ドイツ関連映画

映画《ナチス第三の男》について思う

 ラインハルト・ハイドリヒ(1904~1942)

 ヒムラーの部下であり、アイヒマンの上司という方がわかりやすいか?
ナチス・ドイツ時代を知る人にとっては極めて「悪名」高き人物。まさか映画になるとは!!!!
この人間、クラシック・ファンには無縁に思われるかもしれませんが・・そうではない。

 保護領副総督の地位にありながら連合国軍パルチザンに命を狙われ、襲撃の怪我が原因で1週間後に死亡。ナチスはハイドリヒ暗殺犯人たちをチェコのリディツェ村でかくまっているとして、確証もなしに500人前後の村人を虐殺。これが有名な「リディツェ村の虐殺」(1942年6月)。このニュースをアメリカに亡命していたマルティヌーが知り、作曲したのが「リディツェへの追悼」で日本でも時折演奏される。

 今日は1月25日。
 1902年1月25日は、旭川で最低気温を記録した日。この記録は破られていない。さらに、日露戦争に備えて八甲田山で雪中行軍訓練をしていた部隊の多くの人が遭難した日でもあり、これまた映画にもなっている(無名時代の大竹まことや押尾正明が出演している)。100年に一度以上の極めて強力な寒気団が襲来したのでしょう。

 やはり寒い1月25日にラジオを聞いていると、映画《ナチス第三の男》についての紹介兼解説があり、「おや?」
ハイドリヒも映画になったか、と感じ、ある意味感心もした。
夕方図書館で朝日新聞夕刊をみると、映画宣伝も大々的!!!!!
  
 ハイドリヒはマルティヌーに作品を書かせるきっかけを作っただけではない。ご存知の方も多いはずですが、ハイドリヒの父リヒャルト・ブルーノ・ハイドリヒは当時のドイツでは有名なテノール歌手でもあり、オペラも書いた作曲家、かつハレ音楽院を創設した教育家。ドイツでは名の知れた人物。当然、息子ラインハルトもヴァイオリンがうまかった。ナチス高官時代冷酷非情で有名なラインハルトもヴァイオリンを弾く時だけは楽しそうな「笑顔」だったらしい。現代風に、あるいは中野信子風に言えば、「サイコパス」か?????

  若い頃ナチス・ドイツ時代に関心のあった小生は、ハイドリヒがパルチザンに襲われる「映像」を何度も妄想した経験がある。(ナチス関連映画の見過ぎか?)さすがにいくらナチス高官でもドイツでは制作は無理だろうなと思っていたら、やはりフランス、イギリス、ベルギー合作映画だった。
 「シンドラーのリスト」、「白ばら、ゾフィー・ショル」や「ブリキの太鼓」などの明らかにナチスを糾弾する映画は作りやすいが、地元ドイツ人たちはこの映画にどのような反応をするのだろうか?
  
  《海と毒薬》や《私は貝になりたい》に対する日本人と同じだろうな????


  小生の祖父は1908年生まれで、カラヤンやカイルベルト、メシアン、朝比奈隆、レヴィ=ストロース、メルロ=ポンティらと同じ。ハイドリヒは、祖父の兄とも言えそうな年齢。

 それにしても「アインザッツグルッペン」とは、想像を絶する行為ではあるが、実行部隊は、極々「普通の人びと」で摩訶不思議。我々もその時代に生まれ、育ち、生きていればどうなっていたかはわからない。現代に生まれて本当に幸せである。
アインザッツグルッペン」に関しては下の本に詳しい。
衝撃的である。
普通の人びと―ホロコーストと第101警察予備大隊


増補 普通の人びと: ホロコーストと第101警察予備大隊 (ちくま学芸文庫 (フ-42-1))





左がヒムラー


Bundesarchiv Bild 146-1969-054-16, Reinhard Heydrich.jpg


映画のHPは、
http://hhhh-movie.asmik-ace.co.jp/about.php

映画宣伝動画は、
https://youtu.be/4moyVkUHXpc




ヒトラーの絞首人ハイドリヒ



HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)



