みなみらんぼう作詞・作曲

 ふと頭の中でリフレインしてしまう歌がある。最近は「山口さんちのツトム君」がそれだ。
 この歌にはちょっと謎がある。ツトム君は最近、元気がないが、それは何故か。子供の視点から描写されているため表面的なことしかわからない。
「田舎へ行ってたママが 帰ってきたら たちまち元気に なっちゃって」というのが謎の答だが、ママはなんのために田舎へ行ってたのか、という謎が残る。お盆で実家へ帰っていたのか。イチゴのおみやげもあるし。だがそれならツトム君も連れていくのでは? 夫婦喧嘩をして実家へ帰ってしまい、仲直りしたので戻ってきたのか。これならツトム君が元気がなかったこともわかる。あるいはママが出産のため里帰りしていたのか。
 歌詞を読むとツトム君がおかしいのは数日らしい。出産のため何日もというのではなさそうだ。そうするとやはり夫婦喧嘩でママは実家に戻ったのか。おみやげのイチゴがすっぱかったのもそのためか。
 他にも謎はある。この歌がマセた感じがするのは、「山口さんちの ツトム君」という呼び掛けにある。この歌は就学前らしいツトム君と同じ年頃の女の子の観察日記だ。だがいくらおマセとはいえ、そんな子供が友達のことを「○○さんちの○○君」などというだろうか。たんに「ツトム君」だろう。これは大人の言い方だ。
「山口さんちの ツトム君 このごろ少し変よ」という言い方は、おそらく、この女の子の家のお母さんが、お父さんにむかって「山口さんち、このごろ少し様子が変なのよね」などと言っているのを聞いて覚えたのであろう。つまりこれはツトム君の問題ではなく、山口家の問題なのである。
「大事にしていた 三輪車 お庭で雨にぬれていた」という歌詞も、家に閉じこもった深刻な雰囲気をかもしだしている。山口さんちのパパも悩んでいるのだ。パパ、ママ、子供という核家族のもろさがよくでている。それはこの歌を歌う女の子も同型である。