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Photo : Official Site of the Houston Texans


ついに幕を開けたプレイオフはあっという間にワイルドカードの全4試合が終了し、これより第1・2シード権を獲得したチームを交えて本格的な死闘が始まります。
Texansの初戦の相手は今季絶好調だったOakland Raidersでしたが、Raidersは不幸にもエースQB Derek Carrの離脱によって新人QB Connor Cookに頼らざるを得なかったという状況もあり、案の定危なげない試合運びでTexansが27-14で快勝しました。
これでTexansは2012年シーズン以来のディビジョナルプレイオフへ駒を進めることが決定し、次週はNew England Patriotsのホームで試合が行われます。

まずこの試合の内容としては、立ち上がりのドライブからQB Brock Osweilerがまずまずのパスを見せ敵陣まで攻め入ります。
しかしランブロックに精彩を欠くOLの影響もあるのか、なかなか思ったようにはドライブを展開させて貰えず、オフェンス陣は無得点のままベンチへ下がることに。
しかし返しのRaidersオフェンスをディフェンス陣が1stダウンを与えることなくシャットアウト、更にRaidersのミスパントにも助けられ有利なフィールドポジションを得たTexansが2回目のドライブをフィールドゴールに繋ぎ先制点を挙げることに成功します。

その後の返しのRaidersオフェンスでは、なんとOLB/DE Jadeveon Clowneyがキャリア初のインターセプトをマーク。
敵陣4ヤード時点でボールを受けたオフェンス陣は、そのままRB Lamar Millerのタッチダウンランでスコアを10-0と試合序盤から一気に突き離します。

結局この流れで試合がほぼ決定づいたのか、早々にモメンタムを得たTexansは第1Q終盤にRaidersオフェンスにタッチダウンランを許すものの、前半が終わってみればスコアは20-7。
そして後半は、前半にはほとんど見られなかったIフォーメーションを多用しながらボールコントロールに徹し試合終了。
最終スコアは27-14でしたが、内容的には点差以上の余裕を持って試合をコントロールできたのではないかと思います。

とは言えTexansからしてみれば、この試合が初先発の新人QBを相手に負けるわけにもいかず、当たり前の結果と言ってしまえばそれまででしょう。
むしろCookは限られた練習時間の中でよくここまで仕上げてきたものだと感心させられるパスがいくつかあり、逆にTexansは見習わなければならない部分が多々あったのではないでしょうか。
そしてこの結果をもってレギュラーシーズン第11週の雪辱を果たしたとも言えませんし、チームは浮かれることなくこのまま気を引き締めて次戦に備えて貰えたらと思います。

ということで、今回もまずは欠場者について一度整理をしてから、この試合におけるポイントについて振り返って行きたいと思います。




< Inactive List >

Oakland Raiders Houston Texans
QB Derek Carr QB Tom Savage
OT Donald Penn WR Wendall Williams
OT/OG Vadal Alexander OG Josh Walker
DE Branden Jackson DE Ufomba Kamalu
DE Jihad Ward OLB John Simon
CB Antonio Hamilton ILB Bax Bullough
S Nate Allen CB Denzel Rice


まずTexansはQB Tom Savageが脳震盪プロトコルを消化中だったため試合を欠場し、バックアップをQB Brandon Weedenが務めました。
ちなみにこの試合でOsweilerがターンオーバーなしの手堅いパフォーマンスでチームを勝利に導いたことにより、チームはすでに次週もOsweilerを先発起用する見込みであることを明言しています。

Savageはポテンシャルはあると評されるもののキャリアを通して不幸な怪我が多く、またしても"ツキ"に見放される格好でチャンスを失いました。
来季でプロ4年目となるSavageに改めてアピールの機会が訪れるのかどうかは分かりませんが、普通に考えれば"タイムオーバー"と言わざるを得ないと思います。
個人的にはSavageを今季の先発として起用していれば違う未来もあったのではないかと思っていますが、運も実力の内と言うのであれば仕方のないことでしょう。
しかしそれでもOsweilerが引き続きチームを納得させられるパフォーマンスを見せられなければ、来季の先発QB争いは白紙に戻ったも同然です。
状況が状況のため完璧にノーチャンスと決まったわけではない以上、どうか腐らずに努力を続けて欲しいと思います。

