2017年08月

M-REF ミニ講座】第14回「障害調査の事例紹介②」

 

いつも【M-REF News】をお読みいただきありがとうございます。
M-REF ミニ講座】は、太陽光発電設備の保全にお役立ていただける情報を提供しています。
今回は、「接続箱の直流遮断器が断となるエラー」についてとりあげます。

 

【接続箱の直流遮断器が断となるエラー】

熱い季節になるたびに接続箱のブレーカが断になるという現象が頻発します。
屋外設置された盤に直射日光が当たり盤内部の温度が上昇することで、ブレーカトリップ電流低減値が下がりブレーカがトリップするものです。
応急処置として毎回ブレーカ投入しています。

 

【設計値】

最大電流は8.2Aで、ブレーカ容量は10Aでした。

 

【解説】

ブレーカは一般的に、-10℃~60℃が使用周囲温度として設定されており動作特性は40℃を基準に決められています。
40℃を超え50℃以下の場合80%以下、50℃を超え60℃以下の場合は70%というように耐えられる負荷電流の値が小さくなります。
湿度が高すぎると、配線用遮断器の表面に結露が発生することがあり絶縁不良の原因になります。

 

・熱動式の配線用遮断器では、バイメタルの動作温度が変動するため、周囲温度が20℃の場合、定格遮断電流は110%となり、周囲温度か60℃の場合、定格遮断電流は90%となります。
・電磁式の配線用遮断器では、可動鉄心の制御油の粘度が変化します。
 動作電流は変化しませんが動作時間が変動し、周囲温度が1020℃の場合、動作時間は160%程度まで上昇し、周囲温度が60℃の場合、動作時間は75%となります。

 

配線用遮断器の遮断電流が変動することで、本来適切に保護出来ていた回路についても、適正な保護ができない原因になりますので、設置場所の使用環境に慎重な設計が望まれます。
 

【対策】

盤内部を温度センサーで計測したところ70℃にもなっていたので、直射日光があたらないよう遮熱版を取り付けて内部温度上昇を回避しました。

 

【適切な保全に対する理解を】

こうした適切な保全業務を行えれば、障害を最小に食い止めることができます。
しかし、現場のみなさまからは、設置者の方がなかなか保全にコストがかかることを理解していただけないという声をたくさん耳にします。
そこで、小さな問題を放置することで深刻な事故をもたらすことがあるということに加えて、適切な保全を行うことが設置者の方にとって大事な発電所の資産価値を守ることにつながるということを現場のみなさまお一人おひとりが丁寧にわかりやすくご説明いただくことが重要です。
本財団もみなさまとともにこつこつとその必要性を訴えてまいります。

 


M-REF ミニ講座】第13回「障害調査の事例紹介①」
いつも【M-REF News】をお読みいただきありがとうございます。
M-REF ミニ講座】は、太陽光発電設備の保全にお役立ていただける情報を提供しています。
今回は、「PCS監視システム機器のRS485通信エラー」についてとりあげます。

 

PCS監視システム機器のRS485通信エラー】
先日PCSとのデータ通信が時々できないという現象がありました。
通信ケーブルのシールド接続部分が経年変化で接続不良を起こしており、通信信号が不安定になって通信エラーが発生していましたが、シールド接続処理により解決しました。
こうした経験をお持ちの方も多いかと思いますので、今回はRS485通信エラーの要因となるものを紹介します。

 

【ケーブル】
ケーブルはシールド付き平衡伝送用ツイストペアケーブルにしましょう。
非平衡用ケーブルなどを使用すると信号の平衡度が低下するので、伝送距離が伸びるほど通信劣化します。
各電線メーカのKPEV-S_1.25-2Pを推奨します。

 

【端末の接続】
端末同士の接続はいもづる方式としましょう。
スター配線は伝送エラーの原因となることがあります。

 

【終端抵抗】
伝送システムの最両端の2ヶ所へ終端抵抗をそれぞれ接続しましょう。
適切な終端抵抗で無い場合は、伝送電圧レベルの低下や上昇をまねき、通信劣化やIC故障をひきおこすことがあります。
抵抗値は、100Ω~120Ωの1/2W を推奨します。
ケーブルの特性インピーダンスと合致させるのが理想です。

 

【シグナルGND
接続された2つ以上の全機器は、同じ電位にする為に各シグナルGND(SG)と接続しましょう。
接続されない場合、回路を流れる信号の基準となる電圧が狂い、通信劣化やIC故障をひきおこすほかノイズに弱い欠点があります。

 

【シールド処理】
シールド線は内部からのノイズを外へ出さぬようにする目的と、外部からのノイズを受けない様にする目的があります。
基本的に安定した電位SGに接続することで目的は達成できます。
間違ってSGとフレームGND(FG)を接続した場合は、互いに干渉するので分離しましょう。

