【IBR:20130918-20130922 0時の反逆者】

 発端は何だったのかはおぼろげにしか覚えていません。
 特殊PGタッグバトルでの決定的な敗北が今回のチームの結成に繋がったのだと思いますが、結局は何の脈略もない、ふとした弾みで決まったようなものでした。だいたいの物事において始点というものは大したものではないのでしょう。
 いったん始まってしまったものの中で何を為すべきなのか。人間には各々の嗜好や思想がありますから、所属を同じくするもの同士でも何を求めるかは異なります。
 例えば小倉さんは誰もが認める生粋の殺人鬼です。IBRでは極端な攻撃的姿勢でもってゲームに望んでいます。優勝を度外視したその行動指針は、最終的に自分と、自分と同道した人が生存しさえすればそれでいいという私のスタイルとは決定的な差があります。
 麻生さん、佐藤さん、福光さんのゲームスタイルにも同様のことが言えるでしょう。
 ただ今回に限って言えば、全員が「勝ちに対して真摯であった」ことが、チーム全員生存という特殊な結果に到達した要因だったのは、疑いようがない事実です。

 ではゲームの感想や流れを少し綴っていきましょう。 面白おかしい履歴は小倉さんが仕上げるのではないかと思いますので、私のほうでは私なりの簡素なものになります。
 まずは今回のチーム「カロリー25」の簡単な紹介を生徒登録順に。

i_m_02
 佐藤翔さん。高い生存能力に定評があるプレイヤー。
 最終戦における生存力は、“ 不沈艦 ”である黒羽さんに匹敵するものがあります。
 性格:谷沢はるか。部活:ラグビー部。

i_f_17
 小倉瑞希さん。妖怪首置いてけ。中の人の性格がIMPLUSE。
 殺人数が伸びないこともありますが、平均して高い成績数を誇っています。
 性格:志願者。部活:登山部。

i_f_01
 神足市子。このブログを書いている「私」。
 性格:テロリスト。部活:ラグビー部。

i_m_20
 麻生小太郎さん。このチームでの唯一の専用アイコン持ち。
 チームにおける裏方兼強襲型爆撃役。みんなの防具を維持してくれました。
 性格:旗上忠勝。部活:手芸部。

i_f_08
 福光利さん。清掃活動(おぶつしょうどく)をこよなく愛する綺麗好き。
 毎回のように資金繰りに走っているようで、今回もその手腕が如何なく発揮されました。
 性格:山本和彦。部活:護身術部。

 非常にバランスのいい初手となりました。各々のプレイスタイルに噛み合っているようにも見えます。
 この布陣で何よりも嬉しいのが麻生さんの手芸部。最初から「裁縫」が揃っている状況はチーム戦では非常に有難く感じます。 成長の過程で得られるスキルポイントを裁縫分消費しなくなりますから、足が遅くなってしまうことを避けられるわけですね。 また序盤で激戦区近辺に配置していても防具の消耗で苦しむことがなく、最初から質のいい防具を装備していられます。攻撃され難い旗上というのも、裁縫要員の生存に直結しやすくなる良性格です。
 登録が済んだ直後、小倉さんが「志願者がきた!」と喜んでいました。 ずっと引きたがっていた性格だったようなので私も内心喜んでいたのですが、他のチームの方々がこの世の地獄を見ることになることが確定した瞬間でしたので、素直に祝福すべきなのか迷ってしまいました。そしてこのときの私の想像は、今回のPGで現実となって表面化されることになります。
 四日目の深夜に地獄の獄卒と化した小倉さんの洗礼をその身で受けた坂本さんは、ただ気の毒という他ありませんでした。できれば一緒に脱出したかったのですが、小倉さんの殺意を抑えることはとても難しいのです。すいません、坂本さん。 
 福光さんはとてもお疲れだったようで、出発するのが若干遅れてしまいましたが、無事に参加することができてよかったです。性格の山本には「お金を集めるのにも微妙な性格だなぁ」としょんぼりしていらっしゃいましたが、山本の「回復」「瞑想」が要所要所で素晴らしい働きをしていました。何がどう転ぶかはわからないという好例ですね。

 分校出発直後に佐藤さんが漏らした一言、「テロリストのあれ目指したいね」が、カロリー25の方向性を定めました。
 あれ、とは少し前のアップデートで追加された「0時の反逆者」。テロリストのスキル欄に最初から表示させているものなのですが、開示された秘密情報によると、実際に効果を発揮させるためにはチーム五人全員での生存が求められる過酷なものです。
 仮に発動できたところで何が起きるかわかりません。おそらく最終日を迎えた際にハッキングを無条件で行えるのではないかというのが佐藤さんの持論でした。

