Brett Coomer - Houston Chronicle - 3 - 1024x1024
Photo : Brett Coomer - Houston Chronicle


レギュラーシーズン第17週は同地区ライバルのTennessee Titansと試合が行われました。
この試合に勝てればBill O'Braienヘッドコーチ政権初の10勝、そして球団記録となる同地区対決全勝が狙える一方、次週は中5日でワイルドカードプレイオフとなるため、どこまで先発選手を起用すべきか非常に悩みどころの多い試合でもありました。
また同時にQB Tom Savageが先発起用されてから初めてのロードゲームということもあり、チームとしてはSavageでどこまでできるのかを見定めることが最大のポイントであったろうと思います。

しかし試合結果は17-24で敗戦、しかもSavageが試合前半に脳震盪で離脱するというこれ以上ない最悪のシナリオで幕を閉じました。

まずSavageは最初のドライブでサックを浴び、こぼしたボールをそのままエンドゾーンでDT DaQuan Jonesに確保されファンブルリカバーTDをいきなり献上してしまいます。
その後も拙攻が続きましたが、プレイコーラーをGeorge GodseyからO'Braienに変更後はオフェンスラインのプロテクションがある程度持つようになったこともありようやくボールが進み始めるも、4thダウン残り1ヤードの場面で試みたQBスニークでSavageがまさかの脳震盪。
一度ロッカールームへ下がりこの時は脳震盪のテストをクリアするものの、ハーフタイムで再び検査したところやはり脳震盪の症状が確認されるということで、結局はそのままサイドラインから試合を見守ることになりました。

代わりに途中から出場したQB Brock Osweilerも奮闘は見せるものの、3rd&18の場面で1~2ヤードのパスを投げるなど意味の分からないクォータバッキングで限界を露呈し、プレイオフを前に早くもチームの士気が下がりかねない状況に危機感すら感じさせます。
0-14で始まった試合後半ではOT Duane Brownをベンチに下げOT Kendall LammがLTに入るなど、チームがプレシーズン同様若手育成のための機会として完璧にスイッチしていましたが、これはOsweilerで勝ちに行くことよりも先発陣の怪我を避けたことを優先した結果でしょう。
それはすなわちチームがOsweilerにもう期待していないということとイコールとも言え、来季にはどう扱うつもりなのか分かりませんが、チームとしては非常にまずい状況にあることは否定できません。

またオフェンス陣が足踏みをしている間に若手中心で構成されたディフェンス陣は集中力を切らしたのか、試合が終盤へ向かうにつれ動きが悪くなっていったようにも見受けられます。
最終的には今季の平均得点である17点をマークするものの、結局一度として試合をリードすることもなければ内容も乏しいという、ファンとしては最後まで観るのも辛い退屈なものでした。

ということで嘆き始めたらキリがないのですが、とりあえずはこの試合を欠場した選手を一度確認してから、改めて試合を詳しく振り返って行きたいと思います。




< Inactive List >

Tennessee Titans Houston Texans
WR Kendall Wright
QB Brandon Weeden
TE Jace Amaro RB Lamar Miller
OG Sebastian Tretola FB Jay Prosch
DT Angelo Blackson LB/DE Jadeveon Clowney
OLB David Bass OLB John Simon
CB Jason McCourty ILB Brian Cushing
CB Curtis Riley CB Johnathan Joseph


まずTexansですが、リストを見れば分かる通りQB Brandon Weedenを除く先発6選手がこの試合を欠場しました。
やはりプレイオフ目前ということを考えればこの処置は妥当な判断ですが、この中には来季にはチームから放出されているであろう選手も含まれていることを考えると、若手の選手を中心に試合に臨めたということ自体はチームにとって大きなプラスだったのではないかと思います。
またオフェンスはRB Lamar MillerとFB Jay Proschの欠場により、いかにこの2人によってランオフェンスが支えられているかを改めて実感する試合内容でした。
そしてフロントセブンはバックアップ中心ながらも若手の健闘によりまずまずの印象でしたが、セカンダリーには若さ故の良いところと悪いところの両面を垣間見た気がします。

対するTaitansはCB Jason McCourtyが欠場しセカンダリーの状況は良くなかったと思いますが、TexansとしてはMcCourty不在の影響を感じられなかったことが非常に残念でなりません。
またWR Kendall Wrightを欠場させるなどTaitansも来季を見据えた布陣を試しており、お互いにとって勝ち負けよりもほぼ試験的な意味合いの強い試合であったように思います。




Brett Coomer - Houston Chronicle - 5 - 1024x1024
Photo : Brett Coomer - Houston Chronicle
1. 完全に泥沼、抜け出せない負のスパイラル


