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M-REF ミニ講座】第27回 発電ロスの事例と対策① 

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M-REF ミニ講座】をお読みいただきありがとうございます。
今回から発電ロスの事例と対策について取り上げます。
発電ロスは事業性に直結する問題です。
日頃の業務でお役立ていただけると幸いです。

 

【事例1:温度上昇出力抑制】****************

パワーコンディショナは、内部の温度が上昇すると自動的に出力抑制して内部温度を調整することで内部回路を保護します。
この状態が度々発生すると発電ロスにつながります。
その主な要因としては次のようなものがあげられます。

 ① フィルタが目詰まりしている
 ② 冷却ファンが停止している
 ③ パワーコンディショナ自体に直射日光があたっている

日常点検や定期点検で確認して、設置場所周辺の環境整備等の対策をしましょう。

 

【事例2:電圧上昇出力抑制】****************

パワーコンディショナには、系統側電圧が上昇するとパワーコンディショナ出力もそれに合わせて上昇させる機能があります。
ところが、電圧がパワーコンディショナの整定値に達するとそれ以上は上昇させることができなくなり、パワーコンディショナ側から送電できず発電ロスが生じてしまいます。

その主な要因としては次のようなものがあります。

 ① 系統側の電力消費の低下による系統側電圧の上昇
    近隣に工場などがある場合、休日や昼休憩時間などに工場の設備等が
    休止することで電力消費が減少し、系統側の電圧が上昇することがあ
    ります。
    この場合、整定値について電力会社と協議するか、トランスタップで
    引込電圧を下げてもらう必要があります。
 ② パワーコンディショナから電力受電引込箇所までの間の電圧降下
    パワーコンディショナから引込箇所までの距離が長い場合にみられます。
    この場合、電圧降下を考慮したケーブル太さにする等の必要があります。

 

 

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【発電事業のチェックにお役立てください】

 [太陽光発電事業の評価ガイド] http://m-ref.or.jp/
 発電事業のチェック、中古発電所売買のトラブル防止にご活用ください。

 [太陽光発電所簡易チェックシート] http://m-ref.or.jp/images/solarsystemcheck1.pdf
 評価ガイドの簡易版、まずはこのチェックをしてみましょう。

 

【「太陽光発電事業評価ガイド」のセミナーを出張開催します】

本財団では、社員研修やお客様向けセミナーなどにご活用いただけるよう、「太陽光発電事業の評価ガイド」の目的や影響などについて解説するセミナー「太陽光発電事業評価ガイドとは何か」を出張開催しています。
ご参考として、先週東京で開催した際の募集要項等をご覧ください。

 http://blog.livedoor.jp/mref_news/

 

【同ガイドに準拠した技術者養成講座(10月)を開催】

災害や法令違反などのトラブルが多発している今、法令から土木・発電設備までオールラウンドな技術知識が求められています。
本財団では、「太陽光発電事業の評価ガイド」に準拠し、オールラウンドな技術知識を持つ技術者を養成する講座を開催[下記参照]しています。

 

【「太陽光発電設備保全技術者養成講座」受講者募集中】

[太陽光発電設備保全技術者養成講座] http://m-ref.or.jp/course.html

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      「二級太陽光発電設備保全技術者養成講座」

            開催のお知らせ

 

[日程]  2日間通しの講座となります。

      【期日】 平成301018日(木)・19日(金)
      【時間】 一日目 13:2017:30  二日目 9:2017:00

[会場]  八重洲藤山ビル「ふれあいセミナールーム」
       東京都中央区八重洲1-9-8 八重洲藤山ビル3

[ご注意] 本講座を受講されるにあたっては基礎的な知識が必要です。
      次のいずれかの基礎的な知識をお持ちであれば大丈夫です。

      ・電気工事の知識経験を有する方
      ・建築工事の知識経験を有する方
      ・太陽光発電設備の知識経験を有する方

[合格者] 検定に合格されると認定技術者として登録され、
      以下の証書等が交付されます。

      ・認定証
      ・資格者証(顔写真入りプラスティックカード)

