temp_1MW2193--nfl_mezz_1280_1024
Photo : Official Site of the Houston Texans


やるやると言っておきながら随分時間が経ってしまいましたが、呆けているとあっという間にスカウティングコンバインが始まったりフリーエージェント市場が解禁になりそうなので、そろそろ急いで記事をあげて行こうかと思います。
さて、当企画「ロードトゥーネクスト」とは、"次のシーズンへ向けての展望"という意味合いが込められており、いわば2016年シーズンの総括記事にあたります。
今季もなんだかんだと色々ありましたが、まずはシーズン全体を振り返ることで一旦頭の中を整理整頓し、その上で来季へ向けた展望について考えて行きましょう。

ただ総括とは言っても基本的には今までブログ内で書いてきたことと重複するのですが、なるべく2016年シーズンのスタッツやパフォーマンスについて具体的に振り返りながら評価 ( A+ ~ D- ) をつけることで他の記事との差別化を図って行きたいと思います。
また当企画は各ポジションの各選手一人一人にスポットライトを当てて行くため内容がかなり長くなることが見込まれますので、記事は複数回のシリーズに分けて更新して行きます。

ということで記念すべきシリーズ第1回目は、もはや何を語ることがあろうQBとスペシャルチームについて見て行きたいと思います。
ちなみに表にあるスタッツはレギュラーシーズン中のものになりますのでご注意ください。
尚、スマートフォンからご利用の方で表が見づらい場合は画面を横に回転するか、サイト下部左側にある「PCモード」をタッチして画面を切り替えてからご覧ください。




- QB -

temp_4MP2345--nfl_mezz_1280_1024
Photo : Official Site of the Houston Texans
2016年シーズン総括


・#17 QB Brock Osweiler

Att Comp Yds Comp % Yds/Att TD TD% INT INT% Long Sck Sack/Lost Rating
510 301 2,957 59 5.8 15 2.9 16 3.1 53 27 206 72.2


シーズンスタッツを見れば分かる通り、とにもかくにもインターセプトが多く一年を通して精彩を欠き続けました。
しかも16INTのうちおよそ半分はエースレシーバーであるWR DeAndre Hopkinsをターゲットにしたもので、ここまでチーム最大の武器を全く活かせずに終わることなど誰が予想できたでしょうか。
もちろんDenver Broncosから移籍してきて一年目、そしてシーズンを通して先発を務めたのは自身のキャリアで初めてのことでしたのである程度は仕方ないのですが、それでも最低限こなさなければならない水準というものは存在し、無論その求められている水準を大きく下回ったからこその今日の大バッシングでもあるわけです。
調子の良いときはレギュラーシーズン第6週のIndianapolis Colts戦のように奇跡的な逆転劇を演出する力はあるのですが、残念ながらチームには"もう一年様子を見よう"と思わせるまでには至らなかったようです。

ただ、そもそもの話をすればOsweilerとチームのオフェンススキームは全くマッチしておらず、ある意味ではOsweilerも被害者と言えるかもしれません。
まずスキーム面から見ると、チーム戦術のルーツは大雑把に言えばNew England Patriotsにあるのですが、QB Tom Bradyのプレイを見ても分かるようにショートパスやミドルパスは相手のゾーンディフェンスを切り崩すために複雑なパスルートの組み合わせから成り立っており、このシステムを機能させるためには相手ディフェンスを事前に読み取る分析力と正確なパスを投げる力が備わっていなければなりません。
また相手ディフェンスがショートパスやミドルパスの対策としてゾーンカバーからマンツーマンカバーに切り替え、特にプレスカバーを敷いてきたときには、フェードやシームを走るレシーバーにロブパスを投げ込むことでフィールドをストレッチさせることが必要になるのですが、言ってしまえばこのロブパスの成否次第でドライブの継続力も相当に変わってくるのです。

しかしOsweilerは担ぐようにしてボールを投げる特殊なフォームが身体に染みついてしまっているせいなのか、まさにこの繊細なタッチを必要とするロブパスを最も苦手としており、レシーバーとディフェンダーが空中で競り合うことはおろかサイドライン内にボールを落とすことすら困難を極めました。
特にシーズン後半は意識し過ぎて逆にロングパスの精度が下がってしまっていた印象すら受け、持ち前の直線的なレーザーパスでさえも不安定極まりないものになってしまっていました。
それにもともとがかなり大味なパススタイルなので、ショートパスを主体にドライブを組み立てるオフェンスに向いていないのは誰が見ても明らかであり、もうこの時点で人選のミスと同時に戦術破綻が生じてしまっているのです。

ただそれでもRick Smith GMが契約を結んでしまった以上は与えられた人材で何とかしなければならないのも事実で、本来であればオフェンシブコーディネーターがQBの特徴に合わせてある程度歩み寄りを見せなければならないものです。
もしOsweilerをオフェンスの軸として据える場合、ランを中心にブーツレッグなどプレイアクションでシンプルかつ大胆に攻めて行くのがベターなはずですが、すでに解任された元OC George Godseyは自身の思い描いたやり方に固執し、選手ができるできないに関わらず毎試合同じことを要求し続けました。
結果としてオフェンスはO'Braien政権発足以降最悪の成績に終わり、そういう意味ではOsweilerもまた被害者の1人と言えるのだろうと思います。