もはや口に出すまでもないことですが、Savageが脳震盪で離脱したことにより一層QB問題が混迷しました。
この試合でSavageのパスは8回中5回成功に25ヤード獲得と内容は悪かったですが、スロースターターなタイプのSavageは試合トータルで見ないと判断の付けづらいQBである以上、試合序盤でサイドラインに下がってしまったことはこれ以上ないほど最悪の事態と言えます。
また数少ない機会を棒に振ってしまったことで、仮に今季のプレイオフ中のどこかで復帰し結果を残したとしても、"このまま来季もSavageにチャンスを与えるべきかどうか"というチームが一番確認したかったことをできないままシーズンが終わることでしょう。
今のところSavageはパスプロテクションがある程度機能しているときにはしっかり投げることができていますが、ややプレッシャーに晒され過ぎているせいか消極的なパスも多く、この分ですと余程のことがない限りチームがSavageを信用して2017年のシーズンを託すことはないと思います。
今現在はNFLの定める脳震盪プロトコルをクリアすることを待つのみですが、少なくとも今週のプレイオフ初戦では欠場することがすでに決定しており、Savageがアピールできる機会はほぼゼロに等しいと言っても過言ではありません。

そして試合途中からスナップを受けたOsweilerはパス40回中21回成功に253ヤード獲得、パスとランで1TDずつを記録する一方ターンオーバーなしと、ここ最近では一番の出来栄えでした。
また今季のキャンプ開始時点から先発待遇であっただけあってテンポだけは良かったのですが、それでも投げたパスのほぼ全てがターンボール、しかもディフェンスがインターセプトをし損なっただけの運の良いパスが最低でも4回はありました。
更に上記でも述べたように、3rd&18のシチュエーションではなぜか1ヤードや2ヤード付近にいるレシーバーにパスを投げ、しかも"惜しい"と言わんばかりの顔をしているのがOsweilerのQBとしての限界を感じさせてしまいます。
相変わらずアウトサイドのレシーバーにもパスを供給できず、パスのヤーデージが伸びたのはWR DeAndre Hopkinsのランアフターキャッチが優れていたというだけであり、パスの成功率が約50%超という結果が全てを指し示していると思います。

ちなみにHopkinsはこの試合でキャッチ7回123ヤード獲得 ( 1レシーブ平均17.6ヤード ) に1TDと、第2週のKansas City Chiefs戦以来のレシーブ100ヤード越えをマークできたことがこの試合唯一のポジティブな内容かもしれません。

Rick Smith GMとしては今季を"プレイブック習得のための1年"として位置付けているのかもしれませんが、Osweilerにこのままチャンスを与えても成長する気配は今のところありません。
またしつこいようですが、OsweilerはそもそもO'Braienと一度も面会することなく勝手にSmithが長期契約してしまっただけであり、コーチ陣がこの惨状を生んだわけではありません。
Osweiler獲得後にはオーナーと2020年までの契約延長を締結させたSmithを今後どうするつもりなのかは分かりませんが、今年のドラフトではQBが不作とされるものの、もう1巡や2巡の上位指名権を使ってでもQBの補強に動かざるを得ないのは明白でしょう。
そしてO'Braien政権になってから一度としてシーズンを通して先発できたQBがいないことからも、今年のオフシーズンもQB論争が話題の中心になることは間違いありません。




Brett Coomer - Houston Chronicle - 2 - 1024x1024
Photo : Brett Coomer - Houston Chronicle
2. オフェンスラインに復調の兆しなし


ここ数試合でオフェンスが特に苦労している要因は何もQBだけではなく、やはりオフェンスラインの出来の悪さは切っても切り離せない問題だと思います。
この試合でもRB Alfred Blueのランを軸にオフェンスを構成していましたが、1stダウンで2~3ヤードを取るものの、2ndダウンではノーゲインもしくは-1~2ヤード下がるを繰り返し、結果3rdダウンで残るのはロングパスが必要とされるシチュエーションばかりです。
またプレイアクションなどを挟んでみてもオフェンスラインが簡単に押し負けるため、相手のディフェンスは結局前に突っ込めばランもパスも潰せてしまうという最悪の悪循環に陥ってしまっています。
せめてカットブロックなどを使って一瞬でもタイミングをずらそうという試みがなされているのなら良いのですが、Mike DevlinがOLコーチに就任してからそういう動きを見せたのは昨年のプレイオフでのKansas City Chiefs戦くらいなものです。

