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Photo : Chiefs.com


早いもので2018年NFLドラフトが終わってから1ヶ月が経ちますが、まだ当ブログ内ではドラフトの総括を行っていなかったのでそろそろまとめておきましょう。
今年のドラフトによって獲得したのは以下の8選手です。


Round Pick No. Pos. Name College
3 4 #38 S Justin Reid Stanford
3 16 #75 OT/OG Martinas Rankin Mississippi State
3 34 #88 TE Jordan Akins Central Florida
4 3 #16 WR KeKe Coutee Texas Tech
6 3 #53 OLB/DE Duke Ejiofor Wake Forest
6 37 #58 LB Peter Kalambayi Stanford
6 40 #83 TE/WR Jordan Thomas Mississippi State
7 4 #35 CB Jermaine Kelly jr. San Jose State


今年のドラフトでは1巡2巡の指名権がなかったものの、計3つの3巡指名権があったため、アナリストの中にはトレードアップを行う可能性が高いだろうと見ている者もいました。
しかしいざ終わってみれば、結局トレードアップどころかトレードダウンによって指名権を増やすということもなく、素直に手持ちの指名権を使い8人の選手をピックして終了しました。
単にトレード交渉が上手くまとまらなかったのか、それともその必要はないとBrian Gaine GMが判断したのか外野からは分かりませんが、できることならばもう少し上のラウンドでCBを指名して欲しかったというのが多くのファンの意見だと思います。
無論それは私も例外ではありません。

ただFAでの補強を含めたトータルでの動きを見ると、非常にバランス良く、かつ満遍なくニーズにアプローチしている印象で、概ね及第点と言えるのではないでしょうか。
結果が伴うかはまた別として、GM職自体が初めてという点も踏まえれば滑り出しは上々と言えるでしょう。
また来年のドラフトは今年とは逆に2巡指名権が2つ ( Seattle Seahawksとのトレードにより獲得 ) と上位指名権が複数あり、来オフへ向けた予行練習として見るならば、非常に有意義なドラフトが経験できたのではないかと考えます。

とまあ個人的な感想はそんなところで締めるとして、それでは指名した各選手について簡単に紹介して行きたいと思います。




John Todd - IsiPhotos.com
Photo : John Todd - IsiPhotos.com
- 3巡 4位 指名 -
#38 S Justin Reid
( 6-0 / 207 / Stanford )

今年のTexans最初の指名は40ヤード走を4.4秒で駆ける超速S Justin Reidでした。
兄にS Eric Reid ( 現FA ) を持つアスリートの血筋は本物であり、もともとはドラフト1巡指名候補とも言われていた逸材です。
しかし今年のドラフトはSの層が厚かったためか3巡まで大幅にスリップし、そこを運良くTexansがピックしました。

カレッジでは2017年シーズントータルで99タックルに6.5TFL ( タックルフォーロス ) 、1.0サック、更に6回のパスディフレクトに5INTをマーク。
見事AP All-Americaの2ndチームとAll-Pac-12の1stチームに選出され、最も優れたディフェンシブバックに贈られるJim Thorpe Awardのセミファイナリストにも選ばれました。

Reidはサイズとスピードを兼備したSで、主にチームが苦手としているTEのマンツーマンカバー改善を期待されることになるでしょう。
また将来的にはシングルハイを任せられる貴重なFSとして、時にそのスピードを活かしたブリッツ要員としても重用されることになるのではないかと見ています。

ただ時折瞬間的な判断が甘くなるなど弱点がないわけではないので、まずはアーリーエントリーでNFL入りした若き選手に対してチームがどのようなプログラムを設けるのか気になるところです。
焦らずとも先発にはS Andre HalとS Tyrann Mathieuのコンビがいるので、恐らく今年はレッドシャツ ( 要するにサイドラインでの勉強期間を設けるということ ) 的な扱いになるのではないかと思いますが、プレイオフ争いが本格化するシーズン終盤頃までに先発の座を掴めれば御の字でしょう。
如何に素質が高いとは言え何よりも経験が重要とされるポジションですので、最悪来年から先発争いに加わることになっても不思議ではありません。




Courtesy Of Mississippi State Athletics
Photo : Courtesy Of Mississippi State Athletics
- 3巡 16位 指名 -
#75 OT/OG Martinas Rankin
( 6-4 / 308 / Mississippi State )

続いての指名はやはりと言うべきか、チーム最大のニーズの1つであるOLの指名に動きました。
ちなみにフルネームはMartinas Orlando Rankinだそうですが、Orlandoは父親の名前から取ったそうです。
そんなRankinはカレッジではLTを務めていたものの、OGやCにも適性があると言われる万能型の選手の模様。
また複数のポジションをこなせるOLを獲りたがるのは前GMのRick Smith時代から見られる趣向ですので、どちらかと言えばGaine GMよりもコーチ陣の意思が強く反映されたのかもしれません。
ちなみにMississippi StateのOL陣は2017年シーズントータルで被サック13回と所属するカンファレンス内 ( SEC ) では最小で、同校の歴史から見ても2位の好成績だったそうです。