第51回スーパーボウル開催地のチームとして焦る気持ちも分かりますし、フリーエージェントで即戦力のQBを獲得しようとする動きも決して間違いではありません。
しかし連れて来るべき選手を間違えたこと、そして4年72Mという大きな金額がTexansでのキャリアを短くしてしまいました。
結論としてはコーチ陣はOsweilerについて前向きな発言をする一方で、シーズン終盤にベンチに下げたという事実から恐らく多くのことはもう期待していないでしょう。
ましてやワークアウトどころか面談の機会すらないままGMが勝手に契約を結んでしまった選手に対し、コーチ陣が固執する理由は何もありません。
いくらOsweilerにまだ成長の余地があるとはいえ、このまま期待値の低い賭けに出ることは客観的に見ても分の悪いギャンブルとしか言えないでしょう。

評価 : D+




・#3 QB Tom Savage

Att Comp Yds Comp % Yds/Att TD TD% INT INT% Long Sck Sack/Lost Rating
73 46 461 63 6.3 0 - 0 - 32 5 36 80.9


プロ入り3年目にしてようやく試合出場のチャンスを掴んだSavageは、スタッツ上ではとりあえず可もなく不可もなくといった成績でシーズンを終えました。
インターセプトもなければタッチダウンもなしというのが何とも寂しいところではありますが、レギュラーシーズン第15週Jacksonville Jaguars戦の第2Qからスナップを受けたこと、そしてその頃にはWR Jaelan StrongとWR Braxton Millerがすでに故障者入りしていたことを考えれば多少仕方ないところもあります。
しかしそれでもカレッジ時代から懸念されていた試合経験の乏しさはカバーしきれない印象があり、さすがにサイドラインにいた時間が長すぎたように感じられました。
プレイコールさえハマっていれば適材適所にパスを投げる力はあるようなので、課題としてはリアルの試合スピードに慣れること、そして自らの意思でチームを勝利に導かんとする情熱を見せることでしょうか。
またとにかく試合に出し続けなければSavageがどこまでやれるのか何とも言い切れず、来季こそは怪我なく一年を過ごすことも非常に重要な要素となります。
そして現在ロスター下にあるQBの中では一番ポテンシャルがあることは確かです。

評価 : C-




・#5 QB Brandon Weeden

Stats : None

Weedenのパフォーマンスに関しては公式戦に出場していないので何とも言えませんが、2015年シーズンにQBの怪我が相次いだこともあって、2016年シーズンは第3QBながらその存在は重宝されました。
またプレシーズンゲームでは特別良い印象を残したわけではないものの、万が一の時にバックアップを任せられるだけのものは見せたので、チームに安心をもたらしたという意味では十分だったと思います。
しかしすでに33歳という年齢に加え来季は保証額がないということから、フリーエージェント市場が解禁する前後あたりでカットされることが濃厚でしょう。

評価 : -




Savage - Brett Coomer - Houston Chronicle - 3x2
Photo : Brett Coomer - Houston Chronicle
来季展望


開幕ロスター予想

1. Tom Savage
2. ドラフト
3. Brock Osweiler



まずOsweilerが来季に開幕先発を務める可能性はほぼほぼありません。
やはりシーズン終盤にベンチに下げられたこと、そしてSavageの脳震盪さえなければプレイオフで再びスナップを受けることもなかったはずですから、これは最早現段階ですでに既定路線と言っても差し支えないと思います。
またOsweilerの契約が今オフシーズンにおいて最もネックとなっていますが、もしチームがフリーエージェントでQB Tony Tomoなど実績十分の即戦力を獲得しようとした場合、最悪カットも有り得るでしょう。
Osweilerは6月1日付けのカットであれば2017年シーズンのキャップヒットを減らすことが出来ますし、ましてやOsweilerはプロジェクトスターターとしてではなく即戦力として獲得した選手ですから、より実力の伴ったベテラン選手がチームに加わるのであれば無理に残しておく必要はありません。

そしてチームは今のところQBをドラフトで補強する旨を公にしていますが、今年のドラフト候補生は開幕時に先発を務められるだけの準備が出来ている選手がほとんどおらず、実際に何巡で指名するかは予測不能です。
仮に1巡でQB指名を行っても育成に丸一年掛かる可能性もあり、保守的なSmith GMの性格も考えれば結局3巡~4巡辺りでの指名に終わるかもしれません。
とりあえず誰を指名しようとRomoの獲得にでも動かない限り、開幕先発QBはSavageになると予想します。




- Specialist -

temp_DSC9192--nfl_mezz_1280_1024
Photo : Official Site of the Houston Texans
2016年シーズン総括


・#8 K Nick Novak

Lng FG-Att FGM Pct XP-Att XPM Pct Blk KO Avg TB Ret Avg
53 41 35 85.4 25 22 88 1 74 60.4 23 46 24