ユニットの中で特に足を引っ張っているのがOG Xavier Su'a-FiloとOG Jeff Allenですが、この両名はそれぞれにドラフト2巡指名権と4年28Mの契約という大きな投資を行っており、逆に今季一番ユニットの核として貢献しているのが昨年のUDFAで加入したC Greg Manczです。
こうなってくると問題があるのはコーチングだけなのか、或いは人材選びなのかはっきりさせるのは難しいですが、少なくとも来季にはドラフト2巡指名したC Nick Martinが戦列復帰します。
そのため人材としてはこの上ない選手であるMartinでさえも精彩を欠くようであれば、それはもう単純にDevlin がOLコーチとしての能力に欠けるということで間違いないのでしょう。
逆にMartinがポテンシャル通りに活躍できるようであれば、Manczの件と含めて人材選びの方により大きな問題があるということになりますので、それはすなわちコーチ陣とワークアウトをする前にAllenと契約を結んでしまったり、Su'a-Filoをドラフト指名したSmith GMに全ての原因があるということです。

少し話が脱線してしまいましたが、いずれにしても今すぐどうにかできる問題でないことは重々承知しているものの、それにしても何か策はないのかと毎試合疑問に感じているのは私だけではないでしょう。
オフェンスの停滞及びオフェンスラインの苦戦続きの要因は、やはりプレイコールやそもそものゲームプランの質の悪さにもあると思います。
通常オフェンスラインが簡単に押し負けると判断される場合、スクリーンパスやピッチのランなど外へプレイを展開することで打開を図るものなのですが、どういうわけかGodseyはそういうプレイを一切プランに組み込まず毎試合同じパターンで手詰まりになってしまっています。
パスを中心にボールを進められているときはドローやディレイのランで上手くバランスを取れている印象はありますが、ランベースのオフェンスになるとひたすらダイブしかコールせず、またRB Akeem Huntをはじめ多種多様なRB陣の長所を全く活かせていません。
2016年ドラフトで4巡指名したRB Tyler Ervinも本来はリターナー以上にランナーとして、或いはレシーバーとしての非凡な才能を持っているのですが、今季はキャリー1回3ヤードにレシーブ3回18ヤードに留まる成績で、これでは何のためにドラフトしたのか意味が分かりません。
プレイオフではエースであるL.Millerが戦列復帰しますが、L.Millerの個人技に全てを任せきっているようではGodseyの首は間違いなく飛ぶでしょう。




temp_1MW9972--nfl_mezz_1280_1024
Photo : Brett Coomer - Houston Chronicle
3. 評価を上げた若手選手たち


この試合では特に後半戦がプレシーズンさながらの陣容であったため、若手選手らの現在の成長具合を確かめるにはちょうど良い機会となりました。
特に目立った活躍をしていたのがDE Joel HeathとDE Ufomba Kamalu、DT Christian Covington、DT D.J. ReaderのDLユニットでしょうか。
HeathはUDFAで加入したルーキーですが、試合を通して相手のオフェンスラインを押し込んでいただけでなく、この試合で2サックをあげる活躍を果たしました。
その背景にはQB Matt Casselの球離れが悪かったこともあるのですが、それでもコンスタントにプレッシャーを掛けることができていたのは来季に向けての大きなプラス材料です。

また同じくUDFAで加入したルーキーのKamaluもようやく1サックを記録、更に今季はほとんどインパクトを残せていなかったCovingtonも久しぶりに1サックを決め、この3人だけで合計4サックを荒稼ぎしました。
Covingtonは序盤でもパスディフレクトをするなど、地味ながらも要所要所で印象的なプレイを見せていた印象があります。

Readerに関してはこの試合に限らずスクリメージを支配しており、このまま順調に成長して行けば来季の今頃にはチームの中心的選手になっている可能性もあるでしょう。
つい先日にNT Vince Wilforkが引退を検討している旨をメディアに公表したことからも、Readerのプレイタイムは一層増えて行くことになると思われます。

次点では、LammやWR Wendall Williamsも悪くはなかったと思います。
Lammは試合後半からBrownに代わってLTとしてプレイしていましたが、相手ラッシャーが本気でパスラッシュを仕掛けていなかったようにも見えるものの、OT Chris Clarkよりは良いパスプロテクションを見せていたと思います。
またランブロックに関しては十分プレイオフでも貢献できるだけのものはあると思いますので、そろそろLammをClarkからリプレイスしてみても良いかもしれません。
とは言えLammがそのまま来季の先発候補に名を連ねるかというとまた話は別になりますが、かつてのOT Derek Newtonのようにチャンスを与え続けることで才能が開花する可能性もゼロではなさそうに感じますので、まずは機会を与えるところから始めるべきでしょう。

