
写真展のタイトル「 DOUBLE PLATINUM 」の意味するところは、杉野さん独特のモクロプリントの漆黒の黒をプラチナプリントで表現するために、今から4年前に採用した特別な感光液の塗布方法から来ています。
それはまず感光液の紙への吸着力を高めるためにアルミナという超微細な粉を塗布し、その上にプラチナとパラジウムを含んだ感光液を「ダブルコーティング」して、今までのプラチナプリントではなかなか表現できなかった深みのある黒を表出しています。さらに当時わたしが在籍していたアマナサルトが独自に開発した、ネガを使用せずにレーザーの紫外線光源をプラチナ印画紙に直接露光をするという世界最初で唯一の露光方法で通常よりもはるかに解像度の高い画像を作り出しています。
実は杉野さんとのこのベネチアのプロジェクトは全てのプリント作業が完了しておらず完成までいまだ道半ばでしたが、残念なことにアマナサルトの活動が急遽休止状態になってしまったために継続することが難しくなってしまっていました。
ですので今回展示するプリントは全てそのイメージが世界で唯一無二の1点しか存在しない大変貴重なユニークプリントで本邦初公開になります。
また今回のMonochrome Gallery RAIN での杉野さんのベネチアの展示は、現在東京と京都のライカギャラリーで同時開催中のシンコレによるダイレクト・ポリマーフォトグラヴュールによる杉野さんの写真展「Pilgrimage II Leica as Plenary Indulgence」の原型をなすものでもありますので両者を見比べることによって作家が同じ題材であるにもかかわらず何故異なる印画方法を選択したのか、その心の内なる軌跡を知る上でも大変有意義なものとなっています。
展示期間は2022年7月2日 〜 2022年7月31日ですが、開廊は展覧会期間中の 土曜・日曜 PM 2時 〜 7時のみとなります。土・日以外のウイークデイは開廊していませんのでお気をつけください !!!
皆様のご来廊をお待ちしております。
*尚、7月2日土曜日17:00から予定していましたオープニングレセプションは諸般の事情のため中止になりました。ご了承ください。