クラシック・マイナー曲推進委員会

マイナーな作品を中心にクラシックのCDを聴きまくる私の備忘録的感想文です。
さんざん聴いてるのに忘れちゃうもので。もし読んでくれる同好の方がおりましたら参考になれば嬉しいです。
このブログは全く個人の感想ですので、一般の評価などとは異なることが多いかと思いますが、あしからず。
また、ほぼ耳で聴いただけでの作文ですので、間違ったこと書いてあったらごめんなさい。もしお気付きの誤りがありましたらご指摘ください。

カテゴリ: 作曲家S

chan9166R.シュトラウス:
①交響曲ヘ短調Op.12(第2番)
②6つの歌Op.68

ネーメ・ヤルヴィ(指揮)
ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団
②アイリーン・ハルス(ソプラノ)
録音:1992年11月10、11日ヘンリー・ウッド・ホール,グラスゴー
(CHANDOS CHAN9166)
ヤルヴィのシュトラウスを聴くのも6枚目。この1枚でヤルヴィとスコティッシュ・ナショナル管のシュトラウス・シリーズも一区切りになったものです。その後時間をおいてもう1枚分録音していますが。
今回はオマケの歌曲もいつものフェリシティ・ロットからアイリーン・ハルスに交代しています。

①この交響曲は作曲者19~20歳ころの作品ですが、出版もされていて作品番号もあります。この前に16歳で書いたニ短調の交響曲もあるので、これは第2番と言われることもあるようです。
第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ウン・ポコ・マエストーソ(12:54)
Wikipediaによると第1楽章は第3主題まであるらしい。冒頭は「イーゴリ公」序曲っぼい。憂いのある「ターリーララー」というメロディが出てくるので、ゆったりした序奏かと思ったらこれが第1主題のようです。これが展開していきトランペットが出てくると結構カッコいい。これが第2主題かな?次に落ち着いたクラリネットが第3主題かな?ちょっと分かりません。第1主題の「ターリーララー」の音型は結構出てきます。展開部は第3主題によるブリッジから第1主題で静かに始まりジワジワと盛り上がります。トランペットの主題が出てくるとやはりカッコいい。でも展開部はあまり複雑な感じはしません。再現は冒頭の音型からきちんと始めますが、トランペットのテーマは省略。コーダは静けさから悲劇的に盛り上がるけど、一瞬ほっとする第1主題が明るくなったフレーズが出てきます。しかし、すぐ悲劇的なフォルテに戻り、やがて冒頭の雰囲気が帰ってきて静かに終わります。
第2楽章 スケルツォ(7:11)
冒頭の弦の音型が長調か短調か分からない不思議な感じで面白い。楽しいスケルツォでチャーミングで何となくロシア風。トリオは結構劇的に盛り上がります。
第3楽章 アンダンテ・カンタービレ(9:07)
スケールの小さい第九の緩徐楽章みたいな穏やかな感じです。トランペットが雰囲気を変えちょっと不穏な感じになり、ドラマティックに展開していきます。
第4楽章 フィナーレ、アレグロ・アッサイ、モルト・アパッショナート(11:07)
ちょっと不穏な雰囲気の序奏から嵐のような雰囲気のなか劇的な音楽になります。第1主題は最初は低弦に出てきます。第2主題はちょっと落ち着いてからだんだん明るく良い感じになっていきます。何故か何度か立ち止まりつつ展開して激しくなっていきます。コーダ前に第1楽章を思い出し、やがて明るく元気になり輝かしく終わります。
第2楽章の冒頭なんかクセになるし、第1楽章の第1主題とか良いところが結構ありました。なかなか良くできた面白い作品でした。

②クレメンス・ブレンターノ(1778-1842)というドイツのロマン主義の詩人による歌曲集だそうです。たまたまこの間聴いたライヒャルトに献呈された詩集「少年の魔法の角笛」はこのブレンターノとアルニムという人の共同編集だったそうです。
第1曲 「夜に」(3:34)
シュトラウスらしい、たゆたうようなしっとりとした美しい歌ですが結構盛り上がります。
第2曲 「花束を編みたかった」(3:05)
ちょっとテンポが上がりますが、こちらもたゆたうような歌です。ちょっと切ない。
第3曲 「ささやけ、愛らしいミルテよ」(4:33)
ちょっと不思議な感じ。でもやっぱり美しい。
第4曲 「あなたの歌が私の心に響くとき」(3:46)
ロマンティックでしみじみとしていて、やっぱり美しい。
第5曲 「アモール」(3:20)
ちょっとわくわくした感じ。トリルなのかヴィブラートなのか難しそうなところがあります。
第6曲 「女たちの歌」(6:38)
速いテンポで劇的です。オーケストレーションがいかにもシュトラウスらしい。
こちらの歌曲集は、さすがに円熟した素晴らしい出来栄えで、歌詞が分からなくても訴えかけてきます。

