pieces/揺り籠のカナリア 感想

総評 ■■■□□□□ 3
ナリオ ■■■□□□□ 3
主人公  ■■□□□□□ 2
ヒロイン ■■■□□□□ 3
CG   ■■■■■□□ 5
音楽 ■■■□□□□ 3
声優 ■■■■□□□ 4
演出 ■■■□□□□ 3

23
前作『pieces/渡り鳥のソムニウム』のTRUE以降の顛末が本作品では描かれるのですが、今までのあらすじを全て理解していること前提でお話が進むせいで、熱烈なpiecesファンでは無い限り読解するのが困難だと感じてしまう作品でした。つまり予習必至の作品であり、せめて簡単なあらすじ程度は用意して欲しかったです。勿論この点については強き“覚悟”を以てpiecesの予習をしなかった自分にも非があるのですけどね。またいつかどこかでリベンジしようと思います。しかしながら数周見て少しでも理解しようと試みましたが、結局主人公も結愛ちゃんもやってることは自己犠牲に次ぐ自己犠牲。そのせいでお互いが罪の意識を植え付けられて苦しんでいたので、即刻自己犠牲は止めるべきだと思いました。

24
しかしながらFD作品の醍醐味ともいえる『ヒロイン追加』で伊集院貴美香√が新たに攻略可能になったのはやはり嬉しかったです。前作では根は真面目だけれど世間知らずのお嬢様なのか、いつも主人公に上から目線な態度を取っていましたが、そんな彼女も恋人になれば『少しでもあなたに会いたくて…』と可愛らしい側面を見せ始めるのが嬉しくて堪りませんでしたね。けれども我こそがトップに相応しいと言わんばかりに我が道を突き進むところは全然恋人になっても変わらなくて、それでこそ貴美香御嬢様!と言わんばかりの台詞にずっとニヤニヤしちゃっていました。

25
一番好きだったのは生徒会長選挙立候補イベント。なんでそんな自己評価高いの!?と思ってしまうほど、1票を獲得することですら何かしら問題が出てグダグダになっちゃいましたね。このポンコツ具合がいいのです。でもそんな彼女に渋々ながらも振り回されちゃいながら主人公も協力してあげたりとかなんだかんだ面倒見の良い主人公も中々恋人として立派に感じました。

22
深織ちゃんは『15時間睡眠』『授業中居眠り』『家での勉強会でも寝てる』の受験期の三年生とは思えない状態でお医者さんに就職できたのが少しモヤモヤしたけど、ぐうたらな彼女が少しずつ眠る時間を短縮したりしてちょっとずつ努力の跡が見え始めるのが見所ありました。主人公だけの疑似就学旅行でもその片鱗が見えて『これから私が行くところはいつも寄り添って助けてくれる人はいないんだから』と自分を鼓舞するのは、以前のおっとりとした姿からは考えられませんでした。

21
エッチシーンに関しては自分はショタが嫌いなので、紬ちゃんの貴重なエッチ枠が二枚も主人公の幼児化に費やされたことに憤りは感じてしまいましたが、前作同様とてもエッチで満足でした。衣装が凝っていて結愛はメイド服、深織はバニーガールとあざとさの塊と言わんばかりの服でそのむちむちボディをむちむちさせてくれるんですよね。付け加えるなら結愛ちゃん√ではメイド服×手コキ&騎乗位の王道コラボレーションがあって、彼女もいつもとは口調もちょっと違って『ご主人様呼び』で奉仕してくれました。主人公もどこか意地悪な言葉をかけたりして言葉責めするのでSMっぽさもあって、虐められて下品になっちゃう結愛ちゃんが可愛かったです。

ペトリコール -Petrichor- 感想

総評 ■■■□□□□ 3
ナリオ ■■■□□□□ 3
主人公  ■■■□□□□ 3
ヒロイン ■■■□□□□ 3
CG   ■■■□□□□ 3
音楽 ■■■■■□□ 5
声優 ■■■■□□□ 4
演出 ■■□□□□□ 2

A8
総プレイ時間は5時間程度とかなり短い構成で、MOREの姉妹ソフトらしく蓋を開けてみて見れば本作は『シナリオ作品と見せかけた抜き重視作品』の様相を呈していました。物語に積極的に関わる登場人物が主人公、えりか、灯里、灯里父親、Youtuberくらいでどこか閉鎖的な印象を受け少し残念でした。ですが他人に八つ当たりし暴言を吐く性格の悪いヒロインや不倫の発覚とともに心理的に追い込まれていく主人公の姿は他作品では見られないものがあり一見の価値はあると思います。

