「食欲がなく吐いています。」
「食欲がなく、吐いています。」
と来院された3歳のニャンさん(♂)
前日の朝は少量食べたが、
昨夜は、ほぼ何も食べず
寝ていることが多かったとのこと。
嘔吐回数は3回(昨夕1回、夜間2回)
飼い主様に、誤食の可能性を聞いてみたが
はっきりとしたものはなさそうとのこと。
以前誤食傾向があったため、
食べそうなものは棚などにしまって、
きっちり管理しているとのこと。
体温は平熱だったが、腸蠕動が聴取されず。
レントゲン、血液検査を実施。
レントゲンでは、はっきりとした異物等の
異常所見は確認できなかった。
(レントゲンでは布やゴム、ビニールなどは
透過してしまい、写る可能性は低い。)
血液検査では中等度の脱水所見と
SAA(炎症があると高値を示す)が
やや高値を示していた。
はっきりとした診断を下すまでには
至らなかったので、輸液や制吐薬、
栄養補助剤などの対症療法実施した。
翌々日、吐くことはなくなり、
もう1匹のニャンと遊んでいたが
昨夜より元気消失、食欲低下が認められた。
腹部エコーも実施したが、決定的な所見は
認められなかった。
一時的に元気や食欲は改善しても、
半日から一晩でまた調子が悪くなる。
嘔吐症状も消失したり、1~2回吐いたりと
不安定な状態であった。
検査等ではっきりとした所見が得られず、
症状にも波がある状態であるため
飼い主様に試験開腹をお勧めした。
飼い主様も同意され、試験開腹を
行うこととなった。
全身麻酔をかけ、開腹を始めた。
胃から大腸に至るまで、広域を診るために
大きめに開けた。
胃から色の変化をみながら、硬いもの等が
ないかを確認しながら、丁寧に触知していく。
十二指腸の後方あたりに、何か角張っていて、
硬いものに触れた。
漿膜の色もやや充血し、腸間膜リンパ節も
腫大していた。


「かなり気のなる状態である。」
その硬いものを、指で腸管内を上下にゆっくり
移動させてみたが、全く動かない。
全体像を把握するために、その部分は
一旦スルーして、そこからさらに腸を
直腸方向へ、丁寧に触知しながら
すすめていった。
結腸に3個ほど便と思われるものが
あった。
動かしてみると、直腸方向へ移動する
ことができた。
再度気になる部位に戻り、硬い部分を
触知した腸にメスを入れた。
すると黒くなった異物が顔を出した。
腸にはまり込んでいる。
粘膜を傷つけないよう、少しずつ上方に
引き上げた。
「とれた!」
何らかの異物である。


この異物によりリンパ節の腫大も説明がつく。

切開部位を縫合し、再度胃から腸まで確認して
閉腹し、オペを終了した。
今回摘出した異物を飼い主様にお渡し、
ご自宅で確認していただいたところ
半年前まで使っていたピンク色のサンダルの
一部であることが判りました。
半年前に処分されていたので、半年間
この仔の胃にあったと思われます。
その間、胃酸等により異物は硬化し色も
黒っぽくなっていました。
(元はピンク色だったそうで、今回摘出した異物も
切ってみると、ピンクだったそうです)
それが何かのタイミングで、胃から十二指腸へ
ひっかかりながら動き、この部位で完全に
とどまってしまい、今回のような状態を引き起こしたと
思われます。


術後、嘔吐症状は1度もなく、食欲も旺盛で
回復傾向を示しております。
【顔つきも良くなりました。】

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と来院された3歳のニャンさん(♂)
前日の朝は少量食べたが、
昨夜は、ほぼ何も食べず
寝ていることが多かったとのこと。
嘔吐回数は3回(昨夕1回、夜間2回)
飼い主様に、誤食の可能性を聞いてみたが
はっきりとしたものはなさそうとのこと。
以前誤食傾向があったため、
食べそうなものは棚などにしまって、
きっちり管理しているとのこと。
体温は平熱だったが、腸蠕動が聴取されず。
レントゲン、血液検査を実施。
レントゲンでは、はっきりとした異物等の
異常所見は確認できなかった。
(レントゲンでは布やゴム、ビニールなどは
透過してしまい、写る可能性は低い。)
血液検査では中等度の脱水所見と
SAA(炎症があると高値を示す)が
やや高値を示していた。
はっきりとした診断を下すまでには
至らなかったので、輸液や制吐薬、
栄養補助剤などの対症療法実施した。
翌々日、吐くことはなくなり、
もう1匹のニャンと遊んでいたが
昨夜より元気消失、食欲低下が認められた。
腹部エコーも実施したが、決定的な所見は
認められなかった。
一時的に元気や食欲は改善しても、
半日から一晩でまた調子が悪くなる。
嘔吐症状も消失したり、1~2回吐いたりと
不安定な状態であった。
検査等ではっきりとした所見が得られず、
症状にも波がある状態であるため
飼い主様に試験開腹をお勧めした。
飼い主様も同意され、試験開腹を
行うこととなった。
全身麻酔をかけ、開腹を始めた。
胃から大腸に至るまで、広域を診るために
大きめに開けた。
胃から色の変化をみながら、硬いもの等が
ないかを確認しながら、丁寧に触知していく。
十二指腸の後方あたりに、何か角張っていて、
硬いものに触れた。
漿膜の色もやや充血し、腸間膜リンパ節も
腫大していた。