①★★★☆☆(悪くないけど…)
②★★★☆☆(作曲者円熟期の作品だけあって素晴らしい作品)

という訳で歌曲集のほうがグッとくる出来ばえの作品でした。

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4864965ショスタコーヴィチ:
交響曲第13番Op.113「バビ・ヤール」

アンドリス・ネルソンス(指揮)
ボストン交響楽団
マティアス・ゲルネ(バス=バリトン)
ニュー・イングランド音楽院交響合唱団
録音:2023年5月、ボストン・シンフォニー・ホール(ライヴ)
(DEUTSCHE GRAMMOPHON 486 4965の3枚目)
いよいよネルソンスのショスタコーヴィチ交響曲全集のラストです。
バビ・ヤールはウクライナのキーウにある峡谷で第2次大戦中にドイツ軍によりユダヤ人虐殺が行われた地です。そんな題材の作品をウクライナ戦争真っ只中の2023年に録音されたものです。
歌手はロシア語の作品を歌うイメージがない、またドイツ・リートが得意なイメージのマティアス・ゲルネ。状況的にロシア人の歌手は雇いにくかったのかな?

第1楽章 バビ・ヤール(16:28)
第1主題はゆったりしたテンポで丁寧に歌われます。第2主題はちょっと速めです。第2主題が終わると元に戻るところ、ちょっと高弦と低弦が別れそうになってコワい。ゲルネの歌唱はちょっと不安定です。合唱も時々上ずり気味なのが気になります。
第2楽章 ユーモア(8:48)
遅めのテンポですが、第2主題でさらに遅くなります。
第3楽章 商店で(14:02)
冒頭の低弦はコントラバスがソロみたいに聞こえます。ゆったりした楽章のせいかゲルネの歌唱はだいぶ安定しています。終盤のオケの盛り上がりは凄い。
第4楽章 恐怖(14:21)
冒頭の静かで恐ろしげな雰囲気は良い。金管楽器のソリスト達は流石にレベルが高い。フルオケでのフォルテも真に迫っています。この楽章でもゲルネは調子良さげ。また低い声のほうがよく響いて得意そう。
第5楽章 出世(14:08)
冒頭のフルートやオーボエは表情つけも大きくてキレイです。歌が出てきても強弱のメリハリか効いています。

全体的に悪くはないのですが、オケは明るめのサウンドが曲にマッチしていなくて微妙。もっと冷たいサウンドがほしいです。
ライヴのせいか特に第1、2楽章でのゲルネの歌唱は何だか不安定。高い音と速いパッセージが苦手?ロシア語もちょっと聞こえ方がおかしいような。でも3楽章以降はまずまず良かった気がします。

★★★☆☆

という訳でどうもスッキリしないネルソンスの全集最終回でした。

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chan9366スメタナ:交響詩「我が祖国」

ネーメ・ヤルヴィ(指揮)
デトロイト交響楽団
録音:1993年1月28、29日(高い城、モルダウ)、1994年3月26、27日(シャールカ、ボヘミアの森と草原から、ターボル)、1994年5月23日(ターボルの続き)
(CHANDOS CHAN9366)
「我が祖国」というと名曲ですが全曲となるとあまり馴染みもありません。「モルダウ」は良く知ってて、「高い城」はまあまあ、と後はやかましいくらいしか印象がありません。ということで3曲目以降は初めて聴くつもりで聴きました。
CDはドラティとコバケン持ってましたが、やっぱりモルダウが終わるとだんだん集中力が無くなってあまり覚えていません。このヤルヴィ盤も中古で入手してたけど、だいぶ寝かせてました。

