2023年01月02日



みなさま、明けましておめでとうございます。
また今年もしばらくぶりのご挨拶となっ
てしまい申し訳ありません。(^_^;)



ネットフリックス話題作『CROWN』にみる女性活躍の壁

一昨年はリモートに弊社サービスの多くがとって変わり、その対応も含め
忙しい日々の年でしたが、昨年は秋ごろから政府の入国規制緩和に伴い、
とにかく、爆発的にご依頼を頂く毎日で、数年ぶりに早朝から夜まで仕事で
飛び回る日々が戻ってきました。

それがやっと落ち着いたのが、12月半ば。ここからは大量にたまった事務作業
や片づけなどなどに時間をとられて慌ただしく年末を迎えましたが、そんな
なか、ふっと以前から噂を聞いていた動画配信サービス、ネットフリックスの
『CROWN』を視聴し始め、一気に見入ってしまいました。

この作品は昨年逝去された英国エリザベス女王の幼少期からチャールズ皇太子・
ダイアナ妃の離婚スキャンダルくらいまで、約7~80年くらいの女王の人生と
その時代を生きた歴史上の人びとの生き様や社会の状況などを丁寧に描くドラマ
シリーズです。
一説によると、今や2億人を超えるというNETFLIXの躍進に大いに貢献した
ドラマとか。

2016年に始まって、最新シリーズは昨年の秋に終了した大作なので、たぶん、
見る方によってもっとも心に残ったところ、感じたこと、感銘を受けたところが
違うことと思いますが、モモノリがひとつあげたいのはこのドラマに描かれる
女性たちのキャリア形成上に現れる葛藤と課題について、です。


エリザベス女王の女性活躍の壁

さて、ここでいう女性たちとは、もちろん、エリザベス女王で、もう一人は
英国初の女性首相、マーガレット・サッチャー首相のことです。

うまれながらにして(正確には伯父のエドワード8世の突然の退位により)君主
になることを運命づけられたリリベット(幼いころから家族間で呼ばれた女王の
愛称)は遠縁にあたるギリシャ王族のフィリップ(のちのエディンバラ公)と
結婚し、3男1女をもうけます。

日本の報道では、この夫君フィリップと女王はとても仲のよいご夫妻といった
話しばかりでしたが、その裏にあった知られざるエピソードは今の私たちに
も相通じるような話しがいくつも現れています。

結婚当初より、将来は英国君主となると分かり切っていたことなのに、つねに
自分の妻が人々の関心の的になり、報道され、おおきく取り上げられることに
本心では面白くないと感じていたフィリップ。

王位継承者もしくは君主として、すべきこと、しなければいけない妻の振る
舞いに「男としての」自尊心が傷つけられ、憤慨し、わざと我がままを言って
妻をこまらせる行為をしてみたり。。。

ああ、こういう男性、じつは結構いるんです。
「夫ブロック」と言いますか。。。

大学教員同士の夫婦。妻が大切な学会発表をすることになったら、わざと
その当日に用事をいれておいて「子どもはどうするんだ!」と怒る男性
教員。

妻が勤務先で昇進を打診されると「家のことはどうするんだ」と昇進を喜ばず、
難色を見せる夫。

妻が起業を相談すると「家のことはしっかりやることが条件」とか言って、
自分が協力する、という後押しはなし。

これらぜ~んぶ「嫉妬やねたみという夫ブロック」ですから。

もし、これらの例を全部「妻⇔夫」で立場を入れ替えたら、絶対起きない
現象ですよね。(あ、起業のときは「家の収入はどうするの」って妻は
いいそうですが・・)

英国史上最長の在位の女王の最大の壁は実は最愛の夫であったという
点は、私たちの何世代も先に女性活躍の最先端を行っていたエリザベス
女王にも共通していたのです。
(そのうえ、フィリップったら、自分の存在を確認できる?とか言って
年老いてまでなんどか浮気してましたし。あきれた話しですわ)


マーガレット・サッチャー首相の女性活躍の壁

貴族階級出身ではないものの、なみはずれた努力と強い意志で英国の
初の女性首相に上り詰めたマーガレット・サッチャー首相。

ひろく「鉄の女」などと呼ばれ、保守的で強硬な政治姿勢が強いイメージ
だったと思います。

英国病と呼ばれ、戦後に停滞していた経済を新自由主義と呼ばれる手法で
次々に立て直し、後に日本でもお手本とされた「金融ビッグバン」などの
大胆な改革を取り入れた手法は英国本国よりはるか遠くの日本で高い評価
となっているようです。事実、一昨年の自民党総裁選で立候補した女性
政治家は「わたしは日本のサッチャーになる」と述べておりますし。