Rankinはパスプロテクション能力はまずまずであるものの若干パワーに欠けるというのが多くのアナリストの見解で、プロで最も適したポジションはCだろうと見られています。
しかしドラフト終了直後の会見でチームはRankinにLTを任せる意向であることを示し、少なくともOTの人材難を解決するまではRankinのポジションをOTで固定する可能性が高いでしょう。

とは言え、チームはとにかくデカいOTを好む傾向にある中で6フィート4インチしかないRankinをあえて指名したのですから、LT候補として余程期待している、もしくは将来的にOGかCへコンバートするところまでが既定路線の指名なのかもしれません。
そもそも今年のドラフトにおいて、3巡16位で獲れるOTに"先発を確実に任せられる選手がいたのか"と言えば難しいところでもありましたので、だったら保険の意味合いも兼ねて、最悪別のポジションでの起用も見込める万能型の選手を獲っておこうというのは理に適った判断だったとも言えるでしょう。
かなりの慎重派であるGaine GMの性格を考えても、そうした思考の運び方によってRankinの指名に至った可能性は高く、コーチ陣との指針とも合致した指名だったのだろうと思います。

またRankin最大の長所は的確なアングルからのランブロックにあり、少なくともBill O'Braien HCが重視するインサイドのランオフェンス改善は見込めるでしょう。
ルーキーイヤーからいきなり先発LTを任せられるレベルにあるかどうかは実際のパフォーマンス ( 特にパスプロテクション ) を見てからでないと何とも言えませんが、昨年のOT Julién Davenportほど目途が立つまで時間が掛かるということはないと見ています。
カレッジでの成長過程を見ても年々少しずつテクニックを磨きながら向上を図ってきた努力家であるのは間違いなさそうですので、後はその努力がプロレベルでも報われることを祈るだけです。




Charles King - Orlando Sentinel
Photo : Charles King - Orlando Sentinel
- 3巡 34位 指名 -
#88 TE Jordan Akins
( 6-3 / 250 / Central Florida )

残る最後の3巡指名は、Gaine GMがGM就任直後の会見で述べていた通り、QB Deshaun Watsonに新たな武器を用意しました。

元野球選手でもあるTE Jordan Akinsは2010年のMLBドラフトでTexas Rangersに指名され、マイナーリーグで計321試合に出場した経歴を持つアスリートタイプの選手です。
しかし2015年からフットボーラーへ転向し、まずはWRとしてキャリアをスタート。
翌年の2016年からTEとしてもプレイするようになり、2017年にはTE一本にポジションを絞ってプレイしました。

そんなAkinsの2017年シーズンはレシーブ30回459ヤードに加え4TDをマークしたものの、3巡指名を受けるTEとしてはやや物足りない成績である印象です。
加えてプロ野球からのキャリア転向のため、ルーキーながら今年で26歳と年齢的にも大きなマイナス要素を抱えています。
それでもTexansコーチ陣はSenior BowlでAkinsと共に時間を過ごし、Akinsがどんな選手であるのかある程度確かな情報を得た上でわざわざ3巡指名をしたのですから、やはり相当に自信があっての指名なのだと思います。
そうしたマイナスの部分とを差し引きした上でこの指名を振り返って見ると、チームが寄せる期待は非常に大きいことが伺え、同時にルーキーイヤーから相応の成績を残すことが必要になるとも言えるでしょう。

プレイスタイルとしては引退したTE C.J. FiedorowiczのようにインラインでプレイするY-TE向きではなく、どちらかというと2~3番手に欲しいH-Back向きの選手です。
とりわけ足が速いというわけではないもののランアフターキャッチの能力に秀でており、チーム内で言えばTE Stephen Andersonが最も近いタイプになるでしょうか。
レシービングセンスも非常に高いと思われますので、Watsonが怪我なくプレイする前提で考えればなかなか面白いパスターゲットになれるかもしれません。

またモックドラフトの記事でも触れた通り、チームは昨年までのオフェンスからスキームを変更することを明らかにしています。
そして恐らくAkinsの指名は予想していた通り、よりウエストコースト色の強いパスオフェンスを導入しようとしていることの表れなのでしょう。
本来であればサブパッケージ要員たるAkinsがオフェンスのキーマンになる可能性も十分考えられます。




Justin Rex - Daily Toreador.com
Photo : Justin Rex - Daily Toreador.com
- 4巡 3位 指名 -
#16 WR KeKe Coutee
( 5-10 / 180 / Texas Tech )