1.高い城(14:17)
美しいハープから前半は速めのテンポだけど流石に落ち着いていて美しい。テンポが上がると前のめり感があって緊張感があります。行進の前あたりはもっとエグみがあっても良いかも。行進の場面はスイスイ行ってあっという間にブレイクになります。その後の侘しい感じから盛り上がってくると加速したりします。
2.モルダウ(11:26)
速めのテンポでちょっとせっかちですが、意外と細かく抑揚がつけられています。モルダウにしては流れが速くて独特で面白い。
3.シャールカ(9:30)
勇ましい女性シャールカがツティーラト軍に酒で酔わせ、女性軍で皆殺しにしちゃうという凄い話らしい。ということで音楽は劇的で激しいです。最後のラッシュも素晴らしい。
4.ボヘミアの森と草原から(12:22)
何だかタイトルの割に悲劇的に始まるんですね。続くメロディも詫びしげ。その後テンポが上がるけど密やかにごそごそしてます。そんな中から良い感じのメロディが湧き上がってきます。冒頭の音型が戻ってきて今度は賑やかなスラヴ舞曲みたいになります。最後は激しい。
5.ターボル(11:17)
ターボルとはフス教徒の拠点の町だそうで、この曲も戦いを讃えたものらしい。
暗い祈りにみちた雰囲気で始まります。盛り上がるとジャジャジャージャー!がしつこく繰り出されます。やがてせわしなくなります。最後はジャジャジャージャーで悲劇的に終わります。ひたすら暗い雰囲気です。
6.ブラニーク(13:05)
ターボルが再開したのか、と思わせるジャジャジャージャーのフォルテでスタートします。しかし、今度はちょっと落ち着きます。やがてテンポも遅くなり、落ち着いた美しい場面になります。その後は戦いやら華やかな雰囲気やら、前の曲と打って変わって色んな表情を見せます。その辺りはモルダウぽい感じもします。最後は高い城のモチーフも出てきて高らかに終わります。

★★★★☆(名曲のなかなかの好演だと思いました)

ということで、ヤルヴィの演奏も結構面白い気がしましたし、名曲だけあってちゃんと聴くと流石に聴き応えありますね。でも全部聴くのはやっぱり疲れますねえ…。

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troy942ロベルト・シエラ(1953‐):
①交響曲第3番「ラ・サルサ」(2005)
②交響曲第2番「グラン・パッサカリア」(2004‐05)
③交響曲第1番(2002)

トーマス・M.スリーパー(指揮)
フロスト交響楽団
録音:2006年①③11月、②4月、マイアミ大学ガスマン・ホール,フロリダ州
(ALBANY TROY942)
「サルサ交響曲」前から気になっていたのですが、ようやく聴きました。
ロベルト・シエラはプエルトリコ生まれの作曲家。ロンドンやハンブルク(リゲティに師事!)で学んだそうです。交響曲はだいぶキャリアを積んでから作り始めたそうです。

①このディスクでは第3番からさかのぼって収録されています。まずは第3番「ラ・サルサ」です。
第1楽章「トゥンバオ」(6:41)
トゥンバオとはサルサでよく使われるリズムだそうです。冒頭はちょっとバーンスタイン風にジャンジャンと短い序奏はありますが、第1主題は打楽器がチャカポコ聞こえるもろにラテンです。楽しい〜。一応第2主題もあって、こちらはちょっとコープランド風。ちょっとシンフォニックに展開してるし、再現部もあってちゃんとソナタ形式です。
第2楽章「ハバネラ」(6:14)
古代マヤ文明を思わせるようなエキゾチックで神秘的な楽章。悲劇的に盛り上がります。ホルンの連射が凄い。終盤のチェロの独奏は印象的。
第3楽章「踊り」(4:49)
あまり速くない踊り。再びラテン系に戻りますが、展開するとちょっとシリアスで、ちょっと怖ろしい雰囲気も。
第4楽章「ホルゴリオ」(7:50)
ホルゴリオとはどんちゃん騒ぎのような意味。小物打楽器でカチャカチャと始まって陽気な雰囲気ですが、そこは交響曲なので意外とシリアスな展開になっていきますが、再び陽気が戻り、今度は楽しく最後まで進みます。

②16分の単一楽章作品。
サルサ交響曲から一転、重く深刻な雰囲気でスタート。次にリズミカルに打楽器群がドカスカ鳴るけど深刻な雰囲気は変わらず。変奏していって派手になっても落ち着いてもひたすら暗くて深刻。だけど打楽器は不思議な軽さがあります。盛り上がっていきますが、最後はこれで終わり?という感じ。
(16:08)

