★プリント工房「ザ プリンツ」の仕事


写真雑誌で4回にわたって掲載された Epson: PX-P/K3-Ink+PX-5500 Printer & PX-G-Ink+PX-G5000 Printer の広告がエプソンのweb-siteに登場しました。
Epson Proselectionと題して「須田一政」「三好和義」「森山大道」「上田義彦」の各氏とのインクジェットプリントのコラボレーションの行程がプリント工房「ザ プリンツ」の仕事として「SPECIAL CONTENTS」のコーナーで取り上げられています。

★「P.G.I. プラチナプリンターII 型」新発売


フォトギャラリーインターナショナルから「P.G.I.プラチナプリンターII型」が発売になりました。I 型に続いて西丸雅之さんの労作です。ペーパーサイズは11x14インチまで。バキューム式の紫外線光源・密着用コンタクトフレームです。I 型と比較して光量が20%アップし逆に消費電力は20%減少しているそうです。私としては操作パネルの位置が卓上でも床置きでも見やすくなったのは嬉しいですね。また内臓タイマーが発光タイプに、スイッチが露光中に光るようになった事も暗所での作業ストレスが大幅に減少するはずです。プラチナプリントをはじめこれからオルタナティブプロセスに挑戦しようとする人にとっては超お勧めの必需品です。欲しい!

★ P.G.I.「アメリカの写真家:ファインプリント展」


P.G.I.「フォトギャラリーインターナショナル」で開催中の
「アメリカの写真家:ファインプリント展」を見た。2月10日(金)まで。

ゼラチンシルバー、プラチナパラジウム、P.O.P.、ダイトランスファー等の印画紙プリントが展示されていて、薬品と鉱物の光反応で作られるプリントはまさに「化学変化の贈り物」です。そこからは今のデジタルプリントではまだまだ表現出来ない深みや厚みを色濃く感じる事が出来ます。インクジェットなどのデジタルプリントに係わる機会が否応無く増えて来ているこの頃ですが、所謂デジタル画像プリントではなく「写真のプリントとは何か」をあらためて考えさせられる良い機会、見本がここにはあります。
展示作品は同時に販売もしていて、私が最初に目に触れた頃の値段に比べて「あーこのプリントってこんなに高くなってしまったのだ」と感慨ひとしきりでした。と同時に今後印画紙プリントはそのクオリティーにもよりますがこれと同じ現象(プリント販売価格の高騰)が起こるような予感がしています。コダックがやめアグファがやめ印画紙の将来(もちろんフィルムもその例外ではありません)は危機的な状況です。そのような現状を考えた時、印画紙プリント(特にメーカーが現在供給しているゼラチンシルバー印画紙を使用した)で写真を残しておく意義、意味は、印画紙プリントと云うだけでその価値が飛躍的に高まるであろうと云うこととリンクしてますますその重要度を増しています。

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『このポートフォリオは今から約100年前,西暦2005年前後に、歴史ある感材メーカー「EASTMAN KODAK COMPANY」が製造したコダック最後のバライタゼラチンシルバー印画紙:POLYMAX FINE ARTでプリントされたものです』

もしも100年後にアーカイバル処理され、このようなデータが付されたクオリティーの高い印画紙ポートフォリオボックスが発見されたならば、その価値は、値段はーーーーーーー。

    
   

★今日一日記'06/1/14


今年は年の始めから「湿板写真とデジタルプロセス」の間を行ったり来たりしています。
今後も両者をある時は単独で、またある時は融合させての実験の日々が続きます。
一口に「湿板+デジタル」と云ってもその表現範囲はアイデア次第で相当幅広い事が実際にやっていると見えてきます。この事はそのプロセスに携わっている人間にとっては(すなわち私なのですがーーー)とてもライブ感があって楽しい出来事で、表現の手段としてオルタナティブプロセスを現代に取り入れる意味や必然がひしひしと伝わってくるのです。
これらは写真家の菅原一剛さんとのコラボレーションです。今年はお互いに色々とメディアに載る機会も増えそうですが、菅原さんはひと足早く「ほぼ日刊イトイ新聞」「写真がもっと好きになる」を連載中です。私は遅ればせながら本日発売の「コマーシャルフォト2月号」でフォトディレクターの中島古英さんとのコラボレーション「インクジェットプリンタによる作品作り」を特集しています。
この特集記事の後半では我がデジタル伝導師、玉内公一さんが「インクジェットモノクロプリント再入門」と云うタイトルで解りやすく解説しています。