Williamsも数少ない機会の中でキャッチ2回ながらも41ヤードをマークし、ここのところミドルパスでは存在感のあるレシーバーとして貢献しています。
そしてWilliamsはスピードだけならWR Will Fuller Vよりもありますので、プレイオフではスクリーンやジェットスウィープなどあらゆるプレイにおいてキーマンになる可能性を秘めていますが、Williamsとって当面の課題はどこまでコーチ陣から信用を得られるかという点になるでしょうか。

最後にもう1人名を挙げるとすれば、やはりOLB Brennan Scarlettは外せないと思います。
この試合でもタックルフォーロスを決めるなどローテーション要員としては勿体ないほどの活躍ぶりで、もしプレイオフでもOLB John Simonからプレイタイムを奪うような活躍ができるならば、サラリーキャップに余裕のない今オフではSimonとの再契約をあえて見送る可能性も生まれるかもしれません。




Brett Coomer - Houston Chronicle - 7 - 1024x1024
Photo : Brett Coomer - Houston Chronicle
4. 評価を下げた若手選手たち


せっかくプレイする機会を得たものの、何人かの選手はチャンスを無駄にしてしまったようです。
まず最初に挙げたいのはCB Robert Nelson jr.とDB Denzel Riceの2人です。
Nelsonはもともと昨季にチームと練習生として契約するまではジャーニーマンだった選手ですが、今季は素晴らしいマンツーマンカバーでCB Johnatan Josephの穴を感じさせないプレイが高く評価されていました。
しかしまだまだ若いNelsonは度々集中力を切らす傾向があり、特に反則によってペナルティーを貰った後や、チームが劣勢且つ逆転の可能性が低いときは著しくパフォーマンスにムラが出ます。
気持ちが乗っているときはリーグでも上位クラスのプレイを見せるだけあって非常に勿体ないのですが、もし来季も精神的に成長が見られないようであれば新しい契約を提示されることはないでしょう。
代わりにチームはNelsonの放出によって得られるであろうドラフト補償指名権で新しく選手を指名するだけです。

またRiceもこの試合では大きな穴となりアピールに失敗しました。
しかしRiceの場合はアクティブロスターへ登録されてから約1ヶ月が経ちますが、試合後半にCB A.J. Bouyeが怪我で下がるまではプレイタイムを得られなかったように、コーチ陣も初めからCBとして期待していなかったのかもしれません。
スペシャルチーマーとしてはそこそこ活躍をしていただけに残念ではありますが、タックルの技術は決して悪くなかったように見受けられましたので、これから先Riceが生き残りを賭けるとしたらSとしてプレイすることになるでしょう。

そしてこの試合で最も期待を裏切られたのはS Andre Halです。
Halは昨季からSにコンバートされた元CBの選手ですが、単純にタックルが甘いだけでなく今季はカバレッジでも苦戦が続いています。
特にここ最近はクリティカルなミスが多く、総合的に見ると先発として起用するには限界を感じさせるシーズンとなっており、もしプレイオフでも悪印象を与えるようだとそろそろ立場も怪しくなってくるでしょう。
ボールホーカーとしてはそれなりに期待できるが故チームも判断が難しいのでしょうが、今年のドラフトではSが豊作となっていますので、恐らくチームもメスを入れることになるだろうと予想します。




ということでこの試合については以上4点で締めたいと思います。
レギュラーシーズン最後の試合としてはSavageの怪我もあって見所が少なくなってしまいましたが、もし言い訳をするのであれば、プレイオフ出場が決まっているからこその余裕であったというところでしょうか。
一旦悪い流れを汲んでしまうとプレイオフでそれがどう影響するのか怖いところでもあるのですが、昨年は試合の流れが決まっても勢いを止めないよう先発選手を起用し続けた結果、不必要な怪我を負った選手もいました。
それを思えば一概に何が正しいとも言えませんし、まずはOLB/DE Jadeveon Clowneyをはじめ多くの若手選手たちが初のプレイオフを経験できるだけでも十分価値があると言えるでしょう。
今季は間違ってもスーパーボウルまで行けるチーム状況ではないと思ってますが、今季に起きたあらゆることが今後のチームの財産になると信じています。

また1シーズンを通して試合前後の記事を書いたのは初めてでしたが、いかがだったでしょうか?
年末に書いたこととも重複しますが、私自身としては改めて引き出しの少なさに気づかされ、まだまだ勉強が必要だと感じさせられました。
プレイオフが続く限り試合に関する記事はまだまだ続きますが、まずは一旦ここでレギュラーシーズンを締めると共に、いつも記事を読んで下さる皆様に感謝を伝えたいと思います。
本当にありがとうございました。

それではまたプレイオフでお会いしましょう。
Go Texans !!


2016.1.5

2016 Season Week17 HOU @ TEN - Preview -
2016 Regular Season Schedule

この記事のトップへ戻る