③第1番は短い4つの楽章からできています。各楽章のスペイン語表記はGoogle翻訳で訳しました。
第1楽章 レント~リズミカルで正確に(4:35)
ちょっと現代的な不安なスタートで木管のソロがカデンツァ的に動きます。やがてリズムが出て来てテンポが上がるとバーンスタイン的な都会的な、何拍子か分からない音楽になります。金管が活躍して、ちょっとダークでカッコよく盛り上がります。
第2楽章 激しさと素晴らしい表現力で(3:42)
ヒンヤリとしたエキゾチックな雰囲気。だんだん不穏に盛り上がります。
第3楽章 遊び心とリズミカルさ(2:40)
5拍子でちょっとギクシャクしたスケルツォ楽章。ピアノとバス・ドラムがドカドカ鳴ってカッコいい。後半ちょっと明るいところがある。
第4楽章 あまり遅くなく~動いて(3:33)
恐ろしげに始まりますが、テンポが上がってリズミカルになりスピード感が出ます。トランペットやティンパニが大活躍。この楽章もギクシャクしていてカッコいい。

①★★★★☆(楽しいけどちゃんと交響曲)
②③★★★☆☆(なかなか聴かせます)

結構楽しかったです。シエラは交響曲をもう第6番まで書いているようで、第4、第6はCDも出ているようです。そのうち聴いてみようかと思います。

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4864965ショスタコーヴィチ:
①交響曲第2番Op.14「10月革命に捧ぐ」
②交響曲第3番Op.20「メーデー」
③交響曲第12番Op.112「1917年」

アンドリス・ネルソンス(指揮)
ボストン交響楽団
①②タングルウッド音楽祭合唱団
録音:①③2019年11月、②2022年10月、ボストン・シンフォニー・ホール(ライヴ)
(DEUTSCHE GRAMMOPHON 486 4965の1、2枚目)
ネルソンスのショスタコーヴィチ:交響曲全集もいよいよ完結編。ここのところ2枚組で発売されていましたが、最後は2、3、12、13という不人気作を3枚組にまとめるというなかなかの荒業です(笑)。ということで今回は3曲聴きました。

①まずは第2番。意外と好きな作品。単一楽章ですが、トラックは2つに分かれています。
1.ラルゴ~アレグロ・モデラート(12:06)
冒頭のモヤモヤしているところはゆったりしています。各楽器もハッキリと分離させずモヤモヤした雰囲気を重視しているようです。テンポが速くなると一転くっきりしておりサウンドが立派で高級な感じがします。ヴァイオリンのソロが活躍するところではヴァイオリンはメチャ上手いけど、木管とのアンサンブルがちょっと危ない。
2.合唱(7:17)
サイレンは船の汽笛みたいな低音で景気が悪い。合唱が出てくるとゆったりだけどキレイで立派。シュプレヒコールなんかも一生懸命やってます。最後も感動的。

②第3番も2番ほどではないけど好きです。
この作品も単一楽章ですが、このCDではトラックが4つに分かれています。
1.アレグレット〜ピウ・モッソ〜アレグロ(10:48)
冒頭のクラリネットは情感豊かです。テンポがあがるところは遅めにスタートしますが、アッチェレがかかると結構速くなります。
2.アンダンテ(6:06)
ヒンヤリと始まりますが、急なフォルテは凄い。後半はちょっと退屈かも。
3.アレグロ〜アンダンテ〜ラルゴ(12:23)
前半は活気があって素晴らしい。アンダンテになっての迫力も凄い。ラルゴのコントラバスのグリッサンドはゆっくりやっていて面白い。
4.モデラート(5:42)
合唱が出てくると感動的。重厚な感じで進みます。最後のトランペットはもうちょっと高らかにほしい。

③この作品はあんまり好きではありません。でも演奏によっては引き込まれてしまいます。
第1楽章(15:07)
序奏はちょっと速めですが、アレグロに入る前ちょっと遅くなります。アレグロはちょっと落ちついた感じです。盛り上がってくると鳴りっぷりは良いけど何となくロー・テンションでちょっと嘘くさい。
第2楽章(14:02)
とてもきれいです。
第3楽章(4:43)・第4楽章(11:08)
やはり鳴りっぷりは良くカッチリしています。
純音楽的に演奏しようとしているのでしょうけど、何と言うか面白くはないです。
実際この作品はあんまり好きではないのですが、それでもつい引き込まれたり、好感もてたりする演奏もある中、これはホントに何とも思わなかったです。

①②★★★☆☆(まあまあイケてるけどちょっと惜しい)
③★★☆☆☆(何もない)

次は「バビ・ヤール」で最終回です。

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