今年は写真家だけではなく色々なジャンルの人達とのコラボレーションや対談等が予定されています。そのような中で嬉しい出会いの時を持ち得た人達と共に新たなネットワークを組みながらやって行く事が出来れば、結果はきっと稔りある未来につながって行くことでしょう。


★2006年1月1日


新年、おめでとうございます。
今年も宜しくお願い申し上げます。

昨年の暮れは一年の残務整理に追われていました。人が去る時は「飛ぶ鳥、後を濁さず」と行きたいものです。ーーーと何よりも自分を戒めています。ついつい自分本位で思考してしまうのが人間の持って生まれた「性」とも言えますが、人と交わり、思いやり、学び、感じ合ってやって行く所に、この世に生を受け同じ時間を共有している真の意味があるのではないかと思います。

と言う事で昨年中に一応やるべき事は済ませ、神田の「薮そば」で年越し。
今年は今までの「写真のプリンター」と言う枠を超えて、新たな展開が期待出来そうな事をいくつか予定しています。銀塩写真は「瀕死のアナログ」と言うイメージが有りますが、それは同時に「写真とは何か」「プリントとは何か」を今一度捉え直す良い機会でもあるはずです。そして未来は明るい光が射しはじめていると実感出来る年にしたいと思っています。

個々の成果に関しては随時このブログで公開して行きます。

とにかく今の時代、個人で出来る事は本当に限られています。職種は違っても同じ方向性を持つ人達とネットワークを組み、それぞれの思いを共有しながら出来上がって来るものは必ずある種の力を持つはずです。一年のはじめにそんな事を考えています。

新しい一年が、あなたに稔り豊かな時となりますようにお祈り致します。


久保元幸・ザ プリンツ

★今日一日記'05/12/19


午前中、上田義彦さんのスタジオ・オフィスでエプソンの広告用に出力したプリントチェック。今回の写真は光を殺して、殺して、殺していった先にある、影の中のその更に奥にある影にたたずむ花瓶と胡蝶蘭がテーマ。限りなく黒に近いグレーが、たった4つの幅の狭いゾーンの中に存在している写真。トーンの幅が極端に狭い中で如何に立体感や遠近感を出せるかが課題。

まずスキャニングしたデータを何も手を加えずに出力してみる。想像どおりコントラストが上がらず、バックと花瓶とのセパーレート感がまるでない。そこで今までとおり、全体のコントラストと濃度あるいは色調、用紙等を変えながら着地点を探すもイメージしているものにはほど遠い。ここで今までの直球勝負(Photoshop:トーンカーブでの調整)だけでは相手を打ち取れない事を悟る。そこで不本意ながら今回だけ変化球勝負(Photoshop:切り抜きツールを使用して)に切り替える。4つのグレーのパートそれぞれに適正な調子を作り上げ、見た目を重視しながら組み合わせのバランスを考えて配置する。その後何回かの思考錯誤と出力を繰り返してやっとこれではないかと言うところに辿り着く。最後にオリジナルプリントに最も近い濃度とコントラストを持つプリントと細かい調子はオリジナルとは若干違っていても写真として作家が表現したかったのではないかと思われるものをプリントして終了。結果的に多くの枚数が出来上がる。今回はいつもに比べて結構長い道程。

インクジェットプリントの場合、アナログ写真のニュアンスを残そうとすると、なるべくスキャニングデータに手を加えない方が良いのではないかと思う時がある。デジタルプリントを作るのに極力デジタル処理をしないと言うのは非常に矛盾しているように聞こえるかもしれないけれど、これは出来過ぎてリアリティーに欠けるデジタルプリントを多く見るようになっての感想。

さて出来上がったプリントを写真家の目前に広げ、写真家がプリントと対峙した時に生じる沈黙の時間。この間(ま)こそがプリンターにとって最もスリリングな瞬間。その時写真家の内側では、その写真に込めた思い、撮影現場での出来事、心の震え、などなどがものすごい勢いでフィードバックを繰り返しているはず。結果は「これが良いです」。来年1/20発売の写真雑誌に掲載です。

★「写真がもっと好きになる。菅原一剛の写真ワークショップ。」


午前中、神宮前で重要な相談事を済ませる。その後青山でインターネットによる画像修正・写真集制作サービスをオンデマンドで展開している方とお会いしていろいろとお話をお伺いする。遠い世界に感じていたオンデマンド・プリンティングサービスだったけれど、話をお聞きしているうちに結構身近なそしてすごく可能性がある世界なんだと感じてしまう。システム構築に於けるデジタルの果たす役割は本当に驚く程すごいです。