少し話が逸れましたが、他ではWR Wendall Williamsを欠場させたことについてやや疑問に感じました。
ただでさえレシーバーが少ないということももちろん理由の1つなのですが、何よりリターンゲームにおいてRB/KR Tyler Ervinが良いリターンを見せる一方で度々ボールをこぼしており、下手をすれば試合の流れが変わってしまっていた可能性もゼロとは言えなかったと思います。
それでも試合途中でErvinを下げなかったことを考えるとコーチはErvinの成長を促したかったのかもしれませんが、能力的には大きな差のないWilliamsにチャンスを与えても良かったのではないでしょうか。

また胸部を痛め週の初めから欠場の見込みだったOLB John Simonを除いては妥当と言える面々ですが、ILB Bax Bulloughがこの重要な局面においてローテーションから外されました。
もしかしたらガンナーとしての能力を優先した結果なのかもしれませんが、本来5番手登録とされているILB Akeem Dentにスナップの機会を奪われてしまっているようではこの先厳しいかもしれません。

対するRaidersはOT Donald Pennの欠場がとにかく響きました。
Pennの代わりに入ったOT Menelik WatsonではさすがにClowneyらを止めきることができず、ただでさえ状況的に厳しいCookのサポートを全うすることは叶いませんでした。
その他の欠場者についてはどこまで試合に影響を与えたかは定かではありませんが、CarrとPennの不在こそが全てと言える試合だったと思います。




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Photo : Official Site of the Houston Texans
1. チームを牽引したフロントセブン


この試合ほどフロントセブンの有難みを感じた試合もないでしょう。
まず今年のプロボウルにも選ばれたClowneyは、トータルで1タックルに1INTとスタッツは一見そこまで良くないように見えますが、圧倒的なスピードとパワーでオフェンスラインを翻弄し何度も何度もCookにプレッシャーを与えました。
Clowneyは元ドラフト全体1位指名の選手のためスタッツだけを見て"バスト"と非難されがちですが、この試合を最後まで観た人であればClowneyの価値は数字で測れないことが分かるかと思います。
また記録した1タックルはタックルフォーロス、バトルパスも1回記録しています。
そしてOLB Whiteny Mercilusもトータルで7タックルに2サック、タックルフォーロスも3回とClowneyのインパクトに勝るとも劣らない大活躍でした。

しかしここまではある意味想定内の活躍ですが、この他にもNT D.J. Readerの1サックをはじめ多くの若手選手たちがRaidersのOL相手に躍動していたのは大きな収穫と言えるのではないでしょうか。
今季2年目のDT Christian Covingtonも段々と調子を上げてきましたが、やはり特筆すべきはUDFAにしてルーキーのDE Joel Heathで、プレイオフという大舞台で臆することなく何度もインパクトあるプレイを見せていました。
こうして同時に複数人の若手が台頭してきたことによって今季はDLのローテーションが頻繁に行われていますが、おかげで選手たちはスタミナを気にすることなく毎プレイ全力を出せる環境にあり、それが更なる成長のインフレを起こしているのではないかと思います。

またこのローテーションの恩恵を受けているのはDLに限らずLB陣にも言えることでしょう。
中でもILB Brian Cushingはラインの成長に合わせてパフォーマンスの質を上げてきていますが、これはLBが相手OLのブロックを受けることなく動けている証拠だろうと思います。
この試合でもNT Vince WilforkとReaderが相手OLのダブルチームを処理していたからこそランオフェンスを封じることができました。
あとはこのフロントセブンがこの先のプレイオフでどこまで通用するかが勝敗を分けるだろうと見ていますが、もし次週のPatriots戦でも結果を残せればアップセットを引き起こせるかもしれません。




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Photo : Official Site of the Houston Texans
2. パスオフェンスは及第点