「折角だから試したいよね」
「何が起きるんでしょうね」

 チーム五人の状況でテロリストがいる。なかなかありえる話ではありません。各々が最終日まで生存する決意を固めて、いつものゲームが静かに始まりました。
 しかしながら周囲のチームが脱落・壊滅していく一方、誰ひとり欠けることなく生存し続けた私たちは、だんだんと目の色が変わってきました。
 周囲から向けられる遺恨の圧力が物凄い。おまえらを生かしてなるものかとばかりに、山のようにジャッジや遺恨が向けられるわけです。佐藤さんや小倉さんは幾度も危険に晒されては瀕死の状態へ追い込まれていました。それでも回復剤が尽きることなく立ち続けられたのは、佐藤さんの安全地帯に関する嗅覚が優れていたためでしょう。

 最終日を迎える直前、少しでも多くの人と脱出したいのと、生存の確率を高めたかった私たちは、他のチームのプレイヤーに声をかけ始めました。
 「0時の反逆者が発動しそうです。ひょっとしたらハッキングができるかもしれません。私たちはハッキングを起こすことができたら即座に特務に転向します。よければ特務に転向して、一緒に脱出しませんか」
 正直なところ、この勧誘は退けられるものだと思っていました。一緒に生きて帰ろうなどと言うには、如何せん私たちは他のチームのメンバーを相手に暴れ過ぎました。

 普通に考えてありえないとは思いませんか。自分の仲間を殺した相手の意見を飲み込むだなんて。

 ところが意外なことに、特務入りを考えてくださる方は多かったのです。最初から特務に行くことを決めていた星野さんのような方もいましたし、自分から「もし0時の反逆者でハッキングが起きたら、神足さんらのほうにつきます」と言ってくださった白羅さんのような方もいました。
 中には「ハッキングが起きるまでは全力で戦う。おまえらを殺す」「ごめん、間違えて攻撃した」といって小倉さんに殴りかかってきた御影石さんのような方もおり、自分に殺意を向けられた小倉さんが「そうか、間違えたならしょうがないね。一発なら誤射かもしれない。だから僕も誤射させてくる」「やつをぶっ殺す。まだ僕たちは敵同士だからね。どこにいるんだ。殺してやる」と額に青筋を立てながら島内を徘徊するハプニングも起きましたが、無事に刻限を迎えることができました
 0時になった瞬間、私は願うような気持ちでコマンドの特殊欄を漁りました。折角みんなに声までかけたんです。お願いだからあってほしい。
 だから特殊欄に「0時の反逆者」の表示を見つけたとき、気分が高揚するのと同時に、安堵の吐息が零れました。

「よかった、これでみんなとの約束を果たせる。そして私が、記念すべき最初の反逆者なのだ」

 勧誘の成果もあったためか、生存者十八人中、転向したのが十六名。十六対二という、未曾有の殲滅戦がスタートしました。
 私たちはスカイプで音声会話をしながら、転向しなかった秋吉さんと木保さんを狩り立てました。島内に銃声や爆音が響き渡った瞬間、全員で強襲するのは申し訳ないなと思いながらも少しばかり楽しかったです。
 正直な話をすると、相島さんが特務に転向したのが一番の驚きでした。以前、私と同じチームになるのを嫌がられてしまったことがあったので、最後までこちらを襲ってくるものだと思っていたんですよね。 何か思惑があったか、単に気が向いたのかなと思いますが、一人でも多くの方と脱出できてよかったなと思います。

 しかしながら今回は特務としてのゲーム終了です。生存した人数からして解放エンドといっても差支えはないでしょうけれど、本来のハッキングとは方向性が正反対のものです。私たちは最後まで政府から脱することはできなかったのですから。
 今回で改めて実感しました。ハッキングの壁は高いと言わざるを得ないでしょう。適正な性格の生徒が生存している必要があり、しかも人数が揃っていなければならない。更に言えば青山さんにハッキングアイテムを埋葬されてしまえば、その時点で勝つのが不可能になるわけです。
 そもそも私には他の参加者をひきつける人望はありませんから、 「自分たちのチームに入ってくれ」「一緒に政府を打倒しよう」と頼んだとして、頷いて下さる方がいるとは思えません。何かの間違いでもう一度ハッキングをする機会が手元に転がり込んできたとしても、そのときも特務として脱出するためにやることになるでしょう。自分に勝ち目のない勝負をするのは嫌ですから。