しかし、今回のCrownにはそのサッチャー氏のあまり知られていない驚き
の裏の姿が描かれています。それをElle web版 2020/12/03ではこんな
風に酷評しています。引用してみましょう。


女王に挨拶することすら「時間の無駄」としながら、いっぽうで家事を完璧にこなし、閣僚との打ち合わせに執拗に手料理を用意する。なぜなら女性はどんなに仕事ができても家事をやらなければ「家庭をおろそかにしている」と貶められるから。当然それを手伝わせるのは娘だけ。息子に手伝わせれば「男の手を焼かせて」とまた非難される。 女性の役割を強調しながら、同時に女性でないことを証明しなければいけないサッチャーの矛盾が、「男以上に男」の過激な政治姿勢へをとらせ、結果失脚していく。その過程を観るのは実に腹立たしいけれど、見る価値あり!  (画像:1970年、皿洗いをするサッチャー。こういった演出で保守派を代表する女性像を創り上げていった)

この記事では「演出」と称していましたが、実はこれが本当のサッチャー家の
日常だったようで、ドラマのなかでは、なんどもアイロンがけをしたり、
ダウニング街10番地の首相公邸に集う閣僚たちに料理をふるまう首相の姿が
描かれています。夫のデニスはゆっくりソファに身をおき、新聞をよみ、
一切手伝っていません。

そして、サッチャー女史自身が、強いリーダーは同時に立派な妻・母という名の
完璧な家事労働者でなければいけない、という信念をもっていたふしがうかが
われます。

結局、彼女が英国内で働く女性のキャリアモデルにはならなかったことの原因が
ここにあったのかもしれません。

日本の女性活躍の壁を突き破れ!with Men



いまだ企業等での女性管理職登用が進まない一因のひとつに、候補女性自身が
それを望んでいない人もいる、という事実があります。

責任を背負うのが嫌だ、というだけでなく、家事や育児に奮闘しているのに、
そのうえ、管理職としての職務は重すぎる、というところにまで目を
こらしてみる必要があるでしょう。

また、多くの人事の方が証言するように、優秀な女性社員に管理職への登用を
打診すると多くの場合「家族と相談したい」と答えるそうです。男性だったら
まずしない答えです。

どこか、自分のキャリアについて夫の承認を得ねば、というメンタリティなの
かもしれません。

さあ、こうしてみると女性たちの長期キャリア形成にパートナーたちの立ち位置
や姿勢がいかに大事か。また、手抜き家事がどれほど重要か、ということも
理解いただけることと思います。

やっとこのところ、男性社員の育休取得推進の声があがり始めていますが、
そんなの20年遅いわ!と思う次第で、本当はこういう本音の議論を政治家たち
もしっかり理解してほしいものです。

今年もまた一歩女性たちが歩みを進める年になりますように!

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通訳、ツアーコンダクター、海外コーディネータ、バイリンガル司会・ナレーター、
企業研修・セミナー講師、と様々な経験を経て現在はランゲージスペシャリストの
コーディネーションおよび人材教育(零細)会社を経営するモモノリが今年も日本
の女性を元気に、とメッセージを時々((^_^.)届けします。

読者の方からのご相談にお答えするエントリも絶好調。
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2022年01月01日


Embed from Getty Images

 昨年に続き、さむ~い年明けとなりました。
ごきげんよう。一年ぶりのご無沙汰です。モモノリです。

本年最初のブログのアップです。昨年のこと、ちょっと振り返りから
始めましょう。



コロナで女性を巡る様子はどう変わった?