上記でも何度か触れましたが、この試合でのOsweilerのパフォーマンスは客観的に見ても悪いものではなかったと思います。
久しぶりにインターセプトやファンブルロストなどのターンオーバーもなく、また何より驚いたのはレシーバー陣にしっかりリードボールを投げれていたことです。
普段はとにかくターンボールばかりでレシーバー陣は捕りづらそうにしていましたが、度々1stターゲットがワイドオープンだったこともあってか試合を通して安定したパスを投げれていたと思います。
そして今季最も頭を悩ませたサイドライン際のパスも、WR DeAndre Hopkinsに38ヤードのロングパスをヒットさせるなどタッチの良いパスが見られました。
これができるなら最初からやって欲しいものですが、とりあえずはこうして成功経験を重ねることによって少しでもOsweilerの成長に繋がれば今はそれで十分というものです。

またこの試合ではRaidersのフロントセブンを相手に一度もサックを許しませんでしたが、これはOLのパスプロテクションがそれなりに良かったということとL.Millerのブリッツピックがあったということ以上に、Osweilerのポケットワークやスクランブルの判断がそもそも良かったのだと思います。
これは年間を通して先発していたからこそポケットの持ち具合やスペースのできやすいところを把握できていたのでしょう。
こればかりは経験の賜物としか言えませんし、素直にOsweilerを褒めるべきところではないかと思います。

とは言えパス25回中14回の成功に168ヤード獲得という成績を見ても分かる通り、あくまでもこの試合での評価は"及第点"の域を出ないのも事実です。
いくら試合後半はボールコントロールさえしていれば良い展開だったとは言え、エクスチェンジミスでファンブルロスト寸前のプレイがあったりとコーチ陣の信頼を確実に得たとは言い難いと思います。
それにパスとQBスクランブルで計2TDを記録したことは良かったですが、毎試合のようにそう何度もディフェンスが敵陣深くでターンオーバーを奪えることはありませんし、ましてや一度として劣勢にならなかったこの試合では本当に成長したのかどうかは分からないでしょう。
まずは自陣深くからのロングドライブでも得点に結びつけること、そしてこの試合で見せたリードボールやロブパスを当たり前にできるようになって初めてスタートラインに立つことができます。
そしてフランチャイズQBたる資格を得られるのは、次週のPatriots戦のようなビッグゲームをものにしてこそです。
現状Osweilerのパフォーマンスの良し悪しはくじ引きのような水物ですから、これ以上のことは次週の試合を観てから改めて考えて行きましょう。




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Photo : Official Site of the Houston Texans
3. 最大の課題はランブロックか?


パスプロテクションが予想以上に改善されていたことでOL陣を称賛する声も少なくありませんが、それでも試合を通してラン44回に123ヤード ( 1キャリー平均2.8ヤード ) という成績はあまりにも物足りないと思います。
特にエースランナーであるL.Millerは19ヤードのロングランと1TDを記録した一方、31回のキャリーでたったの73ヤード ( 1キャリー平均2.4ヤード ) しか稼ぎ出すことが出来ていません。
これは単純にRaidersディフェンスが良かったことだけでなく、OLがユニットとして完成していない影響からくるものだろうと思いますが、ここのところはTE陣のブロックも併せてチーム全体として精彩を欠き続けている印象です。

しかしC Greg Manczが試合序盤のパスプロテクションでパンケーキ ( 青天 ) されていたことを見ても分かる通り、精彩を欠く原因はそもそもOLの絶対的なパワー不足にありますが、チームはそれと引き替えに足を優先させた機動力重視のユニットを編成しています。
つまりOLははじめからゾーンブロック向きの選手で揃えているため、無闇矢鱈にダイブやパワーランばかりコールしていても結果が出ないのは当たり前と言えば当たり前なわけです。
従ってランオフェンス改善のカギは選手個々のパフォーマンス以上に、選手の長所を消してしまっているプレイコールの方に問題があるだろうと個人的には考えています。