ヒトラ-とユダヤ人 (講談社現代新書)



髑髏の結社・SSの歴史〈上〉 (講談社学術文庫)


髑髏の結社・SSの歴史〈下〉 (講談社学術文庫)



ナチス親衛隊(SS)


武装SS―ナチスもう一つの暴力装置 (講談社選書メチエ)









エルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告【新版】



新版 ナチズムとユダヤ人 アイヒマンの人間像 (角川新書)



アイヒマン調書――ホロコーストを可能にした男 (岩波現代文庫)



アイヒマン論争―― ユダヤ論集2 (ユダヤ論集 2)



服従の心理 (河出文庫)



われらはみな、アイヒマンの息子



言葉―アイヒマンを捕らえた男



ナチ犯罪人を追う―S・ヴィーゼンタール回顧録



沈黙の子どもたち──軍はなぜ市民を大量殺害したか




ナチスの楽園: アメリカではなぜ元SS将校が大手を振って歩いているのか










サイコパス (文春新書)



マルティヌー:ピアノ三重奏と弦楽オーケストラのためのコンチェルティーノ/ラプソディ協奏曲/リディッツェ追悼



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6月に読んだ本、観た映画


★「上」を読んだのが2015年11月なので、ずいぶんと間が空きました。長いですが、かなり面白い。

天正少年使節をめぐる数々の西欧側の記録を、イエズス会の歴史図書館や古文書保管所、ヴァティカンのアポストリカ図書館、ウルバヌス8世布教図書館などで読んでいると、この4人の少年の使節を通して日本の歴史が今までとはちがったふうに見えてきた。(447ページ)


との通り。第6章、105ページから、第7章318ページまでは、少年たちが渡欧している間の日本の政治情勢。キリシタン側から見た戦国時代~秀吉の統一まで。この視点が新鮮で非常に面白い。
信長が暗殺されたのは、やはり既得権益(皇室、公家、仏教関係者)に明智光秀がそそのかされた印象が強い。
高山右近に関心がいっそうわいてきました。


小生が言うのも気が引けますが、この本は「天正少年使節とその時代」とわかりやすく、説明的にすれば(副題はそのようになっていますが)ベストセラーになっていたでしょう。少なくとも渡辺京二著の『逝きし世の面影』並には・・・・・・・・・・・・・・・・・・・








★この本も題名だけではよくわからない本。「中国化」とは、1000年前の宋時代に確立された制度のことで、現代用語では「グローバル化」「新自由主義」的、「小さな政府」的制度のこと。
その1000年前の制度をキーワードに日本史の新たな読み替えを迫る。平易で読みやすく面白い。
小泉政権で「中国化」が推進されましたが、第2次安倍政権で、「中国化」が後退したと著者は言いますが、短期的なものではないでしょうか???????????
本文中に引用される映画も多く、とりわけ『郡上一揆』は、半年ほど前見たばかりでしたので印象深い。

 





★相変わらず、花粉症対策の一つとして。とりわけ新しいこともなく、復習にはなりました。












★ディケンズの原作を読むのも時間がかかるので、とりあえず、映画で。
時代背景を現代に移してあるので、賛否両論あるかと思いますが、現代のほうがわかりやすいのでは。
ずいぶん昔、同時代の映画化も観たような気もしますが、詳細は忘れました。









 ★実在の「殺人鬼」を主人公にしているため、映画とわかっていても、あまり気持ちの良い映画ではありませんが、最後の別バージョンが収録されている。









 ★4か5度めかと思いますが、久しぶりなので、印象も異なったものになりました。
最後の12日間のうちにも側近のゲーリング、ヒムラーさえ(多少シュペーアも)忠誠心を翻しますが、それでもなお、「必勝」を叫ぶのは、ドイツも日本もたいして変わらないのでは。ドイツの降伏直後に 武士風にピストル自殺するナチス党員も中にはいますが、生き残りを主張する党員のほうがはるかに多い。もっと早く降伏していれば、市民への影響もはるかに軽微で済んだと思うのはドイツも日本も同じ。むしろ、日本はもっと早く降伏していれば原子爆弾を投下されることもなかったのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
実在の人物(ヒトラーの秘書)が映画の最初は「声」のみで、最後は本人が映画に登場して自分の無知蒙昧を語っているのが、せめてもの救い?ではある?????。