「写真がもっと好きになる。菅原一剛の写真ワークショップ。」が始まった。
「ほぼ日刊イトイ新聞」での連載コラム。菅原さんが糸井重里さんと「素直な心で真正面から撮る写真」を写しに二人で出かけるコーナーもあるそうで興味津々です。


★コマーシャルフォト'06/2月号特集企画


今日はコマーシャルフォト2月号特集企画「インクジェットプリンタでの作品作り」の取材でライトパブリシティのフォトディレクター、中島古英さんと共に大型インクジェットプリントを試みる。
改めて同じ写真でもサイズによる見え方の違いとプリントサイズに合わせた適正なスキャニングの重要性を認識する。プリントの出来映えは始めてとしては、まあまあかな。これで企画の一連の取材は終了。この企画は2部構成になっていてPart1で中島さんとのコラボレーションによる作品制作のドキュメント。Part2ではデジタル伝導師・玉内公一さんがモノクロデジタルプリントを平易に詳しく解説していてとても参考になります。詳細は1月15日発売のコマーシャルフォト2月号を御覧下さい。

写真家、菅原一剛さんの連載「写真がもっと好きになる。菅原一剛の写真ワークショップ。」の予告編が「ほぼ日刊イトイ新聞」にお目見えしました。明日からがいよいよ本番です。コミュニケーションの道具としての写真の役割を今までにはない角度から光をあててお伝えしていきます。乞う御期待!

★ダイアン・アーバス「THE LIBRARIES」


1dd50271.JPG今日は午前中にP.G.I.「フォトギャラリー・インターナショナル」に届け物。ついでと言う訳ではないけれど栗田紘一郎さんのプラチナプリントの写真展を見る。雁皮紙に塗布されたプラチナプリントは和紙だけあって趣があって美しい。また拡大プリントはプラチナ用ネガにアナログフィルムを使っているので、和紙とのマッチングの良さと相まってデジタルネガよりも空気感があるような気がする。
デジタル以前のプロセスで創られたプリントは全てと言ってよい程「物質」としての存在感が際立っている。その中でもプラチナプリントはクオリティーに於いてやはりダントツですね。

帰り際、野崎さんからダイアン・アーバスの『 THE LIBRARIES 』が入荷していると聞いてびっくり。この本は今年の6月にN.Y.のI.C.P.で見つけたのだけれども購入しそびれてしまってずっと気になっていたもの。アーバスの書棚の蔵本が折綴じで横一枚につながっている装幀でとても美しい。ページの上半分が書籍の写真、下半分がその書籍のタイトルとなっていてデザインもこれまた素晴らしいのです。
本好きの私にとって他人の本棚を見る楽しみは、持ち主の頭の中身を覗き見るような感じで心がワクワクする出来事。
「 .diane arbus. 」An Aperture Monoguraphの初版,「 DIANE ARBUS REVELATIONS 」SCHIRMER MOSELそして「 UNTITLED 」とこの「 DIANE ARBUS THE LIBRARIES 」があればへんな伝記を読むよりもずっと彼女に対するイメージや想いがひろがっていきます。

★上田義彦さんの「花瓶の写真」


今日は午前中に元麻布の上田義彦さんの事務所に伺う。エプソンの4回シリーズの広告の最終回。いろいろな写真が候補に挙がったけれど最終的に、胡蝶蘭の写真に決定する。イメージに関するいくつかのやりとりの中で実はこの写真、胡蝶蘭ではなく花瓶を意識して撮った写真である事が判明する。ーーー解らないものです。

写真家とプリンターが、これだという一枚のプリントを共に作り上げる為には、両者の間で言葉による確認作業がどうしても必要になってくる。その時に単にここを暗くとか明るくとかと言うやりとりでなく、プリンターとして最も知りたい事は、何故この写真を撮り、何をどのように表現したかったのか、そのイメージの奥にある写真家の心の震えの部分。そこが見えれば最終的なプリントをどうしたら良いかは自ずから見えてくるはず。あとはそこに向かってプリンターの持っている技術的な部分を+ーして行くだけ。


プリントする為に今日もらった重要なキーワード。

「主体は花瓶」
「アグファ・ポートリガラピッド印画紙」
「光を殺して、殺して、殺してーー」
「影の中にもうひとつ影を創る」


さてどんなプリントになるか楽しみ。結果は一週間後の今日に。


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