A3
まずこの作品の醍醐味は主人公の恋人で人当たりの良い性格をしていたえりかが、『彼と灯里の不倫動画』を視聴してしまったことをきっかけに突如として精神的に狂い始め、何を考えているか全くわからない行動に出始める、その心理的な変容にあると思います。まずは初めての相手を灯里に奪われてしまったことを『気持ち悪いし……許せない……』と激しく嫉妬。その後自宅ではセックス浸けの日々を送り彼を大学に行かすことを許そうとしない支配者的な側面を露にしました。かと思えば『私が欲しかったのは、理想の恋人だったんだって。私と一緒に色んな初めてを経験してくれる人』という発言を残して、主人公の不倫行為のせいで『初めての性行為』を共有できなかったことに悲しみ、遂に別れ話をし始めるという情緒不安定さを最後には見せたのでした。

A7
当初は優等生の典型だと思われたえりかが少しずつ自分の奥底に眠る感情を自覚していき、周りの人間の心にも強い影響を及ぼしていく。えりかの度重なる問題発言からは到底物語の行きつく先が予想もできなかったので夢中になって読み進めることが出来ました。また彼女がこうなってしまった原因の一端は主人公が不貞行為を働いてしまったことにありますし、えりかの変容を指摘しようと思っても中々強く出ることが出来ない。そんなジレンマに苦しむ彼の姿が痛ましく、そして共感してしまうところでした。

A6
しかしこの心情の移り変わりを主人公の視点でしか感じ取れないのが本作品の惜しいところで、短いプレイ時間も相まってえりかはただの『ヒステリックな女』としか思うことが出来ませんでした。どうしてここまで『初めて』への執拗な拘りを見せるのか綿密なバックグラウンドが語られれば、少しは納得はいったのでしょうが、彼女の心境が語られる機会はあまり訪れなかった印象です。

A1
そしてえりかがあまりにも好き勝手しているせいで、彼女の身に起こる不幸も『自業自得』としか感じなかったのも残念でした。例えば灯里√では親身になって心配してくれる大学の同級生に『そのお友達ごっこみたいな態度、やめてって言ってるの』とストレスをぶつけたことが一つにはありますね。恋人を奪った灯里に対して不平不満を口にするのは納得は出来るんですけどね。だけれども同級生にまで悪びれもなく八つ当たりする姿は『堕ちるところまで墜ちたな』とどうしても感じてしまいます。

A5
他にも彼女に対する釈然としない感情があります。なんと彼女自身の√で別れ話を切り出す前、SNSで他の人物と楽しくやり取りしていたのです。そして主人公と別れた後はその人と一緒にSNS外でも出会ってデートまがいのことまでするのです。すなわち他の人物に『乗り換え』したわけです。いくら何でも自由気ままというか、人として当たり前の感情が欠落してるように思えてなりませんでした。せめて主人公と別れる時くらい落ち込んで惜しむ感情は見せて欲しいところでしたし、直ぐに新しいものに飛びつく彼女の思考に気持ち悪さがありました。結果的にはこれが罠で、えりかと一緒に街の散策を行う男を主人公がとっちめることで彼に惚れ直すのですが、逆に茶番じみていて苛立ちが募りました

A2
一方で灯里は劣悪な家庭環境から少しでも耐え抜くために一夜だけの過ちと思って、学生時代に主人公と夜の営みをしたのですが、その動画を父親に撮影されてしまい、ネットにばらまかれ恋人関係をズタズタにしてしまったことにとてつもない罪悪感を抱えていました。えりかとは対照的に根っこからの善人で、彼女の涙を止めてあげたい…と心の底から思える娘でした。また二人の事情には関わらないと思いながらも、男子生徒の脅迫を受けてしまうと『早く来て……清瀬…』と主人公のことをついつい頼りにしてしまうところも可愛らしかったです。本当はもう彼と顔を合わせるべきではないけど、頼れる人は彼しかいないという板挟み状態で悩む灯里に心を引き寄せられました。