1-19Yds 20-29Yds 30-39Yds 40-49Yds 50+Yds
1/1 12/12 11/11 8/11 3/6


Novakは2015年シーズン途中からチームに加わり、開幕当初は"とりあえず他に任せられる選手もいないので"という立ち位置に過ぎませんでしたが、フィールドゴールを蹴る機会が多かったためかシーズンが深まるにつれパフォーマンスがどんどん安定していき、最終的にはフィールドゴール35回を成功させるという快挙を成し遂げました。
ちなみに1シーズン中での35回成功という成績はフランチャイズレコードで、40ヤード以下のキックは全て成功させています。
またエクストラポイントキックを3回外してはいるものの、このうちの1回はGreen Bay Packersと雪の中行われた試合で起きたもので、さすがに雪で足を滑らせての失敗はノーカウントとして考えて良いでしょう。
思いがけずして大きな功績を残した一方、キックオフの飛距離に関しては予想通り満足なものとは言えず、タッチバックが狙いやすくなった現行のルールをもってしても72回蹴ってタッチバック23回は少ないという印象です。
キックオフリターンの被獲得ヤード平均が24ヤードというのも頼りないもので、カバーチームばかりが注目されがちなキッキングゲームの不安定さの原因は、当然Novakのキック力不足もあると思います。
それだけにチームがNovakと長期契約を結ぶ気があるのかは微妙なところで、35歳という年齢も踏まえると必ずしも安泰とまで言える状況ではないかもしれません。

評価 : A-




・#9 P Shane Lechler

Punts Yds Net-Yds Lng Avg Net-Avg Blk IN20 TB FC Ret Ret-Yds TD
72 3,423 2,886 62 47.5 40.1 0 30 3 13 48 477 1


Lechlerはもう40歳と加齢臭の気になるお年頃になってきましたが、パフォーマンスはまだまだ信頼の置けるものです。
若干ハングタイム ( ボールの滞空時間 ) が短くなってきた印象が強く2015年シーズンが終わったときは"そろそろ引退か?"とも思いましたが、前年に比べパントを蹴る回数が23回も減ったにも関わらずインサイド20の回数が6回も増え、更にネットヤードの平均が1.3ヤード向上しました。
しかもタッチバックの回数はたった3回で、これはLechlerのキャリアハイの成績です。
必ずしも来季も同レベルのパフォーマンスができると言えるわけではありませんが、少なくともチームが求める水準は十分クリアできるであろうことが予想でき、本人のやる気が続く限りはもうしばらくチームに留まることになるでしょう。
改善すべき課題としてはやはりハングタイムの短さになりますが、そもそもオフェンスが向上すればパントを蹴る距離が短くなり負担は減るはずですので、そこはLechlerに頑張ってもらうよりもオフェンスに求めたいところです。

評価 : A




・#46 LS Jon Weeks

ロングスナッパーは成績の出しようがないので評価は難しいですが、キッカーやパンターが安定した成績を残せているのはもちろんWeeksが質の高い仕事をしているからでもあり、NovakとLechlerが揃って成績を伸ばしたことからも満点の評価をあげて良いでしょう。
またプロボウルに選出された2015年シーズンと比べるとタックル数が8回から2回に減ったのは寂しいところですが、スナッパーがガンナーを差し置いてタックルをかまし続けた昨季がおかしかったと言えばそれまでです。
むしろカバーチームが僅かながらも改善したからこそ、Weeksの目立つ機会が少なくなったと前向きに考えたいところです。

評価 : A+




temp0055_Texans-49ers_081416_MCW--nfl_mezz_1280_1024
Photo : Official Site of the Houston Texans
来季展望


開幕ロスター予想

K Ka'imi Fairbairn
P Shane Lechler
LS Jon Weeks



Novakの高評価から一転しまさかの布陣とも言えるかもしれませんが、開幕前に故障者リスト入りをしたUDFAのFairbairnは水面下で約15パウンドのバルクアップに成功しており、ある地元記者は"見違えた"とまで評しています。
やはりNovakの年齢とキックの飛距離の短さ、そしてチームがFairbairnに期待を寄せているところを見ると、来季は思い切ってキッカーの若返りを図るのではないかと見ています。
とは言ってもNovakをみすみす放出するかと言うとそうではなく、恐らく1年の契約を提示した上で両者をキャンプで競わせ、場合によってはキッカー2人体制も可能性としてはあるだろうと思っています。
またLechlerはコーチ陣もお気に入りで、本人に辞める意思がない限りは再び1年の契約延長を結ぶでしょう。
無論Weeksに関しては語るまでもありません。




ということで2016年の振り返り一発目はQBが絡んだのでかなり長くなりましたが、これから先の記事はもう少し内容をまとめて行こうと思います。
またこのペースで記事を書いていると本当にあっという間に2017年シーズンに移行してしまいそうなので、当企画は現在行われているチームの動きと並行して進めて行こうと考えています。
それと書いていて早速"大変だなあ"と感じたので、来年もやるかどうかは分かりません ( 笑 )


2017.2.19

この記事のトップへ戻る