クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

カテゴリ:作曲家C > Chávez

cdlx7366①チャベス:バレエ音楽「ピラミッド」第3場・第4場
②チャベス:バレエ音楽「4つの太陽」
③コープランド:バレエ音楽「アパラチアの春」(原典版全曲)

①②カルロス・チャベス(指揮)ロンドン交響楽団、アンブロジアン・シンガーズ
③アーロン・コープランド(指揮)コロンビア室内管弦楽団
録音:
①②1973年3月16-18日アビーロード・スタジオ,ロンドン
③1973年5月9-11日コロンビア30通りスタジオ,ニューヨーク
(DUTTON CDLX7366)
コロンビアから発売になっていたチャベスとコープランドの自作自演をDUTTONでライセンスを受けてSACD化したという企画です。このシリーズ時々本家からも忘れられたような音源出てくるので要チェックです。

①バレエ「ピラミッド」はなぜか第3場・第4場の抜粋です。
第3場「元素:風、水、大地、火」
チャベスらしからぬ現代音楽的でシリアスで激しい音楽。静かなところはヴァレーズとか思い起こさせるところも。最後はシェーンベルクとかの激しい雰囲気に。
第4場「全員の踊り」
恐ろしげな絶叫する土俗的な合唱が強烈。各種打楽器もドカドカと叩きまくり。踊り感は全くなくて呪術の儀式みたいな感じがします。中盤の無伴奏のシュプレヒシュテンメは長すぎて精神をやられそうです。シュプレヒシュテンメ終わってからも怖すぎでした。
まさかのチェーンベルク風でチャベスのイメージとだいぶ違ってたので面喰らいました。傾向としてはヒナステラの「ポポル・ヴー」などに通じるものもあるけど、これはちょっと苦手かも。

②強烈な前の曲から一転、チェロ・バスで民俗的なゆったりとしたメロディが奏されるとホッとします。太鼓がチャベスぽい。3分半くらいからテンポが上がり賑やかに盛り上がります。ギロがやたらチャッチャッなって面白い。しばらくすると落ち着きますが、その後は民俗的だったり神秘的だったりでだいぶ親しみやすいです。イメージしていたチャベスらしい音楽が続きます。
10分20秒くらいにバス・ドラムが連打され緊迫した音楽になります。トランペットが吹き鳴らされたあと一度冒頭のチェロ・バスのメロディが戻りますが、その後は再び緊迫して激しい音楽になります。チャカチャカしてくると「赤道コンチェルト」みたいになります。
15分くらいにようやく落ち着きます。弦のグリッサンドが凄かったりします。17分過ぎにテンポがあがって踊りっぽくなります。激しく熱狂的になっていきます。
21分20秒くらいにブレイクしてヴァイオリンのソロが登場し室内楽的になると女声合唱が登場します。神秘的に始まりますがやがてエキゾチックで楽しげに。楽しげになってきてようやく男声も出てきます。最後に向かってやんやの盛り上がりです。

③スラトキンの「アパラチアの春」持ってるのですが、これは全曲版だけどフルオケ版で原典版じゃないんですね(他ティルソン・トーマスの録音も全曲フルオケ版らしい)。このCDはバレエ・ヴァージョンの室内オケ編成(木管・弦楽・ピアノの13人)です。この録音はソニーのコープランド自作自演集7枚にも入ってませんでした(通常の組曲版は入ってた)。
確かに知ってる曲だけど楽器が少ないです。組曲版でお馴染みの打楽器が入ってないのはちょっと違和感。代わりにピアノが結構活躍します。でもこれはこれでなかなか良くてスッキリしていて清潔感がありチャーミングです。ストーリーには合っているような気がしました。
いい感じの有名な「シンプル・ギフト」のメロディが終わってからの組曲ではカットされる不穏な感じも楽しいです。その後の場面も意外なことに色々とドラマチックで面白い。
地味かと思いきや意外にも結構楽しかったです。

①★★☆☆☆(まさかのシェーンベルク風)
②★★★★☆(楽しい)
③★★★★☆(室内オケ版意外と良かった)