終わったばかりの2021年。コロナがらみも、そうでなくても、記憶に
残ったこと。。


1. 柔軟に、素早く動けた女性たちが残ったコロナの
 ふるいおとし


  ほんと、これ。と感じましたね。
  弊社の大きな商材の柱である「ひと」をコロナ禍初期からずっとみて
  きて、悲しいくらいにコロナのふるいで残るひと、落ちる人がはっきり
  した一年でした。

  いわば、レギュラー選手の強制的シャッフルが突然起こり、いままで
  準レギュラーもしくは2軍か、と思っていた選手が中心に駆けのぼり、
  主力が2軍へ行ってしまった、みたいな。

  これは女性に限ったことではないのでしょうが、しかし女性の場合は
  元来変化をきらう保守的傾向が男性と比べて強めであるという説も
  あり、そのなかで「えいや!」と軽々と飛び越えた人たちが結果を
  だしているのは興味深い。

  こんなことまでしなくても。。。
  他の誰もしていないし。。。
  周りがどう思うかしらん。。

  コロナがあってもなくてもやっぱりチャンスを逃しているひとたちの
  心に浮かぶものは同じマインドなんですね。

  チャンスの神様の髪の毛は前にしか生えてない、ということを
  立証したような一年でした。


2. ジェンダー問題が社会的にもより高く広いレベルで認知
  されだした


  今の時代のひとたちからすると(なんていうとすっかり昭和ですけど)、
  ジェンダーという言葉がこんなに一般的に普及されるようになったこと 
  は本当に感慨深いですわ。

  2000年代はじめ、「ジェンダーフリーって、更衣室も、トイレも男女
  一緒にする、とんでもない発想です!」っていきりまく一部政治家
 (それも女性)たちが運動を起こし、男女共同参画事業が停滞し、実際  
  にお役所での講演などで「ジェンダー」という言葉の修正を求められた 
  こともあったのが夢のような2021年でした。

  別にトイレが一緒なのがジェンダーフリーじゃなくて、「性別にとら 
  われない」という意味だということがやっと浸透してきたわけで。

  国連のSDGsとか五輪パラリンピック開催という背景からびっくり 
  するような女性蔑視発言の元組織委員長のドタバタなどでグウンと
  関心が集まった一年だったわけです。



またとない好機! Girls, be ambitious!!

結論。

まだ、本格的とはいきませんが、明らかにこれからの波は自分の能力
を活かしたい、社会に貢献したい、自分の価値をあげたい、という女性
たちにとって好機到来です。

なぜならば、まだまだコロナ前のマインドセットの女性たちが大勢いる
からです。

昇進を望まない女性幹部候補者が多くて、、、という声をいたるところ
でまだ聞きます。
な~んと良いチャンスなんでしょうか。

まだ有利なのはこちら側です。
主任はどうかな、と持ちかけられたら「柔軟に」「素早く」自分の条件
を提示でき、それを検討してもらえる可能性が高いのです。

これがもう少し将来になると、「あ、そう、じゃ、他の女性にあたってみる」
という展開は目に見えています。
それどころか、もっと厳しい条件を突きつけられる可能性も。

まだ迷っているそこのあなた。「ええっい」ですよ。

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2021年01月05日

さむ~い年明けが続いております。
ごきげんよう。モモノリです。

お籠りの年末年始の方たちも多かったと思いますが、昨年末にオットの
母が亡くなったため、モモノリ家は結婚後初めて自宅で過ごすお正月で
した。

そこでお籠りのなか観た映画がヒルビリーエレジー(Hillbilly Elegy)。
今やハリウッドをしのぐNETFLIXの配信映画です。

HillbillyElegy_Imdb_featureimage

貧困と家庭内暴力や虐待など悲惨な子ども時代に温かくも激烈な猛祖母に
育てられ、その後海兵隊を経て東部の名門イエール大のロースクールから
弁護士、現在は投資家となった主人公の回想録をベースにした作品。

4年前世界に衝撃を与えたトランプ大統領の誕生を紐解く際に、盛んに
解説された「白人貧困層の存在」を読み解く参考書のように出版当時話題
となりました。

そして、バイデン大統領誕生目前となったいま、この回想録が映画化され
主演女優グレン・クローズ(祖母役)の怪演ぶりもあって話題となってい
ます。



「アメリカで何を見てきたんだ!」

4年前のトランプ当選は本当に驚き、ショックでした。
自分の知っているアメリカ人たちは誰もあんな滅茶苦茶な候補に世界最強
の権力を与えるはずがないもの、と信じていましたから。

いやはや。

米国留学に始まり、ホストファミリーとの今なお続く交流、そしてビジネス
でも頻繁に接するアメリカ人たちだけがアメリカ人じゃない、と思い知ら
されたわけです。

じゃあ、誰がトランプを支持していたの?