ランゲームのプランを立てる際にはOCが全て独自に決めているのか、それともOLコーチの意見も踏まえた上で決めているのかは定かではありませんが、O'Braienがプレイコールのテコ入れに徹底したレギュラーシーズン第4週のTennessee Titans戦ではアウトサイドゾーンを多用しました。
また更に言ってしまえばO'BraienがHCに就任した初年度はOCが不在で、ゲームプランはO'Braienが中心となって細部まで決めていましたが、この年は前任のGary Kubiakに勝るとも劣らないほどゾーンブロックをランオフェンスの軸としていました。
それが年を重ねるごとにパワーブロック寄りになってきているのですが、本来控えのOT Chris Clarkを除けば明らかにスキームに合っていないユニットだろうと思います。

もしOLコーチのMike Devlinがゾーンよりもパワーブロック主体でやりたいと考えているのなら今季中のアジャストには無理があるでしょうが、逆にGeorge Godsey OCが無策なだけならば取り返せる余地はあるでしょう。
また次戦のPatriots戦は今季ベストのパフォーマンスを出し切ってようやくスタートラインに立てるのだろうと思いますが、この結果を受けO'Braienがどう手を加えるつもりなのか期待したいところです。




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Photo : Official Site of the Houston Texans
4. ついに居場所を見つけたジャーニーマン


この試合では比較的優位なフィールドポジションで試合を展開できたことが大きなアドバンテージとなりましたが、中でもS Don Jonesはカバーチームにおいてキープレイヤーとなっています。
以前にも取り上げたことがあるのでJonesがどれだけチームに貢献しているかは周知の通りかと思いますが、この試合でも度々リターナーを的確に仕留めるタックルを見せただけでなく、プレイに絡んでいない時でも常に良いポジション取りで周囲をサポートしています。
逆にJonesが試合を欠場したレギュラーシーズン第15週のJacksonville Jaguars戦では100ヤードのキックオフリターンを許したように、Jonesがいるかいないかだけで最早チーム全体に大きな影響を及ぼすことは誰しもが気づいているのではないでしょうか。

Texansはここ数年キッキングゲームに悩まされており、それは今季も変わりませんが、元々10月の後半にチームと契約するまではジャーニーマンだったJonesにとって、この苦しいチーム環境の中で自分の役割を見つけられたことはキャリアの分岐点になったと思います。
それでもチームとは単年契約のため来季も戻って来れるかは分かりかねますが、仮にチームから放出されたとしてもJonesに席を用意しようと考えるチームが現れる可能性は十分にあるでしょう。
個人的にはできれば来季もチームに帯同して欲しいですが、まずは次週のPatriots戦でもJonesにスポットライトが当たることに期待です。




ということで以上4点から試合を振り返ってみました。
この試合はRaidersファンの方にとっては心に傷を負いかねないほどタフなものになってしまいましたが、Texansもかつてチームが上り調子のときにQB Matt SchaubがCarrと同じように足の骨を骨折し、期待されたポストシーズンはワイルドカードこそ突破したものの、それ以上のものは何も得られずにシーズンに幕を下ろしました。
あの時の何とも言えない気持ちは私も経験しましたが、翌年には再びSchaubがフィールドに舞い戻り、極めて短い栄光ながらも"強いTexans"の時代を築きました。
当時のSchaubよりも圧倒的に若いCarrであれば必ず完治した状態でチームに戻ってくることは明らかですし、恐らくこれから"強いRaiders"の時代を築くことは間違いないと思います。
逆にTexansが来年もプレイオフへ出れるかどうかの方が余程怪しいですが ( 笑 ) 、再びプレイオフの舞台でCarr率いるRaidersと試合ができることを心から祈っています。

なんだか良い感じにまとめようとして失敗した感が強いですが、とりあえず次週のPatriots戦のプレビューは試合前日の14日 ( 土 ) の昼頃になるかと思います。
正直勝てるかどうかの話をすると胃が痛くなる思いですが、まずは少しでも長くTexansの試合が観れることを楽しみましょう。


2017.1.11

2016 Season Wild Card HOU @ OAK - Preview -
2016 Post Season Schedule

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