[CPD] 本講座は全建築系CPDの認定プログラムです。
      対象となる方は事前に資格者番号等を事前にご連絡いただければ、
      ご登録(10単位)いただけます。

[受講料] 54,000円(税込)(受講料・検定料・登録料)

[定員]  20

[主催]  一般財団法人再生可能エネルギー保全技術協会

[申込方法] 1.下記の当財団ホームページからお申し込みください。
          http://m-ref.or.jp/tlc.html

       2.お申込内容の確認メールが自動返信されますので、
         その内容に従って受講料をお振り込みください。

       3.受講料のお振込を確認後、受講資料一式を郵送します。
         必要事項を記載・添付の上、受講当日にご持参ください。

                         以上

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M-REF ミニ講座】 第24回「大雨や水害後の作業注意」
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M-REF ミニ講座】をお読みいただきありがとうございます。
このたびの豪雨は甚大な被害を非常に広範囲にわたってもたらしました。
お読みいただいている方の中にも被災された方があることと存じます。
衷心よりお見舞い申し上げます。

様々な災害が発生している中、復旧活動が始動しています。
みなさまの中にも、被災した発電所の点検・復旧にあたられている方があろうかと思いますので、今回は大雨の後の点検作業で特に注意いただきたいことを取り上げます。


【大雨があったら点検しましょう】

大雨の後は点検を行うことをお薦めします。
特にこのたびのような豪雨では、発電所を取り巻く環境が変化していることもありますので、次のようなことにも注意しましょう。
1.周辺環境の変化
発電所の隣接地の地形、特に水の流れの変化に注意しましょう。

場合によっては、災害対策を新たに行う必要が発生することもあります。

2.
排水能力の確認
水路や調整池の点検はもちろん、発電所敷地内から放流先水路までの水路に加えて放流先水路の状況も確認しておきましょう。
水路が損壊または危険な状態(流木等が詰まってダムになっている等)であった場合には、直ちに水路管理者へ通報してください。

3.
地盤・崖の確認
地盤や法面(擁壁)、崖に陥没・隆起・地割れ(クラック)が新たに発生していないか、水の流れに変化はないか確認します。
また、アレイについても、基礎周辺の洗掘などによる崩壊や飛散の危険性を確認してください。
ただし、
危険な個所には決して近づかないようにしてください。

また、発電設備については目視に加えて次の項目の測定を必ず行ってください。


1.
接地抵抗の測定
地盤の変化、濁流などにより接地抵抗の変化がないか、また接地が確実にされているのか測定し基準値内であることを確認します。もし漏電があった場合でも感電防止に繋がります。

2.
絶縁抵抗の測定
大雨の影響で設置機器、配管、配線などに異常な負荷がかかることで絶縁破壊が起こっていないか絶縁抵抗を測定し基準値内であることを確認します。漏れ電流や地絡を未然に防ぎます。

 


【点検に際して注意してください】

土砂災害は、雨が上がってからしばらく時間が経過した後でも発生することがあります。
災害が発生することを前提に避難場所を確保したうえで作業してください。
また、大雨、洪水などで損壊した発電設備は、
①太陽電池モジュールが発電していること、②地絡していることを前提として注意して作業を行います。


1.
避難経路(場所)の確保
発電所および付近の安全が完全に確保されてから現場に入られることをお奨めします。
そうでない場合には、発生する可能性のある災害に対して、必ず避難経路(場所)を確認・確保してから作業を行ってください。
また、事故が発生した場合の手順についても十分に周知・確認しておくことが必要です。
さらに、発電所内での作業のみならず発電所への経路上にも危険は存在しますので、危険予知と避難に留意してください。