★この映画もかなり久しぶり。以前見た、映画『インドへの道』同様に、イギリスの植民地主義を知るには有益。
それにしてもやはりガンジーは、いろいろな意味で「偉大」である。
 

映画:『パルジファル』(ハンス・ユルゲン・ジーバーベルク監督)

(『パルジファル』の台本を)読むだけならさして邪魔にならなくても、実際に上演された場合、耐え難くなりそうな箇所がたくさんあります。
               (1878年1月4日、フリードリッヒ・ニーチェの手紙より)


10月の新国立劇場での『パルジファル』にむけて、のんびりと予習中。

ご存知の方も多いかと思われますが、ハンス・ユルゲン・ジーバーベルク監督
の映画『パルジファル』(1982)をさいたま芸術劇場の資料室で、LDで鑑賞して来ました。曲はワーグナーの作品をそのまま使用していますが、最初と終わりに多少プラスアルファが付きますので、255分ほどの長さ。
2人の歌手以外は、全員俳優を使用し、クチパクで合わせます。

この映画は、ワグネリアンでもない私にとっては、映像が相当に手が込んでいますので、長くても興味深く、飽きることもない。正直なところ、わからない点のほうが多く、解説書を読みながら、いろいろと納得しましたが。(古代ギリシャからの西洋の歴史、伝統が様々に暗示または顕示されているらしく、解説書を読みながら、何度も観ないとわからないタイプの映画)とりわけ、日本人にとってはハードルが高い????少なくとも私には!!!!!!

印象に残った点を幾つか述べてみます。
●大小のワーグナーのデスマスクが、何度も登場する
●アイスキュロス?ルートヴィヒ2世、カール・マルクス、ワーグナー、ニーチェ等の人形や頭だけの模型が登場
●ナチスのハーケンクロイツも登場(かと言ってナチス色があるわけでもありません)
●指揮者のアルミン・ジョルダンがアンフォルタスの役を演じている。ほんの一部ですが、ぼやけたジョルダンが指揮している映像もある。
●第2幕の「クンドリの誘惑」の頃に、「誘惑」の効き目がなさそうな場面でパルジファル役の男性が、別人の女性役者に変更になる点は青天の霹靂。(DVDの表紙に小さく2人が写っているのはそのため)
解説書にはそれらしきことが言及されていましたが、????????
歌はそのまま男性の声!!!!!!!!!!「同性愛」風の概念を表現したかったのだろうか???????

多くの『パルジファル』は、歌劇場での、どちらかと言えば、「薄暗い」演出で、通常のDVDなどは、あまり見やすくありませんが、この映画は、比較的映像が明るめで見やすくもあり、一見の価値あり。


アンフォルタスを演じる指揮者ジョルダン
Les leçons de maître Jordan - ResMusicaResMusica





ワーグナー パルジファル (オペラ対訳ライブラリー)




ワーグナー (文藝別冊/KAWADE夢ムック)



ワーグナー (作曲家・人と作品シリーズ)



ワーグナー―バイロイトの魔術師



図説 ワーグナーの生涯[大型本]



ワーグナー



ワーグナー (作曲家別名曲解説ライブラリー)


ワーグナーとニーチェ (ちくま学芸文庫)



ニーチェを知る事典 (ちくま学芸文庫)




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「ヒトラー ~最期の12日間~」(映画)



