.、ダイトランスファー等の印画紙プリントが展示されていて、薬品と鉱物の光反応で作られるプリントはまさに「化学変化の贈り物」です。そこからは今のデジタルプリントではまだまだ表現出来ない深みや厚みを色濃く感じる事が出来ます。インクジェットなどのデジタルプリントに係わる機会が否応無く増えて来ているこの頃ですが、所謂デジタル画像プリントではなく「写真のプリントとは何か」をあらためて考えさせられる良い機会、見本がここにはあります。
展示作品は同時に販売もしていて、私が最初に目に触れた頃の値段に比べて「あーこのプリントってこんなに高くなってしまったのだ」と感慨ひとしきりでした。と同時に今後印画紙プリントはそのクオリティーにもよりますがこれと同じ現象(プリント販売価格の高騰)が起こるような予感がしています。コダックがやめアグファがやめ印画紙の将来(もちろんフィルムもその例外ではありません)は危機的な状況です。そのような現状を考えた時、印画紙プリント(特にメーカーが現在供給しているゼラチンシルバー印画紙を使用した)で写真を残しておく意義、意味は、印画紙プリントと云うだけでその価値が飛躍的に高まるであろうと云うこととリンクしてますますその重要度を増しています。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『このポートフォリオは今から約100年前,西暦2005年前後に、歴史ある感材メーカー「EASTMAN KODAK COMPANY」が製造したコダック最後のバライタゼラチンシルバー印画紙:POLYMAX FINE ARTでプリントされたものです』

もしも100年後にアーカイバル処理され、このようなデータが付されたクオリティーの高い印画紙ポートフォリオボックスが発見されたならば、その価値は、値段はーーーーーーー。

    
   

★今日一日記'06/1/14


今年は年の始めから「湿板写真とデジタルプロセス」の間を行ったり来たりしています。
今後も両者をある時は単独で、またある時は融合させての実験の日々が続きます。
一口に「湿板+デジタル」と云ってもその表現範囲はアイデア次第で相当幅広い事が実際にやっていると見えてきます。この事はそのプロセスに携わっている人間にとっては(すなわち私なのですがーーー)とてもライブ感があって楽しい出来事で、表現の手段としてオルタナティブプロセスを現代に取り入れる意味や必然がひしひしと伝わってくるのです。
これらは写真家の菅原一剛さんとのコラボレーションです。今年はお互いに色々とメディアに載る機会も増えそうですが、菅原さんはひと足早く「ほぼ日刊イトイ新聞」「写真がもっと好きになる」を連載中です。私は遅ればせながら本日発売の「コマーシャルフォト2月号」でフォトディレクターの中島古英さんとのコラボレーション「インクジェットプリンタによる作品作り」を特集しています。
この特集記事の後半では我がデジタル伝導師、玉内公一さんが「インクジェットモノクロプリント再入門」と云うタイトルで解りやすく解説しています。

今年は写真家だけではなく色々なジャンルの人達とのコラボレーションや対談等が予定されています。そのような中で嬉しい出会いの時を持ち得た人達と共に新たなネットワークを組みながらやって行く事が出来れば、結果はきっと稔りある未来につながって行くことでしょう。


★2006年1月1日


新年、おめでとうございます。
今年も宜しくお願い申し上げます。

昨年の暮れは一年の残務整理に追われていました。人が去る時は「飛ぶ鳥、後を濁さず」と行きたいものです。ーーーと何よりも自分を戒めています。ついつい自分本位で思考してしまうのが人間の持って生まれた「性」とも言えますが、人と交わり、思いやり、学び、感じ合ってやって行く所に、この世に生を受け同じ時間を共有している真の意味があるのではないかと思います。

と言う事で昨年中に一応やるべき事は済ませ、神田の「薮そば」で年越し。
今年は今までの「写真のプリンター」と言う枠を超えて、新たな展開が期待出来そうな事をいくつか予定しています。銀塩写真は「瀕死のアナログ」と言うイメージが有りますが、それは同時に「写真とは何か」「プリントとは何か」を今一度捉え直す良い機会でもあるはずです。そして未来は明るい光が射しはじめていると実感出来る年にしたいと思っています。

個々の成果に関しては随時このブログで公開して行きます。

とにかく今の時代、個人で出来る事は本当に限られています。職種は違っても同じ方向性を持つ人達とネットワークを組み、それぞれの思いを共有しながら出来上がって来るものは必ずある種の力を持つはずです。一年のはじめにそんな事を考えています。

新しい一年が、あなたに稔り豊かな時となりますようにお祈り致します。


久保元幸・ザ プリンツ
過去の記事
  • ライブドアブログ