【M-REF ミニ講座】第14回「障害調査の事例紹介②」
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今回は、「接続箱の直流遮断器が断となるエラー」についてとりあげます。
【接続箱の直流遮断器が断となるエラー】
熱い季節になるたびに接続箱のブレーカが断になるという現象が頻発します。
屋外設置された盤に直射日光が当たり盤内部の温度が上昇することで、ブレーカトリップ電流低減値が下がりブレーカがトリップするものです。
応急処置として毎回ブレーカ投入しています。
【設計値】
最大電流は8.2Aで、ブレーカ容量は10Aでした。
【解説】
ブレーカは一般的に、-10℃~60℃が使用周囲温度として設定されており動作特性は40℃を基準に決められています。
40℃を超え50℃以下の場合80%以下、50℃を超え60℃以下の場合は70%というように耐えられる負荷電流の値が小さくなります。
湿度が高すぎると、配線用遮断器の表面に結露が発生することがあり絶縁不良の原因になります。
・熱動式の配線用遮断器では、バイメタルの動作温度が変動するため、周囲温度が20℃の場合、定格遮断電流は110%となり、周囲温度か60℃の場合、定格遮断電流は90%となります。
・電磁式の配線用遮断器では、可動鉄心の制御油の粘度が変化します。
動作電流は変化しませんが動作時間が変動し、周囲温度が10~20℃の場合、動作時間は160%程度まで上昇し、周囲温度が60℃の場合、動作時間は75%となります。
配線用遮断器の遮断電流が変動することで、本来適切に保護出来ていた回路についても、適正な保護ができない原因になりますので、設置場所の使用環境に慎重な設計が望まれます。
【対策】
盤内部を温度センサーで計測したところ70℃にもなっていたので、直射日光があたらないよう遮熱版を取り付けて内部温度上昇を回避しました。
【適切な保全に対する理解を】
こうした適切な保全業務を行えれば、障害を最小に食い止めることができます。
しかし、現場のみなさまからは、設置者の方がなかなか保全にコストがかかることを理解していただけないという声をたくさん耳にします。
そこで、小さな問題を放置することで深刻な事故をもたらすことがあるということに加えて、適切な保全を行うことが設置者の方にとって大事な発電所の資産価値を守ることにつながるということを現場のみなさまお一人おひとりが丁寧にわかりやすくご説明いただくことが重要です。
本財団もみなさまとともにこつこつとその必要性を訴えてまいります。