上手く行けば即戦力級の選手を指名できる可能性を持っている貴重な4巡指名権ですが、チームはここでもディフェンスの強化へ舵を切ることはなく、それよりも先に層の薄かったWR陣のテコ入れに着手しました。

指名されたWR KeKe CouteeのフルネームはKey’vantanie Coutee、生まれも育ちもテキサスの地元選手です。
2017年シーズンはレシーブ93回に1,429ヤード獲得、10TDをマークとスタッツ的には申し分ない働きを見せ、更にスペシャルチームでもリターン10回315ヤード、1TDとプレイメーカーぶりを発揮しました。

爆発力あるプレイが魅力のCouteeですが、恐らくTexansでは第3WRとして主にスロットでプレイするでしょう。
またクイックなパスからのランアフターキャッチでビッグゲインを奪うことを得意としていますので、チームがウエストコーストスタイルのオフェンスにより重きをおくのであれば戦術的にも非常にフィットした指名だと思います。
まさにGaine GMが就任会見の際に触れていた「スペースを有効活用する」という言葉通りで、近い将来にオフェンスのキーマンとして大きな役割を任されることになるはずです。

ただしカレッジ時代はシンプルなパスルートを走ることが多く、プロスタイルの複雑なオフェンスに慣れるまで少し時間が掛かるのではないかと個人的には見ています。
アナリストの間ではWR Tyler Lockett ( SEA ) が最も近いタイプの選手として評する声が多いですが、Lockettのプロ入り当時とCouteeのルートランニングの技術には雲泥の差がありますので、恐らくLockettほど輝かしいルーキーイヤーを送るのは難しいでしょう。
ましてや昨季に3番手を務めたWR Bruce Ellingtonが今年はまだロスターにいるのですから、特にシーズン序盤はスペシャルチームでの起用を中心に、少しづつWRとしてプレイする機会を模索することになると思います。
まずはホームランヒッターとしてピンポイントで代打出場しつつ、チームの信頼を勝ち取るところからのスタートといった感じでしょうか。




Jeremy Brevard - USA TODAY Sports
Photo : Jeremy Brevard - USA TODAY Sports
- 6巡 3位 指名 -
#53 OLB/DE Duke Ejiofor
( 6-3 / 265 / Wake Forest )

3つある6巡指名権最初のピックは、早くも方々から"スティール"と言われているOLB Duke Ejiofor。
ちなみに少し読み辛い名前ですが、公式サイトによると発音は「Ejiofor = “EDGE-eh-for”」だそう。
そしてEjioforもまたテキサス州ヒューストン生まれという生粋の地元出身選手です。

Ejioforは肩の怪我でスリップしたものの、本来であればドラフト100位以内 ( つまり3巡下位~4巡上位辺り ) で指名されてもおかしくはないだろうと言われていた選手で、例えばSports Illustratedでは今年の全ドラフト候補生を対象とした番付で65位と評価するなど、メディアから見ても期待値はまずまず高いようです。
またカレッジではキャリアトータルで23.5サックを記録と同校史上3番目の好成績を残しましたが、2017年シーズンは怪我の影響もあったため、キャリアハイは2016年シーズンの10.5サック、17TFL。
もし無事怪我なくシーズンを過ごすことができれば非常に頼もしいローテーション要員になれそうですが、逆に怪我に泣くようだと6巡指名というバリュー以上の働きは期待できないかもしれません。

プレイスタイルとしては3-4OLBも4-3DEもこなせるハイブリッドタイプで、恐らくはOLB/DE Ufomba Kamamluに代わるOLB/DE Jadeveon Clowneyのバックアッパーとして重用されるでしょう。
加えてスペシャルチーマーとしても貢献できるかどうかがキャリア序盤のスナップ数に大きな影響を与えるかと思いますが、かつて40ヤード走を4.53秒で走ったという記録もあるそうですので、そこは心配するに及ばずかもしれません。




Mark J. Rebilas - USA TODAY Sports
Photo : Mark J. Rebilas - USA TODAY Sports
- 6巡 37位 指名 -
#58 LB Peter Kalambayi
( 6-2 / 250 / Stanford )

続いて指名されたのはまたしてもOLBですが、こちらは3-4のスキームにおいてはILBに分類されるでしょうか。
フルネームはPeter Mukeba Kalambayi、ノースカロライナ出身のアスリート型LBです。
Reidと同じくStanfordからのピックとなりますが、Kalambayiは2016年と2017年の2シーズンでチームキャプテンを務めた実績を持ち、またOT Kendall Lammとは高校時代のチームメイトなのだとか。