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smk60571「ラテン・アメリカン・フェスタ」
①コープランド:キューバ舞曲
②コープランド:エル・サロン・メヒコ
③フェルナンデス:バトゥーキ
④グァルニエリ:ブラジル舞曲
⑤ヴィラ=ロボス:ブラジル風バッハ第5番
⑥レブエルタス:センセマヤ
⑦チャベス:インディオ交響曲
バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル
⑤ネタニア・ダヴラツ(ソプラノ)
録音:①②1961年5月20日、③-⑦1963年2月6日
(SONY CLASSICAL SMK60571)
エル・サロン・メヒコはバーンスタインのコープランド・アルバムに入っていたものと同じ録音。「エル・サロン・メヒコ」と「キューバ舞曲」は同時に録音されたのに、不思議なことに初出は③~⑦と一緒だったようです。
①ラテン・アメリカ・アルバムなのにいきなりコープランドの作品。キューバとメキシコがネタなのでいいんだけど。ともあれこの曲、まるでドリフターズのように「ババンババンバンバン」。キューバというより草津っぽい。キューバといえばガーシュインのキューバ序曲のほうがノリがよくて楽しい。
②コープランドの代表作。カラッとしていていいですね。一度やったことあるけど楽しかったなあ。バーンスタインのオハコですし、安心して楽しめます。
③これは初めて聴く作曲家。オスカル・ロレンソ・フェルナンデスはブラジルの作曲家。ザクザクしていて土俗的。後打ちのリズム打ちが楽しい。
④グァルニエリもブラジルの作曲家で、BISレーベルでプッシュしてましたね。この曲は元気いいけどあっという間に終わります。2分ちょい。
⑤説明はいらない名曲でしょう。ソプラノのダヴラツは結構知られた歌手。だけどちょっと不満…。第2楽章初めはおどけたように歌ったり色々工夫してるのはいいと思いますが、1楽章の再現部のヴォカリーズの「ン」はちょっと嫌だなあ。第1楽章冒頭のキツめのヴィブラートや第2楽章最後の音程が微妙に決まらないなど、なんとも惜しい。
⑥このアルバムでも異彩を放ってます。呪術的な妖しさ満点。7拍子もクセになる。
⑦インディオ交響曲と言えばバティスのオハコ。予想通りですが怨念こもったようなバティスと違ってバーンスタインは都会的、というかすっきりしたサウンドです。純粋にリズムやメロディが楽しめます。ずうっと各種打楽器がカタカタドコドコ言ってて楽しいです。
★★★☆☆(曲ごとに微妙な出来不出来がありますが、アルバムとしては楽しい1枚)
スタジオ録音のせいかバティスやドゥダメルのような熱狂的な感じはないです。クールに安心してラテンものを楽しめる珍しいアルバム。これもまた一興です。

地震のあとブログ更新する気にもならなかったのですが、気を取り直してネタ帳(携帯のメモ帳ですが)にたまってたネタをあげて行くことにしました。元気になる、といえばやっぱりエンリケ・バティスでしょう!
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crcb205「メキシコの音楽3」
①ポンセ:ヴァイオリン協奏曲
②チャベス:インディオ交響曲(交響曲第2番)
③レブエルタス:マヤ族の夜

エンリケ・バティス(指揮)
①ヘンリク・シェリング(ヴァイオリン)
①ロイヤル・フィル
②③メキシコ・シティ・フィル
録音:①1984年6月ロンドン,②③1992年メキシコ・シティ
(ASV CRCB205)
ドゥダメルのマヤの夜でイマイチ煮え切らず、バティス盤を引っ張り出して聴きました。
①ポーランド生まれで大戦中にメキシコに移住、メキシコの市民権をとった巨匠シェリング(1918-88)晩年の録音。置き土産的録音です。
1943年の作品ですが、全然モダンではありません。また民族的でもロマンティックでもありません。フォームは3楽章のロマン派ヴァイオリン協奏曲です。バロック的でもなく、古典的でもない。印象的な旋律やオーケストレーションもない。晩年の巨匠ヴァイオリニストには悪いのですが…つまらないです。シェリング・ファンとヴァイオリン協奏曲ならなんでも、という方以外には厳しいかな。
②バティスお得意のインディオ交響曲。州立響とのライヴが何種類も出てます。この曲はインディオの気質をコンパクトにまとめた佳作だと思います。マリアッチ風に楽しげに始まるこの作品ですが、ホントは深い悲しみや絶望があるのに優しく微笑んでいるような作品です。
③そして「マヤの夜」(そういえば魔夜峰央て漫画家いましたね、パタリロ)。この作品はバティスのためにあるのでしょう!速いところ、野蛮なところはもちろん良いですが、退屈しそうな部分も早めにテンポとったり、よく歌ったり、とよく工夫されています(本人は歌いたいように歌っただけかもしれないけど)。グアーっと盛り上がって最後まで行き着くと必ずため息が出ちゃいます。

①★★☆☆☆(シェリングに敬意を表し1つ増)
②③★★★★★(名曲?の決定盤)

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