「かなり気のなる状態である。」
その硬いものを、指で腸管内を上下にゆっくり
移動させてみたが、全く動かない。
全体像を把握するために、その部分は
一旦スルーして、そこからさらに腸を
直腸方向へ、丁寧に触知しながら
すすめていった。
結腸に3個ほど便と思われるものが
あった。
動かしてみると、直腸方向へ移動する
ことができた。
再度気になる部位に戻り、硬い部分を
触知した腸にメスを入れた。
すると黒くなった異物が顔を出した。
腸にはまり込んでいる。
粘膜を傷つけないよう、少しずつ上方に
引き上げた。
「とれた!」
何らかの異物である。


この異物によりリンパ節の腫大も説明がつく。

切開部位を縫合し、再度胃から腸まで確認して
閉腹し、オペを終了した。
今回摘出した異物を飼い主様にお渡し、
ご自宅で確認していただいたところ
半年前まで使っていたピンク色のサンダルの
一部であることが判りました。
半年前に処分されていたので、半年間
この仔の胃にあったと思われます。
その間、胃酸等により異物は硬化し色も
黒っぽくなっていました。
(元はピンク色だったそうで、今回摘出した異物も
切ってみると、ピンクだったそうです)
それが何かのタイミングで、胃から十二指腸へ
ひっかかりながら動き、この部位で完全に
とどまってしまい、今回のような状態を引き起こしたと
思われます。


術後、嘔吐症状は1度もなく、食欲も旺盛で
回復傾向を示しております。
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「くちゃくちゃしていました」(その2)
常法とおり全身麻酔を施し、開腹を始めた。
腹膜をあけ、下部に位置する胃を
優しく上方に持ち上げ、胃の外から
異物の有無を慎重に触診していく。
注意深くすすめると、何やら硬いものに触れた。
再度触ってみたが、やはり硬いものがある。
その部位の漿膜面に、うっすらと黒っぽい
ものが透けて見える。
大きさといい、硬さといい異物と思われた。
その部位をメスで切開する。
血管の少ない部分を選び、慎重に切開を加えた。
黒っぽい異物が顔を出した。
クリップと共に、この仔の黒い被毛
も絡まっているようにみえた。
器具を用い、その異物を引き上げようとしたが
食い込んでいるのか簡単には取り出せない。
前後左右に少し動かしながら、ようやく摘出した。


変形し変色したクリップには被毛が絡んでいた。

胃の粘膜も確認したが、異物による影響は
そこまで重度には至っていないようであった。
切開した胃を縫合し、胃の内容物の漏れがない
ことを確認後、閉腹しオペを終了した。
よく頑張ってくれました。
これでスッキリしたでしょう。


結果的に、嘔吐や食欲低下などの症状が
出ないうちに摘出できてよかったと思います。
何か異物を口にしてしまった際は、症状が出なくても
早めに受診することをお勧めします。
よろしければポチしてください。

腹膜をあけ、下部に位置する胃を
優しく上方に持ち上げ、胃の外から
異物の有無を慎重に触診していく。
注意深くすすめると、何やら硬いものに触れた。
再度触ってみたが、やはり硬いものがある。
その部位の漿膜面に、うっすらと黒っぽい
ものが透けて見える。
大きさといい、硬さといい異物と思われた。
その部位をメスで切開する。
血管の少ない部分を選び、慎重に切開を加えた。
黒っぽい異物が顔を出した。
クリップと共に、この仔の黒い被毛
も絡まっているようにみえた。
器具を用い、その異物を引き上げようとしたが
食い込んでいるのか簡単には取り出せない。
前後左右に少し動かしながら、ようやく摘出した。


変形し変色したクリップには被毛が絡んでいた。

胃の粘膜も確認したが、異物による影響は
そこまで重度には至っていないようであった。
切開した胃を縫合し、胃の内容物の漏れがない
ことを確認後、閉腹しオペを終了した。
よく頑張ってくれました。
これでスッキリしたでしょう。


結果的に、嘔吐や食欲低下などの症状が
出ないうちに摘出できてよかったと思います。
何か異物を口にしてしまった際は、症状が出なくても
早めに受診することをお勧めします。
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