 

【接地】
制御盤はFG接地いわゆるアースと呼ばれ感電防止など保安上の目的で行います。

 

【適切な保全に対する理解を】
このように、点検と対策により障害を未然に防ぐことも重要です。
こうした適切な保全業務を行えれば、障害を最小に食い止めることができます。
しかし、現場のみなさまからは、設置者の方がなかなか保全にコストがかかることを理解していただけないという声をたくさん耳にします。
そこで、小さな問題を放置することで深刻な事故をもたらすことがあるということに加えて、適切な保全を行うことが設置者の方にとって大事な発電所の資産価値を守ることにつながるということを現場のみなさまお一人おひとりが丁寧にわかりやすくご説明いただくことが重要です。
国は保全を義務化し、保守点検ガイドラインに盛り込むなどで後押ししています。
全国の太陽光発電所の長期安定発電のため、本財団もみなさまとともにこつこつとその必要性を訴えてまいります。

 

【9月開講のご案内:本講座は国と民間の両ガイドラインに準拠】
本財団では、システム設計や電気関連法令の基礎知識といった設備面だけでなく、これから法令遵守が厳しく求められる設置面(屋根や地盤等)に関する法令知識や違反事例等まで、発電所全体についての技術知識を習得していただける「二級太陽光発電設備保全技術者養成講座」を開催(下記に概要掲載)しています。
本講座は、新FIT法にもとづく「事業計画策定ガイドライン」はもちろん「民間版ガイドライン」にも準拠したものです。
「事業計画策定ガイドライン」の“主な関係法令リスト”の主要なものに加え、住宅用太陽光発電設備で非常に重要となる住宅瑕疵担保履行制度などもカバーし、発電所オーナーがワンストップで保全を託せるオールラウンダーな保全技術者の養成を目指しています。

 

【認定技術者と資格事業者を開示しています】
本講座を受講し検定に合格した方には認定証が交付されるほか、認定技術者として本財団に登録され認証サービスや業務実績の登録・認証サービスなどを受けていただけます。
さらに、認定技術者と資格事業者(認定技術者を雇用し本財団に登録された企業)のうち、希望された方については本財団ホームページで開示しています。
http://m-ref.or.jp/nintei.html
多くのみなさまのご受講をお待ち申し上げております。
次号もぜひご期待ください。

 

[太陽光発電設備保全技術者養成講座] http://m-ref.or.jp/course.html

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      「二級太陽光発電設備保全技術者養成講座」
            開催のお知らせ

 

[日程]  2日間通しの講座となります。いずれかの日程をお選びください。
      【期日】 ①平成29914日(木)・15日(金)
           ②平成29年10月25日(水)・26日(木)

      【時間】 一日目 13:2017:30  二日目 9:0017:00
        ※一日目終了後、FIT法改正と事業計画の解説(任意)があります。
         ぜひご参加ください。2日間通しの講座となります。

[会場]  東池袋センタービル
       NPC日本印刷株式会社 i-Shop(セミナールーム)
       東京都豊島区東池袋4-41-24

[受講資格]次のいずれかに該当する方。
       ・電気工事の知識経験を有する方
       ・建築工事の知識経験を有する方
       ・太陽光発電設備の知識経験を有する方

[合格者] 検定に合格されると認定技術者として登録され、
      以下の証書等が交付されます。
       ・認定証
       ・資格者証(顔写真入りプラスティックカード)

CPD認定] 本講座は全建築系CPDの認定プログラムです。
      対象となる方は資格者番号等をご持参いただければ、
      講座受付にてご登録(10単位)いただけます。

[受講料] 54,000円(税込)
      (内訳:受講料・検定料 30,000円,登録料 20,000円)

[定員]  20

[主催]  一般財団法人再生可能エネルギー保全技術協会

[申込方法] 1.下記の当財団ホームページからお申し込みください。
          http://m-ref.or.jp/tlc.html

       2.お申込内容の確認メールが自動返信されますので、
         その内容に従って受講料をお振り込みください。

       3.受講料のお振込を確認後、受講資料一式を郵送します。
         必要事項を記載・添付の上、受講当日にご持参ください。

                               以上

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これまで理事長ブログをご覧いただいていた皆さまから、ニュースとミニ講座を別々にしてほしいとのご要望をいただきました。
そこでこのたび、「M-REF News」と「ミニ講座」をそれぞれ別々のブログとすることとなりました。
今後は、講座の新規開講や制度変更等に関するお知らせ等は「M-REF News」で、保全に関するミニ知識は「ミニ講座」で、それぞれ発信してまいります。
引き続きのご愛読をよろしくお願い申し上げます。
なお、バックナンバーについては、これまで通り理事長ブログでご覧ください。

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