 カロリー25の皆さん、お疲れ様でした。皆さんとの五日間、本当に楽しかったです。

【特殊PG:20130828-20130830】

 暑い日がまだ続く八月下旬のことです。私が日誌を認めていると、方丈に来客がありました。
 舞良戸が横滑りする音とともに、誰かがずかずかと入り込んできます。筆を置いて背後を確かめてみれば、上がり込んできた小倉さんが来客用の座布団を引っ張り出して、その上に腰を下ろすところでした。いつものことながら呆れて溜息が出ます。
 どうして私の住居を訪れる方は、皆、こういう自分勝手な振る舞いが目立つのでしょうか。
「神足」
「はい、何でしょうか」
 小倉さんに向かい直り、居住まいを正します。
「次の特殊PGだが、おまえ、いったいどうするんだ」
「特に何も決めていません」
「そうか」
 小倉さんは我が意を得たりと言わんばかりに、にたりと頬を緩めました。なんですか、その腹が立つ笑い方。
「おまえはぼっちだからな、誰も誘いに来なかったか」
「御帰りはあちらですよ、小倉さん」
「まぁまぁ。そう邪険にするなよ。おまえがまだというなら話がある」
 胡坐を組んだ足に頬杖をついて、背中を丸めた姿勢になりました。
「IMPULSEに行って、連中を皆殺しにしてやらないか」 
 暇だから近くの居酒屋までちょっと飲みに行かないか、という調子で彼女は言います。自分がどれほど無謀なことを言っているのか気づいていないのでしょうか。いや、或いはそれすら自覚したうえで言っているのか。
 普段なら断るところですが、自分自身の実力や行動指針に疑問を持ち始めていた矢先のことでしたので、私はこれに応えることにしました。
「わかりました。私でよければお応えしましょう」
「うん。殺そう」
「殺しましょう」
 そういうことになりました。

 そんな出来事が本当にあったかはさておき、始まった今回の特殊PG。
 肝心の結果ですが、小倉さんは無事に皆殺し宣言を発動。然る後に乾坤一擲・正義感によって死亡。
 私はと言えば、度重なるSP減少砲による砲撃ならびにSP減少スキルの効果でSPをみるみる減らされていき、IMPULSEの特権であるSP的優位を壊されるゲーム展開となりました。小倉さんとは違って思うように人を殺害できませんでしたし、再登録っぽい方の【断末魔】を踏んで完全に心が折れました。
 普段ならば誰かに殺されるまで頑張るのですけれど、色々な出来事や不満が重なって、懸賞金を献上することに抵抗を覚えました。水の残量や一部の生徒が与えてくるダメージを考えると、生きていても何かを残せるものがあるとは到底思えず、服毒自殺を決行。それほどゲームを動かすこともなく、南無三となりました。
 強打は兎も角、砲撃に関しては私を狙ってきた意思を明確に感じ取れました。これも「神足」という名前が知れ渡り過ぎた弊害なのかもしれません。 

 斎藤さんが暴力の限りを尽くしていた同時期に同じだけの火力を有していたので、 やり方次第では私も皆殺し宣言を発動させることができたはずです。 皆殺し宣言に届かなかったのは偏に私の力が及ばなかったと考えるべきなのでしょう。
 元々IBRでの殺人はそれほど巧くなかったのですが、今回の特殊PGではっきりしました。
 私は戦闘行動で何かを間違えている
 ただその間違いが何なのかわかりません。この間違いの答えを見つけられなければ、きっといつまでも強くなることができないままなのでしょう。

【IGR:20130724-20130728】

 下記のステータスは最終決戦直前のものとなります。
 大量に抱えた水、総計五十四個は、私が島内を駆けずり回ってようやく貯め込んだ財産です。ここまで積み重ねるのに、どれほどの労力をかけたかは語るまでもありません。 

IGR:20130724-20130728


 初手は琴弾/新体操部。IGRではIBR以上に荷物の枠が厳しくなりますから、通常の生徒の二倍のアイテムを所持できる琴弾は非常に強力な性格であると言えるでしょう。
 加えて銃属性の通常ダメージを二分の一に抑え込める新体操部。かなりいい引きです。それだけに優勝できなかったことが悔しくて仕方がありません。  
 今回は武器がまったく入手できないゲーム状況が長時間に渡って続きました。
 初日は辛うじて武器を確保できていました。問題が起きたのは初期配布の武器を使いきり、そろそろ波に乗り始めなければならないときでした。次のメダル武器を使用していたところを水無月さんによって【奪取】されてしまい、そこから歯車が大きく狂い始めました。
 探索に探索を重ねて経験値稼ぎ用の爆武器や根武器を発見。しかしながら既に【突撃】を習得していたため今さら戦闘方式を切り替えることはできませんでした。以降、四日目まで武器がない状況で何とか命を繋いでいました。
 途中から完全に攻撃は諦め、早々と【調味料】を習得したのは正解だったと思います。でなければ水は枯渇し、三日目の朝にでも退場していたかもしれません。細々と手持ちの水をやりくりし、誰かが拾わなかった水や薬草を死体から回収しつつ、度重なるSPダウンにもがき苦しみました。
 そうして迎えた最終日。健闘も空しく結果は途中敗退。水はまだ四十個以上残っていたので、もう少し長生きできたはずです。うっかり悠長に構え過ぎましたね。あの場はさっさと逃げるべきでした。
 躊躇いなく高速で連続攻撃を仕掛けてきた小鳥遊さん、お見事です。
カテゴリー
  • ライブドアブログ