【M-REF ミニ講座】をお読みいただきありがとうございます。
このたびの豪雨は甚大な被害を非常に広範囲にわたってもたらしました。
お読みいただいている方の中にも被災された方があることと存じます。
衷心よりお見舞い申し上げます。
様々な災害が発生している中、復旧活動が始動しています。
みなさまの中にも、被災した発電所の点検・復旧にあたられている方があろうかと思いますので、今回は大雨の後の点検作業で特に注意いただきたいことを取り上げます。
【大雨があったら点検しましょう】
大雨の後は点検を行うことをお薦めします。
特にこのたびのような豪雨では、発電所を取り巻く環境が変化していることもありますので、次のようなことにも注意しましょう。
1.周辺環境の変化
発電所の隣接地の地形、特に水の流れの変化に注意しましょう。
場合によっては、災害対策を新たに行う必要が発生することもあります。
2.排水能力の確認
水路や調整池の点検はもちろん、発電所敷地内から放流先水路までの水路に加えて放流先水路の状況も確認しておきましょう。
水路が損壊または危険な状態(流木等が詰まってダムになっている等)であった場合には、直ちに水路管理者へ通報してください。
3.地盤・崖の確認
地盤や法面(擁壁)、崖に陥没・隆起・地割れ(クラック)が新たに発生していないか、水の流れに変化はないか確認します。
また、アレイについても、基礎周辺の洗掘などによる崩壊や飛散の危険性を確認してください。
ただし、危険な個所には決して近づかないようにしてください。
また、発電設備については目視に加えて次の項目の測定を必ず行ってください。
1.接地抵抗の測定
地盤の変化、濁流などにより接地抵抗の変化がないか、また接地が確実にされているのか測定し基準値内であることを確認します。もし漏電があった場合でも感電防止に繋がります。
2.絶縁抵抗の測定
大雨の影響で設置機器、配管、配線などに異常な負荷がかかることで絶縁破壊が起こっていないか絶縁抵抗を測定し基準値内であることを確認します。漏れ電流や地絡を未然に防ぎます。
【点検に際して注意してください】
土砂災害は、雨が上がってからしばらく時間が経過した後でも発生することがあります。
災害が発生することを前提に避難場所を確保したうえで作業してください。
また、大雨、洪水などで損壊した発電設備は、①太陽電池モジュールが発電していること、②地絡していることを前提として注意して作業を行います。
1.避難経路(場所)の確保
発電所および付近の安全が完全に確保されてから現場に入られることをお奨めします。
そうでない場合には、発生する可能性のある災害に対して、必ず避難経路(場所)を確認・確保してから作業を行ってください。
また、事故が発生した場合の手順についても十分に周知・確認しておくことが必要です。
さらに、発電所内での作業のみならず発電所への経路上にも危険は存在しますので、危険予知と避難に留意してください。
2.鉄砲水、土砂崩れ、地すべり等の予兆に注意
雨が上がったからあと言って油断せず、予兆の発見に留意してください。
地割れが発生し拡大している、崖や法面(擁壁)から濁った水が噴き出している、地鳴りがする等の予兆があった場合には、直ちに避難してください。
3.感電の防止
太陽電池モジュールは光が当たると発電します。
また、太陽光発電設備のパワーコンディショナや太陽電池モジュールと電線との接続部は、水没・浸水している時に接近又は接触すると感電する恐れがあります。
そのため、絶縁手袋・絶縁長靴の着用する、絶縁処理された工具の使用、また降雨時には作業を行わない等の対策によりリスクを低減させます。
水が引いた後であっても集電箱内部やパワーコンディショナ内部に水分が残っていることが考えられます。
この場合、触ると感電するおそれがありますので、復旧作業に当たってはより慎重に作業すること等により感電防止に努めてください。
4.破損等による怪我の防止
損壊した太陽光発電設備の撤去は怪我の危険性が高まります。
怪我を防止する保護帽、厚手の手袋(革製等)、保護メガネ、作業着等の着用等により危険の低減に努めます。
被災発電所の点検・補修にあたられる皆様には、記載の事項のみならず、くれぐれも安全第一に作業をお進めいただけるようお願いいたします。
本財団は、“安心”“安全”に加え“安定”した再生可能エネルギー社会をつくるため、太陽光発電所の適正な保全に取り組んでまいります。
その中で、みなさまのお役にたてる情報をこれからも提供してまいります。
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