月の彼方で逢いましょう SweetSummerRainbow 感想

総評 ■■■■■□□ 5
ナリオ ■■■■■□□ 5
主人公  ■■■■■□□ 5
ヒロイン ■■■■□□□ 4
CG   ■■■■■□□ 5
音楽 ■■■■■□□ 5
声優 ■■■■■□□ 5
演出 ■■■■■□□ 5

0000003
主人公と雨音の生き方を中心として他の登場人物達が一同に会していく光景に胸を打たれました。エンドロール後の余韻は流石の一言で他作品の追随を許さないものがありました。まさしく『人生』の名を冠する作品の続編でした。


【アフター編】
0000001
お話を整理しながら感想を述べていきます。雨音ちゃんは愛娘を授かって以来慌ただしい日々を過ごすこととなり、漸く一段落ついたアフター編では、グレイとの思い出が一欠片も残されていない現状に胸を苦しくさせてしまう。『よく、心に想い出が残っていれば、それでいいなんて居心地のいい言葉を耳にするけど…現実は、そうたやすくない』。思わず心の中でそう呟いてしまう雨音ちゃんの台詞はいかにも『月の彼方で逢いましょう』の作品性を象徴していたと思います。『宝物は心の中に眠っている』という具合のよく見る終わり方に否定的と言わないまでもやや懐疑的な発言がしばしばみられるのだ。

一方主人公は大ヒットセラーを記録した虹月の続編を執筆し始めて、そのモチーフは今現在体感している温かな家庭そのもの。『だから1つくらい、こういう奇跡が起こってもいいんじゃないかって思ったんだ』と言いながら、エンデュミオンに機能が停止したこの世界でも奇跡を願いながら、その思いを小説にぶつけながら執筆する彼が恰好良すぎて堪りませんでした。前作では雨音ちゃんの両親の覚悟が感涙もので『親の強かさ』を見せつけられましたが、今作では主人公が父親として彼女の人生をより良きものにしようとする意志が露になっていてより一層魅力的にうつりました。

0000006
そして彼の小説に呼応するように、昔住んでいたボロボロの家で小さな奇跡が起きました。ずっと失われたと思っていた肉親と撮影された一枚の写真が床の下から発掘されるのでした。この場面があたかも主人公がエンデュミオンの奇跡を願い続けたことで雨音にずっと探していた宝物をプレゼントすることが叶ったみたいで胸が熱くなりました。

0000002
だけれどもそれは主人公だけの力だけでも無くて、小説の推敲を重ねている間に栞菜先生が『真エンデュミオン』の存在を提案をしなければこんなお話は生まれなかったかもしれない。この小説がここまで温かみのあるものになる為には松宮編集長のこの小説が『閉鎖的』に感じられるというアドバイスを受け入れなければいけなかった。『家族』を住んでいる住居人だけでなく周囲の助けてくれる人たちにも目を向けた彼の小説は、彼一人だけでは彼の『人生』の模倣物とはなりえなかったのだ。だけれども推敲を重ねるごとに彼の『人生』とぴったり重なりだして、かつての奇跡と比較してもほんの誤差のようなものですが、雨音ちゃんにとって救われる奇跡が起こるのはなんともドラマチックに思われました。

【スクール編】
0000007
前作ではエンデュミオンを用いた過去改編にて雨音との思い出が失われてしまう事件がありました。そこで影響を受けた人は多岐にわたり主人公の親友の職業もどこか釈然としないものに置き換わっていました。ここで本編では『主人公と雨音との接点を無くしただけなのにどうしてこんなことになるのか?』という疑問点を持ち続けていたのですが、今作にてこの親友達と過ごしたサマースクールの一夏のイベントが彼らにも大きな影響を及ぼしたんだな…と思うと彼らの繋がりが途端に眩しいものに覚えてきました。

0000004
後は『幸せと不幸せは、反比例するのかなって…』という発言が地味に印象に残っていて、この時はまだ学生時代で、エンデュミオンの悪しき『後悔を消す』という過去改編も目撃していません。だからこそアフター編で『後悔も含めて人生』という考え方はまだこの時見えず、『不幸せを消せば幸せになれる』という類の発言が口に出てしまったのかと精神的な幼さを感じましたね。今回はスクール編とアフター編が収録され、この二つを対比的に見ると結構生活面・心理面の変化がより鮮明に感じられてよかったです。

【感想リンク】







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