他の指名された選手と比べるととりわけ大きなステータスを持っているわけではないのですが、やはりチームは全体としてスピードアップを図ろうとしているのか、Kalambayiもまた40ヤード走を4.57秒で走るなど快足を武器としている選手です。
主な役割はスペシャルチームでしょうが、時にニッケル隊形時などのサブパッケージプレイヤーとしてスナップ機会を得られるかどうかがキャリア成功の鍵になるでしょう。
チェックダウンのパス、すなわちRBやスロットのWR/TEを相手にパスカバーを期待できるようであれば多くの出場機会が得られるかもしれません。
加えてブリッツで結果を残すことも非常に重要で、ILB Benardrick McKinneyらがシーズンを通してパフォーマンスを維持するためにもKalambayiの活躍は必要なことです。




Kelly Price - MSU Athletics
Photo : Kelly Price - MSU Athletics
- 6巡 40位 指名 -
#83 TE/WR Jordan Thomas
( 6-6 / 265 / Mississippi State )

LB2枚抜きの後はまたしてもTEを指名。
ここまでの指名を振り返るとGaine GMは同じポジションや同じカレッジからの指名を立て続けに行う傾向が見られますが、ドラフト前にはマイナー校の選手も含め非常に幅広くアンテナを広げていた上でこのピックなのですから、恐らくGaine GMなりの拘り、基準があってのことなのでしょう。
ただしここで指名されたTE Jordan ThomasはAkinsとは全く異なるタイプの選手で、大きく分けるならインライン向きのY-TEです。

2017年シーズンは僅かレシーブ20回227ヤード、3TDを記録しただけで、身体能力的にも特別突き抜けたものを持っている選手ではありません。
しかしそのサイズに対して40ヤード走4.74秒というのはTEとしてはまずまずで、レッドゾーンオフェンスではミスマッチメーカーとしての役割を期待されることになるでしょう。
カレッジでは時にWRとしてもプレイした経験がありますので、プロでもシチュエーションによってはワイドアウトでセットする可能性がありそうです。
またブロッカーとしてランゲームにも貢献できればTE Ryan Griffinの負担軽減にも繋がるだろうと思います。
戦力として計算が立つまでは少し時間が必要かもしれませんが、エッセンスとして加える分には面白い存在になるかもしれません。




Tim Warner - Getty Images
Photo : Tim Warner - Getty Images
- 7巡 4位 指名 -
#35 CB Jermaine Kelly jr.
( 6-1 / 195 / San Jose State )

今年最後の指名となったのは、意外にもあれだけ上位で指名すべきニーズとして挙げられていたCBでした。
とは言っても他のポジションも軽視できる状態ではなかったので、こればかりは当日の流れと読みの影響もあったのでしょう。

そして指名されたCB Jermaine Kellyは主にバウンダリーコーナーとしてプレイしてきましたが、プレイスタイルとしてはCBだけでなくSもこなせるタイプの選手です。
スモールスクール出身ということもありどこまで期待して良いのかは分かりかねますが、普通に考えればスペシャルチーマーとして貢献できれば御の字、それ以上の結果を残せればバリューピックだったという判断でも良かろうかと思います。

ちなみにスモールスクールとは言いつつもチームにはOT/OG David Quessenberry、RB Tyler Ervinがいるため、San Jose Stateからドラフト指名した選手はこれで3人目になります。
ただこの両者がチームの期待には応えられていないのは明白で、それでもなお同校から選手を指名したのですから、素人目には分からない魅力が何かしらあるのでしょう。
とりあえず今年はロスター入りを目指して、まずプレシーズンで自分が何者であるのか証明するところからです。




ということで非常にざっくりとですが、こんなところで2018年ドラフトの総括は以上としたいと思います。

また本来ならこの記事に加えてUDFAの選手の特集や、おまけとして来年のドラフトのニーズの絞り込み等もやりたかったのですが、ここのところ想像していた以上にプライベートの時間が取れません。
このままではいつやれるか分かりませんので、正直不本意ではありますが、以前からお伝えしていた通り今回の記事をもって当ブログを休止したいと思います。
運が良ければ最速で来年のオフシーズン頃、最悪数年先になるでしょうが、いずれまたブログは再開したいと考えておりますので、復帰した際にはまたどうぞ宜しくお願い致します。

そしてたった2年半ではありましたが、当ブログをご覧いただき本当にありがとうございました。
拙い記事ではありましたが、個人的には使える時間の中で精一杯やってきたつもりです。
言葉や表現のボキャブラリーが少なく、なかなか伝えたいことが上手く伝えられず苦戦した時もありましたが、読んでいる方に少しでもNFLの面白さ、魅力、Texansというチームに対する想いが伝わっていれば嬉しいです。
次お会いする時にはより質の高い、かつ"最近になってNFLを見始めた"という人にとっても敷居の低いフレンドリーな記事を書けたらと思います。

ということで皆様またお会いしましょう。
See you !!


2018.5.30

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