 某銀行のリスク管理部門勤務の知人から、抱腹絶倒のYouTube動画を教えてもらいました。

映画「ヒトラー ~最期の12日間~」で、ヒトラーが激怒している場面に、サブプライムローンによる金融危機の内容字幕をかぶせてパロディ化した動画、「総統は金融恐慌に大変お怒りのようです」。

 
ソ連軍が目の前に迫ったベルリンの地下壕で、ヒトラーが罵倒するのは、スターリンではなく、現FRB議長バーナンキや前FRB議長グリーンスパン、政治家では、ドット、ヒラリー、オバマ。ちなみにファニーメイとフレディマックとは住宅ローン専門の金融機関。


もとの映画を2,3年前、3度以上見ていましたのでとりわけ面白かったです。約4分50秒。「クリスマス」と「自民党」等多数の別ヴァージョンや松岡修造吹き替え版もあり笑えます。
YouTube動画では、原映画の日本語吹き替え版もみられます。



爆笑動画の場面は、原映画の中では、1945年4月20日にヒトラーが56歳の誕生日を迎えたあとなので、歴史的には、4月22日の出来事と思われます。「ヒトラー全記録 20645日の軌跡」(阿部良男著、柏書房)によると、「4月22日、ヒトラー、ベルリン市内残留を決定(戦況会議の席上で、ヒトラーは激怒し、陸軍を罵倒し、誰も彼も裏切り者と叫び、自分の使命に絶望と第三帝国の失敗について言及する)」とあります。



動画では、ヒトラーは、パーキンソン病で震える左手で眼鏡をはずすと、「4名だけ残れ」といい、ドイツ語音声では、「カイテル、ヨードル、クレープス、ブルクドルフ」の名前が聞き取れるかと思います。

カイテル:国防軍最高司令長官、陸軍元帥 
ヨードル:国防軍最高司令部作戦部長、陸軍上級大将
クレープス:参謀総長代理、陸軍中将
ブルグドルフ:陸軍省人事局長、陸軍大将
4人だけ残れと言われながら、ヒトラーの後ろに2人がいます。
2人は職業軍人ではなく、ラクダ色の上着を着ているのが、宣伝相として有名なゲッペルス。その隣、丸顔でSSの制服を着ているのが、党官房長兼ヒトラー個人秘書ボルマン


爆笑動画を教えてもらった2、3日後に、ケーブルテレビで視聴可能な映画専門チャンネル「ムービープラス」で「ヒトラー ~最期の12日間」を放送していたので録画して久しぶりに見てみました。ナチス関連映画は10本以上、その他、ドキュメタリー、ドキュメンタリードラマ等、いろいろ見ていますので、記憶がめちゃくちゃになっていることを改めて認識しました。

登場人物では、「ヒトラーの建築家」と言われたシュペーアは、役者が一番本物に似ていたのが印象的でした。その他は、もう少し似た人物がいてもよいだろうと思うくらい似ていませんでした。とりわけ、ゲーリングとゲッペルス。
この映画を見て、やはり戦争は嫌だというのが一番の印象でした。

ヒトラーの女性秘書だった本物のユンゲが映画では最初は声だけで登場し、最後には映像つきで懺悔していました。(彼女も2002年に死去したらしいです。)映画の最後で本物のユンゲ女史から、ゾフィー・ショルという同年生まれの人物について語られています。(そういえば、2人ともミュンヘン出身)
「ドイツの良心」とも言える実在のショル兄と妹のナチス抵抗運動を描いた映画が「白バラの祈り」。こちらは戦闘シーンもなく、反ナチスのビラを大学構内で播いただけで、長い陰湿な取り調べと、一方的な裁判。そして死刑。

現代の日本がいかに平和で幸せなことか・・・・・・・。





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第三帝国の神殿にて〈下〉―ナチス軍需相の証言 (中公文庫BIBLIO20世紀)


第三帝国の神殿にて〈上〉ナチス軍需相の証言 (中公文庫―BIBLIO20世紀)


ヒトラーの建築家


ヒトラー全記録―20645日の軌跡



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