とその疑問にリアルな答えを見せてくれたのがこの映画でした。

白人貧困層と一口に言っても、「アパラチアン(Appalacian)もしくは
ヒルビリー(Hillbilly=田舎者)」と呼ばれるひとたちは東部アパラチア
山脈沿いのウェストバージニア州からケンタッキー州に住むひとたちで
主人公の三代前まではケンタッキーの田舎暮らしだった。

このあたりの人々は、アイルランドやスコットランドの貧農の移民が
ルーツで、移住したあとは貧農→小作→炭鉱労働者→鉄鋼等工場労働者
とすべて貧困のループで、離婚・家庭内暴力・ネグレクト・貧弱な教育
薬物汚染・犯罪・殺人等々不幸のオンパレード・・・

ちなみに、ウェストバージニアは全米で最も所得が低く、かつ昨今の
コロナ被害が非常に広がっているエリアでもあるのです。元々平均寿命
も全米一低いという。

ああ・・・・

そう考えると、苦労続きだったアメリカ留学時代で巡り合った
人々やレトロだったけれど温かみのあったべリングハムの町に住んで
いられたことがなんと幸運だったことだろうか、と今さらながら神に
感謝したくなります。

ホストマザー、アグネスのこと

が、しかし!

この映画に引き寄せられるのは、登場してくる人物たちの多くに自分
の周りにいる人々が重なるからなのです。

例えば、主人公の人生が沈没しかかるなか、「教育がお前を救う」と
鞭打つ猛祖母(グレン・クロースが怪演)。

ヒルビリー gren


彼女はモモノリのもっとも尊敬する女性、ホストマザーのアグネス、
うりふたつではないか!

Don Agnes 2
*ホストファーザーのドンとアグネスとともに。

そう、このヒルビリーのおばちゃんの典型的ヘアスタイルとファッション。
アパラチアンでなくてもワシントン州にもいたわね(^_^;)

このホストマザー、アグネスも18歳で結婚、4人の子どもを貧しいながらも
育てあげた、猛母。とにかく高エネルギーの塊ですが、とても心の優しい
聖母マリアのような人物です。

実は、アグネスの長女は知的障害がありつつ、子どもを二人出産し、その
直後に夫に先立たれ、生活苦だっために、この孫たちを養子にして育てあげ
たというのも映画とまったく同じ設定。(ただし、孫のひとりも発達障害が
あり、成人後も公的支援をうけているところは違います)

また、アグネスのひとり息子が高校卒業後空軍に入り、その後、奨学金を
経て学士の資格を獲得。現在は理学療法士として生計をたてているところも
主人公とだぶります。


アグネスと映画のおばあちゃんに共通だったこと


さて、この二人共通だったこと。うり二つの外見だけではありません。

よりよく生きること、自分でなく、自分の子どもや孫が良い生活を送れる
ようになるために、1に教育・2に付き合う友人たち(教育環境ですね)が
大切と強い信念をもっていたこと。

このあたりは、モモノリ母ともまったく同じ。

もし、モモノリが米国大学留学試験に合格した際に「うちは何も資産がない
が、教育は残せる」とモモノリ母が渡米を許してくれた判断がなかったら今
のモモノリはいませんから。

映画でもっともグッと来た場面(モモノリ限定かもしれないけれど)。


それまで複雑な家庭環境でぐれかかっていた小学校高学年の主人公が、ある日
重い持病を患っている祖母が支援団体が配達する宅食の配達員に「もうひとつ
ないの?二人分必要なのに」とねだると果物とポテトチップの小袋を渡される
とこを目撃。「今月はお金がなくて・・」とぼやく祖母。

その後二人はひとつの宅食を分け合って食事をするのだけれど、そこで何か
を感じたのか、彼は人が変わったように家事をし、勉強に打ち込み、全うな
子ども生活を始めるんだな。

ああ、けなげ・・・・・

いつもモモノリの作る夕食に文句で、家事もやらない家の息子に見せたいぞ。

いろいろな視点から忘れられない一本となった映画です。

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通訳、ツアーコンダクター、海外コーディネータ、バイリンガル司
会・ナレーター、企業研修・セミナー講師、と様々な経験を経て
現在はランゲージスペシャリストのコーディネーションおよび人材
教育(零細)会社を経営するモモノリが今年も日本の女性を元気に、
とメッセージを時々((^_^.)届けします。

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