2.
鉄砲水、土砂崩れ、地すべり等の予兆に注意

雨が上がったからあと言って油断せず、予兆の発見に留意してください。

地割れが発生し拡大している、崖や法面(擁壁)から濁った水が噴き出している、地鳴りがする等の予兆があった場合には、直ちに避難してください。

3.
感電の防止

太陽電池モジュールは光が当たると発電します。
また、太陽光発電設備のパワーコンディショナや太陽電池モジュールと電線との接続部は、水没・浸水している時に接近又は接触すると感電する恐れがあります。
そのため、絶縁手袋・絶縁長靴の着用する、絶縁処理された工具の使用、また降雨時には作業を行わない等の対策によりリスクを低減させます。
水が引いた後であっても集電箱内部やパワーコンディショナ内部に水分が残っていることが考えられます。
この場合、触ると感電するおそれがありますので、復旧作業に当たってはより慎重に作業すること等により感電防止に努めてください。

4.
破損等による怪我の防止

損壊した太陽光発電設備の撤去は怪我の危険性が高まります。
怪我を防止する保護帽、厚手の手袋(革製等)、保護メガネ、作業着等の着用等により危険の低減に努めます。
被災発電所の点検・補修にあたられる皆様には、記載の事項のみならず、くれぐれも安全第一に作業をお進めいただけるようお願いいたします。


本財団は、“安心”“安全”に加え“安定”した再生可能エネルギー社会をつくるため、太陽光発電所の適正な保全に取り組んでまいります。
その中で、みなさまのお役にたてる情報をこれからも提供してまいります。

【二級太陽光発電設備保全技術者養成講座(8月は福岡開催)】

[講座案内] http://m-ref.or.jp/course.html
[受講申込] http://m-ref.or.jp/tlc.html


【二級太陽光発電設備保全技術者養成講座の出張開催】

 [実施の様子] http://m-ref.blog.jp/
 [お問合せは] 
http://m-ref.or.jp/contact.html


M-REF ミニ講座】第17回「パワーコンディショナ(PCS)の基本機能」

M-REF News】をお読みいただきありがとうございます。
M-REF ミニ講座】を通じて太陽光発電設備の保全にお役立ていただける情報を提供してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。
今回取り上げるのは、「パワーコンディショナ(PCS)の基本機能」です。

【パワーコンディショナの基本機能】
パワーコンディショナには主に次の機能があります。
 ① 太陽電池で作られた直流の電力を交流に変換するインバータ機能。

 ② 常に太陽電池出力が最大となるよう出力調整する最大電力追従機能(MPPT制御)

 ③ 停電などの時に系統から切り離した状態で、パワコンを運転させて使用できる
   自立運転機能。

 ④ 系統の電圧や周波数の変化を検出して0.5s以内に解列する。系統の電源が失わ
   れている場合は電力を送出しない単独運転の防止機能。

 ➄ 系統電圧に合わせて電力会社が出力電圧の上限値を指定する。停電復帰後のパ
   ワコン起動を自動か手動を選択できるようにする整定値設定機能。

 ⑥ 系統電圧に合わせて出力電圧を上昇し逆潮させるが整定値の範囲内で電圧上昇
   を抑制する機能。
   ≪注意≫ 引き込みからパワコンまでの電圧降下は2%以下に規定されています。

 ⑦ パワコン機器の内部温度が上昇すると電力出力を抑制する温度上昇抑制機能。
   原因として、機器取り付け位置が規定の離隔がとれていなく通気が悪い場合や
   機器取り付け場所が南側、西側などで直射日光が当たり内部温度
上昇する場
   合があります。

⑧ 系統側に連系するために電圧、周波数、位相、効率を整合する同期機能。

⑨ パワコン出力の電圧過不足や周波数上昇低下などの異常発生時に、これを検知
   して速やかに運転を停止する系統連系保護装置。

などがあります。


【適切な保全に対する理解を】
こうした適切な保全業務を行えれば、障害を最小に食い止めることができます。
しかし、現場のみなさまからは、設置者の方がなかなか保全にコストがかかることを理解していただけないという声をたくさん耳にします。
そこで、小さな問題を放置することで深刻な事故をもたらすことがあるということに加えて、適切な保全を行うことが設置者の方にとって大事な発電所の資産価値を守ることにつながるということを現場のみなさまお一人おひとりが丁寧にわかりやすくご説明いただくことが重要です。
本財団もみなさまとともにこつこつとその必要性を訴えてまいります。

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